Volume 16, No.2
May issue 2011
1. 最近の研究から/FROM LATEST RESEARCH
[1]パナソニック(株) マテリアルサイエンス解析センター Materials Science and Analysis Technology Center, Panasonic Corporation、[2]パナソニック(株) デジタルネットワーク開発センター Digital & Network Technology Development Center, Panasonic Corporation、[3]タンペレ工科大学 物理学研究科 Department of Physics, Tampere University of Technology、[4]ユーリッヒ総合研究機構 固体物理学研究科 Quantum-Theory of Materials, Institut für Festkörperforschung、[5](財)高輝度光科学研究センター 利用研究促進部門 Research & Utilization Division, JASRI、[6](独)物質・材料研究機構 共用ビームステーション Beamline Station, NIMS、[7](財)高輝度光科学研究センター 産業利用推進室 Industrial Application Division, JASRI、[8](独)理化学研究所 播磨研究所 Harima Institute, RIKEN
- Abstract
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今日の代表的な実用相変化記録材料として、GeTe-Sb2Te3擬二元系化合物とSb-Te二元系にGeやAg、Inなどを少量添加した多元系化合物の二つが挙げられる。これらは、常温では数十年以上もアモルファス相が安定に保たれると同時に、瞬間的な加熱により数10 ns(ナノ秒、10-9セカンド)の短時間で結晶化させることも可能である。その時間差は、実に1017~18倍に及ぶ。ただ、両者の結晶化の様子は大きく異なっており、前者は、アモルファス中に無数に存在する結晶核が起点となって、ビット全体が一斉に結晶に変化するのに対して、後者は、アモルファスビットの周辺結晶部からビットの中央部に向かって、結晶成長が瞬時に進行する。この違いは、前者のアモルファス中には無数の結晶の欠片(結晶核)が潜んでいて、それらが高速結晶化の担い手になるのに対し、後者は、アモルファス中で、原子結合の連鎖的な組み換えが起こって、バラバラだった分子配向軸が、連鎖的且つ一瞬で整列して、アモルファスから結晶に高速相変化することにある。
九州大学 生体防御医学研究所 Medical Institute of Bioregulation, Kyushu University
- Abstract
- 小胞体は分泌タンパク質および膜タンパク質が合成される重要な細胞内小器官である。小胞体内で生じた構造異常タンパク質はサイトゾルに逆行輸送され、ユビキチン-プロテアソーム系により分解される。この機構は小胞体関連分解と呼ばれ、小胞体におけるタンパク質品質管理において必須の役割を担う。ERdj5は小胞体内在性の酸化還元酵素であり、誤ったシステイン間で形成されたジスルフィド結合を還元することで異常タンパク質の小胞体関連分解を促進する。本研究において我々は、SPring-8 BL44XUを用いた放射光実験により、ERdj5全長の高分解能結晶構造を解くことに成功した。さらに構造情報を基にした系統的な機能解析により、ERdj5が促進する構造異常タンパク質の小胞体関連分解経路の分子基盤を確立した。
2. ビームライン/BEAMLINES
[1]電気通信大学 燃料電池イノベーション研究センター Innovation Research Center for Fuel Cells, The University of Electro-Communications、[2]自然科学研究機構 分子科学研究所 物質分子科学研究領域 Institute for Molecular Science, National Institutes of Natural Sciences
- Abstract
- 先端触媒構造反応リアルタイム計測ビームライン(BL36XU)の建設が、電気通信大学、分子科学研究所および、北海道大学の3者が中心となり、2012B期の利用開始を目指して現在進められている。 BL36XUは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が進めている「固体高分子形燃料電池実用化推進技術開発」プロジェクトの研究開発テーマ「時空間分解X線吸収微細構造(XAFS)等による触媒構造反応解析」の一環として建設するものであり、高い時間・空間分解能をもつ専用XAFS計測ステーションを構築し、燃料電池電極触媒の高性能化、高耐久性を実現するために必要な情報を提供することを目的としている。本稿では、本研究開発テーマの目的、ビームラインの概要および、建設状況について紹介する。
3. 研究会等報告/WORKSHOP AND COMMITTEE REPORT
(財)高輝度光科学研究センター 産業利用推進室 Industrial Application Division, JASRI
4. SPring-8通信/SPring-8 COMMUNICATIONS
北海道大学大学院 先端生命科学研究院 Graduate School of Life Science, Hokkaido University
東京大学大学院 新領域創成科学研究科 Graduate School of Frontier Sciences, The University of Tokyo
弘前大学大学院 理工学研究科 Graduate School of Science and Technology, Hirosaki University
東京大学 物性研究所 The Institute for Solid State Physics, The University of Tokyo
大阪電気通信大学 エレクトロニクス基礎研究所 Fundamental Electronics Research Institution, Osaka Electro-Communication University
5. 談話室・ユーザー便り/USER LOUNGE・LETTERS FROM SPring-8 USERS
東京大学大学院 新領域創成科学研究科 Graduate School of Frontier Sciences, The University of Tokyo