Volume 16, No.4
November issue 2011
1. 最近の研究から/FROM LATEST RESEARCH
自然科学研究機構 分子科学研究所 Institute for Molecular Science, National Institutes of Natural Sciences
- Abstract
- BL37XUビームラインにおいて、1000 nm × 800 nmのサイズのX線マイクロビームを用い、SiO2基板上に高分散させたNi担持Ce2Zr2Oy酸化物固溶体触媒(NiOx/Ce2Zr2Oy(x = 0-1, y = 7-8))触媒粒子1粒のXAFS測定を行った。2次元顕微蛍光X線分析法(XRF)とNi K吸収端顕微X線吸収微細構造法(XAFS)を組み合わせた解析によって、基板上の触媒粒に対し、触媒活性の異なるNiの2つの酸化状態を捉え、またその局所配位構造を決定することにも成功しました。
旭化成(株) 基盤技術研究所 Analysis and Simulation Center, Asahi Kasei Corporation
- Abstract
- セメント・コンクリートの分野では各種性能を改善する目的で高温高圧の水蒸気を用いた養生が行われている。この反応過程を追跡する目的で、高温高圧XRDによるin-situ計測技術の開発が10数年前から行われてきたが、用いられてきたセルは、金属チューブやガラスキャピラリーをベースとしたものであり、金属チューブ由来の回折線の重なりや、ガラスキャピラリー内の温度・圧力の安定性、なにより反応の再現性が十分でなかった。今回、モノづくりの発想に基づいた独自のその場計測用セルを創作し、セメント・コンクリート系材料の水熱反応過程において、これまでにない高精度in-situ X線回折を実現した。放射光および半導体ピクセル検出器との組み合わせによりセルの性能は最大限に発揮され、従来の研究を大きく凌駕するデータが得られ、ブラックボックスであった結晶性珪酸カルシウム水和物であるトバモライトの詳細な生成メカニズムが明らかになった。
[1]東京工業大学 応用セラミックス研究所 Materials and Structures Laboratory, Tokyo Institute of Technology、 [2]京都大学 化学研究所 Institute for Chemical Research, Kyoto University、[3](財)高輝度光科学研究センター 利用研究促進部門 Research & Utilization Division, JASRI、[4](独)日本原子力研究開発機構 量子ビーム応用研究部門 Quantum Beam Science Directorate, JAEA
- Abstract
- BiNiO3は、Bi3+0.5Bi5+0.5Ni2+O3という特徴的な価数状態を持つペロブスカイト酸化物である。圧力下の中性子粉末回折とX線吸収実験によって、加圧、または圧力下で昇温すると、ビスマスイオンとニッケルイオンの間で電荷移動を生じ、格子の収縮を伴った構造相転移を起こす事が明らかになった。ビスマスを一部ランタンで置換して高圧相を安定化したBi0.95La0.05NiO3は、常圧下の昇温によって体積と長さが減少する、負の熱膨張を示す。歪みゲージで測定した熱膨張係数は、αL = −82 × 10-6/Kと、既存の負の熱膨張材料の3倍以上である。
2. ビームライン/BEAMLINES
[1](株)豊田中央研究所 分析研究部 Materials Analysis & Evaluation Division, Toyota Central R&D Labs., Inc.、[2](株)豊田中央研究所 無機材料研究部 Inorganic Materials Division, Toyota Central R&D Labs., Inc.、[3](株)豊田中央研究所 総務部 General Affairs Division, Toyota Central R&D Labs., Inc.
- Abstract
- 豊田ビームライン(BL33XU)は、2009年4月にコミッショニングを行い、2009B期から利用を開始した。 本ビームラインは実用材料の解析を目的とし、高速XAFS測定を主機能とするビームラインとなっている。 ビームライン建設にあたり、テーパ付アンジュレータやコンパクト分光器等の新しい技術も導入した。本報告では、これらの機能の説明を中心に、豊田ビームラインの現状を報告する。
3. 研究会等報告/WORKSHOP AND COMMITTEE REPORT
[1](財)高輝度光科学研究センター 加速器部門 Accelerator Division, JASRI、[2](財)高輝度光科学研究センター XFEL研究推進室 XFEL Division, JASRI、[3](独)理化学研究所 播磨研究所 XFEL研究開発部門 XFEL Research and Development Division, RIKEN
(財)高輝度光科学研究センター 利用研究促進部門 Research & Utilization Division, JASRI
(財)高輝度光科学研究センター 産業利用推進室 Industrial Application Division, JASRI
4. 利用者懇談会研究会報告/RESEARCH GROUP REPORT (SPring-8 USERS SOCIETY)
(財)高輝度光科学研究センター(利用者懇談会 文化財研究会 幹事) Industrial Application Division, JASRI
5. SPring-8通信/SPring-8 COMMUNICATIONS
6. 談話室・ユーザー便り/USER LOUNGE・LETTERS FROM SPring-8 USERS
東京大学大学院 新領域創成科学研究科 Graduate School of Frontier Sciences, The University of Tokyo