Volume 27, No.2
Spring issue 2022
1. 最近の研究から/FROM LATEST RESEARCH
[1](国)理化学研究所 放射光科学研究センター 物質ダイナミクスグループ Materials Dynamics Laboratory, RIKEN SPring-8 Center、[2](公財)高輝度光科学研究センター 放射光利用研究基盤センター 精密分光推進室 Precision Spectroscopy Division, CSRR, JASRI
- Abstract
- We describe how improvements in methodology and instrumentation for meV-resolved inelastic x-ray scattering (IXS), coupled with a fresh examination of older theory, allow identification of interaction between the quasi-elastic and acoustic phonon modes in liquid water. This helps explain a decades old controversy about the appearance of additional modes in water spectra, and provides a strong base from which to discuss new phenomena in liquids on the mesoscale.
関西学院大学 工学部 School of Engineering, Kwansei Gakuin University
- Abstract
- SPRUC分野融合型研究(実用)グループを母体とし、新分野創成利用課題「固液界面構造解明と可視化および構成物質間のダイナミクス」(2016B−2018A)で構築した分野融合型研究をさらに推進するために新分野創成利用課題「固液界面構造解明と可視化および溶媒溶質相関」(2018B−2020A)を実施した。固液界面をサイエンスの核とし、実用に直結している腐食とメッキを個別テーマとして、「課題」、「計測」、「素過程」、「理論」の役割を担うチームを融合することで研究を推進した。実用課題の理解としては、腐食やメッキの反応過程のモデル化に成功した。また、分野融合によって新たに形成される研究グループの組織化としてSPRUC研究会「固液界面研究会」を設置し、今後の研究推進母体を創成した。
[1]筑波大学 数理物質系 Faculty of Pure and Applied Sciences, University of Tsukuba、[2]広島大学 大学院先進理工系科学研究科 Graduate School of Advanced Science and Engineering, Hiroshima University、[3]オーフス大学 化学科 Department of Chemistry, Aarhus University
- Abstract
- 本長期利用課題は、これまでにパートナーユーザー(PU)としてSPring-8 BL02B1で単結晶構造解析、時分割実験、高圧実験を進めてきた研究グループが、2018年度から納入されたCdTe-PILATUS検出器と大型湾曲IPカメラの両者を効率的に利用し、構造研究の成果を上げつつ利用方法を各方面で高度化することを目的とした。利用研究としては、精密電子密度計測、時分割測定、高圧構造物性研究に加えて3次元差分二体分布関数測定を行うこととした。期間中、Heガスの供給に関する問題とコロナ禍により当初の計画とはかなり異なった形での課題実施となったが、得られた成果を中心に述べる。
2. ビームライン/BEAMLINES
[1](公財)高輝度光科学研究センター XFEL利用研究推進室 XFEL Utilization Division, JASRI、[2](国)理化学研究所 放射光科学研究センター RIKEN SPring-8 Center
- Abstract
- マイクロメートル~サブマイクロメートル領域の空間分解能を持つレンズ結像型の間接変換X線画像検出器の開発状況について概説する。近年、本撮像方式の課題であったシンチレータ内で生じる光拡散による解像性能低下は、光学ガラス級の光学品質を備えた薄膜シンチレータを用いることで大きく改善された。これにより、顕微鏡光学系が本来持つ回折限界に近い解像性能を得るに至っている。一方で、X線CTや、小片化できない試料、または動的に変化する大型の試料の撮像等のアプリケーションにおいては、空間分解能だけでなく試料全体を同時に撮像できる広い視野サイズが求められる。以上を踏まえ、SPring-8において透過X線を等倍撮像する条件の下、近回折限界性能を保持しつつX線ビームサイズと同程度の数mm~数10 mmまで視野を拡張し、供用することを計画している。
(公財)高輝度光科学研究センター 加速器部門 Accelerator Division, JASRI
- Abstract
- SPring-8蓄積リングには、高速キッカーシステムを搭載した偏光スイッチング型アンジュレータと呼ばれる挿入光源が実装されている。この偏光スイッチングのためのキッカー駆動が、蓄積リングの電子ビーム軌道に周期的な摂動を与え、その結果、光源の安定度が劣化してユーザー実験の支障となっていた。この問題を解決するために加速器グループでは、順応型フィードフォーワード制御(Adaptive Feedforward Control)による新たな軌道補正システムを導入した。これにより、キッカーの駆動を実験ユーザーが気付かないレベルにまで、軌道の安定状態を保持することができるようになった。本稿では、この新しい軌道補正システムの概要を紹介する。
3. 研究会等報告/WORKSHOP AND COMMITTEE REPORT
(公財)高輝度光科学研究センター XFEL利用研究推進室 XFEL Utilization Division, JASRI
SPring-8ユーザー協同体(SPRUC)行事幹事/筑波大学 数理物質系 Faculty of Pure and Applied Sciences, University of Tsukuba
[1](公財)高輝度光科学研究センター 放射光利用研究基盤センター 散乱・イメージング推進室 Scattering and Imaging Division, Center for Synchrotron Radiation Research, JASRI、[2](公財)高輝度光科学研究センター 放射光利用研究基盤センター 分光推進室 Spectroscopy Division, Center for Synchrotron Radiation Research, JASRI、[3](公財)高輝度光科学研究センター ビームライン技術推進室 Beamline Division, JASRI、[4](公財)高輝度光科学研究センター XFEL利用研究推進室 XFEL Utilization Division, JASRI
4. SPring-8/SACLA通信/SPring-8/SACLA COMMUNICATIONS
(公財)高輝度光科学研究センター 放射光利用研究基盤センター 産業利用・産学連携推進室 Industrial Application and Partnership Division, Center for Synchrotron Radiation Research, JASRI