Volume 18, No.4
November issue 2013
1. 最近の研究から/FROM LATEST RESEARCH
[1]Department of Chemistry, Stanford University, [2]Research & Utilization Division, JASRI
- Abstract
- Mononuclear and binuclear non-heme iron enzymes are found in numerous aerobic organisms and perform an array of different chemistries, which are significant in the development of drugs and industrial catalysts. The goal of this research is to understand mechanisms by which the iron cofactors of these enzymes activate O2 to perform the diverse chemistries. Recently, the first structural elucidation of the key reactive Fe(IV)=O intermediate of a mononuclear non-heme iron enzyme SyrB2 has been achieved by utilizing nuclear resonance vibrational spectroscopy (NRVS), and it has been correlated to the function of the enzyme in combination with density functional theory (DFT) computations. For the similar achievement in elucidating binuclear non-heme iron enzyme intermediates, we also established bases for the NRVS analyses of peroxo-bridged biferric and mono- and di-oxo-bridged high-valent diiron complexes.
名古屋大学 大学院理学研究科 Graduate School of Science, Nagoya University
- Abstract
- 放射光を用いたLi@C60塩の単結晶構造解析によって、C60ケージ内にLi原子が内包されていることを明らかにした。また、Li原子がLi+の状態を取っており、ケージ内におけるLiの位置はアニオンが作る静電場に支配されていることも明らかとした。このことは、外部電場印加によるLi位置のコントロールが可能であることを示唆しており、分子反転を伴わない新たな内包フラーレン分子スイッチとなりうることがわかった。
名古屋大学 大学院工学研究科 Graduate School of Engineering, Nagoya University
- Abstract
- 高度情報化社会を支える半導体集積回路の基本素子であるMISトランジスタの開発において、物理寸法の微細化スケーリングに代わる技術開発、具体的には、新材料・新デバイス構造の導入による高性能化に強い期待が向けられている。ゲルマニウム(Ge)は、従来のシリコン(Si)に比べ、電子・正孔ともにバルク移動度が高く、歪み印加による移動度向上率も高いことから、次世代高移動度チャネル材料として有望視されている。その導入に当たっては、電気的特性と密接に関連するゲート絶縁膜等の材料および界面物性の理解が必須であり、実デバイス内の様々な材料で構成されるナノメートルスケールの多層構造や埋もれた界面を高感度に非破壊で分析可能な硬X線光電子分光(HAXPES)は極めて強力な分析技術である。本研究では、ビームラインBL46XUでのHAXPES分析を通して、Geチャネルを有効活用する上で不可欠となる金属/high-k絶縁膜スタックやコンタクト形成等の要素技術において、化学反応や電子状態の理解を深め、界面反応の精密制御に繋がる知見を得ることに成功した。
東北大学 大学院理学研究科 Graduate school of Science, Tohoku University
- Abstract
- 本研究(長期課題番号2009B0028)は、BL10XUにおいて、高温高圧発生技術の開発とともに、放射光メスバウア法を導入し、放射光粉末X線回折と放射光メスバウア法の同時測定を可能にした。現在、100 GPaを超える圧力のもとでルーチンの実験が可能になっている。また、移設可能なポータブルレーザー加熱測温システムを開発し、2000 Kを超える条件での長時間加熱・測温を可能にした。地球の内核を構成すると考えられる鉄、鉄ニッケル珪素合金、鉄ニッケル硫黄合金等の相平衡関係と状態方程式を決定し、内核が軽元素とニッケルを含むhcp構造の合金であることを示した。また、鉄軽元素系の溶融関係を核内部の圧力で決定し、内核境界および核マントル境界の温度を推定した。さらに、高圧で安定な含水鉱物δ相(δ-AlOOH)が、下部マントルの主要構成鉱物であるペロブスカイト相およびポストペロブスカイト相と共存することを示し、プレートの沈み込みにともなって、この鉱物が核マントル境界に水を運ぶことを明らかにした。
2. ビームライン/BEAMLINES
(公財)高輝度光科学研究センター 光源・光学系部門 Light Source and Optics Division, JASRI
- Abstract
- 低温下で永久磁石の性質が向上することを利用したクライオアンジュレータのプロトタイプ機を製作し、蓄積リング34セルに設置して電子ビームを用いた熱的な評価試験を行った。その結果、実用上、問題はないことを確認した。本報告書では、クライオアンジュレータの特徴と開発のポイントおよび要素技術について述べる。
3. SACLA通信/SACLA COMMUNICATIONS
4. 研究会等報告/WORKSHOP AND COMMITTEE REPORT
[1](独)理化学研究所 放射光科学総合研究センター ビームライン基盤研究部 Beamline infrastructure Group, Institute of Physical and Chemical Research (RIKEN/SPring-8)、[2](公財)高輝度光科学研究センター 加速器部門 Accelerator Division, JASRI、[3](公財)高輝度光科学研究センター 制御・情報部門 Controls and Computing Division, JASRI、[4](公財)高輝度光科学研究センター 利用研究促進部門 Research & Utilization Division, JASRI
(公財)高輝度光科学研究センター 光源・光学系部門 Light Source and Optics Division, JASRI
(独)理化学研究所 放射光科学総合研究センター XFEL Research and Development Division, RIKEN
SPring-8 Taiwan beamline office, National Synchrotron Radiation Research Center, Taiwan
(公財)高輝度光科学研究センター 産業利用推進室 Industrial Application Division, JASRI
SPring-8ユーザー協同体(SPRUC)行事幹事/大阪府立大学大学院 理学系研究科 Graduate School of Science, Osaka Prefecture University
5. SPring-8通信/SPring-8 COMMUNICATIONS
6. 談話室・ユーザー便り/USER LOUNGE・LETTERS FROM SPring-8 USERS
SPring-8ユーザー協同体(SPRUC)利用委員会委員長/大阪大学 蛋白質研究所 Institute for Protein Research, Osaka University