Volume 17, No.2
May issue 2012
1. 最近の研究から/FROM LATEST RESEARCH
兵庫県立大学大学院 生命理学研究科 Graduate School of Life Science, University of Hyogo
- Abstract
- 酸素耐性をもつ膜結合型[NiFe]ヒドロゲナーゼのX線結晶構造解析に成功した。構造解析の結果、ヒドロゲナーゼが3個もつ鉄-硫黄クラスターのうち、Ni-Fe活性部位の一番近くに位置するクラスターが、従来までに知られていた[4Fe-4S]-4Cys型ではなく、新規の構造の[4Fe-3S]-6Cys型であることを見出した。これまでに研究されていた標準型[NiFe]ヒドロゲナーゼは酸素条件下では酸素が活性部位に結合し、その酵素活性が失われることが知られていた。本酸素耐性の膜結合型[NiFe]ヒドロゲナーゼは、酸素にさらされた時に[4Fe-3S]-6Cysクラスターが構造変化を起こし、さらにNi-Fe活性部位に電子を余分に与え、酸素を分解することによって不活性化を免れることを見出した。
[1]宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所 ISAS, JAXA、[2]東京大学 生産技術研究所 Institute of Industrial Science, The University of Tokyo、[3]東京大学大学院 新領域創成科学研究科 Graduate School of Frontier Sciences, The University of Tokyo
- Abstract
- 融液からのシリコン単結晶成長技術は、半導体シリコン産業の基盤を形成する重要な要素の一つである。溶融シリコンの流動状態や凝固過程を解明できれば、単結晶成長過程の制御性向上に新たな道が開かれ、単結晶シリコンの大口径化など、技術的に大きな波及効果が期待できる。そのためには、溶融シリコンの基本的な特性を正確に把握することが重要である。本研究では、SPring-8の放射光X線を用いたコンプトン散乱測定を行い、液体シリコン中の共有結合の存在を定量的に捉えることに成功した。
2. ビームライン/BEAMLINES
[1]京都大学 産官学連携本部 Office of Society-Academia Collaboration for Innovation, Kyoto University、[2]京都大学大学院 人間・環境学研究科 Graduate School of Human and Environmental Studies, Kyoto University、[3]京都大学大学院 工学研究科 Graduate School of Engineering, Kyoto University
- Abstract
- 革新型蓄電池先端科学基礎研究(RISING)ビームラインBL28XUは2011B期よりコミッショニングを開始し、2012A期より利用開始となった。BL28XUは新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が進める革新型蓄電池先端科学基礎研究事業(RISING事業)の一環として、中核研究機関である京都大学が高度解析技術の一つとして建設した。BL28XUは蓄電池反応のメカニズムをその場(in situ)で、高速時間分解および高空間分解能でX線回折(XRD)およびX線吸収分光法(XAFS)などにより明らかにすることを目的としている蓄電池専用ビームラインである。本稿ではそのBL28XUの概要について紹介する。
3. SACLA通信/SACLA COMMUNICATIONS
(独)理化学研究所 放射光科学総合研究センター XFEL研究開発部門 ビームライン研究開発グループ XFEL Research and Development Division, RIKEN SPring-8 Center
4. 研究会等報告/WORKSHOP AND COMMITTEE REPORT
(公財)高輝度光科学研究センター 研究調整部 Research Coordination Division, JASRI
(公財)高輝度光科学研究センター 光源・光学系部門 Light Source and Optics Division, JASRI
5.SPring-8通信/SPring-8 COMMUNICATIONS
6. 談話室・ユーザー便り/USER LOUNGE・LETTERS FROM SPring-8 USERS
SPring-8利用者懇談会 会長(東京大学大学院 新領域創成科学研究科) Graduate School of Frontier Sciences, The University of Tokyo