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Volume 16, No.4 Page 249

理事長室から -JASRI国際諮問委員会(JIAC 2011)-
Message from President - JASRI International Advisory Committee (JIAC 2011) –

白川 哲久 SHIRAKAWA Tetsuhisa

(財)高輝度光科学研究センター 理事長 President of JASRI

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 大野前専務理事から常設の国際諮問委員会の設置について相談を受けたのは、一年ほど前のことであったと思います。これまでも国際諮問委員会が開催されたことはあるのですが、それらはいずれもアドホックで恒久的なものではなかったとのこと。しかるべき研究機関であれば、定期的に国際的な観点から評価・助言・提言を仰ぐべきことは当然のことと思いましたので、一も二もなく賛成し、具体的な検討を大野前専務にお願いしました。大野前専務は直ちに構想を練られ、英国ダイヤモンド放射光施設のMaterlik所長を委員長、東京理科大学の福山副学長を副委員長とする7名の委員からなるJASRI国際諮問委員会(JASRI International Advisory Committee, JIAC)を立ち上げるとともにJASRI内に実行委員会を組織し、具体的な準備に入りました。そして、本年7月26日から28日まで、SPring-8のサイトでJIAC 2011が開催の運びとなったのです。


 今回のJIAC 2011の最も重要な評価項目は、過去5年間におけるSPring-8の諸活動の成果と、今後の将来計画が適切なものであるかどうかという点でしたが、この点については概ね好意的な評価を頂けたものと思っています。しかしながら、個別には具体的な要改善点のご指摘が数多くあり、例えば、
 ・蛋白質構造解析ビームラインの役割分担の見直し
 ・ビームライン当りのスタッフ数の増員
 ・将来計画における外部ユーザー・コミュニティーの意見の反映
 ・専用ビームラインの論文発表率の向上と厳正な評価の実施
 ・ビームライン・ポートフォリオの見直しに向けての検討
 ・ユーザー・コミュニティーの育成・強化
など、いずれも現在のSPring-8が抱えている問題点を的確に示したものとして実に傾聴に値するご助言を頂きました。JIAC 2011の報告書は既に理事長宛提出されており、JASRIのホームページからも閲覧可能ですので、ご覧いただければと思います。(http://www.jasri.jp/ja/enterprise/jiac/


 それにもましてJASRIの理事長として感服し、かつ意を強くしたのは、JIAC 2011がその報告書でSPring-8の運営体制の問題を第一に取り上げ、「(前回の)JIAC 2006における最も重要な見解」が未だ実現されていない、として「SPring-8の全ての運営・運転が一体的に行われることが必須」と再度指摘していることです。JIAC 2011は、「複数の組織によって不明瞭な業務分担により運営されているSPring-8の運営体制について、引き続き懸念している」と述べ、「単一の、主体的な、独立した責任能力のある組織により運営される研究施設が成功を収めていることは国際標準である」として「SPring-8においてもこのモデルを確立するための必要な措置を講ずることを推奨する」と指摘しています。これは、私が昨年8月号の「利用者情報」の「理事長室から」で取り上げた-SPring-8の運営体制-世界標準か?-(http://user.spring8.or.jp/sp8info/?p=3200)と全く軌を一にするものです。

 この運営体制の問題はもとより、今回JIAC 2011で指摘された個別の要改善点はJASRIひとりの努力のみで対応できるものではなく、SPring-8のオーナーである理化学研究所はもちろん、政策ご当局のご理解とご協力がなければ解決が困難なものばかりですが、JASRIとしては利用者本位の運営体制の確立に向けて引き続きその必要性を粘り強く訴えていく所存です。



Print ISSN 1341-9668
[ - Vol.15 No.4(2010)]
Online ISSN 2187-4794