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Volume 17, No.2 Page 104

理事長室から −新たな門出−
Message from President - SPring-8 Marks Several New Starts –

白川 哲久 SHIRAKAWA Tetsuhisa

(公財)高輝度光科学研究センター 理事長 President of JASRI

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 新年度の春を迎え、ここSPring-8のサイトでもいくつかの新たな歩みが始まりました。


 まず、2月号のこの欄でもご紹介したSACLAの供用開始です。SACLAは予定通り3月7日から最初のユーザーによる利用実験が始まり、世界最短波長のレーザー光による実験データが蓄積されつつあります。今後、それを読み解いて、世界が注目するような研究成果が発信されることが大いに期待されます(http://sacla.xfel.jp/?p=2059)。


 次に、革新型蓄電池先端科学基礎研究事業の専用ビームライン(RISINGビームライン)の完成です。このビームラインは、NEDOのプログラムで、京都大学が中心になって産官学のオールジャパン体制で進めている革新的な蓄電池開発プロジェクトの中核となる研究施設として計画されたものです。去る4月4日、京都大学の総長やNEDOの理事長も出席されて完成記念式典が執り行われました(http://www.rising.saci.kyoto-u.ac.jp/release/2012/04/rising.html)。本プロジェクトは、国策として推進すべき極めて重要な産業基盤技術開発で、本ビームラインの成果が待ち望まれていますが、JASRIとしても引き続き運用・利用面での協力をさせていただく所存です。


 さらに、JASRI自身も4月1日からこれまでの財団法人から内閣総理大臣の公益認定を受けた公益財団法人として新たなスタートを切りました。これは、政府の公益法人改革に沿ったもので、SPring-8/ SACLAのユーザーに直接的な影響が出ることはありませんが、登録施設利用促進機関としてのJASRIの法人経営上は極めて重要な事柄で、法人としての経営基盤(特に、財務基盤)を安定させるためには是非とも公益財団法人へ移行する必要がありました(http://www.jasri.jp/ja/news/120401)。JASRIとしては、これを機に、役職員一同公益財団法人としての責務を自覚し、改めて「利用者本位」の運営を第一に心がけてSPring-8/SACLAのユーザーのために職務に精励する所存です。


 そして、SPring-8/SACLAのユーザーの方々に最も関係が深いのは、SPring-8利用者懇談会(利用懇)の改編だと思われます。利用懇は、次世代大型X線光源研究会の活動を発展的に継承して1993年5月に発足し、SPring-8の共用ビームラインの建設などにユーザーサイドの意見を反映させる組織として中心的な役割を果たしてこられました。SPring-8の建設・整備はその後飛躍的に進み、現在では26本の共用ビームラインを含む57本のビームラインが既設または整備中となっており、SPring-8の利活用はまさに成熟期を迎えた感があります。一方で、利用懇の会員数と実ユーザー数との間に大きな乖離が生ずるなど、利用懇の活動とSPring-8の実態が必ずしも整合しなくなり、時代に合った活動が可能となるようなユーザー組織への改編が課題となっていました。今般、およそ一年間にわたる精力的な検討を経て、4月1日から新たにSPring-8の全てのユーザーを会員とするSPring-8ユーザー協同体(SPRUC)として再出発されました(http://www.spring8.or.jp/ ext/ja/spruc/)。JASRIとしてもこの動きは大歓迎で、SPRUCの活動に可能な限りのご協力をお約束するとともに、互いの意思疎通をこれまで以上に密にして、真の意味での「利用者本位」の運営がここSPring-8のサイトにおいて実現されるよう、互いに切磋琢磨しながら努力して行きたいと考えています。



Print ISSN 1341-9668
[ - Vol.15 No.4(2010)]
Online ISSN 2187-4794