Volume8 No.2
Published 21-August 2020 / SPring-8 Document D2020-010
SPring-8 Section A: Scientific Research Report
a Kyoto University, b Japan Synchrotron Radiation Research Institute
- Abstract
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In this report, we have investigated the local coordination of strontium and calcium in Sr1-xCaxFeO2 (x = 0, 0.8 and 1) via extended x-ray absorption fine structure at room temperature. We observe the different local coordinations in the infinite layer phases (x = 0, 0.8) and distorted infinite layer structure CaFeO2.
Keywords:Infinite Layer, Square-Planar Coordination, Perovskite
a 日本大学, b東京大学, c (公財)高輝度光科学研究センター
a Nihon University, b The University of Tokyo, c JASRI
- Abstract
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本研究の目的は、X線1分子計測法(DXT)を用いることで生きている細胞内で GPCR (G 蛋白共役型受容体)1分子の回転・偏心運動を捉え、GPCR が3量体 G 蛋白質分子を活性化する過程を明らかにすることである。本研究は、DXT を生きている細胞に適用する世界で初めての試みである。
Keywords: GPCR、生きた細胞内計測、X線1分子追跡法
aUniversity of Warwick, bUniversity of Cardiff
- Abstract
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The aim of this experiment was to investigate the temperature dependence of the spin density of the Invar system Fe65Ni35 via measurements on a single crystal using magnetic Compton scattering. We made measurements of the spin density resolved along the [100] and [110] crystallographic directions. The temperature dependence exhibited a subtle change in the momentum density. Interestingly, the momentum distribution of the spin moment was different for the two crystallographic directions. It would appear that increasing temperature has a complicated effect on the contributions of the electrons from different orbitals, rather than just causing a change in the amount of delocalisation. This change requires further investigation, particularly with further compositions being studied in order to determine whether the change in electronic structure can be correlated with the existence of the Invar effect.
Keywords: Invar effect; spin density; temperature
aAIST, bJAEA, cQST, dToyota Central R&D Labs., Inc., eJMC
- Abstract
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The degradation of reversible hydrogen storage capacity of V-Ti-Cr alloys can be greatly reduced by dissolving a small amount of Nb, yet the exact role of Nb in improving cyclic stability is not known. In this study, we have investigated local structural changes in V0.25Ti0.25Cr0.5H2 and V0.25Ti0.25Cr0.45Nb0.05H2 during hydrogen cycling using the X-ray atomic pair distribution function and the extended X-ray absorption fine structure spectra to understand the effect of Nb. Our study suggests that during hydrogen cycling large Ti atoms are dragged to dislocation cores to reduce strain induced by dislocations. This leaves Ti-poor regions near dislocations for which higher hydrogen gas pressure is required for hydrogen uptake. It is most probable that Nb prevents the segregation of Ti.
Keywords:hydrogen storage materials, metal alloys, EXAFS
奈良女子大学
Nara Women’s University
- Abstract
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本研究では、末端にアルキル鎖を有し、糖のモノマーを重合した単鎖型多糖オリゴマー(C12-mGEMA、m は重合度で 3.0~7.1)の単鎖型両親媒性オリゴマーを保護剤として用いて、金ナノ粒子を調製し、その構造を TEM および SAXS により評価した。金ナノ粒子は、保護剤の濃度や重合度に関係なく粒径 10 nm 以下のサイズで得ることができた。さらに、金属ナノ粒子を用いた p‐ニトロフェノールの還元反応における触媒活性は、金ナノ粒子の粒径に依存し、粒径が小さいほど高い活性を示すことがわかった。
Keywords: 両親媒性オリゴマー、金ナノ粒子、X線小角散乱
aUniversity of Saskatchewan, bUniversity of Ottawa, c Japan Synchrotron Radiation Research Institute (SPring-8/JASRI)
- Abstract
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The low-temperature high-pressure structures of elemental selenium (Se) have been characterized by in-situ x-ray diffraction in a diamond anvil cell. A phase diagram appropriate for the P-T conditions is constructed from the results. Unlike the closely related elemental barium (Ba), no new structure was found by first cooling the sample to 10 K and then compressed to 34 GPa. The results confirmed the structure of the superconducting phase observed at 13 GPa,
Keywords: High-pressure, Low-temperature, X-ray powder diffraction, Phase diagram
(公財)高輝度光科学研究センター
JASRI
- Abstract
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隕石中に含まれるコンドリュールの特徴的な結晶組織を再現し、その物理化学条件から形成環境の制約条件を得るために、加熱/溶融・結晶化過程の4次元観察によるその場観察を行った。Ca を含む輝石の 0.5 mm 程度の液滴で、樹枝状結晶が形成される様子が、2D、3D いずれのその場観察でも観察する事が出来た。結晶成長は試料がホルダと接している部分からだけでなく、試料上面からも結晶化が起こっている様子が確認された。試料上面の結晶成長と試料下部の結晶成長はその形態が異なり、温度条件によって複数の結晶成長形態が共存することがわかった。しかし、実際に隕石に含まれる Ca や Fe を含まない輝石の組成では結晶化が全く起こらなかった。これは非常に小さい試料を観察しているため、結晶化過程において、無容器実験と同じ条件になっていることが示唆される。
Keywords:コンドリュール、その場観察、4D-CT
XAFS Analysis of Oxide Films Depend on Dissolved Hydrogen
国立大学法人 東北大学
Tohoku University
- Abstract
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加圧水型原子力発電プラント(Pressurized Water Reactor: PWR)の高経年化とともに、重要機器に使用されている Ni 基合金の応力腐食割れ(Stress Corrosion Cracking: SCC)が国内外で見られており、その要因の一つとして、一次系冷却水中の溶存水素(Dissolved Hydrogen: DH)の濃度が影響している可能性がある。DH 濃度が異なる高温水中に浸漬すると Ni 基合金表面には異なる性状の酸化物の層(酸化皮膜)が形成される。本実験は、これら酸化皮膜の結晶構造を調査し、DH 濃度と酸化皮膜の相関を考察することを目的とした。測定に供した試験片上の酸化皮膜は 100 nm 未満と薄いものであり、Lytle 検出器を利用した蛍光 XAFS 測定では合金素地の情報に支配されてしまうが、転換電子収量法による XAFS 測定は、酸化皮膜部分の性状の違いを考察することが可能であった。
Keywords:Ni基合金、酸化皮膜、溶存水素
a(一財)電力中央研究所, b(公財)高輝度光科学研究センター
aCRIEPI, bJASRI
- Abstract
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イオンを利用した新規有機発光デバイスである電気化学発光セルの発光メカニズムを明らかにするため、オペランド軟X線光電子顕微鏡により、電圧印加によって発光した状態での電気化学発光セル中の構成イオンの分布の可視化を試みた。この手法が成功すれば、電極間に生成される電気二重層の構造が明らかとなり、電気化学発光セルの高効率化・長寿命化に結び付くものと期待される。
Keywords: 電気化学発光セル、イオンダイナミクス、光電子顕微鏡
a新日本非破壊検査(株), b九州大学, c(公財)高輝度光科学研究センター
a Shin-Nippon Nondestructive Inspection Co., Ltd., b Kyushu University, cJASRI
- Abstract
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高温高圧下で変形している試料の放射光X線分析と AE 計測を目的として、D-DIA 型高圧変形装置に MA6-6 型 AE 測定装置を組み込んだシステムを新たに開発した。それを用いて antigorite 多結晶体と forsterite 多結晶体の変形実験を行った。本システムにより、高温高圧下で変形する試料の反応カイネティクス、応力-歪み曲線、AE 活動のその場同時観察が可能となり、それは反応誘起のせん断不安定化プロセスと深発地震の実験研究に必要不可欠なものである。
Keywords:Acoustic Emission 計測、高圧変形実験、相転移、せん断不安定化、深発地震
a東京大学物性研究所, b東京大学放射光連携研究機構, c東芝燃料電池システム(株), d(独)日本原子力研究開発機構
ISSP, The University of Tokyoa, SRRO, The University of Tokyob, Toshiba Fuel Cell Power System Corporationc, Japan Atomic Energy Agencyd
- Abstract
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固体高分子形燃料電池の正極触媒として高い性能を有するコアシェル型の白金合金ナノ粒子触媒に対し、共鳴非弾性X線散乱を用いて電位サイクルを繰り返した電池セルのその場測定を行い、Pt の電子状態密度分布を取得した。1.2 V までの電位走査を伴う初期化処理によって、Pt-O 結合エネルギーは 2.3 eV から 2.9 eV まで増加した。次に 1.0 V 印加の加速劣化試験を行った後の状態では、Pt は酸化されたものの、Pt-O 結合エネルギーに大きな変化は見られず、初期化操作の結果として得られた触媒構造では、Pt は溶出することが無く安定であることがわかった。
Keywords:固体高分子型燃料電池、コアシェル型白金ナノ粒子触媒、共鳴非弾性X線散乱
a(公財)高輝度光科学研究センター, bESICMM/(国研)物質・材料研究機構
aJASRI, bESICMM/NIMS
- Abstract
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硬X線光電子分光(HAXPES)を用いて、1 T 以上の残留磁化を有する着磁済み Nd-Fe-B 焼結磁石の破断面からの光電子信号の取得に成功した。バルク強磁性体の光電子計測は、残留磁化が発する漏洩磁場により光電子の飛行軌道が偏向を受け計測自体が困難であることから、積極的に行われてこなかった。我々はリング型の純鉄ヨークを用いることにより、磁石試料からの漏洩磁場を大幅に抑制した。本研究で得られた計測技術は HAXPES 計測における対象試料を拡大する。特に、HAXPES スペクトルの磁気円二色性(MCD-HAXPES)を利用した研究の利用拡大に寄与し、スピントロニクス材料の埋もれた界面の磁化状態解析への適用など、幅広い波及効果を生むことが期待される。
Keywords:硬X線光電子分光、バルク強磁性体
a東北大学、b東京大学、c宇宙航空研究開発機構
aTohoku University, bThe University of Tokyo, cJapan Aerospace Exploration Agency
- Abstract
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構造因子 S(q) は物質の基本的な情報の一つである。近年、高輝度放射光を用いて様々な融体の S(q) が求められているが、高温融体に関しては、液体と保持容器の反応の問題が障害となり、測定が行われていない物質が多い。本研究では、静電浮遊溶解装置を用いて Rh 融体(融点 1966℃)のX線散乱測定を行い S(q) を測定した。
Keywords:液体構造、X線回折、ロジウム、静電浮遊法
aUniversity of Copenhagen, bTechnical University of Denmark, cJASRI
- Abstract
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Biomineralization is utilised by animals to form durable yet lightweight structures, e.g. bones, teeth and shells. Here we focus on the microstructure of the exoskeleton of the heart urchin because of its unusual strength. This species shares many features with sea urchins but deviates in appearance because it has adapted to withstand high pressures because it is buried in the sand.
Keywords: Sea urchin, materials properties, biomineralization
a長崎大学, bラトックシステムエンジニアリング株式会社
aNagasaki University, bRatoc System Engineering Co., Ltd.
- Abstract
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大腿骨頭壊死症に対して放射光吸収X線CTを用いて骨微細構造の解析を行った。当院で手術を行った6例を対象とし、手術で摘出した大腿骨頭から標本を抽出した。撮影した画像から関心領域を壊死層、修復反応層、健常層に設置し、骨密度、骨梁体積密度、骨梁幅、骨梁数、骨梁間距離を解析した。各層での比較を行ったところ、修復反応層では骨密度、骨梁体積密度、骨梁幅において壊死層、健常層よりも有意に高値であった。大腿骨頭壊死症では修復反応層で骨梁構造が肥厚していることが明らかとなった。
Keywords:大腿骨頭壊死症、骨微細構造、修復反応層、放射光吸収X線CT
a兵庫県立大学, b(国研)日本原子力研究開発機構, c(公財)高輝度光科学研究センター
aUniversity of Hyogo, bJAEA, cJASRI
- Abstract
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5 f 電子系の重い電子化合物である URu2Si2 は隠れた秩序相を示すが、これと競合すると考えられている反強磁性秩序相の電子構造を調べるために、高分解能コンプトン散乱の二次元再構成実験を行い、2次元電子占有数密度を求めた。隠れた秩序相と反強磁性相の2次元占有数密度を比較すると、構造的特徴が似ており電子構造に大きな違いがないと考えられる。
Keywords:Rh 置換 URu2Si2、コンプトン散乱、2次元電子占有数密度
a Kyoto University, b Japan Synchrotron Radiation Research Institute, SPring-8
- Abstract
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In this report, we present the characterization of CaCoIVO3 perovskite thin films prepared from the oxidation of CaCoIIIO2.5 brownmillerite films using a NaClO solution. The oxidation state and octahedral coordination of cobalt in CaCoO3 is confirmed by comparing with that of SrCoO3 via Co-L2,3 edge soft X-ray absorption spectroscopy.
Keywords: Perovskite, Topochemistry, Cobalt
(公財) 高輝度光科学研究センター
Japan Synchrotron Radiation Institute
- Abstract
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BL43IR では高輝度赤外放射光を光源として利用する赤外近接場分光装置の開発を行っている。空間分解能評価のためのテスト試料として Si 基板上の金薄膜を利用した測定では、波長 10.6 〜11.0 µm の領域で空間分解能200 nmを達成していた[1]。本研究では、装置の光学系改造を行い、スペクトル領域の拡大を達成し、さらに、Si-O、Si-C に由来するピーク構造の観測も可能になったので報告する。
Keywords:赤外放射光、赤外近接場分光
a 東京都市大学, b (公財)高輝度光科学研究センター
a Tokyo City University, b JASRI
- Abstract
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SiO2/SiC に及ぼすプラズマ窒化処理の影響を角度分解X線光電子法により調べた。まず、SiC 表面がプラズマ窒化されるかを調べ、4H-SiC の Si 面および C 面とも窒化されることを確認した。その後、熱酸化により酸化膜を形成した SiO2/SiC をプラズマ処理したところ、表面がわずかに窒化されるものの SiO2/SiC 界面までは窒素が拡散しないことを明らかにした。
Keywords:プラズマ窒化処理、SiC、角度分解光電子分光法
(国研)理化学研究所
RIKEN
- Abstract
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我々はタンパク質の結晶構造解析においてエネルギーバンド幅の異なるX線を利用した回折実験をSACLAで行った。その結果、得られた回折データをうまく処理するためにはエネルギーバンド幅が回折データに与える影響を調査する必要があると考え、BL40XU において凍結タンパク質結晶のデータ収集とその評価を行った。
Keywords: タンパク質結晶構造解析、ピンクビーム、シリアル結晶構造解析
兵庫医療大学薬学部
School of Pharmacy, Hyogo University of Health Sciences
- Abstract
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新たに開発した蛍光 DNA センサーの DNA 検出メカニズムを原子レベルで解明することを目的として、センサー分子- DNA 複合体の単結晶作成およびX線結晶構造解析を試みた。種々の短鎖 DNA を用いて、センサー分子共存下で結晶化を行ったところ、2種の単結晶が得られたため、それらを放射光を利用したX線結晶構造解析に供した。
Keywords:DNA、蛍光 DNA センサー、X線結晶構造解析
a京都大学原子炉実験所, b京都大学工学研究科
a Research Reactor Institute, Kyoto University, b Graduate School of Engineering, Kyoto University
- Abstract
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新しい Na イオン伝導体として Na10GeP2S12 ガラスをメカニカルアロイング法によって合成した。高エネルギーX線回折実験から得られた全相関関数 T(r) には P-S 相関と Ge-S 相関が重なり合った第1ピーク、Na-S 相関に帰属される第2ピークが観測され、pair function 法による配位数解析の結果から、ガラスの短距離構造ユニットとして PS4 四面体と GeS4 四面体が存在し、Na イオンは4配位だけではなく5配位の配位形態も取り得ることが明らかになった。
Keywords: イオン伝導体、高エネルギーX線回折、二体分布関数解析、メカニカルアロイング法
日本原子力研究開発機構 物質科学研究センター
Japan Atomic Energy Agency
- Abstract
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水、有機溶媒に続く第3の溶媒として注目されているイオン液体について、イオン液体/電極界面の構造をX線反射率測定により検討することを試みた。X線反射率プロファイルの測定および反射率強度の電極電位依存性を測定した。しかしながら得られた結果は、今回の実験方法では、界面の構造よりも、入射X線の位置の変化に起因する入射光強度の変化を反映したものであることがわかり、今後測定方法について再検討する必要があることがわかった。
Keywords: イオン液体、電極/電解液界面、X線反射率
aUniversity of Saskatchewan, bUniversity of Ottawa, cCanadian Light Source
- Abstract
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In-situ powder X-ray diffraction patterns of a dense mixture of elemental Li and molecular nitrogen in a diamond anvil cell were recorded using synchrotron radiation. From the changes in the X-ray diffraction features, the formation of molecular complexes was observed at very low pressure. Upon a compression to above 4 GPa in conjunction with annealing by laser heating, an almost uniformly distributed single phase was observed. The X-ray diffraction patterns cannot be explained by any known phases of Li-2 system. The X-ray diffraction pattern, however, bears similarities with that of the theoretically predicted hexagonal LiN3 structure, composed of unusual “N6” rings.
Keywords: High-pressure, high-temperature, nitrogen, lithium, powder X-ray diffraction
aNational Institute for Materials Science, bThe University of Tokyo, cTohoku University, dOsaka University, eJASRI
- Abstract
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We have performed the measurements of the sound velocities of fcc-FeHx and fcc-Fe by using a pulse-echo overlap technique at high pressures and high temperatures at BL04B1. The P-wave velocity (VP) of fcc-FeHx (x~0.4) at approximately 12.0 GPa and 900 K was same as that of fcc-Fe, indicating no hydrogen effect on VP of fcc-Fe under that pressure-, temperature-, and hydrogen-conditions.
Keywords:sound velocity, iron hydride, high pressure, ultrasonic method
a京都大学, b東京大学, c(公財)高輝度光科学研究センター
aKyoto University, bThe University of Tokyo, cJASRI
- Abstract
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カンラン岩に含まれる 1 µm 大の白金族元素含有硫化物粒子を、マイクロビームX線回折によって鉱物学的に同定することを試みた。X線 CT による三次元撮像で対象粒子の位置を把握しつつ、硫化物粒子にマイクロビームの焦点をあててX線回折パターンを取得した。しかし、得られた回折ピークは、ホストである単斜輝石に由来するもののみであった。実験後、分析箇所を集束イオンビーム装置で切り出し透過型電子顕微鏡で観察したところ、対象粒子が 100 nm 以下の複数種の硫化鉱物の離溶ラメラで構成されていることが判明した。このことが、対象粒子からの回折線を検出できなかった原因であると考えられる。
Keywords:マイクロXRD、マントル、カンラン岩、白金族元素
a東京大学, b京都工芸繊維大学, c(公財)高輝度光科学研究センター
aThe University of Tokyo, bKyoto Institute of Technology, cJapan Synchrotron Radiation Research Institute (JASRI)
- Abstract
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配位ナノシートの一つであるビス(ジイミノ)ニッケル錯体ナノシートの Ni K 吸収端について XAFS 測定を行い、金属錯体部位の局所構造の解明を行った。得られた動径構造関数プロットをフィッティングすることで中心金属の Ni と近接する原子(N および C)との距離を算出し、目的の金属錯体構造が形成されていることを明らかにした。
Keywords:配位ナノシート、金属錯体、XAFS
a東京工業大学 科学技術創成研究院 化学生命科学研究所, b(公財)高輝度光科学研究センター
a Laboratory for Chemistry and Life Science, Institute of Innovative Research, Tokyo Institute of Technology, bJASRI
- Abstract
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ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)のためのホウ素薬剤候補分子であるホウ素化コレステロールの細胞内局在を BL37XU での蛍光X線イメージング(XRF)により明らかにすることを目的とした。Prolene film (厚さ 4 µm)上に HeLa 細胞を接着させ、ヨウ素を標識したホウ素化コレステロールを処理後、固定化することで、測定サンプルを調整した。ヨウ素の細胞内局在を XRF により観測したところ、測定中に細胞固定化フィルムの破断が生じ、ヨウ素の細胞内局在の解明には至らなかった。
Keywords:ヨウ素、ホウ素クラスター、細胞内局在
兵庫県立大学 大学院生命理学研究科
Graduate School of Life Science, University of Hyogo
- Abstract
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[NiFe]ヒドロゲナーゼの酸素耐性獲得には[4Fe-3S]-6Cys型近位鉄硫黄クラスターが重要だと考えられているが、[4Fe-4S]-4Cys型鉄硫黄クラスターを持つ Citrobacter sp.S-77(S-77) 由来膜結合ヒドロゲナーゼは酸素存在下でも触媒活性を示した。本課題では、構造生物学的観点からヒドロゲナーゼの酸素耐性機構獲得のための普遍則を明らかにすることを目指した。
Keywords:[NiFe] ヒドロゲナーゼ,鉄硫黄クラスター,酸素耐性
a大阪府立大学大学院,b(公財)高輝度光科学研究センター,c(公財)特殊無機材料研究所
aOsaka Prefecture University, bJASRI, cAdvanced Institute of Materials Science
- Abstract
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1000-1200℃、空気流通環境下で、各種の SiC 系繊維の耐クリープテストを行い、酸化雰囲気下であっても、結晶性の高い繊維はアモルファスに近い繊維よりも耐クリープ性に優れることが示された。赤外透過光による繊維セラミックス化の検討を行ったところ、セラミックス化に伴う屈折率の増加、また余剰炭素の増減による透過率の変化が取得スペクトルの形態に大きな影響を及ぼすことが確認された。
Keywords:セラミックス繊維、焼成、焼結、顕微赤外分光、高輝度光
a大阪大学, bメリーランド大学, c名古屋大学, d愛媛大学
aOsaka University, bUniversity of Maryland, Baltimore County, cNagoya University, dEhime University
- Abstract
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ほとんど全ての銀河の中心に巨大ブラックホールが存在するが、その成長過程はよくわかっていない。その成長過程を観測的に解明するには、高角度分解能の硬X線観測が重要であり、そのために我々は 15 秒角より優れた高角度分解能で大面積の硬X線望遠鏡の実現を目指している。現在、シリコン結晶薄板を用いたX線反射鏡の開発に取り組んでおり、初めて製作された2回反射型1ペアモジュールの性能を、15 keV と 30 keV のX線を用いて BL20B2 で評価したところ、モジュールのほぼ全面において、目標の 15 秒角より優れた角度分解能が達成されていることがわかった。
Keywords: X線天文学、X線望遠鏡
a(公財)元興寺文化財研究所, b(公財)高輝度光科学研究センター, c高知大学, d広島大学
aGangoji Institute for Research of Cultural Property, bJASRI, cKochi University, dHiroshima University
- Abstract
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琥珀の主成分は高分子有機化合物であり、これまでの出土琥珀の産地推定は主成分である有機物の分析により実施されてきた。しかし、有機物の化学変化による劣化などの影響により産地推定が困難な場合が多いことが分かってきた。そのため、琥珀に含まれる微量の無機元素に着目し分析することで産地推定を試みた。元素分析は放射光蛍光X線分析により実施した。その結果、標準試料と出土資料のいずれにも土壌に由来すると見られる微量の無機元素が検出された。
さらに標準琥珀について、産地ごとの検出元素の傾向を調べた。その結果、検出元素に幾分ばらつきはあるものの一定の傾向がみられることがわかった。
Keywords: 出土琥珀、放射光蛍光X線分析、産地推定、微量元素
福井県立恐竜博物館・福井県立大学恐竜学研究所
Fukui Prefectural Dinosaur Museum; Institute of Dinosaur Research, Fukui Prefectural University
- Abstract
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泥質岩中に交連した状態で保存され、剖出作業が困難な日本産中生代哺乳類化石の解剖学的特徴の解明のため、屈折コントラスト法によるX線CT撮影の実験を行った。得られたエッジ強調コントラスト画像では、通常のX線吸収コントラスト画像では判別し難い骨の接合部や形状の判断、歯冠の微細な構造の明確化、さらに母岩の凝結物と目的の骨化石との区別が容易となる。本標本においては、X線吸収コントラスト画像にこの手法による観察を加えることで、より有意な解剖学的特徴の情報が得られることが確認できた。
Keywords:屈折コントラスト法、位相差、脊椎動物化石、CT
兵庫県立大学 大学院生命理学研究科
Graduate School of Life Science, University of Hyogo
- Abstract
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[NiFe]ヒドロゲナーゼは一般的に酸素によって失活するが、近年、酸素に対して耐性を持つものが見つかってきている。これまで[NiFe]ヒドロゲナーゼの酸素に対する反応性の違いは、鉄硫黄クラスターの構造変化の違いにのみ注目して説明されることがほとんどであったが、Desulfovibrio vulgaris Miyazaki F 株(DvMF)由来の標準型[NiFe]ヒドロゲナーゼに関して、酵素が酸素に曝された際に、活性部位を構成する Ni 原子の占有率が低下することが報告された。本研究では、酸素と反応した際の[NiFe]ヒドロゲナーゼの活性部位での構造変化についてさらに詳しく調べることを目指した。
Keywords: [NiFe] ヒドロゲナーゼ,Ni-Fe 活性部位
大阪大学大学院理学研究科
Graduate School of Science, Osaka University
- Abstract
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窒素は地球上の生命にとって必須元素であり、その自然界での循環を分子レベルで理解することは意義深い。最近の全ゲノム解析により、従来の脱窒過程だけでなく嫌気的アンモニア酸化過程においても新たな銅含有亜硝酸酸還元酵素が見つかった。本実験では、その構造遺伝子に着目し、そのタンパク質について結晶化と予備的X線回折実験を行った。
Keywords: 金属酵素、銅蛋白質
京都産業大学
Kyoto Sangyo University
- Abstract
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真核生物においてタンパク質の誤配送は細胞毒性を引き起こすため、細胞内には誤局在したタンパク質を速やかに除去する機構がある。ミトコンドリア外膜に局在する AAA-ATPase Msp1 は、ミトコンドリア外膜に誤って挿入したテイルアンカー型タンパク質を膜から引き抜く機能を持つ。本研究は、Msp1 のX線結晶構造解析を行い、この基質を膜から引きずり出す仕組みを構造生物学的に解明することを目的とした。これまでに、Msp1 の AAA-ATPase ドメインの結晶を得ることに成功し、3.0 Å 分解能の native データおよび 3.5 Å 分解能の Se-SAD データを取得した。
Keywords: ミトコンドリア、AAA-ATPase、Msp1
a香川高等専門学校,b東洋炭素株式会社,c(公財)高輝度光科学研究センター
aNational Institute of Technology, Kagawa College, bToyo Tanso Co., Ltd., cJASRI/SPring-8
- Abstract
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O/Nb 比が 2.5, 2.6 および 2.7 を持つ非晶質酸化ニオブ薄膜 (a-NbOx) を用いた光電気化学特性を評価した結果、O/Nb 比が大きい程高い性能を示した。各 a-NbOx の構造モデルを得るために、高エネルギーX線回折 (HEXRD) 測定によって得られる構造因子や、広域X線吸収微細構造 (EXAFS) 振動、Bond valence sum (BVS) を拘束条件とした逆モンテカルロ法 (RMC) シミュレーションを試みた。RMC モデルより、NbOn 多面体のネットワークは O/Nb 比が増加する程、頂点共有から稜共有や面共有へ移行する傾向が確認され、面共有を多く持つ薄膜ほど、光電気化学特性の性能が高いことが示唆された。
Keywords: Photoelectrochemistry, Structural analysis, Amorphous film, Niobium oxide, Synchrotron radiation, High-energy X-ray diffraction, X-ray absorption fine structure, Reverse Monte Carlo simulation, Bond valence sum
a鹿児島大学, b防衛大学校
aKagoshima University, bNational Defense Academy
- Abstract
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本研究では、アモルファス窒化炭素薄膜でみられる光誘起変形現象の起源の解明を目的とし、BL43IR を用いて可視光照射時の化学結合状態を調べた。その結果、化学結合状態を反映する赤外スペクトルの形状が、試料表面の測定箇所により、可視光照射中と未照射時で異なることが明らかとなった。また、測定温度によっても変化することがわかった。
Keywords:アモルファス、窒化炭素、化学結合状態、光誘起変形、赤外分光
a(株)トーキン, b(公財)高輝度光科学研究センター
aTokin Corporation, bJASRI
- Abstract
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本研究の目的は、当社の高周波用 MnZn フェライト(B40)の磁区構造を観察することにより、従来品と比較して高周波で優れた低損失特性を示す起源を解明し、さらなる高特性材料開発の指針構築とすることにある。
分光型低エネルギー電子・光電子顕微鏡装置(SPELEEM、BL17SU)[1] を用い、磁区観察を行った。その結果、B40 材は結晶粒径が約 3 μm、磁区サイズも約 3 μm と小さいことがわかった。磁区サイズが小さいことより、磁壁密度は増える。磁壁密度が増えると磁壁は単位磁場当たりの移動距離が短かくなる。それにより、残留損失の一部と思われる、磁壁内で発生する異常渦電流損失の低減が図れ、また、結晶粒径が小さいことより、渦電流損失の低減が図れたものと推察される。
Keywords:磁区構造、損失、高周波、X線・軟X線吸収分光
SPring-8 Section B: Industrial Application Report
(国研) 物質・材料研究機構
National Institute for Material Science
- Abstract
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リチウム(Li)金属負極の電析時の樹上成長の抑制を主目的とし、シリコン(Si)を代表とした Zintl 元素を微量に Li 金属に添加することができないか検討してきた。本報告では、過剰な Li と少量の Si の単純な接合を可能な限り清浄な環境で形成した場合に、室温で起こる界面反応について報告する。Li/Si 接合では、室温で合金化(ここでは化合物化)が急速に進み、膜厚 100 nm の Si すべてが Li:Si(モル比)が約 4:1 の最も Li リッチな化合物相に変換され、余剰 Li は金属 Li としてその表面に堆積する現象が確認された。界面における相互拡散をより詳細に調べるためには冷却可能で、かつ Li や Si の蒸着源を備えた硬X線光電子分光(HAXPES)は有用であると考えられる。
Keywords: リチウム金属負極、Zintl元素、シリコン、硬X線光電子分光
リンテック株式会社
LINTEC Corporation
- Abstract
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アクリル共重合体/エポキシ混合系材料はエポキシ成分の熱硬化による反応誘起型の相分離構造を形成し、アクリル成分のモノマー組成を変えることにより、これが大きく変化する。高輝度放射光を利用して小角X線散乱(SAXS)測定を行い、相分離状態の観察を試み、走査型プローブ顕微鏡(SPM)観察像の画像解析結果と併せて考察した。SAXS 測定結果より一次元相関関数を算出し、相間厚みを求めたところ、SPM より観測される構造を再現する情報を得るに至らなかった。これは分離した相間での電子密度差が小さく、X 線の散乱強度が小さいためと考えられ、特にサブミクロンオーダーの長周期の構造情報が得られなかったものと考えられる。つまりスピノーダル分解による相分離構造が、成分濃度の差の小さい2相により形成されていることが示唆される。
Keywords:相分離、スピノーダル分解、相関長、1次元相関関数、SPM、粒径分布解析
aグローバルウェーハズ・ジャパン(株), b兵庫県立大学
aGlobalWafers Japan Co., Ltd., bUniversity of Hyogo
- Abstract
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半導体基板である Czochralski Silicon(CZ-Si)ウェーハにおいて金属不純物のゲッタリング効果が知られる酸素析出物の制御が重要である。一般的な析出形成手法の anneal treatment(AT)は表層の格子間酸素が外方拡散し格子歪みが生じる。熱酸化する rapid thermal oxidation(RTO)は格子間酸素の濃度勾配の抑制に期待されている。そこで、高平行度X線回折によりウェーハ表層の結晶性評価を実施した。サンプルのドリフト現象により格子定数の決定精度が得られなかった。
Keywords: 高平行度X線回折、シリコンウェーハ、格子間酸素
a住友ゴム工業株式会社, b(公財)高輝度光科学研究センター
aSumitomo Rubber Industries, Ltd., bJASRI/SPring-8
- Abstract
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ソフトマテリアル中の硫黄構造解析のために S K-edge XAFS 法、特に EXAFS に着目し測定技術開発を行ってきた。その結果 S K-edge でも EXAFS 振動の測定ができるようになったが、解析を行うには S/N が十分ではなかった。そこで、試料冷却時の温度変化の安定化および測定方法について種々検討を行ったところ、EXAFS 測定の精度を向上させることができた。
Keywords: XAFS, ポリマー、架橋
a大阪電気通信大学, b 三菱商事ライフサイエンス株式会社
aOsaka Electro-Communication University, bMitsubishi Corporation Life Sciences Limited
- Abstract
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多糖類カードランはグルコースが β-1,3 結合によってつながった直鎖構造をとっており、3重らせん構造をとっていると考えられている。カードランは水に不溶であるが、その懸濁液を加熱することにより熱ゲル化挙動を起こす。食品のゲル化剤として応用されている。この系に対してグルコースを添加するとゲル強度が減少した。ナノ構造を小角X線散乱法により調べた。ナノスケールでの凝集構造および規則的な構造由来の散乱が検出され、グルコースの添加の影響について考察できた。
Keywords: カードラン、小角X線散乱、ゲル、ゲル化
(株)住化分析センター 技術開発センター
Sumika Chemical Analysis Service, Ltd. Technology Innovation Center
- Abstract
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代表的な有機薄膜太陽電池材料である P3HT ∙ PCBM バルクヘテロ接合薄膜を作製し、その構造を調べるため、放射光による高輝度のX線回折測定を利用して、混合薄膜の回折情報を得た。その結果、製膜後の加熱処理によって P3HT の結晶化が進行することが示唆され、一部の混合薄膜では d ≈ 20 nm 程度の凝集体が存在していることも示唆された。ただし、この凝集体は熱処理前後でその凝集傾向に差は確認できなかった。
Keywords: バルクヘテロ接合薄膜、斜入射X線回折法
三菱ケミカル(株)
Mitsubishi Chemical Corporation
- Abstract
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アイソタクティックポリプロピレンの昇温過程(50 °C~200 °C)における WAXS/SAXS 同時測定を行い、結晶の融解過程における詳細な解析を実施した。その結果、ラメラ間周期長の逆数プロットから 142 °C 付近が結晶融解の開始点となっていることを示した。
また、ラメラ晶の融解が進むにつれて、融点よりも低い温度領域からラメラの融解に起因した Guinier 関数で記述されるドメイン構造が発達してくることを示した。そして、このドメイン構造は、結晶融解に関わる DSC の吸熱反応が検出できないレベルの温度(172.5 °C)を超える 180 °C においても、なおも未融解の微結晶や強固な 31 螺旋の凝集体を中心にしたと思われる長周期を有する秩序的ドメイン構造の多くが残存していること、さらに高温域の 190 °C においても、このドメイン構造は明確に存在するが、長周期的相関の無い秩序を失ったドメイン構造へと変化することを明らかにした。
Keywords:アイソタクティックポリプロピレン、メモリー効果、α晶、放射光X線散乱、SAXS、メソフェイズ、ドメイン構造
三菱ケミカル(株)
Mitsubishi Chemical Corporation
- Abstract
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200 °C から 300 °C におけるアイソタクティックポリプロピレンの高温溶融状態について、SPring-8 放射光を用いた SAXS 測定を行い、Ornstein-Zernike Plot による凝集構造に関する解析を試みた。その結果、相関距離(ξ)にして 0.5–0.8 nm 程度の構造が観測され、260 °C を超えた付近から、そのサイズの減少傾向が確認された。通常温度上昇に伴い、熱的密度揺らぎにおける ξ は増大することが予想されるが、260 °C 以上での温度上昇に伴う ξ は、むしろ減少傾向が観測され、実際には逆の結果が得られた。故に、この温度領域に残存する構造を熱的密度揺らぎから説明することは困難であり、何らかの微視的凝集構造が高温溶融状態で残存していることが示された。
いまだ断定はできないが、上記微視的凝集構造が結晶化過程に重大な影響を及ぼす構造体(オリジン)の可能性が示唆され、この構造は結晶融解過程からの履歴を背負い、高温領域まで、その形態や大きさを変えながら引き継がれたものと思われる。
Keywords: アイソタクティックポリプロピレン、メモリー効果、α晶、放射光X線散乱、 SAXS、オリジン、メソフェイズ、ドメイン構造
(株)ミルボン
Milbon Co., Ltd.
- Abstract
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本研究では、BL27SU に構築されている軟X線走査型顕微分光測定系を用いて、黒髪に対するジスルフィド結合やその酸化構造(システイン酸)の測定プロトコルを確立し、マッピング測定によって毛髪内分布を評価することを目指した。その結果、毛髪内におけるジスルフィド結合およびシステイン酸分布を可視化することができた。また、ブリーチ処理に用いられる過酸化水素によって、ジスルフィド結合が酸化されてシステイン酸に変換されるという、よく知られた知見が本実験結果からも再現され、軟X線マッピングによる毛髪内硫黄分布の測定が可能であることが示された。
Keywords:毛髪、ブリーチ処理、ジスルフィド結合、システイン酸、軟X線走査型顕微分光マッピング法
aパナソニック株式会社先端研究本部, b名古屋大学
aPanasonic Corporation, bNagoya University
- Abstract
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ペロブスカイト型結晶構造を有する Ba(Zr,Y)O3-δ (以後、BZY)は、500~700°C の温度領域において 10-3 S・cm 程度のプロトン(H+)伝導性を示すことが知られている[1]。我々は結晶粒界が存在しない BZY エピタキシャル薄膜を作製し、水素雰囲気中で熱処理を施すことで、高いプロトン伝導特性を見出した (0.1 S/cm@600°C, 0.01 S/cm@20 °C, Ea = 0.01 eV)。本特性は、従来の酸素サイト間をプロトンがホッピングする伝導機構では説明出来ない。またバルクの BaZrO3 単結晶も同処理によって高伝導状態になることが確認できた。本研究では Ba-Zr-Y-O 薄膜および BaZrO3 単結晶について伝導特性の異なる試料間での結晶構造の差異を明らかにすることで、新しいプロトン伝導特性と結晶構造の因果関係を明らかにすることを目的とした。
Keywords:プロトン伝導体、ペロブスカイト、BaZr1-xYxO3-δ、X線回折、単結晶構造解析
(株)ミルボン
Milbon Co., Ltd.
- Abstract
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走査型軟X線顕微測定によって、加齢に伴う硫黄元素の毛髪内分布や化学状態変化の評価を試みた。20代と50代の女性毛髪を比較したところ、20代毛髪に比べて50代毛髪ではジスルフィド結合分布の偏りが見出されたことから、加齢に伴って毛髪内におけるジスルフィド結合分布の不均質化が進行することが示唆された。毛髪内構造の不均質性は若年層でもくせ毛において知られているが、加齢に伴うジスルフィド結合分布の不均質化の程度はくせ毛と同等もしくはそれ以上である可能性が示唆された
Keywords:毛髪、ジスルフィド結合、軟X線、マッピング
住友電気工業(株)
Sumitomo Electric Industries, Ltd.
- Abstract
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タングステンめっき用の溶融塩浴の1つである Na2WO4-WO3 系に対し、高温におけるタングステンの状態を、X線吸収分光法(XAFS)で分析した。測定はタングステンの K 端を用いた透過法を用いて実施し、高温での測定を実現するために赤外線イメージ加熱炉を用いた実験システムを構築した。Na2WO4:WO3=3:1 の組成での 800°C(液体)と冷却後(固体)を比較した結果、XANES 領域及び EXAFS 領域のいずれも変化が小さいことが明らかになった。実使用環境である 900°C に対して低いために違いが見えない可能性も存在するため、今後さらなる高温化に向け改善を行う。
Keywords:溶融塩、タングステン、XAFS
住友電気工業(株)
Sumitomo Electric Industries, Ltd.
- Abstract
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タングステンめっき用の Na2WO4-WO3 系溶融塩浴に関し、めっきプロセス温度である 800°C~900°C での融体構造の理解のため、X線広角散乱測定を試行した。試料は嵩密度向上のための予備溶解の後、石英キャピラリに入れ、雰囲気制御した電気炉で加熱しながら、61.4 keV の高エネルギーX線を利用して測定した。試料のX線透過率変化から、相変化及び融解点を決定するのに成功した。一方で、散乱スペクトルの測定では、試料の昇華由来で散乱スペクトルに不連続が生じ、構造因子 S(Q) の算出が困難という課題が明らかになった。
Keywords: 溶融塩、タングステン、X線散乱
(株) 豊田中央研究所
Toyota Central R&D Labs., Inc.
- Abstract
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固体高分子形燃料電池は、空気極の触媒に用いられる Pt の資源的な制約に加え、Pt 上での酸素還元反応が遅いため発電効率が低い課題がある。これらのPt触媒に関わる課題を回避できる空気極 Pt フリーの燃料電池としてレドックスフロー燃料電池が提案されている。この燃料電池に用いられるポリオキソメタレートについてその発電中の挙動をX線吸収分光と核磁気共鳴分光とで解析し、その結果から本材料の課題について考察した。
Keywords: 固体高分子形燃料電池,ポリオキソメタレート,X線吸収分光,NMR
a (株)日清製粉グループ本社, b(公財)高輝度光科学研究センター
a Nisshin Seifun Group Inc., bJASRI
- Abstract
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一定期間保管し老化した品種の異なる生米を用いた米飯および配合の異なる冷凍パスタについて、老化による澱粉の再結晶化挙動を SPring-8 のX線回折法により非破壊で評価し、同じ試料の物性測定をテンシプレッサーで行った。それにより、老化による米飯及び冷凍パスタの物性変化と澱粉の再結晶化挙動との相関を検討した。その結果、米飯では品種間で物性の変化の度合いに違いが見られ、この変化が大きいほど澱粉の再結晶化に起因する回折ピークが顕著に現れた。一方、冷凍パスタではいずれの試料でも2ヶ月保管後も大きな物性の変化は認められず、澱粉の再結晶化に起因する回折ピークも顕著には認められなかった。
Keywords: X線回折、ピーク、米飯、冷凍パスタ、再結晶化、老化、非破壊、物性
株式会社村田製作所
Murata Manufacturing Co., Ltd.
- Abstract
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(K,Na)NbO3[KNN] 系無鉛圧電セラミックスは還元焼成すると低抵抗化や部品寿命低下が起こるが、実験的に Mn を添加することでその不具合を改善することができる。そこでセラミックス中での Mn の化学状態が重要と考え、マイクロビーム XAFS による評価を試みた。その結果、Mn は平均価数が 2.6 価で Nb サイトに固溶していることが示唆された。今後、検討を進めることで抵抗や部品寿命との関連を明確化できれば、特性向上のための設計指針が得られるものと期待される。
Keywords: (K,Na)NbO3、無鉛圧電セラミックス、X線吸収分光、マイクロビーム、Mn 価数
エヌ・イー ケムキャット(株)
N. E. Chemcat Corporation
- Abstract
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銅ゼオライトは、ディーゼルエンジン排ガス中の窒素酸化物浄化に適した触媒材料であるが、使用環境が過酷であり、既存材料の水熱耐久性が充分ではないことから一層の性能向上が求められている。細孔径が比較的大きいゼオライトの水熱耐久性向上にリン酸処理は有効であるが、チャバサイトのように細孔径の小さいゼオライトではその効果は期待できないとされてきた。今回、シリカアルミナ比が約15の銅チャバサイトにリン酸処理することで、水熱耐久後の浄化性能が向上した材料を得ることができた。構造解析の結果、リン酸処理の効果は、P と Cu の直接の協奏効果で活性点構造が変化して性能向上しているのではなく、水熱耐久時に P と Al によって SAPO 類似構造が生成して O 原子平面4配位 Cu2+ 種のチャバサイト骨格からの離脱を抑制しているためと推定された。
Keywords:選択触媒還元、窒素酸化物、銅、チャバサイト、XANES、EXAFS、リン酸
JXTGエネルギー株式会社
JXTG Nippon Oil & Energy Corporation
- Abstract
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自動車用潤滑油の省燃費性等の特性は、潤滑油添加剤が金属表面に作用して形成される反応膜の組成、構造に大きく依存する。そこで本研究では、アルキル鎖の異なる摩耗防止剤 ZnDTP (Zinc Dialkyldithiophosphate)のみ基油に添加した潤滑油を使用して時間を変えて摩擦試験を行い、金属試験片表面に反応膜を形成させ、HAXPES により反応膜成分の化学結合状態の推定を試みた。その結果、ZnDTP のアルキル基の長さが異なると主に反応膜を構成しているポリリン酸の分子鎖長の長さが、反応膜の表層部および内部のどちらにおいても異なると推定された。また、摩擦試験時間と反応膜の表層部、内部におけるポリリン酸の分子鎖長との関係は ZnDTP のアルキル基の長さにより異なると推定された。
Keywords:反応膜、ZnDTP、HAXPES
a三菱電機(株), bメルコセミコンダクタエンジニアリング(株)
aMitsubishi Electric Co., Ltd., bMelco Semiconductor Engineering Co., Ltd.
- Abstract
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光デバイス表面の反射率、透過率等の光学特性制御のために用いる光学薄膜は、積層膜であることが多いが、膜のバルク層や界面層が設計と異なる状態となっている場合、その層で意図せぬ光散乱や光吸収が生じるため、設計した光学特性が得られない悪影響が生じる。今回、設計と異なる光学特性を示した積層膜に対し、硬X線光電子分光(HAXPES)を用いた化学結合状態分析を行った結果、界面層が設計と異なる状態となっていることが明らかとなった。
Keywords:光学薄膜、界面層、硬X線光電子分光S
a東北大学多元物質科学研究所, b(株)村田製作所, c(公財)高輝度光科学研究センター
aIMRAM, Tohoku University, bMurata Manufacturing Co., Ltd., cJASRI
- Abstract
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積層セラミックキャパシタ(MLCC)の実材料について、サブマイクロX線回折を用いて電極/誘電体界面と誘電体素子部分の構造を調べた。前回の実験時(2018A1545)よりも試料位置での集光を最適化し、更に高散乱角領域での測定を行うことにより、試料位置でのビームサイズを、前回課題実験時と比較して、縦方向で 1/4、横方向で 1/10 以下の、375 x 387 nm2 の微小領域での粉末回折パターンのマッピングに成功した。その結果、界面近傍で、格子定数の減少及び、BaTiO3 正方晶ドメイン分布の広がりをを発見した。見出された変化は Ni 電極からの応力を受けて、誘電体素子が歪んでいることを示す結果である。
Keywords:積層セラミックキャパシタ,マイクロ領域X線回折
住友電気工業(株)
Sumitomo Electric Industries, Ltd.
- Abstract
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銅及び銅合金は電気特性と強度特性のバランスに優れ、電線用導体や端子材として最適な材料である。その更なる高強度化のためには、加工変形における原子レベルの構造変化の理解が不可欠となる。その分析手段としては、近年提唱されている引張その場X線回折(以下、XRD)が有望であるが、実用的な厚みの銅材を測定するには高い透過能を有する高エネルギーX線が必要であり、従来型の Si 素子の二次元検出器では感度不足であった。そこで本研究では高エネルギーでも十分な感度を有する CdTe 素子の二次元検出器を用いて 300 µm 厚の銅板の引張その場測定を試行し、比較的短い露光時間でも銅結晶の配向や歪の変化を観測できることを確認した。一方、今回の測定条件では粗大粒の影響を排除できておらず、定量解析には試料揺動などの対策が必要なことも明らかになった。
Keywords: 銅、引張その場 XRD、CdTe
(株)東芝
Toshiba Corporation
- Abstract
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HAXPES 定量解析において問題となる、光電子強度が大きいほど実際よりも大きな光電子強度が観測される「数え増し現象」の原因を探るため、電子分光器のリニアリティを詳細に評価した。強い光電子ピークが得られる SiO2 と GaN を試料としてX線強度依存を測定し、電子分光器の2次元検出器におけるハレーションが数え増しの一因である可能性を示した。さらに、2次元検出器の設定電圧の最適化によるリニアリティ改善を検討した。
Keywords: 硬X線光電子分光法、HAXPES、定量分析、リニアリティ、数え増し
a三洋エナジー南淡(株), bパナソニック(株)
a Sanyo Energy Nandan Co., Ltd., b Panasonic Co., Ltd.
- Abstract
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リチウムイオン二次電池の充電時の熱安定性は、正極に起因するところが大きい。そのため、高温環境下における正極活物質の変化を正確に捉えることは、リチウムイオン二次電池の安全性向上を図る上で非常に重要な技術である。高温環境下での正極活物質は複数の結晶構造をもち、また結晶構造内を異なる元素が同じサイトを占有しているため、構造選択的かつ元素選択的な評価が求められている。今回 X-ray Absorption Fine Structure(XAFS) 測定を行い Cauchy-Wavelet 変換を用いて隣接元素種を迅速に推定できることを確認し、Diffraction Anomalous Fine Structure(DAFS) 測定の検討を行い、構造選択的に各元素の化学状態を推定できる可能性を確認した。今回の結果から、同じサイトを Ni、Co、Mn で共有している正極活物質において、高温環境下での結晶構造変化に伴う遷移金属元素の還元は、主に Ni の層状岩塩型からスピネル型への構造変化により担われているという結論が得られた。
Keywords:リチウムイオン電池、XAFS、DAFS、Cauchy-Wavelet変換
SPring-8 Section C: Technical Report
aJASRI, bNara Women’s University
- Abstract
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In the grazing incidence X-ray scattering system, it is necessary to align the in-plane rotation axis of the sample stage and the normal of the substrate. Since the thin film structure such as polymers is formed on the substrate, it is necessary to complete the alignment while keeping low X-ray dose. We examined an alignment method using the arrival time mode of the timepix.
Keywords: grazing incidence X-ray scattering, alignment, timepix
(公財) 高輝度光科学研究センター
Japan Synchrotron Radiation Research Institute
- Abstract
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硬X線光電子分光(HAXPES)計測による局所電子状態解析を、より効率化するための高速ポジショニングシステムを開発した。具体的には、本システムは光電子アナライザーの印加電圧を固定した状態で特定の光電子強度を計測しステップスキャンすることで、高速元素/形状マッピングを実現するものである。永久磁石など不均一性の大きい試料に対して硬X線マイクロビームを用いた HAXPES 計測を行う際に、特定の内殻ピークを用いて高速に目標測定位置を探索できるシステムの開発が望まれていた。本研究で開発された二次元スキャンシステムは、従来のものに比べ約 1/40 の時間でスキャンできるため、ビームタイムの有効活用に繋がる。本システムは元素戦略プロジェクトで研究されている Nd-Fe-B 永久磁石だけでなく、物質中のドーパントの局所化学結合状態分析など、集光ビームを用いた光電子分光実験に対し広く役立つものである。
Keywords: 硬X線光電子分光、複合材料
(公財)高輝度光科学研究センター
JASRI
- Abstract
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可視域の磁気カー効果では、磁性体試料の表面での光反射にともなう偏光状態の変化を検出している。X線磁気円二色性 (XMCD) 測定では、透過法と蛍光法での測定が主であり、反射光を用いた測定はこれまでにほとんど行われていない。反射光を利用した XMCD 測定は、スピントロニクス材料等の薄膜試料の元素選択的な磁性評価に役立つと期待される。本研究では、硬X線領域での斜入射・全反射配置の XMCD 法を開発した。Pt/Co 二層膜に対して全反射 XMCD 法を適用し、厚さ 1 nm の Pt 薄膜に対して良好な統計精度の XMCD スペクトル、および元素選択的磁化曲線を得ることができた。
Keywords:X線磁気円二色性、XMCD、磁性薄膜、スピントロニクス
(公財)高輝度光科学研究センター
JASRI
- Abstract
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BL39XU ナノ分光ステーションでの 100 nm 集光ビーム利用に関して、試料位置の連続走査とそれに同期したデータ収集を行う On the Fly 法の開発と導入を行った。ダイヤモンド移相子による偏光スイッチングを測定シーケンスに組み込むことで、On the Fly 走査型の XMCD イメージングが可能となった。従来のステップスキャンによる方法と比べ、得られた XAFS 像および XMCD 磁区像の統計精度は同程度であり、一方で測定時間は XAFS 像では数十分の1、XMCD 像では数分の1に短縮された。
Keywords:X線ナノビーム、走査型イメージング、顕微XAFS、顕微XMCD、蛍光X線イメージング
Section SACLA
a大阪大学蛋白質研究所, b広島大学大学院医系科学研究科
aInstitute for Protein Research, Osaka University, bGraduate School of Biomedical and Health Sciences, Hiroshima University
- Abstract
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X線自由電子レーザーを用いた単粒子構造解析の手法開発を目指した研究に取り組んだ。直径約 160~200 nm のウイルスを用い、単粒子構造解析のための試料調製法の最適化を実施した。試料調製法の評価のために SACLA BL3A において、XFEL 回折実験を実施した。
Keywords:X線自由電子レーザー、単粒子構造解析、ウイルス
a Bar Ilan University, bRIKEN SPring-8 Center, cSLAC National Accelerator Laboratory, dStanford University
- Abstract
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The purpose of this beamtime was to observe difference-frequency generation of optical radiation from two-color x-ray pulses and to explore the possibility to use it as a method for the study of light matter interactions at atomic scale resolution. The experiment followed a detailed theoretical analysis of the effect [1]. We did not measure difference frequency generation during that beamtime due to technical challenges.
Keywords:Nonlinear Optics, Nonlinear Spectroscopy, Ultrafast effects, X-ray Optics
a(国研)理化学研究所, bキール大学, c Università degli Roma Tre, d佐賀大学, e兵庫県立大学
aRIKEN SPring-8 Center, b Univ. of Kiel, c Univ. degli Studi Roma Tre, d Saga Univ., e Univ. of Hyogo
- Abstract
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軟X線領域の自由電子レーザー光を用いた時間分解光電子分光実験を行ない、GaAs 標的の As 3d 光電子スペクトルの観察を通じて、超短パルス・超高輝度光に由来する空間電荷効果の観察を行った。プローブ光強度依存性、ポンプ光強度依存性、ポンプ・プローブ間遅延時間依存性の観察の結果、空間電荷効果による As 3d 光電子ピークのエネルギーのシフトを観測した。シフトは励起光起因の低速電子群によるクーロン相互作用に依るものである。
Keywords:光電子分光、SXFEL、空間電荷効果、ポンプ・プローブ、時間分解