選定委員会からの提言
成果公開の促進に関する選定委員会からの提言
平成22年10月27日
登録施設利用促進機関
財団法人高輝度光科学研究センター
選定委員会 委員長
坂田 誠
1.はじめに
SPring-8は、多様な物質・材料の構造解析をはじめ、従来の光源では達成できなかった未踏の科学技術領域の開拓や、物質・材料、バイオテクノロジー、情報・電子、化学、医療等広範な分野の研究および技術開発に飛躍的な発展をもたらすものとの期待のもとに建設された世界最高性能の放射光施設である。平成9年10月にその供用を開始して以来、11万人を超えるユーザーによって、ナノテクノロジー・材料、ライフサイエンス、環境、情報通信等の広範な研究分野に飛躍的な発展をもたらす最先端の研究施設として利用されている。
SPring-8は国民の税金で建設・運営されている施設として、それに見合う成果を生みだしているか否かが常に問われてきた。特に、平成21年11月13日に行われた行政刷新会議の事業仕分けにおいて、SPring-8の成果(アウトプット)に関しては、「現状のようにランニングコストとして国費を年86億円投じ続けることに対するアウトプット(メリット)が説明されていない。高額高コストのインフラなら波及効果を含めメリットを説明しきる努力が必要。年86億円に見合うメリットは何か、説明が充分でなければ、国費を認めがたい。メリットそのものの問題ではない。説明の問題。」との評価コメントが示され、1/3から1/2程度の予算縮減との評価結果となった。平成22年度の予算については、SPring-8利用者懇談会、SPring-8利用者協議会などのユーザーコミュニティー、放射光学会をはじめとする学会および数多くの研究者から、SPring-8の十分な運転時間を確保すべしという多数の要望書や意見が寄せられ、結果的には、ほぼ前年度に近い予算が確保された。しかし、この事業仕分けは、SPring-8においてその運転管理に投じられる国費に見合う成果を挙げていることを広く一般国民に分かりやすく説明していくことが、学術・科学技術の飛躍的な発展と産業技術の振興に向けたSPring-8の利用を継続的に進めるために、極めて重要であることを再認識させた。
放射光施設の利用の大部分を占める学術研究利用の成果は「知の創出」であり、その成果物は基本的に査読付論文であると考えられるが、SPring-8における査読付論文の登録数は、SPring-8と同等の第三世代の大型放射光施設である欧州のESRFおよび米国のAPSと比べて少ない。(ビームライン本数、利用単位時間当たりに規格化したSPring-8における論文数は、ESRFおよびAPSのそれの各々約60%および約80%:2007年)学術・科学技術の振興という観点では、論文の数だけではなくそのクオリティーも重要なファクターであるので、論文の登録数だけから判断することはできないが、SPring-8における利用課題についての論文化率が多くの分野で20%から40%程度に留まっていることを踏まえると、この様な状況は、投入国費に見合う成果を挙げていることについての国民の理解を得るためにも早急に改善されるべきであり、成果の公表促進のため具体的な制度の検討が必要である。
ESRFおよびAPSに比べSPring-8における発表論文が少ない原因として、「大型放射光施設(SPring-8)に関する中間評価報告書(平成19年7月)」において、1)発表言語が主として英語であること、2)地域的に欧米とは離れており、研究交流が少ないこと、3)成果非専有課題を実施する利用者に対し、利用実験終了後60日以内に情報量が十分とはいえない利用報告書の提出が義務付けられているのみで、論文発表については利用者の自主性に委ねられており、施設側からの利用者への働きかけが必ずしも充分ではないこと、4)SPring-8の利用申請に際して、論文発表の有無を申請課題の審査に反映する仕組みの周知が十分ではなかったことを挙げている。
選定委員会において、平成21年度より成果公開の促進についての議論が、SPring-8、ESRF、APSにおける成果に関する統計的データやSPring-8における各ビームライン、利用研究分野等における成果についてのデータ解析結果等を基になされた。その中で、航空・電子等技術審議会の「大型放射光施設(SPring-8)の効果的な利用・運営のありかたについて」(諮問第20号)に対する答申(以下、航電審20号答申という。本答申については、参考資料1を参照のこと)に従ってビーム利用料金が免除される条件である「成果の公開」に関して、成果物の定義を実験終了後60日以内に提出することが義務づけられている利用報告書から、成果に係る充分な情報量が公表される論文等に見直すこと等を基本とする促進策が、財団法人高輝度光科学研究センター(JASRI)より提案された。その検討の結果、選定委員会の下に「成果公開の促進に関するワーキンググループ」専門委員会を設置し、成果公開促進の制度についての具体的検討を行うこととなった。
この専門委員会では、平成22年5月から7月にかけて3回の会合を開催し、1)SPring-8における成果の公開の促進に向けた成果非専有課題についての「成果の公開」の定義およびその運用の見直し、2)論文発表数などを課題申請の審査に反映する仕組みの扱い、3)成果非専有課題から成果専有課題への変更の可否、4)SPring-8に投じる国費に十分に見合う成果を挙げていることへの一般国民の理解を得るための情報としての収集すべき幅広い成果物等について検討を行った。平成22年10月25日に開催された選定委員会において、上記専門委員会の検討結果が議論され、以下に「成果公開の促進に関する選定委員会からの提言」としてまとめた。なお、提言の内容をより明確にするため、添付資料にSPring-8における成果の定義および成果物についての記載を加えた。
2.成果非専有課題における「成果の公開」の定義の見直しについて
成果非専有課題では、航電審20号答申の4.研究成果の取り扱いおよび経費負担のあり方(2)利用経費負担のあり方④利用経費設定の考え方における「(略)SPring-8の利用経費の負担に関しては、利用者が成果を専有せず公開するような利用研究については利用者からビーム使用料を徴収しないことが適当である。(略)」との記載に基づき、ビーム料金が免除されている。従来、このビーム料金の免除は当該成果非専有課題の実験終了後60日以内に提出が義務付けられている利用報告書の公開をもって担保されている。しかし、成果の公開の促進の観点から、これを公開することが期待されている成果物その物の公開により成果非専有課題に義務付けられた「成果の公開」が履行されたこととするほうが適切である。但し、当該成果非専有課題の実験から得られた成果について充分な情報を公開する観点から、成果非専有課題における「成果の公開」の成果物は、添付資料に記載された幅広い成果物の中から、以下に示す成果物に限定する。
(1)査読付論文(査読付プロシーディングス、博士学位論文を含む)の公開。これに加え、産業利用の場合には企業の公開技術報告書等の公開も可とする。
(2)上記(1)の公表ができない場合は、当該成果非専有課題実験で得られた成果についての充分な情報を記載したSPring-8レポート(仮称)の公開。SPring-8レポート(仮称)は十分な情報記載を含め、そのクオリティーを担保するためにJASRI(外部の専門家も含む)が査読を行うものとする。
(3)上記成果物には当該成果非専有課題の課題番号を明記することを義務付ける。
「成果の公開」の厳格化は、チャレンジングな課題の申請を妨げるものではなく、仮に実験が不成功に終わってもSPring-8レポート(仮称)によって、他の研究者に有益な報告を行うことができる。また、今回の厳格化の趣旨を鑑み、定められた時期までに「成果の公開」がなされない場合は、義務付けられた成果物の公開が履行されるまで、利用研究課題を受け付けないこととすべきである。
3.「成果の公開」の運用
前章2で定義した成果非専有課題の「成果の公開」の運用は以下のとおりとすることが適切である。
(1)成果の公開は課題実施期終了後1年程度までに行われるのが望ましいが、その期限は3年以内とする。即ち、3年後までには論文掲載済み、またはSPring-8レポート(仮称)等が公開済みとなっていること。
(2)研究分野の特殊な事情や、実施する課題の難易度等により、成果を3年以内に公開できない場合は、その理由が認められれば公開時期を延ばすことができることとする。延期を認定する機関は利用研究課題審査委員会分科会のような専門家のグループとする。
(3)1研究1課題で1論文(以上)を発表することができるような課題申請を基本とするが、SPring-8の課題は半年で実施できる内容の申請であるため、研究が複数の課題に分割して実施されることもある。これらの結果が1論文として発表された場合は、これらの課題すべてについて成果の公開と認める。
(4)SPring-8レポート(仮称)での公表は1課題につき1レポートとする※。レポートの言語は日本語または英語とする。実験から期待通りの結果が得られなかった場合には、なぜそれが得られなかったかを詳細に検討して記述することとする。重点領域課題などにおいて、SPring-8レポート(仮称)と同等の報告書の提出を必須としている場合は、その報告書をもってSPring-8レポート(仮称)に代えることができる。
(5)SPring-8レポートの査読を含め成果の公開に関連した成果物のクオリティーの検討・審査等を行う機構をJASRIに設置する。
(6)現在の「利用報告書Experiment Report」は、今後「成果の公開」の定義の提出物には該当しない。
成果の公開を厳格化したが、今後公開期限が課題終了後3年(延長が認められるとそれ以上)と長くなるので、JASRIは課題実施者のために期限の途中に成果公開の進捗状況を調査して、注意喚起をしておくことが望ましい。
※H26.7より複数の課題を1報の利用研究成果集とすることも可能になった。
4.論文発表数などを課題申請の審査に反映する仕組みの扱い
「成果の公開」が新しい定義で運用されるまでは、成果の公開状況に基づく利用研究課題選定での減点の方法は現在のとおりでよい。(2010Aの審査時に改訂した方法:過去4.5年前から1.5年前までの3年間に利用したビームタイムの合計が、そのビームラインで1論文発表するのに使われている平均ビームタイムの4倍以上であるのに、そのビームラインで実施した課題の論文発表がない場合に、0.5点減点する(満点は4点))。今後、利用研究課題審査委員会で、新しい成果の公開の定義に則した成果の公表状況の課題選定への反映方法を検討することが必要である。
5.成果非専有課題から成果専有課題への変更の可否について
成果非専有課題から成果専有課題へは、課題終了後60日以内の年度内までに変更することを可とする。すなわち、事務手続き上、年度内にビーム使用料を支払うことができる期限までに変更の申し出があるものについて、成果を非公開とすることは認められる。なお、成果専有課題から成果非専有課題への変更はできない。これは、成果専有課題は課題選定の際に科学的妥当性の審査を受けていないためである。
6.SPring-8が投じられた国費に十分に見合う成果を挙げていることへの一般国民の理解を得るための情報として収集すべき幅広い成果物
SPring-8の貢献が社会により良く理解されるために、論文等に加え、添付資料に記載された総説、招待講演、受賞、特許等の知的財産権、さらに新聞への掲載、テレビのニュースや特集番組での放映など幅広い成果物をデータベースに集めて国民にアピールすることが必要である。
7.おわりに
本提言は、成果非専有課題の利用者に対し本来公開すべき成果物の公開を義務付けることにより、SPring-8における成果公表の促進を図るものである。具体的な運用方法については、必要となる成果物が確実にJASRIに登録されるように留意する等運用上問題がないようにその詳細をJASRIが検討し、平成23年度後期(2011B)における新制度の開始をめざして本提言を実現化することを望む。また、JASRIは利用者や関係機関などへ成果非専有課題における成果公開の新しい定義、また、その運用について周知徹底を行うことが必要である。なお、専用ビームラインについては、その成果非専有課題についての「成果の公開」は従来の定義で行うことで契約が締結されており、本提言を平成23年度後期から適用することは想定していない。しかし、専用ビームラインにおいても成果公開を促進することは極めて重要であり、本提言の趣旨をどのように専用ビームラインにおいて生かすかについてJASRIにおいて今後検討していくことが必要であろう。
今回の提言により成果の公開が促進され、SPring-8からの成果発信がその質および数において世界の放射光施設をリードするものとなることを期待したい。それにより、国民の税金で建設・運営されている施設として一般納税者への十分な説明責任を果たし、SPring-8の発展的な運転が継続的に行われ、学術および産業利用において世界最高のSPring-8の性能をフルに活用した知の創出、新産業の創出、産業基盤技術の創出・発展、事業貢献等の多くの成果が得られ、SPring-8次期計画の実現など更なる放射光科学の飛躍に繋がることを期待する。
以 上
選定委員会委員名簿
尾形 潔 株式会社リガク X線研究所主幹部員
片桐 元 株式会社東レリサーチセンター 常務取締役
勝部 幸輝 国立大学法人大阪大学 名誉教授
栗原 和枝 国立大学法人東北大学 多元物質科学研究所 教授
合志 陽一 国立大学法人筑波大学 監事
(委員長)
坂田 誠 国立大学法人名古屋大学 名誉教授
佐々木 聡 国立大学法人東京工業大学応用セラミックス研究所 教授
鈴木 謙爾 財団法人特殊無機材料研究所 理事長
高原 淳 国立大学法人九州大学先導物質化学研究所 教授
中川 敦史 国立大学法人大阪大学蛋白質研究所 教授
南波 秀樹 独立行政法人日本原子力研究開発機構量子ビーム応用研究部門 部門長
藤井 保彦 財団法人総合科学研究機構 副理事長
松下 正 大学共同利用機関高エネルギー加速器研究機構 名誉教授
選定委員会専門委員会委員名簿
「成果公開の促進」に関するワーキンググループ
片桐 元 株式会社東レリサーチセンター 常務取締役
金谷 利治 国立大学法人京都大学化学研究所 教授
栗原 和枝 国立大学法人東北大学多元物質科学研究所 教授
古宮 聰 財団法人高輝度光科学研究センター
(主 査)
坂田 誠 国立大学法人名古屋大学 名誉教授
鈴木 謙爾 財団法人特殊無機材料研究所 理事長
中川 敦史 国立大学法人大阪大学蛋白質研究所 教授
水木純一郎 独立行政法人日本原子力研究開発機構 副部門長
選定委員会専門委員会審議経過
第1回 平成22年5月24日
第2回 平成22年6月22日
第3回 平成22年7月21日
参考資料
1.「大型放射光施設(SPring-8)の効果的な利用・運営のありかたについて」(諮問第20号)に対する答申
平成8年3月29日 航空・電子等技術審議会
2.SPring-8における供用方針の見直しについての意見
平成16年8月20日 放射光利用研究促進機構諮問委員会
3.(財)高輝度光科学研究センター共用ビームライン運用方法検討委員会答申
平成18年2月23日 共用ビームライン運用方法検討委員会
4.大型放射光施設(SPring-8)に関する中間評価報告書
平成19年7月 科学技術・学術審議会 研究計画・評価分科会
5.特定放射光施設の共用の促進に関する基本的な方針
平成19年10月4日 文部科学省告示第128号
成果および成果物について
SPring-8の学術研究利用の成果については、知の創出(種々の学術および学際的な分野における人類共通の資産としての新知識の発見)であり、その成果物は基本的には査読付論文(新知識であることを担保するため、査読付論文としている。この観点から国際会議等のプロシーディングも査読付であれば、査読付論文に準ずるものとすることが適当であろう。)である。技術的価値が大きいものについては、論文に加えて、特許等の知的財産権もその成果物である。また、査読付論文の価値を高める物として、総説、招待講演、受賞なども広い観点における成果物とすべきである。
他方、産業利用の成果は、新産業の創出、種々の産業における基盤技術の創出や進歩(改良および高度化)、各企業における事業貢献(製品開発、品質向上、生産コストの低減など)であり、それらの成果物として、査読付論文、社外報等の各企業の技術報告書、国際会議等のプロシーディング、査読付論文の価値を高める物としての総説、招待講演、受賞、また、特許等の知的財産権およびノウハウ的知見が挙げられであろう。
さらに、国民のより良い理解を得る情報として、学術研究利用および産業利用の両者において、新聞への掲載、テレビのニュースや特集番組での放映などはSPring-8への国民の理解を深める観点で極めて重要であり、広い観点での成果物として積極的に収集することも重要と思われる。
Recommendation from SPring-8 Selection Committee regarding Promotion of Publication of Research Results
27 October 2010
Prof. Makoto Sakata
Chair of SPring-8 Selection Committee
Japan Synchrotron Radiation Research Institute
(Japanese Government Registered Institution for Facilities Use Promotion)
1. Introduction
SPring-8 is the world’s-highest-performance synchrotron radiation facility and is expected to markedly promote the structural analysis of various materials, create new fields of science and technology that were not achieved with conventional light sources, and bring about breakthroughs in a wide range of research fields including materials science, biotechnology, information technology, electronics, chemistry, and medicine, as well as in the development of their relevant technologies. Since the start of its public use in October 1997, SPring-8 has been used by more than 110,000 users as a cutting-edge research facility that can markedly advance various research fields such as nanotechnology, materials, life science, environment-related fields, and information communication.
SPring-8 has been continuously put to the test as to whether it has brought about benefits as expected because its construction, operation and management are supported by public funding. At budget screening by the Government Revitalization Unit held on 13 November 2009, the outputs of SPring-8 were evaluated and a reduction in its operating budget of one-third to one-half was proposed. The evaluation comments included the following: (1) The outputs of SPring-8 (the merits of continuously investing 8.6 billion yen per year of public funding for the current running cost) have not been explained; (2) SPring-8 should be responsible for fully explaining its merits including its ripple effects as the most costly infrastructure; (3) What merits of SPring-8 are worthy of public funding of 8.6 billion yen per year? If the merits are not fully explained, no further public funding should be invested in SPring-8; (4) The problem of SPring-8 concerns the responsibility to provide explanation rather than the merits themselves. Ultimately, a budget close to the FY2009 budget was allocated for FY2010, in which there were various requests and suggestions for securing sufficient operating time at SPring-8 for user communities such as SPring-8 Users Society and Industrial Users Society of SPring-8, and the Japanese Society for Synchrotron Radiation Research, and many individual researchers. As a result of the budget screening, we have reconfirmed that providing the general public with a wide-reaching and easy-to-understand explanation of the fact that SPring-8 has produced research results worthy of support through public funding for its operation and management is essential for promoting the continued utilization of SPring-8 towards the impressive development of academic research, science and technology, and industrial technologies.
Synchrotron radiation facilities are mainly used for academic research, whose results should lead to the acquisition of knowledge. The publication of research results should basically be in the form of refereed articles. However, the number of such articles registered in the SPring-8 Publications Database is smaller than those registered in the European Synchrotron Radiation Facility (ESRF) in Europe and the Advanced Photon Source (APS) in the US, which are third-generation large synchrotron radiation facilities equivalent to SPring-8 (the number of articles for SPring-8 normalized by the number of beamlines and beamtime is approximately 60 and 80% of those for ESRF and APS, respectively; 2007). The results produced at SPring-8 cannot be evaluated only by the number of registered articles because article quality is also an important factor in the development of academic research and science and technology. However, the percentage of SPring-8 research proposals whose results were reported in academic journals were only 20–40% in various scientific fields. It is urgent to increase this number to gain the public understanding of SPring-8 producing excellent research results worthy of public funding. Therefore, we must examine a definitive system for promoting the publication of research results.
The reasons why the number of articles for SPring-8 is smaller than those for ESRF and APS were stated in the Intermediate Assessment Report on Large Synchrotron Radiation Facility SPring-8 (July 2007) as follows. 1) The language of articles is mostly English. 2) Japan is located far from Europe and the US and the opportunity for international exchange on research is limited. 3) Users who submitted non-propriety proposals are only required to submit Experiment Reports, which may contain only minimal information, within 60 days after the end of the research experiments. The publication of research results in refereed journals is left to the discretion of each user and is not always persistently promoted by the facility side. 4) The fact that article publication is taken into consideration in the review process for SPring-8 research proposals is not widely known by users.
From FY2009, the SPring-8 Selection Committee discussed how to promote the publication of research results on the basis of statistical data on the research results obtained at SPring-8, ESRF, and APS facilities and data analysis of the results classified according to the beamline used at SPring-8 and the research field. In the discussion, JASRI proposed promotion measures, for example, the redefinition of publications from Experiment Reports, which should be submitted within 60 days after the end of the research term, to refereed articles, which must contain a sufficient amount of information. Here, the publication of research results is a requirement for the exemption of beamtime fees, according to the report regarding the Effective Utilization and Management of Large Synchrotron Radiation Facility SPring-8 discussed at the Council for Aeronautics, Electronics and Other Advanced Technologies (hereafter, Council Report No. 20). As a result, the Working Group on the Promotion of the Publication of Research Results was established under the SPring-8 Selection Committee to examine a definitive system for promoting publication.
The Working Group held three meetings from May to July 2010 and discussed the following points: 1) redefinition of the publication of research results and its management for non-proprietary proposals, 2) a system for taking into account the number of published articles in the proposal review process, 3) the system of changing from non-proprietary to proprietary proposals, and 4) compiling various publications as information used to gain the public understanding of the fact that SPring-8 has produced research results worthy of public funding. At the meeting on 25 October 2010, the SPring-8 Selection Committee discussed the results of examination of the Working Group and summarized them in the Recommendation from the SPring-8 Selection Committee regarding the Promotion of Publication of Research Results as below. Note that the explanation of research results and publications of SPring-8 was added as an attached material to clarify the contents of the Recommendation.
2. Redefinition of publication of research results for non-proprietary proposals
The beamtime fees are exempt for non-proprietary proposals in accordance with the statement, “Regarding the user cost of SPring-8, beamtime fees should not be collected from users who publish their research results,” in (4) Concept for setting user cost, (2) Requirement of user cost, 4. Handling of research results and user cost in Council Report No. 20. The requirement for this exemption of beamtime fees is the publication of Experiment Reports, which shall be submitted within 60 days after the end of the research term. However, this should be changed to the publication of research results that are expected and required for non-proprietary proposals with the aim of promoting the publication of research results. The publications of research results for non-proprietary proposals should be one of the following types of publication described in the attached material to ensure that a sufficient amount of information will be included in the publications.
(1) Research results should be published as a refereed article (including refereed proceedings and dissertations) or a report in a corporate technical journal (in case of industrial applications).
(2) If project leaders cannot publish (1), they should publish their results in the SPring-8 Report (tentative name, hereafter), making sure to include a sufficient amount of information on the research results for non-proprietary proposals. The SPring-8 Report shall be reviewed by JASRI’s committee (including outside experts) to ensure a high quality of the SPring-8 Report.
(3) The proposal number assigned to each non-proprietary proposal should be provided in the above publications.
The tightening of the requirement for the publication of research results is not intended to discourage users from submitting challenging proposals but to increase opportunities for researchers to provide useful findings through publication in the SPring-8 Report even when their experiments have failed. In accordance with this tightening, the following stipulation should be added: If the project leaders do not publish their research results by a given deadline, their future research proposals will not be accepted until the obligation is fulfilled.
3. New rules for publication of research results
The rules for the publication of research results for non-proprietary proposals defined in Section 2 are as follows.
(1) Project leaders should publish their research results within three years after the end of the research term, although publication within approximately one year is more desirable. Namely, a refereed article or SPring-8 Report on the research results should already be available by three years.
(2) If project leaders cannot publish their research results within three years for reasons specific to the research field or because of difficulty in the experiments, they will be permitted to extend the publication deadline by obtaining approval from expert groups such as the subcommittee of the SPring-8 Proposal Review Committee.
(3) Each SPring-8 research proposal for a research theme should basically consist of experiments that can lead to the publication of at least one article and be completed in six months. Hence, the experiments on the research theme may be separately carried out in multiple proposals. When the research results of multiple proposals are published in one article, the research results of all the proposals are considered to have been published.
(4) Only one SPring-8 Report for each proposal can be submitted※. The language of the SPring-8 Report is Japanese or English. If the expected experimental results were not obtained, the reasons should be examined in detail and described in the report. If the submission of a report equivalent to the SPring-8 Report is required, as in the case of priority proposals, such a report can be a substitute for the SPring-8 Report.
(5) A committee that reviews the SPring-8 Report and its relevant publications and examines their quality is established under JASRI.
(6) Experiment Reports will not be considered as publications that meet the requirements for the publication of research results.
With the tightening of the rules for the publication of research results, the publication deadline is extended to three years after the end of the research term (or more if a deadline extension is accepted). Therefore, JASRI should investigate the progress of the publication of research results for each proposal and remind the project leader of the deadline.
※Althogh one report is required per proposal.you can also compile the results of multiple proposals into one report.(2014.7〜)
4. System for taking into account the number of published articles in the review of research proposals
In the proposal review process, the current point deduction system based on the progress of the publication of research results will be in effect until the new rules for the publication of research results are set forth. The point deduction system was revised before the review of research proposals for the 2010A term: 0.5 points will be deducted (full score, 4 points) if the sum of the beamtime used in the three year period (from 4.5 years to 1.5 years past) is at least fourfold the average beamtime necessary to publish an article for a beamline, but the project leader has failed to publish any article on the results obtained using the beamline. The SPring-8 Proposal Review Committee should, in the future, examine a new system for taking into account the number of published articles in the review of research proposals on the basis of the new rules for publication.
5. The system of change from non-proprietary to proprietary proposals
Non-proprietary proposals can be changed to proprietary proposals within 60 days after the end of the research experiments until the fiscal year ends. That is, project leaders who have applied for this change by the due date of the payment of the beamtime fee in that fiscal year (for clerical convenience) are allowed to keep their research results undisclosed. Note that proprietary proposals cannot be changed to non-proprietary proposals because the scientific validity of proprietary proposals is not reviewed in their selection process.
6. Various forms of publications of results collected as information to promote the public understanding of the fact that SPring-8 has produced research results worthy of public funding
To raise the awareness of the social contribution of SPring-8 among the general public, research results should be published in not only academic articles but also various other forms, as listed in the attached material, such as comprehensive reviews, invited lectures, awards, intellectual properties including patents, newspaper articles, and TV news and documentary programs. The published works should be complied in the SPring-8 database and disseminated to the public.
7. Final remarks
The aim of this recommendation is to promote the publication of research results obtained using SPring-8 by mandating users to publish their research results of non-proprietary proposals. Our Committee expects that JASRI will examine the details of operation of the new system so that the research results will be guaranteed to be registered in JASRI’s database and will actualize this recommendation in order to start the new system in the second term of FY2011 (the 2011B term). JASRI should thoroughly provide users and relevant organizations with information on the new requirements of the publication of research results for non-proprietary proposals and the new system itself. Non-proprietary proposals using contract beamlines should be carried out following the conventional definitions given for the contract beamlines; the application of this recommendation from the 2011B term is not considered. However, it is very important to promote the publication of research results obtained using contract beamlines. Therefore, JASRI should examine how to realize the aim of this recommendation for contract beamlines in the future.
We hope that this recommendation will promote the publication of research results and increase the quality and quantity of publications from SPring-8, making SPring-8 a leader among synchrotron radiation facilities worldwide. These strategies can adequately convey to general tax payers the merits of SPring-8, whose construction and management have been realized through public funding, and will enable the continuous and evolving operation of SPring-8. The world’s-highest-performance SPring-8 will be fully utilized in academic research and industrial applications to attain various achievements, such as the acquisition of knowledge, development of new industries and fundamental technologies in industries, and contributions to business, which will lead to the actualization of the SPring-8 Upgrade Plan and further advancement of synchrotron radiation science.
Research results and publications
The results of academic research conducted using SPring-8 should lead to the acquisition of knowledge (i.e., the discovery of new knowledge as a common asset of humankind in various academic and interdisciplinary fields). The publications of academic research results should basically be in the form of refereed articles because they are required to include new knowledge (in this sense, refereed proceedings of international conferences are also acceptable). Publications of research results with great technical significance include intellectual property rights, such as patents, in addition to refereed articles. Comprehensive reviews, invited lectures, and awards should also be included as publication materials that increase the value of refereed articles.
On the other hand, the results of industrial application should lead to the development of new industries and fundamental technologies (improvement and sophistication) in various industries, and contributions to business (e.g., product development, quality improvement, reduction in production cost). Publications of industrial applications include refereed articles, corporate technical reports such as external newsletters, proceedings of international conferences, materials that increase the value of refereed articles such as comprehensive reviews, invited lectures, and awards, intellectual property rights such as patents, and know-how findings.
In addition, exposure in newspaper articles and on TV news and documentary programs is essential for raising the public awareness of SPring-8 in both academic research and industrial applications. These widely ranging forms of presentations should also be actively collected in the database.