SPring-8 / SACLA Research Report

ISSN 2187-6886

Volume1 No.2

Published 28-June 2013 / SPring-8 Document D2013-009

Section B : Industrial Application Report

2011B1771 / BL14B2
都市ごみ処理飛灰中鉛のメカノケミカル処理による形態変化と溶出特性の関係
Relation between Chemical State and Leaching Property of Lead in Fly Ash Treated by Mechanochemical Method
DOI:10.18957/rr.1.2.31

原田 浩希a, 山本 常平a, 高岡 昌輝b

Hiroki Harada a, Tsunehira Yamamoto a, Masaki Takaoka b

a 日立造船(株), b 京都大学

aHitachi Zosen Corporation, bKyoto University

Abstract

 都市ごみ処理飛灰のメカノケミカル処理によるPbの不溶化処理をねらいとした基礎検討を行った。結果、溶出液がアルカリ性の飛灰ではPbの溶出量が低減するが、その機構はPbの化学形態の変化ではなく、比表面積の変化が影響していると考えられた。また溶出液が弱酸性となる飛灰では、MC処理による形態の変化に対してpHの影響が卓越し、Pbの溶出量が低減しなかった。以上のMC処理の特徴は、現行のキレート処理による不溶化機構とは異なることが示唆された。


キーワード: 都市ごみ焼却飛灰、メカノケミカル、鉛、溶出

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2011B1774 / BL17SU
垂直磁化型磁壁移動メモリ用磁性細線の磁壁電流駆動その場観察
Observation of Current Induced Domain Wall Motion in Magnetic Wires for Domain Wall Motion Memory with Perpendicular Magnetic Anisotropy
DOI:10.18957/rr.1.2.34

谷川 博信a, 大嶋 則和a, 小山 知弘b, 吉村 瑤子b, 千葉 大地b, 小野 輝男b, 小嗣 真人c, 大河内 拓雄c

Hironobu Tanigawaa, Norikazu Ohshimaa, Tomohiro Koyamab, Yoko Yoshimurab, Daichi Chibab, Teruo Onob,
Masato Kotsugic, Takuo Ohkochic

aルネサスエレクトロニクス株式会社, b京都大学化学研究所, cJASRI/SPring-8

aRenesas Electronics Corp., bInstitute for Chemical Research, Kyoto University, cJASRI/SPring-8

Abstract

 磁壁電流駆動ダイナミクスの解明および磁壁移動メモリの基本動作解析の一環として、SPELEEMを用いたCo/Ni垂直磁化細線中に形成した磁壁の電流駆動現象観察を行っている。2011A期から同一素子における磁壁移動速度とばらつきについて議論するために、磁壁導入および磁壁移動のための電流印加が、SPELEEM装置内にて行えるような測定環境の構築を試みている[1]。2011B期においては、Si基板の露出面積をなるべく小さくし、なおかつCo/Ni細線近傍の端子をコプレナー構造にした新しい素子で検討を進めた。その結果、数10 nsの時短パルスが印加可能であり、なおかつ放電による試料破壊を回避できる素子構造の手がかりを掴んだ。


キーワード: SPELEEM、垂直磁気異方性、磁壁電流駆動、その場観察

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2011B1783 / BL40B2

新しい化粧品基剤の開発を目的としたリン脂質と高級アルコールの相互作用に関する研究
Study of Molecular Interaction between Phospholipids and Fatty Alcohols for the Development of New Cosmetic Products

DOI:10.18957/rr.1.2.37

中川 泰治a, 中沢 寛光b, 加藤 知b

Yasuharu Nakagawaa, Hiromitsu Nakazawab, Satoru Katob

aクラシエホームプロダクツ(株)ビューティケア研究所, b関西学院大学 理工学部 物理学科

aBeauty Care Laboratory, Kracie Home Products, Ltd., bDepartment of Physics, School of Science & Technology, Kwansei Gakuin University

Abstract

 化粧品基剤として期待される大豆由来水添リン脂質(フォスファチジルコリンがおおよそ70%含まれる:PC70)と高級アルコール(ヘキサデカノール:HD)混合物について、その構造特性を解明すべく、BL40B2にて小角広角同時X線構造解析実験を実施した。これまでに当混合物を特定の配合比(PC70:HD ≒ 1:2)で作製すると、高粘度のゲル状構造物が形成されることを報告してきたが[1-3]、今回、単成分脂質を用いた検討により、ゲル状構造物の形成にはフォスファチジルグリセロール(PG)などのリン脂質副成分が寄与していることが示唆された。また、製剤塗布後の構造変化を観察する目的で、当混合物を支持基板上に薄く塗布し、その構造の時間変化を解析したところ、シングル(単層膜)もしくはオリゴラメラから徐々にマルチラメラへと変化する過程が観察された。


キーワード: リン脂質製剤、高級アルコール、小角広角同時解析

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2011B1794 / BL14B2
タイヤの耐久性向上のための黄銅/ゴムの接着結合様式の解析 -ゴム中のCo塩の化学状態解析
Analysis of the Adhesion Binding Style of Brass/Rubberfor Durable Improvement of the Tire – Analysis of the Chemical State of Cobalt Salt in Rubber Compound
DOI:10.18957/rr.1.2.40

清水 克典, 鹿久保 隆志, 網野 直也

Katsunori Shimizu, Takashi Kakubo, Naoya Amino

横浜ゴム株式会社

The Yokohama Rubber Co., Ltd.

Abstract

 タイヤ中のスチールコードとゴムを接着させることで耐久性が維持される。金属接着用ゴムには有機酸コバルト(Co)塩が含まれるが、ゴム中のコバルト(以下、Co)の化学的情報はこれまであまり知られていない。そこで、有機酸Co塩を配合したゴムを加硫(加熱)処理して、加硫時間ごとにゴム中のCoの化学状態をXAFS 測定にて解析した。加硫時間を変えることにより170 °Cでは3 minまでにCoの酸化反応が進行し、それ以降は化学状態がほとんど変化しないことがわかった。今回の測定により、金属接着ゴム中のCo塩の状態を把握することができた。


キーワード: タイヤ、ゴム、接着、コバルト、XAFS、XANES、EXAFS

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2011B1795 / BL27SU
窒化ガリウム中のマグネシウムの化学状態解析
Chemical State Analysis of Magnesium in Gallium Nitride
DOI:10.18957/rr.1.2.43

米村 卓巳, 飯原 順次, 斎藤 吉広

Takumi Yonemura, Junji Iihara, Yoshihiro Saito

住友電気工業株式会社

Sumitomo Electric Industries Ltd.

Abstract

 窒化ガリウム中のマグネシウムのXAFS測定技術を開発した。本系においては、ガリウム成分とマグネシウム成分の分離が困難であり、これまでXAFS法を用いた窒化ガリウム中のマグネシウムの化学状態解析は行われてこなかった。今回、我々はSPring-8のBL27SUにてSilicon Drift Detectorを用いた蛍光XAFS法を使ってガリウム成分とマグネシウム成分の分離技術を開発した。その結果、マグネシウム濃度が1E19 /cm3のEXAFS測定が可能となり、窒化ガリウム中のマグネシウムの化学状態がアニール処理方法によって変化することを初めて見出した。


キーワード: GaN、ドーパント、Mg、XAFS、蛍光法、SDD

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2011B1816 / BL20XU
走査/結像ハイブリッド型高感度高分解能微分位相X線顕微鏡を用いた加熱処理毛髪の構造解析
Structural Analysis of Heated Human Hair Using Scanning/Imaging Hybrid Type High-sensitive and High-resolution Differential Phase-contrast X-ray Microscope
DOI:10.18957/rr.1.2.46

竹原 孝二a, 井上 敬文b, 藤森 健a, 河合 朋充a, 上杉 健太朗c, 竹内 晃久c, 鈴木 芳生c

Kouji Takeharaa, Takafumi Inoueb, Takeshi Fujimoria, Tomomitsu Kawaia, Kentaro Uesugic, Akihisa Takeuchic, Yoshio Suzukic

a(株)カネボウ化粧品 スキンケア研究所, b価値創成研究所, c(公財)高輝度光科学研究センター

aSkincare Research Laboratory, bInnovative Beauty Science Laboratory, Kanebo Cosmetics Inc., cJASRI

Abstract

 走査/結像ハイブリッド型高感度高分解能微分位相X線顕微鏡により、ヘアアイロンによる加熱処理毛髪の内部微細構造を三次元で測定することができた。加熱処理毛髪と未処理毛髪の比較から、毛髪キューティクル部位で加熱処理により凹凸や空隙と思われる微細構造が生じることが確認された。今後、加熱処理によるダメージをより詳細に観察できるものと期待される。


キーワード: X線顕微鏡、Computed Tomography (CT)、毛髪、イメージング

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2011B1817 / BL40B2
皮膚洗浄のための界面活性剤による角層構造変化観察
Observation of Structural Change of Stratum Corneum by Applying Cosmetic Surfactants
DOI:10.18957/rr.1.2.49

簗瀬 香織a, 太田 昇b

Kaori Yanasea, Noboru Ohtab

aクラシエホームプロダクツ(株), b(公財)高輝度光科学研究センター

aKracie Home Products, Ltd., bJASRI

Abstract

 ボディソープや洗顔フォームなどの皮膚洗浄料に汎用されている代表的な界面活性剤を、ヒト皮膚角層に適用し、X線回折測定により構造変化を経時的に追跡した。広角領域に現れる細胞間脂質の充填構造に着目し解析したところ、斜方晶由来のピークでは、一般的に洗浄力が高いことが知られる界面活性剤にピーク位置と半値幅の変化が現れた。このことから、本研究で得た結果は、日常の皮膚洗浄による肌バリア機能へ及ぼす影響の指標に繋がると期待できる。


キーワード: ヒト角層、角層細胞間脂質、皮膚洗浄

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2011B1831 / BL40B2
皮膚角層細胞間脂質ラメラ構造の構造変化評価パラメータの確立と製剤成分の機能評価
Establishment of Structural Change Evaluation Parameters of Intercellular Lipid Lamellar Structure in Stratum Corneum and Evaluation of Components of Cosmetic/Pharmaceutical Formulation Using Those Parameters
DOI:10.18957/rr.1.2.52

小幡 誉子a, 太田 昇b, 八木 直人b, 八田 一郎b, 髙山 幸三a

Yasuko Obataa, Noboru Ohtab, Naoto Yagib, Ichiro Hattab, Kozo Takayamaa

a星薬科大学, b(公財)高輝度光科学研究センター

aHoshi University, bSPring-8/JASRI

Abstract

 ヒト角層を用いてジメチルスルホキシドの細胞間脂質のラメラ構造への影響を検討したところ、細胞間脂質の充填構造を液晶化すると同時に角層細胞にも大きな影響を与える様子が観察された。したがって、外用剤に溶剤として繁用されるジメチルスルホキシドは、細胞間脂質および角層細胞の双方に働きかけて薬物の皮膚透過経路を拡大している可能性が示唆された。また、この挙動はすでに明らかになっているエタノールと類似していた。


キーワード: 角層細胞間脂質、ラメラ構造、ジメチルスルホキシド、経皮吸収型製剤、外用剤

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2011B1947 / BL19B2
すれすれ入射X線回折によるガラス最表面の構造解析
Analysis of Structure on the Surface of Glass Material by Grazing Incidence X-ray Diffraction
DOI:10.18957/rr.1.2.55

酒井 千尋, 湊 淳一

Chihiro Sakai, Junichi Minato

日本板硝子株式会社 研究開発部 分析・シミュレーション領域

Analysis & Simulation Research Group, Nippon Sheet Glass Co., Ltd.

Abstract

 SPring-8 BL19B2の多軸X線回折装置を用いて、X線の入射角度を10 keV(波長λ = 1.2398 A)のX線を試料表面にαi = 0.12°の低角度で入射して、ソーダ石灰組成の板ガラス(フロートガラス:組成は重量%で、SiO2 = 71.2, Al2O3 = 1.5, CaO = 9.0, MgO = 3.8, Na2O = 13.9)の溶融スズと接した面(ボトム面)と反対側の最表面(トップ面)で「すれすれ入射X線回折」を行った結果、恒温恒湿試験(60°C 湿度90%、15時間もしくは24時間浸漬)後に最表面に回折線に近い周期構造が検出されることを見い出した。この周期構造は、波数q(= 4πsinθ/λ、:散乱角) = 1.5 Å-1 付近に確認され、Hydrocalcite(CaCO3・6H2)が大気中のCO2 とガラス中のCa成分および雰囲気中のH2Oと反応して、ガラス表面で新たに結晶化したものと考えられる。これらの結晶量は、ガラス組成に関係しており、Al2O3濃度が低いガラスで析出量が多かった。

 以上の結果から、ソーダ石灰組成のガラスでは大気雰囲気との反応によって最表面部分での風化の進行過程を知ることができた。また、ガラスのAl2O3濃度を高くすることで大気雰囲気による風化の促進を抑制できることもわかった。これらの結果は、ガラスの製造技術の改善に対しては非常に大きな知見となる。


キーワード: ソーダ石灰ガラス、フロートガラス、風化、すれすれ入射X線回折

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2011B1950 / BL19B2
ゴムの振動伝達特性に及ぼすフィラー凝集サイズの影響
Effect of the Filler Aggregation Structure Size on Vibration Transmission Characteristic of Rubber
DOI:10.18957/rr.1.2.59

高松 成亮a, 山本 勝宏b

Shigeaki Takamatsua, Katsuhiro Yamamotob

a東海ゴム工業株式会社, b名古屋工業大学 大学院工学研究科

aTokai Rubber Industries, LTD., bNagoya Institute of Technology

Abstract

 ゴム中の粘弾性特性に及ぼすフィラー分散状態の影響について調査した。フィラーの分散状態の変化は、ゴムとフィラーの混練時間を変更することで実施した。混練時間が長くなると静的弾性定数は変化せず動的弾性率が低下することで動倍率が低下した。この動倍率の低下は、混練時にゴムとフィラー間において化学的ないし物理的吸着が起こり、フィラー界面でのすべりによる粘性が原因の動的弾性率が低減されたことによると推察される。これを確認するためゴムに伸張を与え(ゴムに4.5%歪みをかけ)超小角散乱測定を実施した。その結果、混練時間を長くした試料からは散乱パターンに異方性が認められた。このことは、ゴムとフィラーであるカーボンブラック界面での化学的ないし物理的吸着ができ構造に異方性が発現したものと考察される。以上のことから混練時間を最適化し、フィラー界面での化学的、物理的吸着を強固にすることがゴムの低動倍率化に効果があることが確認された。今回実施した微小歪みを与え極小角散乱測定を行うことは、ゴムとフィラー間の結合の有無を判定する手法として利用できると考えられる。


キーワード: ゴム(rubber),補強材(reinforcing material),静的ばね定数(static spring constant),動的弾性率(dynamic modulus),界面(interface),異方性(anisotropy)ゴム,充てん剤,凝集構造

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2011B1962 / BL19B2
層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物におけるLi 脱離時の結晶構造変化
Crystal Structure Analysis of Layered Lithium-Nickel-Manganese Oxide during Li de-Intercalation/Intercalation Process
DOI:10.18957/rr.1.2.63

笹川 哲也a, 原田 康宏a, 浜尾 尚樹b, 鹿島 徹也b, 北村 尚斗b, 井手本 康b

Tetsuya Sasakawaa, Yasuhiro Haradaa, Naoki Hamaob, Tetsuya Kashimab, Naoto Kitamurab, Yasushi Idemotob

a(株)東芝 研究開発センター, b東京理科大学理工

aCorporate Research and Development Center, Toshiba Corp., bFaculty of Science & Technology, Tokyo University of Science

Abstract

 次世代高エネルギー密度リチウムイオン電池正極材料として期待されるLi過剰層状マンガン系酸化物Li1.2Ni0.2Mn0.6O2及びLi1.2Ni0.13Mn0.54Co0.13O2について、初回充放電過程における粉末X線回折を測定した。初充電過程において、六方晶(003)ピーク及び(018)ピークの半値幅が増大し、また半値幅の増大は充電レートを高めることで抑制されることを見出した。これらの結果は、初回充放電時に生じる層間距離の乱れが、充電レートを高めることで軽減されることを示している。


キーワード: 二次電池、正極、粉末回折

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2011B1966 / BL14B2
X線吸収微細構造測定によるEu添加GaNにおけるEuイオンの周辺局所構造(VII)
Local Structures around Eu Ions in GaN Studied by X-ray Absorption Fine Structure (VII)
DOI:10.18957/rr.1.2.67

藤原 康文a, 李 東建a, 若松 龍太a, 松野 孝則a, 瀬野 裕三a, 大渕 博宣b, 本間 徹生b

Yasufumi Fujiwaraa, Dong-gun Leea, Ryuta Wakamatsua, Takanori Matsunoa, Yuzo Senoa, Hironori Ofuchib, Tetsuo Honmab

a大阪大学, b(公財)高輝度光科学研究センター

aOsaka University, bJASRI

Abstract

 有機金属気相エピタキシャル法により作製したEu,Mg共添加GaNおよびEu,Mg,Si共添加GaNについてX線吸収微細構造(XAFS)測定を行った。Eu,Mg共添加の場合、フォトルミネッセンス測定ではMg共添加により新しいEu発光中心が形成され、Eu発光強度の増大が観測された。XAFS測定ではEuは基本的にGaサイトに置換するが、Eu周辺局所構造の揺らぎが増大することが明らかになった。一方、Eu,Mg,Si共添加の場合、フォトルミネッセンス測定ではSiを共添加することにより新たな発光が観測されるが、Eu-Mg特有の発光中心は減少、消滅する。対応するXAFS測定では、Mgのみ共添加した場合に比べて、より揺らぎの少ないEu周辺局所構造が得られることが明らかになった。


キーワード: ユウロピウム、窒化ガリウム、赤色発光デバイス

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2011B1969 / BL46XU
硬X線光電子分光法を用いたマンガン系リチウム電池材料の電子状態変化の解明
A Study on Reaction Mechanism of Li2MnO3-based Electrode Materials by Hard X-Ray Photoemission Spectroscopy
DOI:10.18957/rr.1.2.71

駒場 慎一a, 藪内 直明a, 青木 良憲a, 吉川 武徳a, 孫 珍永b, 陰地 宏b

Shinichi Komabaa, Naoaki Yabuuchia, Yoshinori Aokia, Takenori Yoshikawaa, Son JinYoungb, Hiroshi Ojib

a東京理科大学, b(公財)高輝度光科学研究センター

Abstract

 電気自動車用途を志向した次世代大型リチウムイオン二次電池正極材料の候補として挙げられているLi2MnO3系材料について、高輝度放射光X線を用いたHAXPES(Hard X-ray Photoemission Spectroscopy)測定を行い、当該材料の充放電反応機構の解明を試みた。標準試料の測定からマンガンが4価以上の高酸化状態となる場合には明確にMn 1s、Mn 2p光電子スペクトルがともに高エネルギー側へとシフトすることが観測された。しかし、Li[Li0.2Co0.13Ni0.13Mn0.54]O2の充電時においては、明確なスペクトル形状の変化は観察されず、今回の結果からマンガンが4価を超えて高酸化状態になることは無いという結論が得られた。


キーワード: リチウム電池、リチウムマンガン酸化物、電極界面、硬X線光電子分光

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2011B1972 / BL19B2
X線及び中性子小角散乱の特徴を駆使した高分子電解質膜のナノ〜メソスケールの階層構造解析:燃料電池の特性向上に必要な高分子電解質膜構造の解明
Analysis of Hierarchical Structures in the Polymer Electrolyte Fuel Cell Membranes with Nano to Meso Scales by the Combination of Small Angle X-ray and Neutron Scattering Properties to Reveal the Required Structure of Polymer Electrolyte Membranes for High Performance Fuel Cells
DOI:10.18957/rr.1.2.74

前川 康成a, 長谷川 伸a, 澤田 真一a, 吉村 公男a, トラン タップa, 大沼 正人b, 大場 洋次郎b

Yasunari Maekawaa, Shin Hasegawaa, Shin-ichi Sawadaa, Kimio Yoshimuraa, Tap Trana, Masato Ohnumab, Yojiro Obab

a(独)日本原子力研究開発機構, b(独)物質・材料研究機構

aJapan Atomic Energy Agency, bNational Institute for Materials Science

Abstract

 放射線グラフト法を駆使して燃料電池用電解質膜を開発するためには、電解質膜の構造に関する基礎的知見が不可欠である。そこで本研究では、SPring-8の所有する超小角X線散乱測定装置を用いて、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)またはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を基材とするグラフト電解質膜の構造を調べた。その結果、ETFE電解質膜では、膜内に導入される親水性グラフト領域は、349-369 nmという長距離の相関長を有することがわかった。


キーワード: 固体高分子型燃料電池、グラフト電解質膜、超小角X線散乱

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2011B1976 / BL14B2
無機蛍光体の室温合成の実用化
Inorganic Phosphor Preparation at Room Temperature
DOI:10.18957/rr.1.2.77

石垣 雅a, 亀井 真之介b, 上松 和義c, 戸田 健司a,b, 佐藤 峰夫a,c

Tadashi Ishigakia, Shinnosuke Kameib, Kazuyoshi Uematsuc, Kenji Todaa,b, Mineo Satoa,c

a新潟大学超域学術院, b新潟大学自然科学研究科, c新潟大学工学部

aCenter for Transdiciplinary Research, Niigata University, bGraduate School of Science & Technology, Niigata University, cFaculty of Engineering, Niigata University

Abstract

 放射光を用いたXAFS分析にて、室温で原料を接触させて静置するだけで反応させたRbVO3:EuおよびCsVO3:Eu蛍光体の発光中心の価数評価を行った。Eu(ユウロピウム)を賦活したXANES領域の測定では、通常の固相反応法で合成された蛍光体と同等でいずれの試料もEuがすべて3価で存在する結果が得られ、固相反応法に変わるものと期待できることが確認された。


キーワード: RbVO3、CsVO3、蛍光体、XANES

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2011B1985 / BL19B2
室温合成による希土類フリー蛍光体の構造解析
Structure Analysis of Rare Earth Free Phosphors Synthesized at Room Temperature
DOI:10.18957/rr.1.2.80

石垣 雅a, 亀井 真之介b, 上松 和義c, 戸田 健司a,b, 佐藤 峰夫a,c

Tadashi Ishigakia, Shinnosuke Kameib, Kazuyoshi Uematsuc, Kenji Todaa,b, Mineo Satoa,c

a新潟大学超域学術院, b新潟大学自然科学研究科, c新潟大学工学部

aCenter for Transdiciplinary Research, Niigata University, bGraduate School of Science & Technology, Niigata University, cFaculty of Engineering, Niigata University

Abstract

 放射光を用いた粉末X線回折で、室温で原料を接触させて静置するだけで反応させたRbVO3蛍光体の結晶構造解析を行った。リートベルト法による分析で、合成された蛍光体は不純物が非常に少ない単相であることが確認された。


キーワード: 蛍光体、リートベルト解析、室温合成

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2011B1986 / BL14B2
MgO薄膜の添加元素の局所構造解析
Local Structural Analysis of Dopants in MgO Thin Film
DOI:10.18957/rr.1.2.83

森田 幸弘a,b, 辻田 卓司a,b, 寺内 正治a,b, 西谷 幹彦a,b

Yukihiro Moritaa,b, Takuji Tsujitaa,b, Masaharu Terauchia,b, Mikihiko Nishitania,b

aパナソニック株式会社, b大阪大学

aPanasonic Corp., bOsaka University

Abstract

 プラズマディスプレイ(PDP)の高性能化のためのキー材料である保護膜の局所構造解析をXAFS測定によって行った。石英基板上にスパッタ製膜で形成したMgO:Sn薄膜(1 μm)を大気アニールし、Sn-K端の吸収スペクトルを測定した。その結果、500°Cの大気アニールでは、局所構造の変化はほとんど無いが、800°Cでアニールすると、第二近接の強度が顕著に小さくなることが分かった。


キーワード: プラズマディスプレイ、保護膜、局所構造、XAFS

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2011B1989 / BL14B2
IGZO薄膜の局所構造解析
Local Structural Analysis of IGZO Thin Film
DOI:10.18957/rr.1.2.86

森田 幸弘a,b, 辻田 卓司a,b, 寺内 正治a,b, 西谷 幹彦a,b

Yukihiro Moritaa,b, Takuji Tsujitaa,b, Masaharu Terauchia,b, Mikihiko Nishitania,b

aパナソニック株式会社, b大阪大学

aPanasonic Corp., bOsaka University

Abstract

 アモルファスシリコンに比べて10倍以上の移動度を持つことで注目を集めているアモルファス酸化物半導体(InGaZnO(IGZO))の局所構造解析をXAFS測定によって行った。スパッタ製膜時の基板温度とプロセスガスを変えた時の局所構造の変化を調べた結果、基板温度が高く、プロセスガスをAr + O2とした場合に、第二近接の強度が大きくなることが分かった。このことから、アモルファス構造においても、プロセス条件によって局所構造を制御できる可能性があることが分かった。


キーワード: アモルファス酸化物半導体、IGZO、局所構造、XAFS

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その他

目次
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