SPring-8 / SACLA Research Report

ISSN 2187-6886

Volume5(2017)

SPring-8 Section A: Scientific Research Report

2010A1146, 2010B1154, 2011A1347 / BL27SU
光電子-光イオン-光イオン同時測定法による炭酸分子の軟X線吸収スペクトル測定
The Measurement of Photoabsorption Spectra of Carbonic Acid by Photoelectron-Photoion-Photoion Coincidence Technique
DOI:10.18957/rr.5.2.149

下條竜夫a,森田朝陽a, 本間健二a,為則雄祐b

Tatsuo Gejoa, Asahi Moritaa, Kenji Honmaa, Yusuke Tamenorib

a兵庫県立大学大学院物質理学研究科,b(公財)高輝度光科学研究センター

aUniversity of Hyogo, bJASRI

Abstract

 炭酸分子の酸素1s、炭素1sしきいエネルギー領域の吸収スペクトル測定を光電子-光イオン-光イオン同時測定法を利用して行った。得られたスペクトルには1s→π*由来と考えられるピークがあらわれたが、水および二酸化炭素の単体分子からのシグナルによる寄与がきわめて大きく、炭酸分子由来のシグナル強度も弱かったため、明確なピーク位置は確定することはできなかった。


キーワード: 炭酸、コインシデンス分光法、軟X線吸収

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2011A1348, 2011B1424, 2012A1249 / BL09XU
核共鳴散乱起源・電子散乱起源のFe-K 蛍光X線面内放出分布の入射角依存性
Hologram Study with Fe-K Fluorescent X-rays of Delay and Prompt Components by Nuclear Resonant Scattering Methods
DOI:10.18957/rr.5.2.153

岡田 京子a, 松下 智裕a, 八方 直久b, 林 好一c,d, 櫻井 吉晴a

Kyoko Okadaa, Tomohiro Matsushitaa, Naohisa Happob, Kouichi Hayashic,d, Yoshiharu Sakuraia

a(公財)高輝度光科学研究センター, b広島市立大学, c東北大学, d名古屋工業大学

aJASRI, bHiroshima City Univ., cTohoku University, dNagoya Institute of Technology

Abstract

 核共鳴散乱法を利用した鉄の蛍光X線ホログラム測定を初めて試みた。この測定では、α-Fe2O3単結晶試料に57Feの共鳴エネルギーの14.4 keVのX線を照射し、試料から放出されるX線/γ線を鉄のK蛍光X線の6.4 keVと散乱X線/γ線の14.4 keVに分離し、さらに、素過程の継続時間の差を利用して電子散乱起源と核共鳴散乱起源に分離する。そこで、X線のエネルギーを6.4 keVのみに弁別する方法として、(1)試料と検出器の間に分光器を設置して目的のエネルギーのみを選択する方法と、(2)試料から放出されるX線/γ線の全てを直接、検出器に入れ、検出器のエネルギー分解能を利用してエネルギー分離をする方法を試みた。(1)、(2)共に、試料からのFe-K蛍光X線ホログラムを取得することに成功した。(2)の方法は今までは行われておらず、今回、新たなFe-K蛍光X線ホログラム計測法を確立できた。


キーワード: 核共鳴散乱、電子散乱、57Fe、Fe-K 蛍光X線、ホログラフィー、ホログラム

 
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2011B1010 / BL20B2
衛星搭載用硬X線ガンマ線撮像検出器の応答測定
Response Measurement of the Spaceborne Hard X-ray and Gamma-ray Imaging Detector
DOI:10.18957/rr.5.2.158

中澤 知洋a, 国分 紀秀b, 中野 俊男c, 佐藤 悟朗b, 萩野 浩⼀b, 小⾼ 裕和d, 渡辺 伸b, 三宅 克馬a, 小林 翔悟a

Kazuhiro Nakazawaa, Motohide Kokubunb, Toshio Nakanoc, Goro Satob, Koichi Haginob, Hirokazu Odakad, Shin Watanabeb, Katsuma Miyakea, Shogo B. Kobayashia

a東京大学理学部, b宇宙科学研究所/宇宙航空研究開発機構, c理化学研究所, dSLAC

aSCHOOL OF SCIENCE, THE UNIVERSITY OF TOKYO, bISAS/JAXA, cRIKEN, dSLAC

Abstract

 硬X線、ガンマ線による天体観測の革新を図るために、Si両面strip検出器(Double-sided Si Strip Detector ; DSSD)を用いた観測装置の開発が進められている。本実験では我々が浜松ホトニクス社と開発したDSSDを5-80 keV帯域での撮像分光検出器として使うにあたり、信号応答の場所依存性を調べた。具体的には、30 keVのX線ビームを6 μm×6 μmにコリメートしてスキャンすることで、strip間でX線が相互作用した時に生じる、電荷分割イベントの定量的な評価を進めた。strip間での電荷分割イベントが生じる領域サイズを実測したところ、光電子の飛程およびSi内でのelectron-holeキャリアの熱拡散を組み合わせたモデルでよく合うことを確認した。同設計のDSSDは実際に「ひとみ」衛星に搭載されて軌道上で正常に動作した。


キーワード: Sistrip検出器、DSSD、検出器応答、電荷分割イベント、「ひとみ」衛星

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2011B1583 / BL25SU
鉄多結晶表面の光電子回折分光顕微法による原子・磁気構造解析
Atomic and Magnetic Structure Characterization of Fe Polycrystalline Surface by Photoelectron Diffraction Spectromicroscopy
DOI:10.18957/rr.5.2.161

安田 馨a,松井 文彦a,松下 智裕b,前島 尚行a,松井 公佑a,北川 哲a,堀江 理恵a,石井 良a,藤田 將義a大門 寛a

Kaoru Yasudaa, Fumihiko Matsuia, Tomohiro Matsushitab, Naoyuki Maejimaa, Hirosuke Matsuia, Satoshi Kitagawaa, Rie Horiea, Ryo Ishiia, Masayoshi Fujitaa, Hiroshi Daimona

a奈良先端科学技術大学院大学, b(公財)高輝度光科学研究センター

aNAIST, bJASRI

Abstract

 鉄の多結晶試料に微小径の放射光ビームを照射して二次元光電子回折法・光電子分光法による解析を行うことによって、多結晶材料の個々の微結晶について、その結晶構造・結晶方位・磁気構造を同一分析器で超高真空の環境を維持したまま観察することに成功した。この手法を用いれば、異なる測定装置への試料搬送による物性変化を防ぎながら種々の物性評価ができ、今後の新たな材料評価手法として有用であることが示せた。


キーワード:多結晶、結晶構造、二次元光電子回折、光電子回折分光

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2012B1402 / BL40XU

X線小角散乱法による法科学分野における単繊維の異同識別
Discrimination of Mono Filament Fiber in Forensic Science Field Using Small-Angle X-ray Scattering(SAXS)

DOI:10.18957/rr.5.2.164

南 幸男a, 本多 定男a, 中野 和彦a, 牧野 由紀子a, 早川 慎二郎b, 二宮 利男a, 青山 光輝a, 八木 直人a

Yukio Minamia, Sadao Hondaa, Kazuhiko Nakanoa, Yukiko Makinoa, Shinjiro Hayakawab, Toshio Ninomiyaa, Kouki Aoyamaa, Naoto Yagia

a(公財)高輝度光科学研究センター, b広島大学

aJASRI, bHiroshima University

Abstract

 犯人が無意識に遺留する微細証拠物件は、犯行を立証する証拠として非常に重要であるが、中でも繊維は殺人のみならず迷惑防止条例違反等、極めて多くの罪種に関係している。現在、法科学分野において、形態観察、顕微分光法、顕微FT-IR、顕微ラマン分光法等による分析等が行われているが、繊維が無染色のものについては異同識別が困難となる場合がある。SPring-8の放射光によるX 線小角散乱法を用いることで、非破壊的にナノスケールでの繊維の周期構造や配向性等に関する情報が得られると、繊維鑑定の識別能力の向上が大きく期待できる。


キーワード: 科学捜査、法科学、無染色単繊維、小角散乱像、微細証拠物件、SAXS、異同識別

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2012B1475 / BL02B2

放射光X線回折法による乱用薬物の結晶評価
Abuse-drug Analysis Using Synchrotron Radiation X-ray Diffraction

DOI:10.18957/rr.5.2.167

牧野 由紀子

Yukiko Makino

(公財)高輝度光科学研究センター

JASRI

Abstract

 SPring-8の放射光による特徴的な分析手法を検討し、犯罪捜査に役立つ新たな化学情報を引き出すのが本研究の目的である。

本研究は、日本で乱用問題の深刻な不正薬物である覚醒剤及び原料物質エフェドリン類に関して、SPring-8の放射光による特徴的な化学情報獲得を目指した。正規に市販され製法既知の覚醒剤原料エフェドリンを対象とし、BL02B2で結晶構造の製法による差異が測定可能か否かについて実験した。しかし、Rietveld法による結晶構造解析の結果、原料・製造法の異なるエフェドリン類の結晶構造に明瞭な差異は認められなかった。


キーワード: 科学捜査、薬物犯罪、乱用薬物、粉末結晶解析

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2013A1505 / BL43IR

中赤外光ナノアンテナの最適配置のための受光領域評価
Evaluation of the Detective Area of Mid Infrared Nano Antennas for Optimal Placement

DOI:10.18957/rr.5.2.171

川上 彰a, 池本 夕佳b

Akira Kawakamia, Yuka Ikemotob

a国立研究開発法人情報通信研究機構, b(公財)高輝度光科学研究センター

aNICT, bJASRI

Abstract

 赤外光検出器の検出効率および応答速度の向上を目指して、我々は光検出器におけるナノアンテナ構造を提案している。しかし単一のアンテナで受光できるアンテナの実効面積は、波長の二乗程度と小さく、一対策としてのアンテナのフェーズドアレイ化は重要な課題である。そこで中赤外光領域のナノスロットアンテナを設計・作製し、そのアンテナの実効面積の評価を行うと共に、BL43IRの赤外顕微分光による光ナノアンテナの高解像度イメージングを基にアンテナ受光領域の形状評価を試みた。


キーワード: 中赤外, ナノアンテナ, 実効面積

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2013A4134 / BL12B2

Magnetic and Orbital Ordering of KCuF3 Studied by Resonant X-ray Scattering

DOI:10.18957/rr.5.2.175

Chia Hung Laia, Wen-Bin Wub, Chi Liang Huangc, Youichi Murakamid, Jun Okamotob, and Di-Jing Huangb

aNational Tsing Hua Univ., bNSRRC, cTamkang Univ., dKEK CMRC/PF

Abstract

 We have studied the magnetic and orbital orderings in Cu 3d orbitals of KCuF3 by using Cu K-edge resonant X-ray scattering. For the orbital reflection (1 0 5) at quadrupole transition, however, no cleartransition was observed about 40 K. This shows that the coupling between spins and orbitals in Cu 3d orbitalsis small in type-a orbital ordering of KCuF3.


Keywords: orbital ordering, resonant X-ray scattering, polarization analysis

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2013B1013 / BL47XU
リチウムイオン電池正極の三次元反応分布計測
3D Reaction Distribution Imaging of Positive Electrodes in Lithium-Ion Battery
DOI:10.18957/rr.5.2.179

平野 辰巳a, 高松 大郊a, 小西 弘明a, 谷田 肇b, 星野 真人c, 上杉 健太朗c, 内本 喜晴b, 小久見 善八b

Tatsumi Hiranoa, Daiko Takamatsua, Hiroaki Konishia, Hazime Tanidab, Masato Hoshinoc, Kentaro Uesugic, Yoshiharu Uchimotob, Zenpachi Ogumib

a(株)日立製作所, b京都大学, c(公財)高輝度光科学研究センター

aHitachi Ltd., bKyoto University, cJASRI

Abstract

 リチウムイオン電池のレート特性を支配する現象の解明を目指し、リチウムイオン反応分布の二次元および三次元可視化計測法を検討した。LiFePO4正極の二次元可視化から、集電体側に比べてセパレータ側で反応が進行していることがわかった。X線吸収分光法とラミノグラフィー法の併用による三次元可視化を検討し、電極断面毎のリチウムイオン反応分布の可視化に成功した。しかし、電極断面の上下におけるリチウムイオン反応分布の差異までは識別できていないことが判明した。


キーワード: リチウムイオン、反応分布、X線吸収分光法、ラミノグラフィー法、三次元

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2013B1205 / BL39XU

表面修飾のない強磁性Auナノ粒子の磁気的起源の研究
Study of Magnetic Origin in Ferromagnetic Au Nanoparticles without Surface Modification

DOI:10.18957/rr.5.2.183

佐藤 龍a, 櫻木 俊輔a, 石川 創一郎a, 水牧 仁一朗b, 佐藤 徹哉a

R. Satoa, S. Sakuragia, S. Ishikawaa, M. Mizumakib and T. Satoa

a慶應義塾大学, b(公財)高輝度光科学研究センター

aKeio Univ., bJASRI

Abstract

 超高真空中のガス中蒸発法において作製された清浄表面(ガス、有機修飾剤の吸着がない)を有するAuナノ粒子に発現する強磁性の起源を探るために、表面修飾のないAuナノ粒子に対してBL39XUにおいてX線吸収分光(XAS)およびX線磁気円二色性分光(XMCD)測定を行った。その結果、XASスペクトルから5dあるいは6s軌道に空き準位が増加していることが分かったが、XMCDスペクトルにはAuフォイル(バルク)と比較して有意な差が観測されなかった。これまでAuナノ粒子に対して密度汎関数理論を用いた計算から6s電子のスピン分極を起源とする強磁性発現のモデルが報告されていることを考慮すると、5d、6s電子の両者がスピン偏極してXMCD信号が相殺された可能性が考えられる。今回の測定では5d電子と6s電子の分極を分離して観測することができないため、Auナノ粒子の強磁性起源を特定するには至らなかった。


キーワード: 磁性、Au、ナノ粒子、XMCD、XAS

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2013B1287 / BL40B2
溶媒誘起結晶化現象を利用したPETボトルのエコ製造のための構造化学的根拠の探究
Structural Study of Solvent-induced Crystallization Phenomenon of PET for the Economical Production of PET Bottles
DOI:10.18957/rr.5.2.187

田代 孝二,山元 博子,吉岡 太陽,田原 大輔

Kohji Tashiro, Hiroko Yamamoto, Taiyo Yoshioka, Daisuke Tahara

豊田工業大学

Toyota Technological Institute

Abstract

 非晶性PET試料の溶媒誘起結晶化過程における階層構造発展過程を透過赤外スペクトル、広角X線回折および小角X線散乱同時・時間分解測定によって追跡し、結晶格子の形成ならびにラメラ積層構造の形成の様子を詳細に調べた。


キーワード: ポリエチレンテレフタラート、溶媒誘起結晶化現象、X線散乱、赤外分光

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2013B1364, 2014A1141 / BL40XU
科学鑑定のための単繊維片の放射光X線小角/広角散乱分析
Simultaneous Small-Angle and Wide-Angle X-ray Scattering Analysis of Single Fibers for Criminal Investigation
DOI:10.18957/rr.5.2.193

本多 定男,橋本 敬,青山 光輝,八木 直人

Sadao Honda, Takashi Hashimoto, Koki Aoyama, Naoto Yagi

(公財)高輝度光科学研究センター

JASRI

Abstract

 犯罪現場において犯人が無意識に遺留する微細証拠物件は、犯行を立証する証拠として非常に重要であるが、その中でも繊維は殺人のみならず傷害、交通事犯、迷惑防止条例違反等、極めて多くの罪種に関係している。法科学分野においては、微細な証拠であればあるほど、再鑑定の必要性から証拠物をそのまま残す非破壊的な鑑定手法が望まれる。さらに、無染色の繊維については情報が少なく、異同識別が困難となる場合がある。

 そこで、SPring-8 の放射光を利用した小角/広角散乱分析を行えば、非破壊的にナノスケールでの繊維の周期構造や配向性等に関する情報が得られるため、繊維鑑定の識別能力の向上が大きく期待できる。単繊維の標準試料等を非破壊で分析し、データバンクを構築した。


キーワード: 科学捜査、法科学、微細証拠物件、無染色単繊維、SAXS、WAXS

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2012A1068 / BL38B1

抗パクリタキセルモノクローナル抗体の抗原認識メカニズムの解析
Analysis of the Antigen Recognition Mechanism of Anti-paclitaxel Monoclonal Antibody

DOI:10.18957/rr.5.1.1

田畑 香織a, 新井 栄揮b, 田中 宏幸a, 玉田 太郎b, 森元 聡a, 黒木 良太b

Kaori Tabataa, Shigeki Araib, Hiroyuki Tanakaa, Taro Tamadab, Satoshi Morimotoa, Ryota Kurokib


a九州大学 薬学研究院, b日本原子力研究開発機構

aGraduate School of Pharmaceutical Sciences, Kyushu University, bJapan Atomic Energy Agency


Abstract

 抗パクリタキセルモノクローナル抗体のパクリタキセル認識メカニズムの解明を目的として、抗パクリタキセルFab (Fragment antigen-binding:断片抗原結合)とパクリタキセルとの複合体の結晶を調製し、続いてX線回折実験を行った。SPring-8 BL38B1にてX線回折実験を行った結果、9 Åの分解能までの低角域に数点の回折点を得ることができたものの、結晶構造を解析することはできなかった。


キーワード: パクリタキセル、モノクローナル抗体


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2012A1264 / BL41XU

ジチオナイト還元型NADH-cytochrome b5 reductaseの高分解能結晶構造解析
High-resolution Crystallography on Dithionite-reduced NADH-cytochrome b5 Reductase

DOI:10.18957/rr.5.1.4

高場 圭章, 三木 邦夫, 竹田 一旗

Kiyofumi Takaba, Kunio Miki, Kazuki Takeda


京都大学大学院理学研究科

Graduate School of Science, Kyoto University


Abstract

 NADH-cytochrome b5 reductase(b5R)はNADHからcytochrome b5(b5)へ電子を受け渡すタンパク質であり、その電子伝達機構を解明するためには活性中心に結合したFADの酸化還元状態の変化による分子構造の変化を明らかにする必要がある。本研究では、酸化型b5R結晶を還元剤ジチオナイトによって還元した結晶についてX線回折実験を行い、構造変化を検証した。


キーワード: FAD、酸化還元酵素、X線結晶構造解析


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2012B1557, 2013A1170, 2014B1458 / BL25SU

XMCD検出によるESR測定法の開拓
Development of XMCD Detection ESR

DOI:10.18957/rr.5.1.8

野尻 浩之a, Michael Bakera, 松澤 智a, 鳴海 康雄a, 中村 哲也b

Hiroyuki Nojiria, Michael Bakera, Satoshi Matsuzawaa, Yasuo Narumia, Tetsuya Nakamurab


a東北大学金属材料研究所, b(公財)高輝度光科学研究センター

aIMR, Tohoku University, bJASRI


Abstract

 磁性体の異方性を研究するための方法として用いられるESR: Electron Spin ResonanceをX線磁気円二色性分光(XMCD)と組み合わせて、表面の磁気状態を研究するための手法の開発を行った。周波数掃引方式と磁場掃引方式の2つの方法で比較実験を行い、磁場掃引方式において、磁性体表面のESR信号を35 GHzの周波数で測定出来ることを実証した。


キーワード: Electron Spin Resonance、XMCD、磁化検出ESR、表面磁性


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2012B1794 / BL25SU

Pyrrolidinedithiocarbamateにより活性化された酸化チタンの表面構造解析
Surface Structure Analysis of Activated TiO2 by Pyrrolidinedithiocarbamate

DOI:10.18957/rr.5.1.12

下村 勝a, 太田 紘志b, 松井 文彦b

Masaru Shimomuraa, Hiroshi Otab, Fumihiko Matsuib

 

a静岡大学大学院総合科学技術研究科, b奈良先端科学技術大学院大学

aGraduate School of Integrated Science and Technology, Shizuoka Univ.,

bGraduate School of Materials Science, Nara Institute of Science and Technology (NAIST)

 

Abstract

 色素増感太陽電池の陰極に使用される酸化チタン表面にPDTC (pyrrolidinedithiocarbamate)分子を吸着させ、空気中でアニールすると光電変換効率が上昇する。本研究では、ルチル型TiO2単結晶基板をPDTC湿式処理し、硫黄原子がどのように表面に取り込まれているかを評価することで、この原因究明を試みた。硫黄原子の環境については、終状態固定X線光電子分光(CFS-XPS)及びX線光電子回折(XPD)によって評価した。CFS-XPSによる深さ方向の硫黄原子の分布を調べたところ、酸化された硫黄原子は酸化チタン表面に偏析していることが判明した。この結果により、酸化チタン表面に吸着したPDTC分子中の硫黄原子がTi欠陥に入り、電荷移動を引き起こすことで増感色素の吸着量が増加すると考えられる。また、S 2p XPDの結果には、明瞭な異方性が見られなかった。


キーワード: 酸化チタン、XPS、XPD


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2012B1813 / BL20XU

Alteration of Mouse Nasal Airway Surface Mucociliary Transit by Airway Rehydrating Agents

DOI:10.18957/rr.5.1.15

Martin Donnelleya,b,c, Kaye Morgand, Nigel Farrowa,b,c, Richard Carnibellae, Rhiannon Murriee, Andreas Fourase, and David Parsonsa,b,c

 

aRespiratory & Sleep Medicine, Women’s and Children’s Hospital, North Adelaide, South Australia

bRobinson Research Institute, University of Adelaide, South Australia

cSchool of Medicine, University of Adelaide, South Australia

dSchool of Physics, Monash University, Victoria, Australia

eMechanical and Aerospace Engineering, Monash University, Clayton, Vic, 3800, Australia

 

Abstract

Cystic fibrosis (CF) is a genetic disorder that compromises the ability of the mucociliary transit (MCT) system to clear debris and pathogens from the airways. To directly assess airway health and the effects of treatments we have developed a synchrotron X-ray microscopy method that non-invasively measures the local rate and patterns of MCT behaviour. The aim of this experiment was to determine if our non-invasive local airway health assessment method could identify changes in nasal MCT rate following clinical treatments known to alter MCT.

Experiments were performed on the BL20XU beamline at the SPring-8 Synchrotron in Japan. Mice were anaesthetized, a small quantity of lead sulphide particles were delivered to the nose, and images of the nasal airways were acquired. The nasal airways were treated with hypertonic saline or mannitol to increase surface hydration and change MCT. Custom software was used to locate and track the motion of the lead particles throughout the image sequences, and to calculate individual and bulk MCT rates.

MCT rates increased following both treatments, but due to high variability there were no statistically significant differences in MCT rate between treatments. However, in future studies we hope that the improved sensitivity provided by this technique will allow us to identify useful CF lung disease-modifying therapies.


Keywords: Phase contrast, synchrotron, X-ray imaging, mouse, nose, cystic fibrosis, mucociliary transit


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2013A1284 / BL40B2

Study of Melt-Isothermal Crystallization Phenomenon of Crystalline Polymers by Utilizing a Simultaneous Measurement System of Synchrotron Wide-Angle and Small-Angle X-ray Scatterings and Transmission FTIR Spectra : Application to the Case of Polyoxymethylene

DOI:10.18957/rr.5.1.20

Kohji Tashiroa, Sreenivas Kummaraa, Hiroko Yamamotoa, Taiyo Yoshiokaa, Daisuke Taharaa, Hiroyasu Masunagab, and Noboru Ohtab

 

a Department of Future Industry-Oriented Basic Science and Materials, Toyota Technological Institute, Tempaku, Nagoya 468-8511, Japan

b Japan Synchrotron Radiation Research Institute, SPring-8, Kouto, Hyogo 679-5198, Japan

 

Abstract

Simultaneous measurement of SAXS, WAXD and FTIR spectra has been performed to clarify the hierarchical evolution in the melt-isothermal crystallization of polyoxymethylene. The derived structural change process was found to be almost common to the various kinds of polymers, suggesting a universality of the proposed crystallization mechanism.


Keywords: Simultaneous Measurement System, Wide-angle X-ray Diffraction, Small-angle X-ray Scattering, FTIR Spectra, Isothermal Crystallization, Polyoxymethylene


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2013A1409 / BL40B2

共鳴X線散乱を用いたタンパク質の変性・折畳みに於ける内部構造変化の解析
Analysis of Intramolecular Structural Change of Protein Unfolding-Folding Process by Using Resonant X-ray Scattering

DOI:10.18957/rr.5.1.27

平井 光博a, 味戸 聡a, 高橋 孝輔a, 竹内 一樹a, 木村 亮太a, 岩佐 達郎b

Mitsuhiro Hiraia, Satoshi Ajitoa, Kosuke Takahashia, Kazuki Takeuchia, Ryota Kimuraa, Tatsuo Iwasab


a群馬大学大学院理工学府, b室蘭工業大学

aGraduate School of Science and Technology, Gunma Univ., bMuroran Institute of Technology


Abstract

 タンパク質などの生体物質の機能発現・反応は、水溶媒中で行われる。そのため、様々な溶液環境下での“その場”観測が可能なX線溶液散乱法は、大変有効な手法である。我々は、第3世代放射光光源であるSPring-8のビーム特性を生かして、空間分解能250 nmから0.3 nm程度の広範囲の散乱データを測定し、タンパク質の4・3次構造からドメイン間の相関,ドメイン内部構造,2次構造領域までの構造階層に依存した構造転移などの解析が可能であることを既に報告している。本研究は、第3世代放射光光源のビーム特性と共鳴X線散乱を活用して、タンパク質分子内の特定部位間の距離相関を選択的に抽出するための新たな手法を開発する目的で実施された。本研究の推進により、希薄なタンパク質溶液においても、定性的には観測が可能であることが分かった。定量的な解析のために、さらに統計精度をあげた実験を予定している。


キーワード: タンパク質,広角散乱,共鳴散乱


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2013A1463 / BL43IR

放射光顕微赤外吸収分光法によるパターン化光架橋性高分子薄膜上に配向した液晶層の分子凝集状態評価
Analysis of Molecular Aggregation States of Liquid Crystals on Patterned Photo-crosslinking Polymer Thin Film by Synchrotron Radiation Microscopic Infrared Spectroscopy

DOI:10.18957/rr.5.1.32

檜垣 勇次a, b, 石毛 亮平a, 篠原 貴道b, 小林 大悟b, 高原 淳a, b

Yuji Higakia, b, Ryohei Ishigea, Takamichi Shinoharab, Daigo Kobayashib, Atsushi Takaharaa, b


a九州大学 先導物質化学研究所, b九州大学 大学院工学府

aInstitute for Materials Chemistry and Engineering, Kyushu Univ, bGraduate School of Engineering, Kyushu Univ.


Abstract

 液晶配向を誘起する光架橋配向性アクリレート薄膜と液晶(5CB)からなる積層膜を調製し、放射光顕微赤外分光法により、配向性基板上に塗布した液晶の配向状態評価を試みた。5CBのCN伸縮振動およびフェニル基C=C伸縮振動に由来する吸収の強度比より、光架橋配向性アクリレート薄膜の硬化による液晶積層膜の配向度の変化が観測された。パターン化基板の面内配向異方性評価に必要な、局所領域における赤外吸収スペクトルの計測は、光架橋配向性薄膜や5CB積層膜の面内不均一性により困難であった。光照射時間や光架橋配向性アクリレート組成物の組成など、硬化条件の最適化による面内不均一性の低減が課題である。


キーワード: 液晶、薄膜、光パターニング


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2013A1553 / BL13XU

Cuドープしたトポロジカル絶縁体Bi2Se3表面構造の研究
Study of Surface Structure of the Cu-doped Topological Insulator Bi2Se3

DOI:10.18957/rr.5.1.35

白澤 徹郎, 高橋 敏男

Tetsuroh Shirasawa, Toshio Takahashi


東京大学 物性研究所

Institute for Solid State Physics, The University of Tokyo


Abstract

 代表的なトポロジカル絶縁体であるBi2Se3単結晶の(111)清浄表面とCuを室温で蒸着した表面の構造を、X線Crystal Truncation Rod(CTR)散乱法を用いて調べた。Cu蒸着の前後でCTR散乱プロファイルに変化は見られず、先行報告されていたCuの蒸着による表面近傍のドーピングが本研究では見られなかった。表面構造を解析した結果、表面終端層はSe原子層であり、低エネルギーイオン散乱実験により報告されていたBiの二重層ではないことが分かった。表面格子緩和は非常に小さく、Bi2Se3表面層において0.04 Å以下であることが分かった。


キーワード: X線CTR散乱法、トポロジカル絶縁体、表面構造


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2013A4909 / BL15XU

Evaluation by HAXPES of the Chemical State of the Components of a Close-packed Array of Bi-metallic (Au-Ag) Nanoparticles on ITO

DOI:10.18957/rr.5.1.38

Francesca Pincellaa, Yoshiyuki Yamashitaa, Rosantha Kumaraa, Anli Yanga, Takao Ochiaia, Satoshi Ishimarub, Kazushi Mikia, Osami Sakataa


a National Institute for Material Science, b SPring-8 Service Co., Ltd


Abstract

 Hard X-ray Photoemission Spectroscopy was employed to investigate the elemental composition and chemical state of core-shell bimetallic nanoparticles deposited on a solid substrate. A shift in Au 4f7/2 and Ag 3d5/2 binding energies together with the change in surface elemental composition of the nanoparticles suggests that a low-temperature alloying occurs for bimetallic nanoparticles.


Keywords: metallic nanoparticles, core shell nanoparticle, plasmonics, photoemission spectroscopy


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2014A1383 / BL38B1

シグナル伝達関連タンパク質の構造解析
X‑ray Structural Analysis of Proteins Involved in Signal Transduction

DOI:10.18957/rr.5.1.45

倉谷 光央a, 馬場 清喜b, 寺田 貴帆a, 仙石 徹a, 疋田 泰士a, 半田 徳子a, 白水 美香子a, 横山 茂之a

Mitsuo Kuratania, Seiki Babab, Takaho Teradaa, Toru Sengokua, Yasushi Hikidaa, Noriko Handaa, Mikako Shirouzua, Shigeyuki Yokoyamaa

 

a国立研究開発法人理化学研究所, b(公財)高輝度光科学研究センター

aRIKEN, Institute of Physical and Chemical Research

bJASRI, Japan Synchrotron Radiation Research Institute

 

Abstract

 シグナル伝達に関わるタンパク質の構造決定を目的として、X線結晶構造解析を進めている。現状6⁃6.5 Å分解能データは得られているが、以降の解析が進展していない。そこでHAG法を結晶マウント法として用い、室温で調湿等の条件探索で結晶の質を改善できるかを検討した。次いで最適条件での凍結が結晶に与える影響を評価した。結晶の質の改善が見られなかった試料もあったが、今回は2種類の試料について結晶の質の改善が見られたので報告する。


キーワード: X線結晶構造解析、HAG法、BL38B1


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SPring-8 Section B: Industrial Application Report

2012A1746 / BL19B2
X線侵入深さ制御X線回折測定技術を用いたFeスケ-ル相変態深さ分布によるスケ-ル剥離抑制技術の検討(5)
Depth-profile Analysis of the Constituents in Iron Oxide Scale by X-ray Diffraction, Part 5
DOI:10.18957/rr.5.2.198

大塚 伸夫a,佐藤 眞直b,土井 教史a,日高 康善a,東田 泰斗a

Nobuo Otsukaa, Masugu Satob, Takashi Doia, Yasuyoshi Hidakaa, Yasuto Higashidaa

a住友金属工業(株)総合技術研究所,b(公財)高輝度光科学研究センター

aCORPORATE R&D LABS, SUMITOMO METAL INDUSTRIES, LTD.,bJASRI

Abstract

 炭素を0.05%含む純鉄を大気中700°Cで9 min加熱し鋼表面に20 μm前後の厚みの鉄スケ-ルを生成させ、450°Cで30~180 min加熱してウスタイト変態させた試料について、多軸回折装置を用いて侵入深さ一定sin2ψ法(侵入深さ各40、60、80 μm)により鉄とマグネタイトの残留応力深さ分布測定を室温でex-situに行った。未変態ならびにウスタイト変態させた試料では、どのX線侵入深さにおいても鉄に残留応力の存在が認められなかった。マグネタイト相では未変態状態の残留応力は小さいが変態スケ-ルで残留圧縮応力を示唆する結果を得た。


キーワード: X線回折,鉄スケ-ル,ウスタイト変態,残留応力測定,多軸回折計

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2012B1288 / BL14B2
白色LED用蛍光体材料の温度消光メカニズム解明(3)
Investigation of the Mechanism of Thermal Quenching of Phosphor Materials for White LED (3)
DOI:10.18957/rr.5.2.203

上田 恭太a, 本間 徹生b

Kyota Uhedaa, Tetsuo Honmab

a三菱ケミカル株式会社横浜研究所, b(公財)高輝度光科学研究センター

aMitsubishi Chemical Corporation Yokohama R&D Center, bJASRI

Abstract

 I2-Y3Al5O12:<3 mol%Ce、II-Y3Al5O12:3 mol%Ce と Lu3Al5O12:3 mol%Ce におけるCe3+の発光中心イオンが示す動径構造関数において、第1近接のピーク強度と蛍光体の発光強度維持率の温度依存性、また、第2近接のピーク強度と蛍光体の発光強度との間にそれぞれ相関が認められた。特に、第1近接のピークのデバイワーラー因子で表現されるCe3+イオン周りの局所構造の“静的乱れ”が、蛍光体の発光強度維持率の温度依存性である温度消光と強い相関を示すことが明らかになった。


キーワード: 白色LED、蛍光体、YAG:Ce、EXAFS、温度消光

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2013A1108 / BL14B2

低温XAFS測定自動化システムの開発
Application of Automatic System for Low Temperature XAFS Measurement

DOI:10.18957/rr.5.2.207

大渕 博宣, 谷口 陽介, 平山 明香, 高垣 昌史, 本間 徹生

Hironori Ofuchi, Yosuke Taniguchi, Sayaka Hirayama, Masafumi Takagaki, Tetsuo Honma

(公財)高輝度光科学研究センター

JASRI

Abstract

 低温雰囲気下におけるXAFS測定の高効率化及び利便性の向上を目的に、低温XAFS測定を自動化するプログラムを開発した。これにより、異なる測定温度が最大で10点、試料数が最大で15個の低温雰囲気下でのXAFS測定を自動で行うことが可能となった。


キーワード: XAFS、低温、自動化

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2013A1180 / BL14B2

BL14B2における遠隔XAFSシステムの構築
Development of Remote-XAFS System at BL14B2

DOI:10.18957/rr.5.2.212

高垣 昌史, 井上 大輔, 古川 行人, 本間 徹生

Masafumi Takagaki, Daisuke Inoue, Yukito Furukawa, Tetsuo Honma

(公財)高輝度光科学研究センター

JASRI

Abstract

 BL14B2において開発を進めている遠隔XAFS環境の基盤技術であるQuick XAFS、汎用モータスキャンプログラムの開発を行った。従来のローカル版Quick XAFS測定プログラムとの個別機能の比較を行い、同等のパフォーマンスを得ることが出来た。


キーワード: 遠隔実験、XAFS

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2013A1296 / BL46XU

HAXPESによるLiFSI添加電解液を用いたリチウムイオン二次電池の電極表面解析(II)
Analysis of the Electrode Surface with LiFSI-containing Liquid Electrolyte in Lithium Ion Secondary Battery by HAXPES(II)

DOI:10.18957/rr.5.2.214

平田 和久, 水野 弘之, 小畠 貴之, 久保田 是史, 栗山 明子, 伊藤 広一

Kazuhisa Hirata, Hiroyuki Mizuno, Takayuki Kobatake, Korefumi Kubota, Akiko Kuriyama, Hirokazu Ito

株式会社日本触媒

NIPPON SHOKUBAI CO., LTD.

Abstract

 LiFSIを含む電解液を用いた電池は、LiPF6のみからなる電解液を用いた電池と比較して高い高温保存特性を示した。メカニズムを解析するため通常のXPSおよびHAXPESを用いて電極の表面分析を行った。その結果、LiFSIを含む電解液を用いた電池は負極および正極にLiFSI由来の被膜を生成し、電解液の分解を抑制していることが分かった。


キーワード: リチウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、LiFSI、HAXPES、SEI

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2013A1827 / BL14B2

BL14B2における遠隔XAFSシステムの構築 (2)
Development of Remote-XAFS System at BL14B2 (2)

DOI:10.18957/rr.5.2.219

高垣 昌史, 井上 大輔, 古川 行人, 本間 徹生

Masafumi Takagaki, Daisuke Inoue, Yukito Furukawa, Tetsuo Honma

(公財)高輝度光科学研究センター

JASRI

Abstract

 BL14B2において開発を進めている遠隔XAFSシステムの基盤技術であるQuick XAFS測定、および試料搬送ロボット制御プログラムの開発を行った。従来のローカル版Quick XAFS測定プログラムと同等のパフォーマンスが得られ、測定データはウェブブラウザ経由でダウンロード可能となった。


キーワード: 遠隔実験、XAFS

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2013B1002, 2014A1002, 2014B1014 / BL40XU
マイクロX線回折によるリチウムイオン電池正極活物質の単粒子構造解析
Single Particle Structural Characterization of Cathode Materials for Lithium Ion Battery by Micro X-ray Diffraction
DOI:10.18957/rr.5.2.221

福満 仁志, 寺田 健二, 大森 美穂, 末広 省吾

Hitoshi Fukumitsu, Kenji Terada, Miho Omori, Shogo Suehiro

(株)住化分析センター 技術開発センター

Sumika Chemical Analysis Service, Ltd. Technology Innovation Center

Abstract

 リチウムイオン2次電池をはじめとした高性能蓄電池の実現を目指し、新規活物質の開発が盛んにおこなわれているが、そのためには活物質の本質的な特性を理解することが重要である。そこで電極活物質単粒子のその場(in situ)X線回折(XRD)法開発を目指し、マイクロX線ビームを用いたXRD測定を実施した。実験では専用の充放電セルを作製し、正極活物質にLiCoO2単粒子を用いたセルが電池として動作することを確認した。さらに、単粒子のXRD測定を行い、電池として電解液中に浸漬した状態でもLiCoO2単粒子の回折パターンを得ることができた。


キーワード: リチウムイオン2次電池、活物質、単粒子、XRD

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2013B1532 / BL14B2
BL14B2における遠隔XAFSシステムの構築 (3)
Development of Remote-XAFS System at BL14B2 (3)
DOI:10.18957/rr.5.2.225

高垣 昌史, 井上 大輔, 古川 行人, 本間 徹生

Masafumi Takagaki, Daisuke Inoue, Yukito Furukawa, Tetsuo Honma

(公財)高輝度光科学研究センター

JASRI

Abstract

 BL14B2において開発を進めている遠隔XAFSシステムの基盤であるMADOCAがMADOCA2に移行したのを受けて、遠隔XAFSシステムの中核技術である汎用モータ1軸スキャンプログラム「singlescan」のMADOCA2への移行を行った。また、遠隔実験用「動作制限ユニット」を介した、外部ネットワークからのBL機器の操作テストを行い、試料自動搬送ロボットの遠隔制御に成功した。


キーワード: 遠隔実験、XAFS

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2013B1713 / BL46XU
貴金属を使用しない燃料電池カソード触媒のHAXPEによる解析3
HAXPES Analysis oh Non-Platinum Cathode Catalysts for Fuel Cell part 3
DOI:10.18957/rr.5.2.227

朝澤 浩一郎a,岸 浩史a,田中 裕久b,松村 大樹c,田村 和久c,西畑 保雄c

Koichiro Asazawaa, Hirofumi Kishia, Hirohisa Tanakab, Daiju Matsumurac, Kazuhisa Tamurac, Yasuo Nishihatac

aダイハツ工業(株),b関西学院大学,c(国)日本原子力研究開発機構

aDaihatsu Motor Co., Ltd., bKwansei Gakuin University, cJAEA

Abstract

 アニオン交換膜形燃料電池に用いられるカソード触媒の成分を明確にするために、硬X線光電子分光(HAXPES)を用いた解析に取り組んだ。現在着目しているキレート触媒は中心金属に配位子が配位しており、その原料や焼成方法によって性能が大きく変化する。今回は粒子径の異なるテンプレート材から作製したFeキレート触媒の成分解析を行い、ラボXPSでは分からなかったFe組成の違いが明らかになった。


キーワード: 燃料電池、アニオン交換膜形、非白金カソード触媒、HAXPES

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2014A1794 / BL46XU
貴金属を使用しない燃料電池カソード触媒のHAXPESによる解析 4
HAXPES Analysis on Non-PGM Oxygen Reduction Reaction Electrocatalyst for Fuel Cells Part 4
DOI:10.18957/rr.5.2.230

朝澤 浩一郎a, 岸 浩史a , 田中 裕久a, 松村 大樹b, 田村 和久b, 西畑 保雄b

Koichiro Asazawaa, Hirohumi Kishia, Hirohisa Tanakaa, Daiju Matsumurab, Kazuhisa Tamurab, Yasuo Nishihatab

aダイハツ工業(株),b(独)日本原子力研究開発機構

aDaihatsu Motor Co., Ltd., bJAEA

Abstract

 非貴金属触媒であるFe系触媒の解析をHAXPESによって行い、従来から行っているFe2p、N1sの測定に加え、今回新たに取り組んだFe1sの測定によって表面構造と内部構造の違いを調べることができた。解析結果から、触媒が多層構造を形成していることが分かった。


キーワード:燃料電池、アニオン交換膜形、非貴金属カソード触媒、HAXPES

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2014B1886 / BL46XU
貴金属を使用しない燃料電池カソード触媒のHAXPESによる解析 5
HAXPES Analysis on Non-PGM Oxygen Reduction Reaction Electrocatalyst for Fuel Cells Part 5
DOI:10.18957/rr.5.2.234

岸 浩史a , 朝澤 浩一郎a, 田中 裕久a, 松村 大樹b, 田村 和久b, 西畑 保雄b

Hirohumi Kishia, Koichiro Asazawaa, Hirohisa Tanakaa, Daiju Matsumurab, Kazuhisa Tamurab, Yasuo Nishihatab

aダイハツ工業(株),b(独)日本原子力研究開発機構

aDaihatsu Motor Co., LTD., bJAEA

Abstract

 非貴金属触媒の活性要因を明確にするためHAXPESによる構造解析に取り組んでいる。今回新たに取り組んだ二元金属(FeMn)錯体触媒の測定によってFeおよびMnの錯体構造を調べることができた。解析結果から、両金属が狙いとするキレート構造を形成していることが分かった。


キーワード:燃料電池、アニオン交換膜形、非貴金属カソード触媒、HAXPES

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2015A1656 / BL40B2
皮膚保護機能を備えたストーマ開発を目指したゲル中におけるセラミドの構造解析
Structural Analysis of Ceramide in Gel Matrix, Aiming at the Development of the Stoma with a Skin Protection Function
DOI:10.18957/rr.5.2.237

高橋 浩a, 渡邊 亮太b, 神原 紀之b

Hiroshi Takahashia, Ryota Watanabeb, Noriyuki Kanbarab

a群馬大学, b(株)アルケア

aGunma University, bALCARE Co., Ltd.

Abstract

 人工肛門(ストーマ)装具の皮膚接触面の多くは、粘着性のゲル製である。この面に皮膚保護機能を持たす目的で、セラミドを配合する製法を検討してきている。皮膚がバリア機能を発揮する際には、セラミドが規則的な分子配列を取ることが必要だと指摘されている。本研究では、ゲル中のセラミドの分子配列を、小角X線回折の手法で調べた。その結果、条件によって、粘着性ゲル中でもセラミドを、皮膚における存在様式に近い分子配列にさせることが出来ると分かった。


キーワード: セラミド、ゲル、小角散乱・回折、ストーマ

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2015A1661 / BL46XU
短繊維強化樹脂複合材料のひずみ・応力分布のX線評価
X-ray Evaluation of Stress-strain Distribution in Short-fiber Reinforced Plastics
DOI:10.18957/rr.5.2.244

田中 啓介a,岩堀 恵介b, 清水 憲一a,菖蒲 敬久c,山田 大貴a,小原田 和也a,小林 大純a,長谷 光司a

Keisuke Tanakaa, Keisuke Iwahorib, Kennichi Shimizua, Takahisa Shobuc, Daiki Yamadaa, Kazuya Oharadaa, Hirozumi Kobayashia, Koji Nagayaa

a名城大学,b(株)デンソー,c(国研)日本原子力研究開発機構

aMeijo University, bDENSO Co., Ltd., cJAEA

Abstract

 炭素短繊維30 wt%で強化したPPS樹脂の射出成形平板から、繊維が一方向に配向した表面層を取りだした平板に、疲労き裂を導入し、負荷応力状態でき裂近傍の応力分布を計測した。き裂先端での母相応力の負荷にともなう増加量は、繊維配向に依存せず母相応力が疲労き裂進展を支配する物理量であることが明らかとなった。ついで、PPS、ガラス繊維、炭酸カルシウムを等量混合した3相複合材について、PPS相の応力と負荷応力との関係を求めた。射出方向の応力分配係数は炭素繊維で強化した2相複合材より大きく,複合材の構成相の違いによる相違が明確であった。


キーワード: 短繊維強化樹脂、疲労き裂、ひずみ・応力分布、き裂進展支配パラメータ

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2015B1623 / BL28B2
X線CTおよびX線回折連成によるセメントと岩の相互作用の解析
Analysis on Interaction of Cement and Rock using Integrated X-ray CT and X-ray Diffraction
DOI:10.18957/rr.5.2.250

人見 尚a,鵜山 雅夫a

Takashi Hitomia, Masao Uyamaa

a(株)大林組

aObayashi Co., Ltd,

Abstract

 高レベル放射線廃棄物処分場(以下、処分場)は大深度地下での建設が検討され、坑道の母岩とそれに接するセメント系材料に対し、セメント系材料の影響の長期予測が求められている。本課題では、予測システム構築に資する知見の取得を目的として処分場に用いられる岩盤とセメント系材料の境界についてX線CTとX線回折を組み合わせた分析を行い、鉱物の試料サイズとXRDの検出感度に関して考察し、次いでスイスより採取した花崗岩とセメントが接する試料の観察を行い、花崗岩側にはQuartzのピークを見出したが、セメント側からの作用によるCalciteの存在を確認するには至らなかった。


キーワード: 花崗岩、セメント、非破壊CTXRD連成観察、相互作用

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2015B1627 / BL46XU
高分解能X線CTを用いたセメント不使用結合材の硬化過程の解析
Observation of Temporal Changes of Non-Cementitious Binders using High Resolution X-ray CT
DOI:10.18957/rr.5.2.255

人見 尚a,鵜山 雅夫a

Takashi Hitomia, Masao Uyamaa

a(株)大林組

aObayashi Co., Ltd.

Abstract

 放射性廃棄物処分場における長期安定性の確保のためカルシウムを溶出するセメントを用いない建設用の結合材料の開発を目的として、,産業副産物を主成分とした新たな結合材について検討を行っている。特定の条件では硬化するという知見までは得られているが、その際の硬化メカニズムは未解明である。本課題では硬化体の微細組織に着目し,高分解能X線CTを用いて硬化体の微細組織の空間情報を取得した。従来の製品との硬化組織の微細構造の比較を行い、異なる組織の形成を示唆する結果を得た。


キーワード: セメント代替材、高分解能X線CT、硬化微細組織

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2015B1638 / BL40XU

マイクロビームX線散乱法を用いたヒト皮膚角層構造の深さ方向解析
The Depth Direction Structural Analysis of Human Stratum Corneum Using Microbeam X-Ray Scattering

DOI:10.18957/rr.5.2.260

久米 卓志a, 小野尾 信a, 八木 直人b, 八田 一郎c

Takuji Kumea, Makoto Onooa, Naoto Yagib, Ichiro Hattac

a花王株式会社, b(公財)高輝度光科学研究センター, c(公財)名古屋産業科学研究所

aKao Corporation, bJASRI, cNISRI

Abstract

 これまでのX線散乱法を用いた皮膚角層の構造解析では、角層の集合体からの平均情報を取り扱っていた。我々はin situに近い条件での角層の深さ方向の構造解析法として、角層以下の表皮、真皮等も含むヒト皮膚シートを用いてマイクロビームX線で走査していく方法で角層1枚中からの小角・広角散乱像を得ることに成功した。これにより角層内部の深さ方向の構造変化を解析することで、皮膚への剤の作用などの詳細な知見が得られることが期待される。


キーワード: human stratum corneum, surfactant, microbeam X-ray scattering, keratin fibril structure, intercellular lipid lamella structure

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2016A1755 / BL14B2
アニオン形燃料電池カソード触媒のXAFSによるその場測定
In-situ XAFS Measurements of Oxygen Reduction Reaction Electrocatalysts for Anion Exchange Membrane Fuel Cells
DOI:10.18957/rr.5.2.263

岸 浩史a, 坂本 友和a , 山口 進a, 松村 大樹b, 田村 和久b, 西畑 保雄b

Hirofumi Kishia, Tomokazu Sakamotoa, Susumu Yamaguchia, Daiju Matsumurab, Kazuhisa Tamurab,Yasuo Nishihatab

aダイハツ工業(株), b日本原子力研究開発機構

aDaihatsu Motor Co. Ltd., bJAEA

Abstract

 貴金属を使用しない燃料電池カソード触媒の反応機構を明確にするために、X線吸収微細構造(XAFS)のその場測定に取り組んでいる。今回、ペロブスカイト系金属酸化物触媒(La0.6Sr0.4Mn0.7Co0.3O3)の発電反応における過酸化水素(HO2)の低減要因を検証するため、in-situ XAFS測定により電位変化に対するMn、Coの配位数・価数の差異を比較調査した。Co近傍に酸素欠損が生じ、低配位数化したCoが酸素還元反応を促進させていることが分かった。当該Co近傍の酸素欠損はCoとMnのBサイトでの共存により、Coが低価数化し酸素イオン(O2-)との結合力が低下したものと考える。


キーワード: 燃料電池、アニオン交換膜形、非貴金属カソード触媒、In-situ XAFS

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2016A1775 / BL19B2
X線回折法による半導体パッケージ用熱硬化性封止樹脂/銅リード フレーム界面の残留応力解析および熱時応力変化その場解析
In-situ Residual Stress Analysis of Semiconductor Packages Comprising Thermosetting Encapsulation Resins and Copper Lead Frame under Thermal Process by X-ray Diffraction.
DOI:10.18957/rr.5.2.266

加々良 剛志, 和泉 篤士, 長島 大

Takeshi Kakara, Atsushi Izumi, Dai Nagashima

住友ベークライト(株)

SUMITOMO BAKELITE CO., LTD.

Abstract

 X線回折法による半導体パッケージ用封止樹脂/銅リードフレーム界面の残留応力評価について検討した。これまでに我々が検討してきた封止樹脂/銅箔界面の残留応力評価技術を、実際に製品化されている半導体パッケージ(実パッケージ)に近い形態の試料へ応用展開すべく、銅基板であるリードフレームに樹脂を成形した試料を用いて残留応力評価を実施した。しかしながら、リードフレームには銅結晶子配向と深さ方向への応力勾配が存在し、これらが界面残留応力の解析精度に大きく影響していることが明らかとなった。実パッケージでの評価を行うためには、リードフレーム種の選定や測定条件の最適化が今後の課題である。


キーワード: 半導体パッケージ、長期密着信頼性、界面残留応力、リードフレーム、配向

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2016B1609 / BL19B2
水素/空気二次電池用触媒の結晶構造解析
Crystal Structure Analysis of Catalysts for Metal Hydride Air Batteries
DOI:10.18957/rr.5.2.270

梶原 剛史a,夘野木 昇平a, 甲斐 拓也a,土井 修一b, 安岡 茂和a

Takeshi Kajiwaraa, Shohei Unokia, Takuya Kaia, Shuuichi Doia, Shigekazu Yasuokaa

aFDK株式会社,b(株)富士通研究所

aFDK Corporation, bFujitsu Laboratories, Ltd.

Abstract

 正極活物質に大気中の酸素を用いる次世代二次電池「水素/空気二次電池」の開発に向け、放射光粉末X線回折を用いて、酸素還元・発生の二元活性を持つBi2Ru2O7パイロクロア型酸化物触媒の結晶構造を調査した。触媒試料は、共沈法により調製した前駆体を焼成することで作製するが、共沈時に分散剤を加えた試料は結晶子サイズが小さく副生成物が減少したが、電池評価では放電電圧が低下した。


キーワード: 空気二次電池、酸素還元触媒、粉末X線回折、充放電特性

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2016B1610 / BL19B2
X線回折法による半導体パッケージ用熱硬化性封止樹脂/銅リード フレーム界面の残留応力解析および熱時応力変化その場解析2
In-situ Residual Stress Analysis of Semiconductor Packages Comprising Thermosetting Encapsulation Resins and Copper Lead Frame under Thermal Process by X-ray Diffraction. Part 2
DOI:10.18957/rr.5.2.275

加々良 剛志, 和泉 篤士, 長島 大

Takeshi Kakara, Atsushi Izumi, Dai Nagashima

住友ベークライト(株)

SUMITOMO BAKELITE CO., LTD.

Abstract

 X線回折法による半導体パッケージ用封止樹脂/銅リードフレーム界面の残留応力評価について検討した。これまでの検討より、リードフレームには銅結晶子の配向と深さ方向への応力勾配が存在し、残留応力の評価精度が課題となっていた。そこで今回はリードフレーム表面にめっき処理を施し、上記課題を解決する試料を作製し評価を行った。また光学系をソーラースリットからダブルスリットに変更することで、リードフレームを用いた実パッケージ試料の残留応力評価精度を改善することに成功した。


キーワード: 半導体パッケージ、界面残留応力、リードフレーム、めっき、ダブルスリット

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2016B1873 / BL14B2
XAFSスペクトル測定法標準化のための基礎的検討(1)
Study on Standardization of X-ray Absorption Spectroscopy (1)
DOI:10.18957/rr.5.2.280

内山 智貴a, 本間 徹生a, 大坂 恵一a, 伴 弘司b, 仁谷 浩明b, 君島 堅一b, 森本 浩行c,長谷川 孝行d, 池野 成裕e, 瀬戸山 寛之f, 岡島 敏浩f

Tomoki Uchiyamaa, Tetsuo Honmaa, Keiichi Osakaa, Hiroshi Banb, Hiroaki Nitanib, Ken'ichi Kimijmab, Hiroyuki Morimotoc, Takayuki Hasegawad, Norihiro Ikenoe, Hiroyuki Setoyamaf, Toshihiro Okajimaf

a(公財)高輝度光科学研究センター, b高エネルギー加速器研究機構, c名古屋大学,d兵庫県立大学, e(公財)科学技術交流財団, f(公財)佐賀県地域産業支援センター九州シンクロトロン光研究センター

aJASRI, bKEK, cNagoya University, dUniversity of Hyogo, eASTF, fSAGA-LS

Abstract

 本課題では、XAFSスペクトル測定手法の標準化に向けた基礎的検討を行った。入射X線のエネルギーを回折法により算出したところ、2結晶分光器の角度から計算したX線エネルギーと一致した。次に、アッテネータを用いてX線強度を定量的に変化させながらイオンチャンバーからの信号を計測し、検出器の線形性を確認した。また、標準化前のスペクトルとして5-20 keVの硬X線領域に吸収端を有する元素についてデータを取得した。


キーワード:X線吸収分光法、XAFS標準化

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2012A1019 / BL19B2

軽水炉環境下でオーステナイト系ステンレス鋼表面に成長した酸化被膜による界面近傍残留応力への影響
Skin Residual Stress Measurements by Synchrotron X-ray Diffraction in Non-sensitized 316 Stainless Steel and High Temperature Water Combination

DOI:10.18957/rr.5.1.48

渡邉 真史, 米澤 利夫, 庄子 哲雄

Masashi Watanabe, Toshio Yonezawa, Tetsuo Shoji

 

東北大学 未来科学技術共同研究センター

New Industry Creation Hatchery Center, Tohoku University

 

Abstract

 軽水炉の構造材料である非鋭敏化低炭素Type 316Lオーステナイト系ステンレス鋼冷間加工材について「鋭敏化によらない応力腐食割れ」の発生メカニズムを探る研究の一環として、酸化皮膜直下および酸化皮膜内の残留応力測定をBL19B2において課題番号2012A1019として実施した。結果を前回の課題番号2011B1024の結果と併せて総合的に比較検討することにより、非鋭敏化低炭素Type 316Lオーステナイト系ステンレス鋼冷間加工材の粒界応力腐食割れ発生のプロセスについて新たなモデルを提案した。


キーワード: 応力腐食割れ、X線回折、表面近傍残留応力、侵入深さ一定法


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2012A1294 / BL09XU

燃料電池材料に含有される極微量鉄の核共鳴散乱による状態解析
Study on Local Structure of Small Amounts of Iron Additives in Fuel Cell Electrolytes by Using Nuclear Resonant Scattering

DOI:10.18957/rr.5.1.53

嶺重 温a, 吉岡 秀樹b, 森 良平c, 梅咲 則正a, 岡田 京子d

Atsushi Mineshigea, Hideki Yoshiokab, Ryohei Moric, Norimasa Umesakia, Kyoko Okadad


a兵庫県立大学, b兵庫県立工業技術センター, c冨士色素(株), d(公財)高輝度光科学研究センター

aUniversity of Hyogo, bHyogo Prefectural Institute of Technology, cFuji-Pigment. Co. Ltd., dJASRI


Abstract

 La過剰型LSO(組成La9.333+xSi6O26+1.5x, LSO)は燃料電池用電解質として非常に有望な次世代材料であるが、La組成を過剰とした場合、化学安定性が低下し、試料が自己崩壊することが問題である。本課題では、我々が研究を進めている極微量の鉄を添加して安定化を達成したLSOについて、鉄による安定化機構を解明することを目指して核共鳴散乱(核共鳴前方散乱)による検討を行った。


キーワード: 固体酸化物形燃料電池、微量元素、状態解析


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2012A1603 / BL14B2

極微量の遷移金属不純物がセラミックスの物性に与える影響の調査

(固体酸化物形燃料電池用電解質の化学的安定性向上をめざして)
Effect of Small Amounts of Transition Metal Additives on Physical Properties of Ceramics

DOI:10.18957/rr.5.1.57

嶺重 温a, 吉岡 秀樹b, 森 良平c, 大渕 博宣d, 梅咲 則正d

Atsushi Mineshige a, Hideki Yoshioka b, Ryohei Mori c, Hironori Ofuchi d and Norimasa Umesaki d


a兵庫県立大学, b兵庫県立工業技術センター, c冨士色素(株), d(公財)高輝度光科学研究センター

aUniversity of Hyogo, bHyogo Prefectural Institute of Technology, cFuji-Pigment.Co.Ltd., dJASRI


Abstract

 燃料電池用電解質の開発を行うなかで我々は、材料の化学的安定性が極微量の遷移金属の添加によって大きく向上することを見出した。本課題では、そのような特性を支配する極微量の遷移金属の状態を明らかとするために、X線吸収微細構造解析(XAFS)を適用した。具体的には、アパタイト型固体電解質に存在する遷移金属元素の状態解析を行った。その結果、意図的に添加した鉄の大部分はアパタイト母相に置換固溶するが、ごく一部は粒界に存在し、材料の化学的安定性向上に寄与するものと推察された。


キーワード: 固体酸化物形燃料電池、微量元素、XAFS


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2012B1738 / BL19B2

レーザー衝撃を与えたアルミニウム合金のX線小角散乱
Small Angle X-ray Scattering of Laser-shocked Aluminum Alloys

DOI:10.18957/rr.5.1.62

佐野 雄二a, 柏原 亮太b, 松山 法央b, 梶原 堅太郎c, 佐野 智一b

Yuji Sanoa, Ryota Kashiwabarab, Norihiro Matsuyamab, Kentaro Kajiwarac, Tomokazu Sanob


a(株)東芝, b大阪大学, c(公財)高輝度光科学研究センター

aToshiba Corporation, bOsaka University, cJASRI


Abstract

 レーザーを照射した析出強化型アルミニウム合金のX線散乱強度を、小角散乱(SAXS)および極小角散乱(USAXS)により測定した。その結果、レーザー照射によって機械的な衝撃を与えると、散乱強度が増大することがわかった。パルス幅約8 nsのNd:YAGレーザーの照射では、散乱ベクトルqの広い範囲で散乱強度が増大した。一方、パルス幅約130 fsのTi: Sapphireレーザーの照射では、高q領域で散乱強度の顕著な増大が認められた。


キーワード: アルミニウム合金,レーザー衝撃,微細組織,SAXS,USAXS


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2012B4700, 2013A4700 / BL15XU

ラミネート型リチウムイオン電池のその場XRD測定
In-Situ XRD Study of Laminated Lithium Ion Batteries

DOI:10.18957/rr.5.1.67

加治 亘章a, 松尾 明a, 原田 大輔a, 勝矢 良雄b, 田中 雅彦b, 坂田 修身b, 伊藤 仁彦b, 久保 佳実b

Hiroaki Kajia, Akira Matsuoa, Daisuke Haradaa, Yoshio Katsuyab, Masahiko Tanakab, Osami Sakatab, Kimihiko Itob, Yoshimi Kubob


a昭和電工株式会社, b物質・材料研究機構

aSHOWA DENKO K.K., bNational Institute for Materials Science


Abstract

 リチウムイオン電池(LIB)の充放電に伴う活物質の構造変化をその場観察するために、アルミラミネート型LIBに放射光を貫通入射させるその場XRD測定系を構築した。半導体検出器を用いることにより10秒程度の露光で十分な回折データが得られることが分かった。黒鉛ハーフセルの充放電その場測定では、天然黒鉛と人造黒鉛の違いが明確に観察された。黒鉛/3元系MNC正極のフルセルでは、2 C-rateの高速充電時においても黒鉛の構造相転移が明瞭に観察できることを示した。


キーワード: リチウムイオン電池、黒鉛負極、その場XRD、3元系正極


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2012B7020 / BL33XU

XAFSによるTi系Li電池負極材料の局所構造解析
Local Structure Analysis for the Titanium Oxysulfide as an Anode Material for Li Ion Battery with XAFS

DOI:10.18957/rr.5.1.71

野崎 洋a, 堂前 和彦a, 大木 栄幹b

Hiroshi Nozakia, Kazuhiko Dohmaea, Hideki Okib


a(株)豊田中央研究所, bトヨタ自動車(株)(当時)

aToyota Central R&D Labs., Inc., bToyota Motor Corp.


Abstract

 Liイオン電池の負極材料として利用可能なTi系化合物の局所構造をXAFSで調べた。その結果、試料中のLi量に対応してTiの吸収端エネルギーが低エネルギー側にシフトし、Tiの価数が減少したことを示した。また、EXAFSスペクトルをフーリエ変換した結果から、Ti周りの局所構造はほとんど変化していないことがわかった。


キーワード: リチウム、負極、二次電池、XAFS


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2013A1328 / BL19B2

MYTHENを利用した新しい粉末回折装置開発のための技術検討

〜X線検出感度のX線エネルギー依存性〜
Study on Detecting Efficiency of 1-D Detector MYTHEN for Developing Powder Diffractometer

DOI:10.18957/rr.5.1.74

大坂 恵一a, 佐藤 眞直a, 松本 拓也b, 広野 等子c, 川瀬 守弘a, 豊川 秀訓a

Keiichi Osakaa, Masugu Satoa, Takuya Matsumotob, Toko Hironoc, Morihiro Kawasea, Hidenori Toyokawaa


a(公財)高輝度光科学研究センター, b(株)スプリングエイトサービス, cボン大学

aJASRI, bSPring-8 Service Co., Ltd., cUniversity of Bonn


Abstract

 産業利用ビームラインに導入を検討しているオンライン1次元検出器MYTHENを利用した新しい粉末回折装置の設計上、最も重要な要素のひとつである「X線検出感度」に関して、SPring-8の偏向電磁石ビームラインで粉末回折実験に利用するX線エネルギーに対する依存性を検証した。


キーワード: 粉末回折、新装置開発、自動化、高効率化、高度化


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2013A1648 / BL20B2

氷点下環境における固体高分子形燃料電池内の液水凍結挙動と素材特性のその場観測
Visualization of the Freezing Phenomena in Micro Porous Media by Using X-ray Tomography below the Freezing Point

DOI:10.18957/rr.5.1.78

大徳 忠史

Tadafumi Daitoku


秋田県立大学システム科学技術学部機械知能システム学科

Akita Prefectural University


Abstract

 氷点下環境における固体高分子形燃料電池(PEFC)の発電性能低下改善、および耐久性の向上に関連して、PFECを構成する基材の一つであるガス拡散層(GDL)およびマイクロポーラス層(MPL)に着目し、燃料電池の反応で生成される液水の凍結挙動とその凍結による機械的衝撃がGDLに及ぼす特性について調査した。GDLは一般的に直径8 μm程度のカーボン繊維からなる微細な多孔体であるため、実際の発電状態において、十分な時間および空間分解能を有して、内部の構造や含水時における微視的な液水分布および液水挙動を可視化することは一般的に難しい。また、GDLに付加したMPL基材はサブミクロンオーダーであり、凍結による機械的損傷を受けやすい可能性があるが、詳細な状況はこれまで分かっていない。本研究では、含水状態のGDL単体およびMPLを付加したGDLを用いて氷点下環境でのGDL内部の液水挙動と固-液相変化現象のex-situ実験を大型放射光施設SPring-8でX線マイクロCTを行い評価した。


キーワード: 固体高分子形燃料電池(PEFC),ガス拡散層(GDL),マイクロポーラス層(MPL),X線CT,凝固, SPring-8


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2013A1824 / BL46XU

オーステナイト系Fe-Ni-Cr-Al合金上に形成する保護性アルミナ皮膜形成に及ぼすCrの効果
Effect of Cr on Formation of Al2O3 Scale Formed on Austenitic Fe-Ni-Cr-Al Alloys

DOI:10.18957/rr.5.1.84

林 重成a, 米田 鈴枝b, 佐伯 功c, 土井 教史d, 工藤 大貴b, 戸島 勇太c, 杉谷 浩規c

Shigenari Hayashia, Suzue Yonedab, Isao Saekic, Takashi Doid, Daiki Kudob, Yuta Toshimac, Hironori Sugitanic


a北海道大学大学院工学研究院, b北海道大学大学院工学院, c室蘭工業大学材料工学科, d新日鐵住金(株)

a,bHokkaido University, cMuroran Institute of Technology, dNippon Steel & Sumitomo Metal Corporation


Abstract

 (Fe, Ni)-Cr-Al合金表面上に生成するAl2O3皮膜の生成・成長挙動に及ぼすCrの影響を構造解析により検討し、Cr添加によるAl2O3皮膜形成に必要なAl濃度の低減機構を検証した。本実験ではFeおよびCrの両者がAl2O3スケールの形成および相変態に及ぼす影響を区別し、Crの影響のみを検討するため三元系Ni-Al-Cr合金を用いた。Ni-14Al-20Cr合金表面には酸化の初期にCr2O3が生成し、その後準安定Al2O3スケールが形成することなくα-Al2O3スケールが生成した。一方、Ni-14Al合金にCrコーティングを施した試料表面には酸化の初期にCr2O3が生成するが、その後スピネル型NiCr2O4スケール→NiOが順に生成し、Al2O3スケールは生成しなかった。


キーワード: Al2O3スケール、相変態、Ni-Al合金、臨界Al濃度、in-situ高温X線回折測定


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2013B1008 / BL47XU

超高速・低温フレームを特徴とする衝撃焼結被覆技術を用いた、昇華性材料、窒化アルミニウム(AlN)溶射皮膜の気孔率評価方法の開発
Development of a Method for Measuring Porosity for Aluminum Nitride Coatings by Low Temperature High Velocity Oxygen Fuel Spraying

DOI:10.18957/rr.5.1.88

髙橋 勇一a, 石田 一成a, 河合 貴士b, 山本 亮一c, 小林 正和d, 戸田 裕之e

Yuichi Takahashia, Kazushige Ishidaa, Takahito Kawaib, Ryoichi Yamamotoc, Masakazu Kobayashid, Hiroyuki Todae

 

a群馬県立群馬産業技術センター, b群馬県東部環境事務所, c横浜国立大学, d豊橋技術科学大学, e九州大学

aGunma Industrial Technology Center, bGunma Tobu Environmental Affairs Office, cYokohama National University, dToyohashi University of Technology, eKyushu University

 

Abstract

 原料粒子を超高速に加速し基材に衝突させ、その衝撃により焼結させ成膜する技術(以下「CASP」という。)による最適皮膜特性の確立に関して、最大の研究課題は、耐プラズマ性および熱伝導性・放熱性を向上させることであり、窒化アルミニウム(以下「AlN」という。)皮膜の緻密性を向上させることに他ならない。この膜の緻密性の評価方法として、大型放射光施設であるSPring-8の結像型X線CTによる断面画像から空隙の割合を求め、この値をもとにSEM画像の2値化の閾値をチューニングするという気孔率の評価方法を開発した。


キーワード: 衝撃焼結成膜、半導体製造工程、イメージング


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2013B1537 / BL19B2

シリカ配合ゴムの時分割小角X線散乱および粘弾性同時測定による内部構造観察
Observation of Silica-filled Rubber Using Simultaneous Measurement of Time-resolved Ultra-small Angle X-ray Scattering and Viscoelastic Properties

DOI:10.18957/rr.5.1.92

三原 諭a, 網野 直也a, 菅原 優輝b, 西辻 祥太郎b, 竹中 幹人c

Satoshi Miharaa, Naoya Aminoa, Yuki Sugawarab, Shotaro Nishitsujib, Mikihito Takenakac


a横浜ゴム株式会社, b山形大学大学院理工学研究科, c京都大学大学院工学研究科高分子化学専攻

aTHE YOKOHAMA RUBBER CO.,LTD., bGraduate School of Science and Engineering, Yamagata University,

cDept. of Polymer Chemistry, Kyoto University


Abstract

 LAOS (Large Amplitude Oscillatory Shear)下における時分割超小角X線散乱/小角X線散乱測定および粘弾性の同時測定を行い、シリカ充填量の異なるゴムの内部構造変化を観察した。LAOS下では、周期ひずみに同期して散乱強度が変化した。また、シリカ体積分率の増加やシランカップリング剤未配合により、せん断ひずみ印加による散乱強度の変化に異方性が観測された。


キーワード: シリカ、凝集、分散、粘弾性


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2013B1818 / BL46XU

硬X線光電子分光法によるNi基合金不働態皮膜の非破壊深さ方向分析
Investigation of the Depth Profile of Constituent Distribution in the Passive Films of the Ni-base Alloy by Hard X-ray Photoemission Spectroscopy

DOI:10.18957/rr.5.1.97

土井 教史a, 佐藤 眞直b, 陰地 宏b

Takashi Doia, Masugu Satob, Hiroshi Ojib


a新日鐵住金(株), b(公財)高輝度光科学研究センター

aNippon Steel & Sumitomo Metal Corporation, bJASRI


Abstract

 加圧水型原子力発電プラントの一次冷却系構造材として主に使用されるオーステナイト系ステンレス鋼やNi基合金においては、一次冷却水系へ溶出するNiを低減することが急務となっている。最近、耐Ni溶出低減対策として、いくつかの表面処理法を見出しつつあるが、そのNi溶出抑制メカニズムに関しては不明な点が多い。今回は、表面処理を行っていない初期材において、その初期状態皮膜成分の金属元素の深さ分布や存在状態への理解を深めるため、HAXPESを用いた非破壊分析を実施した。


キーワード: PWR、蒸気発生器用伝熱管、HAXPES


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2014A1559 / BL28B2

非破壊CT-XRD連成法を用いた加熱したセメント硬化体の変質状況の観察
Investigation on Alteration of Hardened Cement Material due to Elevated Temperature by Non-Destructive Integrated CT-XRD Method

DOI:10.18957/rr.5.1.100

杉山 隆文, クリ ジュタン チャンドラ

Takafumi Sugiyama, Jhutan Chandra Kuri


北海道大学

Hokkaido University


Abstract

 コンクリート構造物が火災や高温加熱を受ける事例が報告されている。加熱温度によってコンクリートの変質状況は異なるが、本研究では400°Cの加熱を8時間施した硬化セメントペーストについてひび割れとセメント水和物の変質を調べた。加熱はセメント硬化体表面へ作用させるので、中心部へ向かって進むと考えられる変質状況を適切に調べるために、著者らが開発を進める非破壊CT-XRD連成法を用いた。その結果、加熱によるひび割れの発生と通水作用によるひび割れの進展を明らかにした。また、水酸化カルシウムの存在が確認された。


キーワード: 非破壊CT-XRD連成法、セメント硬化体、加熱、水酸化カルシウム、ひび割れ


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2014B1799 / BL14B2

バイオマスサンプルにおける元素形態の解析
Analysis on Elemental Form for Biomass Sample

DOI:10.18957/rr.5.1.105

日良 聡a, 上田 厚志a, 鈴木 健治a, 武田 龍二a, 沼子 千弥b

Satoru Hiraa, Atsushi Uedaa, Kenji Suzukia, Ryuji Takedaa, Chiya Numakob


a月島機械株式会社, b千葉大学大学院理学研究科

aTsukishima Kikai Co., Ltd, bChiba University


Abstract

 貯蔵中のバイオマス燃料の発熱・発火原因を究明するため、バイオマス燃料に含まれる鉄に対してK吸収端XAFS測定を行った。その結果、XAFS測定のための試料調製を大気中で行うと試料に含まれる鉄が酸化されてしまうため、本研究の目的のためには不活性ガス雰囲気下で試料の前処理を行う必要があることがわかった。また、バイオマス燃料製造過程における鉄の酸化状態の変化から、発熱防止に効果的な炭化処理条件を選定することのできる可能性を見いだした。


キーワード: バイオマス、燃料、XAFS、XANES、鉄


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2015A1729 / BL19B2

半導体パッケージ基板用樹脂の熱硬化過程における残留応力その場観察

による最適熱処理プロセス条件検討
In situ Residual Stress Analysis in Thermosetting Resins for Semiconductor Packaging Substrate during Curing Process for Investigation of their Optimum Thermal Process

DOI:10.18957/rr.5.1.110

若林 みどり, 和泉 篤士, 鈴木 咲子, 渡邊 俊明, 中井戸 宙

Midori Wakabayashi, Atsushi Izumi, Sakiko Suzuki, Toshiaki Watanabe, Hiroshi Nakaido


住友ベークライト(株)

SUMITOMO BAKELITE CO., LTD.


Abstract

 半導体パッケージ基板用樹脂/銅箔界面の残留応力について、基板用樹脂の熱硬化過程におけるその場観察を行い低温短時間硬化の影響を確認した。加熱試料台を用い、Cu(331)面のX線回折プロフィール変化を側傾法により測定、sin2ψ法により熱時の残留応力を算出した。その結果、硬化条件によって応力が異なることが分かり、半導体パッケージ基板用樹脂の低温短時間硬化の可能性を見出した。


キーワード: 残留応力解析、sin2ψ法、その場観察、半導体パッケージ、基板材料、長期信頼性、熱プロセス検討


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2015A1955 / BL19B2

半導体パッケージ基板における基板樹脂/銅箔界面の残留応力面内不均一性解析
Analysis of Spatial Inhomogeneity of Residual Stress at Interface between Substrate Resins and Copper Foils in Semiconductor Packaging Substrates

DOI:10.18957/rr.5.1.115

若林 みどり, 和泉 篤士, 鈴木 咲子, 渡邊 俊明, 中井戸 宙

Midori Wakabayashi, Atsushi Izumi, Sakiko Suzuki, Toshiaki Watanabe, Hiroshi Nakaido


住友ベークライト(株)

SUMITOMO BAKELITE CO., LTD.


Abstract

 X線回折法による熱硬化性樹脂/銅箔界面の残留応力解析手法を用いて半導体パッケージ大型基板における面内応力分布を測定した。残留応力は、Cu(331)面のX線回折プロフィール変化を側傾法で測定し、sin2ψ法により算出した。得られた面内応力分布の標準偏差は、今後大型基板の面内応力分布を評価する指標となると考えられる。


キーワード: 残留応力解析、sin2ψ法、半導体パッケージ、基板材料、長期信頼性、面内分布


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2015B1563 / BL14B2

非界面活性剤系洗浄剤のセシウム除去メカニズム
Cs Removal Mechanism by Using Aqueous Sodium Metasilicate

DOI:10.18957/rr.5.1.119

徳田 陽明a,b, 上田 義勝c, 後藤 裕d

Yomei Tokudaa,b, Yoshikatsu Uedac, Hiroshi Gotod


a京都大学化学研究所, b滋賀大学教育学部, c京都大学生存圏研究所, d(株)クレハトレーディング

aInstitute for Chemical Research, Kyoto University, bFaculty of Education, Shiga University, cResearch Institute for Sustainable Humanosphere, Kyoto University, dKureha Trading, Co., Ltd.


Abstract

 我々は非界面活性剤系洗浄剤により、不織布や土壌などからセシウムを効率的に除去できることを見いだしている。セシウムの吸着状態を明らかにし、どのようなセシウムが除去されやすいかを明らかにすれば、より高効率な洗浄剤を考案することが可能となる。そのため、土壌に吸着したセシウムのEXAFS解析を目指した。

 解析に先立って、CsのK吸収端とLIII吸収端のいずれが好ましいか検討したところ、多重電子励起の影響は両者に現れるため、LIII吸収端を用いたとしても改善しないことがわかった。また、セシウムを吸着させた後にイオン交換した土壌についての検討を行ったところ、洗浄度に応じて動径構造関数が変化することを見いだした。これはイオン交換されやすいセシウムには何らかの特徴的な構造があることを示唆した結果となった。


キーワード: セシウム,除染,構造解析


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2015B1622 / BL19B2

2次元検出器を用いた半導体パッケージ用樹脂の熱硬化過程における残留応力その場観察
In Situ Residual Stress Analysis in Resins for Semiconductor Packaging during Curing Process with 2D Detector

DOI:10.18957/rr.5.1.124

若林 みどり, 和泉 篤士, 加々良 剛志, 長島 大, 渡邊 俊明

Midori Wakabayashi, Atsushi Izumi, Takeshi Kakara, Dai Nagashima, Toshiaki Watanabe


住友ベークライト(株)

SUMITOMO BAKELITE CO., LTD.


Abstract

 X線回折法を用いた半導体パッケージ用樹脂/銅箔界面の熱時残留応力その場観察において、樹脂の熱硬化反応過程におけるより詳細な応力変化挙動を明らかとするため、2次元検出器PILATUS 300Kを用いた熱時残留応力その場観察を検討した。2次元回折像に対してsin2ψ法を適用することで、半導体パッケージ封止用熱硬化性樹脂/銅界面の残留応力変化の観察に成功した。ビームサイズおよび露光時間の最適化による評価時間を短縮することは今後の検討課題である。


キーワード: 半導体パッケージ、長期信頼性、熱硬化過程、残留応力測定、2次元検出器


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2015B1637 / BL19B2

加振状態下での小角X線散乱その場観察によるフィラー凝集構造変化とゴムの振動伝達特性との相関
In-situ SAXS Study on Relationship between Structure Change of Aggregates of Fillers in Rubber Materials under Vibration State

DOI:10.18957/rr.5.1.128

高松 成亮a, 矢島 高志a, 山本 勝宏b

Shigeaki Takamatsua, Takashi Yajimaa, Katsuhiro Yamamotob

 

a住友理工株式会社, b名古屋工業大学

aSumitomo Riko Co. Ltd, bNagoya Institute of Technology

 

Abstract

 カーボンブラック(CB)で補強されたゴムの粘弾性特性に対するCBの分散構造の影響を調査した。CBと混錬した架橋ゴム(以下ゴムと省略)において、ブタジエンゴム(BR)末端に官能基を導入した変性BR(XBR)をブレンドすることで歪振幅増大に伴う貯蔵弾性率の低下が抑制されていることが確認されている。このメカニズムを解明するため、CB補強ゴムに微振幅加振(0.05–1.3%)を与え、加振状態でのCB分散状態でBL19B2において超小角X線散乱(USAXS)測定を行った。得られたデータの解析では、加振方向(θ //)と加振に対して垂直方向(θ)に分けて、静的な状態の散乱プロファイルとの比較を行った。その結果、XBRを配合したゴムのθ //方向におけるq = 0.005–0.01 nm−1において、散乱強度が上昇し、q = 0.01 nm−1より大きい領域では、散乱強度が減少した。一方、θ方向では全体的に散乱強度の低下が確認された。XBRを配合していないものは、θ//、θ方向ともに散乱強度の上昇が認められなかった。以上の結果より、歪振幅増大による貯蔵弾性率の低下抑制に対してq = 0.005–0.01 nm−1における加振方向でのCB分散構造変化に着目することが重要であることがわかった。


キーワード: ゴム(rubber),補強材(reinforcing material),静的ばね定数(static spring constant),動的弾性率(dynamic modulus),ペイン効果(Payne effect)


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2015B1885 / BL19B2

X線イメージングによる石炭/コークスの3次元内部構造解析
Three-dimensional Internal Structure Analysis of the Coal/Coke by X-rays Imaging

DOI:10.18957/rr.5.1.134

西原 克浩a, 畑中 翔輝a, 村尾 玲子a, 林崎 秀幸a, 佐藤 眞直b

Katsuhiro Nishiharaa, Shohki Hatanakaa, Reiko Muraoa, Hideyuki Hayashizakia, Masugu Satob


a新日鐵住金株式会社, b(公財)高輝度光科学研究センター

aNippon Steel & Sumitomo Metal Corporation, bJASRI


Abstract

 汎用電気炉を用いて作製した強度の異なるコークスについて、単色X線CT測定を行った結果、白色X線CT測定で確認された気孔、鉱物や灰分などに加えて、密度差が小さく、骨格となる炭素組織構造の分布に起因する吸収コントラストが確認された。乾留処理時に軟化溶融しにくい石炭組織や脈石成分と共に、コークスの強度による明瞭な違いが観察された。


キーワード: 石炭、コークス、X線イメージング、X線CT、非破壊/3次元内部構造解析


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2015B1894 / BL19B2

石油増進回収技術への応用を目的とした塩添加による油-鉱物の二相界面における吸着構造変化の解明
Elucidation of Absorption Structure Change on Oil-mineral Interface by Adding Salt for Enhanced Oil Recovery

DOI:10.18957/rr.5.1.138

村田 澄彦a, 立山 優a, 杉山 俊平a, 村松 玲奈a, 岡本 直樹a, 草薙 和也a, 久保田 歩a, 三野 泰之b, 坂下 貴史b, 中野 正則c,

梁 云峰a, 松岡 俊文d, 廣沢 一郎e

Sumihiko Murataa, Yu Tateyamaa, Shumpei Sugiyamaa, Reina Muramatsua, Naoki Okamotoa, Kazuya Kusanagia, Ayumi Kubotaa, Yasuyuki Minob, Takafumi Sakashitab, Masanori Nakanoc, Yunfeng Lianga, Toshifumi Matsuokad, Ichiro Hirosawae


a京都大学, b(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構, c石油資源開発(株), d(公財)深田地質研究所, e(公財)高輝度光科学研究センター

aKyoto University, bJOGMEC, cJAPEX, dFGI, eJASRI


Abstract

 石油増進回収技術の一つである低濃度塩水攻法の油回収機構の解明を目的として、白雲母とオレイン酸の油-鉱物二相界面に対して、塩水(1.0 wt%のNaCl水溶液)の注入前後において20 keVの入射X線エネルギーでX線CTR散乱法の測定を行い、同界面における塩水の注入に伴う吸着構造の変化を調べた。その結果、塩水注入前には低角領域でCTR信号の振動が観測され、オレイン酸の吸着層の存在が示唆された。一方、塩水注入後にはその振動が不明瞭になり、塩水の注入によってオレイン酸の吸着が緩和されたことが示唆された。今後、このデータを元に界面近傍の電子密度分布の解析を行い、液相分子の界面近傍への集積と吸着について詳細な検討を行う。


キーワード: 油-鉱物界面,石油増進回収,X線CTR散乱法,白雲母,オレイン酸


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2015B1899 / BL19B2

2次元検出器を用いた半導体パッケージ用樹脂の熱硬化過程における残留応力その場観察2
In-situ Residual Stress Analysis in Resins for Semiconductor Packaging during Curing Process with 2D Detector, Part 2

DOI:10.18957/rr.5.1.141

若林 みどり, 和泉 篤士, 加々良 剛志, 長島 大

Midori Wakabayashi, Atsushi Izumi, Takeshi Kakara, Dai Nagashima

 

住友ベークライト(株)

SUMITOMO BAKELITE CO., LTD.

 

Abstract

 X線回折法を用いた半導体パッケージ用樹脂/銅箔界面残留応力のその場観察において、樹脂の熱硬化反応過程におけるより詳細な応力変化挙動を明らかとするため、2次元検出器PILATUSを用いた熱時残留応力その場観察を検討した。sin2ψ法を適用しビームサイズを最適化した残留応力評価により従来の測定時間を1/4に短縮化することに成功した。また、高信頼性樹脂と低信頼性樹脂の間で熱時応力変化挙動が異なることを明らかにした。


キーワード: 半導体パッケージ、長期信頼性、熱硬化過程、残留応力測定、2次元検出器


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2016A1685 / BL14B2
XAFSを用いた硫酸水溶液中におけるチタンイオンの溶液構造解析
Structural Analysis of Titanium Ion in Sulfuric Acid Solutions by XAFS.
DOI:10.18957/rr.5.1.145

鶴村 達也a, 矢木 一範a, 亀田 恭男b

Tatsuya Tsurumuraa, Kazunori Yagia, Yasuo Kamedab


aテイカ(株), b山形大学

aTAYCA CORPORATION, bYamagata University


Abstract

 硫酸法による二酸化チタン製造過程で生成する硫酸-チタン水溶液中のTi(IV)イオンの溶液構造を調査するため、硫酸濃度を変更した硫酸-チタン水溶液を作製し、XAFS(X-ray absorption fine structure)測定を行った。XANESの結果から、硫酸濃度を変更することでTi(IV)イオンの配位構造が変化していることを示唆する結果を得た。Ti-K吸収端のEXAFS振動の結果も同様に硫酸濃度の変更に伴うスペクトルの変化が確認された。EXAFS振動k3χ(k)のFourier変換(k=3.0-7.0 Å-1)により求めた動径構造関数より、硫酸濃度の増加に伴い、最近接Ti-Oピーク強度の増加と結合距離が短くなっており、錯体種の変化や配位子の変換、Ti-O配位結合距離の変化が起きていると推察される。


キーワード: 硫酸-チタン水溶液、XAFS、溶液構造解析、配位構造


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SPring-8 Section C: Technical Reports

2012A1799 / BL37XU
放射光蛍光X線によるエフェドリン類に含まれる微量元素分析
Trace Elemental Analysis of Ephedrines Using Synchrotron Radiation X-Ray Fluorescence Spectrometry
DOI:10.18957/rr.5.2.285

牧野 由紀子

Yukiko Makino

(公財)高輝度光科学研究センター

JASRI

Abstract

 エフェドリン類(l-ephedrine and/or d-pseudoephedrine)は、覚醒剤メタンフェタミンの密造原料として利用されているが、国際的に流通している正規の医薬品である。覚醒剤原料エフェドリン類と製品である覚醒剤に含まれる微量無機元素との比較を目的として、放射光蛍光X線分析によるエフェドリン類に含まれる微量無機元素について分析を実施した。

 覚醒剤結晶に対して、放射光蛍光X線分析法を用い、多数の無機元素を非破壊で検出することにより、密造法による特徴的な無機元素を見出すことは、現時点では難しいことが判明した。


キーワード: 科学捜査、乱用薬物、覚醒剤プロファイリング、エフェドリン類、蛍光X線分析

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2013A1896 / BL14B2
BL14B2における遠隔XAFSプログラムの開発
Development of Remote-XAFS Program at BL14B2
DOI:10.18957/rr.5.2.288

高垣 昌史a, 井上 大輔a, 古川 行人b, 本間 徹生a

Masafumi Takagakia, Daisuke Inouea, Yukito Furukawab, Tetsuo Honmaa

a(公財)高輝度光科学研究センター・産業利用推進室・産業利用支援グループ、b同・制御・情報部門・機器制御グループ

aIndustrial User Support Group, Industrial Application Division, JASRI,  bEquipment Control Group, Controls and Computing Division,JASRI

Abstract

 BL14B2において開発を進めている遠隔XAFS環境の基盤技術であるQuick XAFS測定プログラム「QXAFS」が完成した。初版は透過配置モードのみに対応する。従来のローカル版Quick XAFS測定プログラムに比べ、処理速度の向上と高い安定性を確保することができた。


キーワード: 遠隔実験、XAFS

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Section SACLA

2012A8013,2012B8010,2013B8023 / BL3

XFELにおける電子-イオンコインシデンス分光法の開拓
Development of Electron-Ion Coincidence Spectroscopy for XFEL

DOI:10.18957/rr.5.2.291

松田 晃孝a, 伏谷 瑞穂a, 遠藤 友随a, 樋田 裕斗a, 彦坂 泰正b, 菱川 明栄a

Akitaka Matsudaa, Mizuho Fushitania, Tomoyuki Endoa, Yuto Toidaa, Yasumasa Hikosakab, Akiyoshi Hishikawaa

a名古屋大学, b富山大学

aNagoya University, bUniversity of Toyama

Abstract

 X線強レーザー場における原子分子の非線形光学応答の理解を目的として、XFELにおける電子−イオンコインシデンス分光法の開拓を行った。磁気ボトル型分光器を用いたコインシデンス計測系を導入し、Ar/Ne混合ガスを標的として評価を行った。与えられた実験条件下で、XFELによって生成したAr L殻およびNe K殻空孔の崩壊に伴うオージェ電子と、対応するイオン種 (Arp+,Neq+) の全コインシデンス事象における真のコインシデンス事象は98%程度と見積られ、本分光法の有用性が示された。


キーワード: XFEL、磁気ボトル型分光器、コインシデンス分光

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その他

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