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Volume 26, No.3 Pages 272 - 273

4. SPring-8/SACLA通信/SPring-8/SACLA COMMUNICATIONS

SPring-8利用制度の変更について
The New Type of Proposals in SPring-8 Public Beamlines

(公財)高輝度光科学研究センター 利用推進部 User Administration Division, JASRI

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SPring-8

 

 SPring-8の供用開始から20年以上が経過し、利用者層も当初の放射光利用の専門家から、産業界を含む幅広い層へと拡大して参りました。これまで、SPring-8の利用制度は利用者層の拡大による多様なニーズを踏まえつつ、新しい利用制度を次々と追加する形で拡充してきました。今般、利用者にとって使いやすい利用制度とすることを目的とし、産学官の多様な利用者の積極的な利用を促し、科学技術の国際競争力の向上や様々な社会問題の解決など、社会に対する一層の貢献を行うことを主眼として、2022A期より、SPring-8の利用制度を一部変更いたします。具体的な課題申請方法等の詳細は、SPring-8 User Informationホームページの課題募集ページ(https://user.spring8.or.jp/?p=22799)をご覧ください。また、長期利用課題、パートナーユーザー課題、課金制度のありかた、募集の頻度など、今後も引き続きビームラインの再編計画をにらみながら見直しの議論を継続して参ります。

 

 

1. 緊急課題の改正について
 現行の緊急課題は、「公共的かつ緊急性を有する極めて重要な研究」を対象として運用してきました。
 現在、世界的な新型コロナウイルス感染症の感染拡大や近年脅威が現実化している気候変動など、様々な社会問題を解決するための研究開発や国際的な競争分野において、国民の関心が極めて高く、科学技術分野への貢献、社会・経済への寄与が極めて高い研究プロジェクトに対して、先端的基盤研究施設として即時に対応していく必要性が高まっております。
 そこで、上記に記載したような研究開発に対して即時に利用できる機会をユーザーに提供することにより、より一層の科学技術分野及び社会・経済への貢献を目指し、緊急課題を「緊急・特別課題」に改称し、利便性を高めます。
【対象ビームライン】
 共用ビームライン26本、ビームタイムの一部を共用に供する理研ビームライン11本
【利用方法】
 成果:成果公開利用(成果公開義務あり)
 応募:随時受付

審査:一般審査項目に加え、緊急性・重要性、または国民の関心度、社会・経済への寄与度、即時利用の必要性を審査

 

 

2. テストユース課題(仮称)の設定について
 SPring-8の利用を促進し、新しいニーズの開拓を目的として、以下の利用ニーズに対応する利用研究課題を設定します。

・SPring-8における測定の可否判断または測定条件の検討等を目的とした利用

・課題実施後の追加データ取得のための利用(博士後期課程の最終年度の追加実験等)

【対象ビームライン】
 対象となるビームライン・装置は今後設定
【利用形態】
 応募:時期指定(随時受付)1時間単位
    (但し、1課題4時間以下)応募要件なし
 審査:技術審査、安全審査のみ実施
 利用料:9万円/h(時期指定課題の利用料金と同額)
 成果:成果公開義務なし

 

 本課題は、これまでの産業利用準備課題を他の共用ビームライン、理研ビームラインの共用枠にも拡大するものです。また、時期指定成果専有利用課題の最短応募シフトを、1時間単位で可能とするものです。チャレンジングな内容についても実施いただけます。名称については、決定次第公募要項にてお知らせいたします。

 

 

3. 大学院生提案型課題(長期型)の設定について
 大学院生が自由な発想でテーマ設定を行う大学院生提案型課題において、有効期間を博士後期課程の期間と連動する1年~3年とするカテゴリーを新たに設定することにより、学生教育のための安定且つ計画的なビームタイムを確保する機会を提供し、施設の利用研究を通じた人材育成の推進に資することを目的とする大学院生提案型課題(長期型)を設定します。なお、現行の利用期毎に募集する大学院生提案型課題は継続されます。
【対象ビームライン】
 共用ビームライン26本、ビームタイムの一部を共用に供する理研ビームライン11本
【配分ビームタイム】

1ビームラインあたりビームライン全体の10%を上限とする(1課題につき1利用期あたり9シフト程度、1ビームライン3課題程度を想定)

【有効期間】
 1年~3年間(博士後期課程の期間に応じて設定)
【課題審査】
 選定委員会の下に「大学院生審査委員会」を設置
 一般審査項目に加え、長期の研究目標、研究計画が明確に定められているかを審査

 

<注>以上のうち、対象ビームライン、ビームタイム配分割合等は2022A期公募時の予定であり、その他の事項を含め今後変更する可能性があります。

 

 

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[ - Vol.15 No.4(2010)]
Online ISSN 2187-4794