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Volume 01 ,No.1 Pages 36 - 37

4. SPring-8/SACLA通信/SPring-8/SACLA COMMUNICATIONS

SPring-8利用研究課題審査委員会を終えて
Report on the Proposal Review Committee (PRC) of SPring-8

有馬 孝尚 ARIMA Taka-hisa

SPring-8利用研究課題審査委員会 委員長/東京大学/理化学研究所 University of Tokyo / RIKEN

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SPring-8

 

1.はじめに
 2023 年4月から2025年3月にかけての2年間、SPring-8利用研究課題審査委員会(Proposal Review Committee、以下PRC)の委員長を務め、2023B期~2025A期の課題審査を担当させていただきました。以下に、この2年間の審査を振り返り、概要と感想を簡単に述べます。

 

 

2.PRCでの審査に関して
 PRCは、SPring-8選定委員会のもとに設置された委員会で、一般利用研究課題の審査を担っています。なお、大学院生提案型課題(長期型)の審査は別の委員会(大学院生利用審査委員会)で行われるため、PRCが審査対象としている大学院生提案型課題には含まれません。現在、SPring-8では、年2回募集(各年度A期とB期)を行うビームラインと年6回募集(A期とB期のそれぞれについて第I期から第III期まで)を行うビームラインがあります。PRCは、年2回募集のビームラインの応募課題と年6回募集のビームラインの第I期の応募課題についてはハイブリッド会議で審査を行っています。年6回募集のビームラインにおける各期第II期と第III期の応募課題については、メール審議を行っています。
 応募課題について専門的な審査を行うために、PRCのもとには、散乱回折、分光・分光イメージング、イメージング、非弾性散乱、構造生物学、産業利用、人文・社会科学、その他(持込装置利用)という8つの分科会が設置されています。このうち、散乱回折分科会と分光・分光イメージング分科会は、対応する研究分野が広く審査すべき課題の数も多いため、以下のように複数のチームに分かれた審査体制を引いています。

 

散乱回折分科会
 小角・広角散乱、X線回折(単結晶)、X線回折(粉末)、X線回折(汎用・構造評価)、X線回折(高圧)

 

分光・分光イメージング分科会
 汎用XAFS・汎用MCD、先端X線分光、光電子分光、赤外分光

 

 

 応募のあった一般課題と大学院生提案型課題については、まず、原則4名の学識者によるレフェリー審査が行われます。これと並行して、施設側で安全審査と技術審査が行われます。分科会は、これらの審査結果を踏まえて各専門分野としての総合的な審査を行い、シフト配分素案を作成します。各分科会(散乱回折分科会と分光・分光イメージング分科会については各チーム)の主査、および、施設側委員から構成されるPRCは、各分科会で議論された内容に関する情報を共有すると共に、全体のシフト配分案を決定し、SPring-8選定委員会に上程します。
 2023B期から2025A期の間、年2回のハイブリッド会議で扱った一般課題と大学院生提案型課題の採択数/応募数は、469(32)/706(69)、418(31)/638(58)、500(37)/715(68)、422(42)/645(70)と推移しています。ここで、( )内は大学院生提案型課題の数を内数で示しています。また、年6回募集のビームラインにおける2023B期から2024B期の間の第II期と第III期の推移は、76(7)/131(17)、80(11)/136(16)、87(9)/128(24)、67(8)/109(22)、84(13)/146(22)、66(7)/128(15)となっています。第I期、第II期、第III期を合わせると、半年ごとにおよそ900の課題応募があり、そのうち600程度が採択されているという状況です。
 PRCでは、より良い課題を選定するために、研究動向や審査のあるべき姿についても議論します。例えば、この2年間では、装置持込課題への配分シフト上限に関する議論が行われています。施設がなるべく大きな成果を上げるためには装置持込課題にどの程度の上限を設定すべきかは、容易には答えの出ない問題です。また、いくつかのビームラインについては、採択率が低い状態が常態化しています。SPring-8-IIの整備に向けたビームラインのアップグレードにも関係していることから、引き続き、状況を注視する必要があります。
 最後になりましたが、PRC委員の皆様には活発なご議論をいただき、心より感謝申し上げます。また、委員会の議事が円滑に進むように万全の準備をしていただいた事務局に感謝いたします。

 

 

 

有馬 孝尚 ARIMA Taka-hisa
東京大学 大学院新領域創成科学研究科
〒277-8561 千葉県柏市柏の葉5-1-5
TEL : 04-7136-3805
e-mail : arima@k.u-tokyo.ac.jp

 

理化学研究所 創発物性科学研究センター
〒351-0198 埼玉県和光市広沢2-1
e-mail : takahisa.arima@riken.jp

 

 

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