ページトップへ戻る

Volume 15, No.3 Pages 236 - 237

6. 告知板/ANNOUNCEMENTS

最近のSPring-8関係功績の受賞
SPring-8 Related Achievements

pdfDownload PDF (16 KB)

 

※功績が認められ最近受賞されたSPring-8利用者等を掲載しています。

 

 

第42回(平成22年)市村学術賞 貢献賞

主催:(財)新技術開発財団

受賞者 上原 宏樹
群馬大学 大学院工学研究科 准教授
ビームライン BL40B2
受賞テーマ インプロセス計測技術による高分子材料の高性能化・高機能化
研究内容 従来、高分子材料の成形加工条件の最適化は、製品主導の技術開発によって進められてきました。しかしながら、現在のように、技術トレンドの変化に対応して迅速なグレード変更が求められる場合、網羅的に加工条件を変えて、その物性を測定する方法では小ロット・多品種の小口生産に対して限界があります。受賞者は、高分子材料の成形加工工程で起こる構造・物性発現メカニズムを、SPring-8・シンクロトロン放射光X線源を用いてリアルタイムで計測し、従来のトライ・アンド・エラーに頼った成形条件の最適化をテーラー・メード化する技術を開発しました。
受賞理由 これらの計測技術・成形技術により、分子鎖同士が高度に絡み合った超高分子量ポリエチレンあるいはポリテトラフルオロエチレンを溶融非晶状態から超延伸し、分子鎖絡み合いの低減と分子配向(異方性)の導入を同期的に行うことで高度に分子鎖が配列した構造が得られることを見出しました。本技術は高強度フィルム・繊維の商品化に寄与するとともに、インプロセス計測可能な二軸延伸装置を実用化することで、大面積膜の高性能化・高機能化を達成しています。また、様々な高分子材料の成形条件を最適化してナノポーラス構造膜やイオン伝導膜を得ることにも成功しています。これらは体内埋め込み型グルコースセンサー隔膜や電解質膜等として国内外の複数の機関と共同研究開発中であり、今後、新規の医療・福祉デバイスや次世代型燃料電池・リチウムイオン電池等への展開が期待出来ます。

 

 

2009年度Polymer Journal論文賞-日本ゼオン賞

主催:高分子学会

受賞者 寺尾 憲
大阪大学 理学研究科 助教
ビームライン BL40B2
受賞テーマ Solution Properties of Amylose Tris (Phenylcarbamate): Local Conformation and Chain Stiffness in 14-Dioxane and 2-Ethoxyethanol
研究内容 アミロースおよびその誘導体は置換基や結晶化の手法によって主鎖軸方向に異なる長さを持つらせん構造が取ることが知られている。このことを利用すると、溶液中におけるアミロース誘導体のらせん構造もその分子の長さから見積もることが可能である。希薄溶液に対する小角X線散乱法から分子鎖長が得られることは古くから知られているが、小角領域から中角領域にわたる精度の高い散乱関数が必要となるため、実際に決定された例は限られる。受賞者らはBL40B2のピンホールコリメーション光学系を2次元検出器と組み合わせた装置を用いて、アミローストリス(フェニルカルバメート)誘導体について広い散乱角にわたる高精度の散乱関数を得た。このデータを光散乱や粘度、赤外吸収や円二色性のデータを組み合わせて解析し、溶液中で主鎖軸方向には幾分縮んだらせん構造を持つこと、分子内水素結合により剛直な鎖として分散していることを明らかにした。
さらに受賞者らは、この手法を他のアミロース誘導体-溶媒系に応用することによって、溶媒分子の水素結合に伴うフェニルカルバメート誘導体鎖の伸長・剛直化挙動[Biopolymers, 91, 729, (2009), Macromolecules, 43, 5779 (2010)]、ブチルカルバメート誘導体(ATBC)のへリックス―コイル転移に類似した溶媒誘起コンホメーション変化の発見[Macromolecules, 43, 1061, (2010)、Polymer, 51, in press (2010)]などの成果を得た。
受賞理由 以上のように、本論文では、アミロース誘導体等の一部の多糖誘導体の溶液中の形態を理解する上で、経路長と剛直性を実験的に分離評価することが不可欠であることを明確に示した。さらに、経路長が主鎖のらせん構造を反映していることを利用すると、らせん構造の変化をグローバルコンホメーションの物理量から検出できることを示しており、これらの内容はPolymer Journal論文賞・日本ゼオン賞に値するものと認められた。

 

※ 市村学術賞貢献賞受賞の上原宏樹准教授の記事はSPring-8利用者情報 Vol.15 No.4 (2010年11月号)に掲載予定です。

※ 2009年度Polymer Journal誌論文賞-日本ゼオン賞受賞の寺尾憲助教の記事はSPring-8利用者情報 Vol.15 No.4 (2010年11月号)に掲載予定です。

 

 

Print ISSN 1341-9668
[ - Vol.15 No.4(2010)]
Online ISSN 2187-4794