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Volume 14, No.2 Pages 77 - 80

1. SPring-8の現状/PRESENT STATUS OF SPring-8

2009B 重点産業利用課題の募集について
Call for 2009B Industrial Application Proposals

登録施設利用促進機関(財)高輝度光科学研究センター A Registered Institution for Promoting Synchrotron Radiation Research, JASRI

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 2009B期(平成21年10月〜平成22年3月)における重点産業利用課題について、以下の要領でご応募ください。なお、産業利用に特化した3本のビームライン、BL14B2、BL19B2およびBL46XUは2009B期をさらに2期に分けて募集します。この3本のビームラインについては2009B第1期(平成21年10月〜同年12月中旬)に利用される課題を募集します。

 

 

1. 重点産業利用課題について

 「重点産業利用課題」が領域指定型の重点研究課題として、平成19年1月26日に重点領域推進委員会で指定を受けました。

 SPring-8を含む先端大型研究施設における産業利用の更なる促進を目的に、平成17年度(2005B期)より文部科学省のプログラムとしてSPring-8戦略活用プログラムが実施されて支援体制の整備が進み、利用実績も増加すると共に産業利用推進室の活動も軌道に乗りました。今後、継続的に産業界での活用を推進し、一層の成果を生み出すため、平成19年度(2007A期)以降、SPring-8における重点研究課題として産業利用領域を指定しました。これは、ここで中断することなく継続的に支援活動を推進する趣旨であります。

 また、我が国の科学技術政策の柱となる第3期科学技術基本計画の「社会・国民に支持され、成果を還元する科学技術」の中で、科学技術の成果をイノベーションを通じて社会に還元する努力を強化することが謳われています。SPring-8では、大学、国立試験研究機関、独立行政法人などの公的部門と民間企業という枠を越えた産官学連携の推進と、それに基づいた産業利用の推進と成果の社会への還元が期待されています。そこで、産業界にとって有効な利用手法の開発が産官学連携により積極的に展開されるとの観点から、「重点産業利用課題」では民間企業のみならず、大学等の公的部門からの応募も受け入れるものとします。

 

 

2. 公募の分類

 本プログラムで募集する課題は「新規利用者」、「新領域」、「産業基盤共通」と「先端技術開発」の4つに大別します。

 

● 「新規利用者」:申請代表者が、これまで、一般課題への応募などを含め、SPring-8を利用したことのない利用者を指します。但し、事業規模が相当程度大きく事業範囲が多岐に及ぶ企業で、これらの企業が既に利用している場合には、既に利用している事業分野とは異なる新規分野からの新たなユーザーであれば、「新規利用者」として認めます。なお、「新規利用者」として応募をお考えの方は、事前に「11. (2)SPring-8相談窓口」にご連絡いただくようお願いします。

 

● 「新領域」:申請者の利用経験に関係なく、これまでSPring-8で実施されたことがない産業領域、あるいは、近年開発された新手法を用いることによって新たな展開が可能になる産業領域を指します。新領域の例を下記に示しますが、これ以外でも新規性が認められる研究領域であれば、新領域の対象になります。

 例1:コンクリート等建築資材(三次元内部構造をX線CTによる撮影)

 例2:ヘルスケア(毛髪や皮膚の構造をX線回折・散乱および透視画像で解析)

 例3:医薬品原薬(粉末X線回折による構造解析)

 例4:高エネルギー光電子分光法(薄膜材料の内部界面の状態解析)

 例5:環境負荷物質微量分析(大気・水などの重金属汚染物質の化学状態)

 例6:耐腐食構造材(金属材料の表層やサビの構造・状態分析)

 例7:高密度記録装置(DVDやHDD等の新規記録材料の薄膜構造・状態分析)

 

● 「産業基盤共通」:それぞれの産業分野に共通する課題を解決する目的、あるいは産業利用に有効な手法の共同開発を目的として、複数の企業を含むグループが一体となって取り組むもので、新計測技術の確立、共通課題のデータベース化等を図る研究を指します。申請代表者が複数の企業を含むグループを取りまとめて、1つの課題として申請していただきます。ここでいう「複数の企業」とは、それぞれ参加する企業が同等かつ独立に成果を利用できる関係にあることを想定しています。また、産学官連携の研究グループによる利用の場合には、学と官は「複数の企業」とはカウントされません。

 

● 「先端技術開発」:ユーザーが実施するイノベーション型の技術開発課題で、成果の企業業績への貢献、あるいは社会還元を目指した研究を指します。応募分類がご不明の場合には、適宜「11. (2)SPring-8相談窓口」にご連絡いただければ対応します。

 

 なお、分類の趣旨に従って審査されますが、分類間の優先度は特にありません。

 注:本プログラム各分類間(「新規利用者」「新領域」「産業基盤共通」「先端技術開発」)での重複申請、および一般課題、重点ナノテクノロジー支援課題および拡張メディカルバイオ課題との重複申請はできません。

 

 

3. 利用時期、対象ビームライン、およびシフト数

 利用時期、募集の対象となるビームライン、シフト数(1シフト=8時間)および運転モードを以下に示します。

(1)2009B期(平成21年10月〜平成22年3月)を対象とするもの

 下記に示す12本のビームラインの利用時期は、平成21年10月〜平成22年3月にシフトを割当てます。各課題の具体的利用時期は採択後に調整します。

ビームライン 供給ビームタイム
[1シフト=8時間]
BL02B2 粉末結晶構造解析 12シフト
BL17SU 理研 物理科学 III 12シフト
BL20B2 医学・イメージング I 12シフト
BL20XU 医学・イメージング II 15シフト
BL25SU 軟X線固体分光 18シフト
BL27SU 軟X線光化学 12シフト
BL28B2 白色X線回折 9シフト
BL37XU 分光分析 12シフト
BL40B2 構造生物学 II 24シフト
BL40XU 高フラックス 18シフト
BL43IR 赤外物性 12シフト
BL47XU 光電子分光・マイクロCT 18シフト

 

(2)2009Bの第1期(平成21年10月〜同年12月中旬)を対象とするもの

 産業利用ビームラインI、IIおよびIIIは利用期を2回に分けて年4回の締め切りを設けています。今回の応募分は、平成21年10月〜同年12月中旬にシフトを割当てます。各課題の利用時期は、採択後に調整します。

ビームライン 手法、装置 供給ビームタイム
[1シフト=8時間]
産業利用 I
(BL19B2)
粉末回折装置、多軸回折計、X線イメージングカメラ、
極小角散乱、蛍光X線分析
123シフト
産業利用 II
(BL14B2)
XAFS 123シフト
産業利用 III
(BL46XU)
多軸X線回折計、薄膜構造評価用X線回折計、
硬X線光電子分光装置
123シフト

 

 また、ビームライン・ステーションの整備状況はSPring-8ホームページの「ビームライン一覧」(トップページ>クイックリンク>ビームライン情報>ビームライン一覧)でも提供していますので、不明な点はそれぞれのビームライン担当者にお問い合わせください。ビームラインを選ぶ際には「SPring-8利用事例データベース」(トップページ>利用事例&研究成果)もご活用ください。

 

(3)2009B〜2010A期を対象とする1年課題

 産業利用ビームラインI(BL19B2)、II(BL14B2)およびIII(BL46XU)における「新領域」、「産業基盤共通」、および「先端技術開発」を対象として、1年にわたる計画的利用により研究開発が着実に進むなど、1年を通して複数回実験を行うことに重要な意味がある1年課題を募集します。B期前半(第1期)から始まり後半(第2期)、A期前半(第1期)および後半(第2期)にビームタイムをあらかじめ配分します。なお1年課題の募集はB期のみでA期には募集しません。

 また、ビームライン・ステーションの整備状況はSPring-8ホームページの「ビームライン一覧表」(トップページ>ご利用の皆様へ>ご利用経験のある方へ>ビームライン情報>ビームライン一覧と検索)でも提供していますので、不明な点はそれぞれのビームライン担当者にお問い合わせください。ビームラインを選ぶ際には「SPring-8利用事例データベース」(トップページ>ご利用の皆様へ>初めてご利用をお考えの方へ>利用事例データーベースのご紹介)もご活用ください。

 

(4)運転モード

 運転モードは一般利用研究課題と同じですので、本誌66ページ一般利用研究課題の「3. (3)運転モード」を参照してください。

 

 

4. 申請方法

 Webサイトを利用した電子申請となります。以下のUser Informationウェブサイトから申請してください。下書きファイルトップページ>課題申請/利用計画書>利用計画書トップページ)をご用意しておりますので、共同実験者やコーディネーターとの打ち合わせにご利用ください。

 

 User Information : https://user.spring8.or.jp/

 トップページ>ログイン>課題申請/利用計画書>課題申請/利用計画書作成

 

 併せて本誌66ページの一般利用研究課題の「4. 申請方法」を参考に申請手続きを行っていただきます。『成果の形態および課題種』の選択画面で“成果を専有しない”をチェックし、「重点産業利用課題」を選択してください。

 また、重点産業利用課題枠が応募多数で選定されなかったときに、一般課題として受け入れ可能であった場合、一般課題として採択されることを望まれる方は申請書「1. 研究課題名(日本語)」の最後に[一般課題可]と記述してください。なお、一般課題として採択される場合は後で説明する「報告書等公開延期申請」はできません。

 

● 申請書作成上のお願い

 1年課題

 B第1期から始まりA第2期までシフト配分を行う1年課題を希望する場合は申請書形式選択ページで“1年課題”を選んでください。

 

 

5. 応募締切

   平成21年6月25日(木)

    午前10時JST(提出完了時刻)

 

 電子申請システムの動作確認はしておりますが、予期せぬ動作不良等の発生も考えられます。申請書の作成(入力)は時間的余裕をもって行っていただきますようお願いいたします。

 Web入力に問題がある場合は「11.問い合わせ先(1)」へ連絡してください。応募締切時刻までに連絡を受けた場合のみ別途送信方法の相談を受けます。

 

 

6. 申請受理通知

 申請が完了し、データが正常に送信されれば、受理通知と申請者控え用の誓約事項のPDFファイルがメールで送られますので、確認してください。メールが届かない場合は申請が受理されていない状態になっており、申請ページでエラーがでている、または「提出」操作を行っていない可能性がありますので、必ず確認してください。

 

 

7. 審査について

 課題の選考は、学識経験者、産業界等の有識者から構成される「利用研究課題審査委員会」(以下「課題審査委員会」という。)により実施されます。課題審査委員会は、「重点産業利用領域」として領域指定された趣旨に照らして優秀と認められる課題を選定します。審査は非公開で行われますが、申請課題との利害関係者は当該課題の審査から排除されます。また、課題審査委員会の委員は、委員として取得した応募課題および課題選定に係わる情報を、委員の職にある期間だけでなくその職を退いた後も第三者に漏洩しないこと、情報を善良な管理者の注意義務をもって管理すること等の秘密保持を遵守することが義務付けられています。なお、審査の経過は通知いたしませんし、途中段階でのお問い合わせにも応じられませんので、ご了承ください。

 審査は以下の観点に重点を置いて実施します。

 (i)科学技術における先端性を有すること

 (ii)産業利用上の成果創出に資すること

 (iii)課題分類の趣旨に合致すること

 (iv)研究手段としてのSPring-8の必要性

 (v)実験内容の技術的な実施可能性

 (vi)実験内容の安全性

 なお、一年課題として申請されても審査の結果2009B第1期のみの配分がふさわしいと判断された場合は、2009B第2期以降にビームタイムは配分されず、通常課題としての採択となります。

 

 

8. 審査結果の通知

 審査結果は、申請者に対して、平成21年8月中旬に文書にて通知します。

 

 

9.成果公開について:報告書提出と報告書公開延期申請

 SPring-8を利用して得られた解析結果および成果は、以下の利用報告書に取りまとめて提出していただきます。

(1)利用報告書

 利用終了日から60日以内にUser Informationウェブサイトからオンライン提出してください。

 

(2)重点産業利用課題報告書

 課題採択後に利用業務部より送付される文書に記載しております締切日までに提出してください。なお、提出方法は「電子データ(原則としてMSワード)」を電子メールまたは郵送で所定の宛先に提出していただきます。

 前述の報告書のうち利用報告書は、2009B期終了後60日目から2週間後にWeb公開します。「重点産業利用課題報告書」は印刷公表とします。ただし、提出した上記2つの報告書に関して、利用者が製品化や特許取得などの理由により公開の延期を希望し、SPring-8ホームページ(トップページ>お知らせ>アナウンス>重点産業利用課題の利用報告書等の公開日延期について)に示す所定の手続きにより認められた場合には、上記2つの報告書と共に公開を最大2年間延期することができます(2つの報告書自体は、締切日までに必ず提出していただきます)。公開延期期間満了時には、公開延期理由の結果・成果の報告をしていただきます。

 利用報告書の提出数がある程度まとまった段階で、利用報告会を開催しますので、公開延期が認められた課題を除き、SPring-8が開催する報告会での発表をお願いいたします。

 また、SPring-8を利用して得られた成果に関しては、成果公開を延期中のものを含めて、特許出願、特許取得、製品化につながった場合は、速やかにその概要を報告していただきます。

 SPring-8の対外的なPR等のため、成果の使用について別途ご相談させていただくことがあります。

 

 

10. その他

(1)消耗品の実費負担について

 利用実験において実験ハッチにて使用する消耗品の実費(定額分と従量分に分類)について、共用ビームタイムを利用する全ての利用者にご負担いただきます。

 

 定額分:10,300円/シフト(利用者別に分割できない損耗品費相当)税込

 従量分:使用に応じて算定(液体ヘリウム、ヘリウムガスおよびストックルームで提供するパーツ類等)

 

 なお、2009B期において外国の機関から応募される課題につきましては、消耗品費実費負担分の支援します。消耗品実費負担に対応する利用方法の詳細につきましてはSPring-8ホームページの「SPring-8における消耗品実費負担に対応する利用方法の詳細について」(トップページ>お知らせ>アナウンス)をご覧ください。

 

(2)知的財産権の帰属

 課題実施者がSPring-8を利用することによって生じた知的財産権については、課題実施者に帰属します。

 なお、JASRIスタッフが共同研究者として実施している場合は、ご連絡ください。JASRIスタッフの発明者としての認定につきましては、ケース毎に判断します。

 

(3)生命倫理および安全の確保

 生命倫理および安全の確保に関し、申請者が所属する機関の長等の承認・届出・確認等が必要な研究課題については、必ず所定の手続きを行っておく必要があります。なお、以上を怠った場合または国の指針等(文部科学省ホームページ「生命倫理・安全に対する取組」を参照)に適合しない場合には、審査の対象から除外され、採択の決定が取り消されることがありますので注意してください。

 

(4)人権および利益保護への配慮

 申請課題において、相手方の同意・協力や社会的コンセンサスを必要とする研究開発または調査を含む場合には、人権および利益の保護の取り扱いについて、必ず申請前に適切な対応を行っておいてください。

 

(5)次回2009B期第2期利用時期(平成22年1月下旬~同年3月下旬)の応募締切

 平成21年10月下旬をめどに実施する予定です。

 

 

11.問い合わせ先

(1)課題Web申請について

  〒679-5198 兵庫県佐用郡佐用町光都1-1-1

  財団法人 高輝度光科学研究センター 利用業務部

  TEL:0791-58-0961 FAX:0791-58-0965

  e-mail:sp8jasri@spring8.or.jp

 

(2)SPring-8相談窓口

 「このような研究をしたい」という要望から、SPring-8の必要性、手法の選択や具体的な実験計画の作成にいたるまで、ご相談を受付け、コーディネーターを中心に課題申請のご支援をさせていただきます。

  〒679-5198 兵庫県佐用郡佐用町光都1-1-1

  財団法人 高輝度光科学研究センター 産業利用推進室

  TEL:0791-58-0924

  e-mail: support@spring8.or.jp

 

 

Print ISSN 1341-9668
[ - Vol.15 No.4(2010)]
Online ISSN 2187-4794