Volume 14, No.1 Page 54
4. 告知板/ANNOUNCEMENTS
最近のSPring-8関係者の受賞
Awards Related by SPring-8 Staff
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日本物理学会は、将来の物理学を担う優秀な若手研究者の研究を奨励し、学会をより活性化するために平成19年よりこの賞を設けた。
受賞者紹介
渡部 貴宏 財団法人高輝度光科学研究センター 加速器部門 研究員
功績名:シード光増幅型自由電子レーザーにおけるSUPERRADIANT発振の観測
渡部氏は、平成20年2月までアメリカのブルックヘブン国立研究所の放射光(NSLS)部門に勤務しており、この研究はNSLSにおいて行った研究の功績である。
この研究のキーワードである「スーパーラディアンス」とは、自由電子レーザー(FEL)の世界において1980〜90年代に理論的に予測されていた特殊な非線形現象(通常のFELでは起きない現象)である。この現象が、現在SPring-8で進められているXFELと同様のシステム「single-pass FEL」において、ある特殊な条件下で起きることを初めて観測し、予測されていた通りFEL光が自ら短パルス化していくなどの特異な現象を確認した。また、同様の現象を3次元シミュレーションによって再現し、実験との整合性について比較検討を行った。
この成果は、現在SPring-8で進められているXFEL、特に昨今注目を浴びはじめているシード光増幅型FELにおいて重要な知見を与えるものであり、今後このスキームが応用されていく可能性を秘めている。これらの功績が高く評価され、今回の受賞となった。
授賞式は平成21年3月27日から30日まで行われる日本物理学会第64回年次大会において行われる予定である。