Volume 12, No.2 Pages 138 - 167
1. SPring-8の現状/PRESENT STATUS OF SPring-8
SPring-8利用者アンケート等(平成18年9月実施)の結果について
On the Questionnaire Survey to the SPring-8 Users
1.はじめに
財団法人高輝度光科学研究センター( 以下「JASRI」)では昨年9月に、
①SPring-8共用ビームライン利用者に対するWebアンケート
②SPring-8専用ビームライン設置者に対する質問
を実施しました。この場をお借りし、これらアンケート等にご協力いただいた方々に厚く御礼申し上げます。①においては、現在JASRIが行っている利用研究課題選定及び利用支援に関する事項に加え、共用ビームライン利用に関する要望や、平成14年9月に国(科学技術・学術審議会・研究計画・評価分科会)においてとりまとめられました「大型放射光施設(SPring-8)に関する中間評価報告」の提言に対する施設側の対応状況について、利用者各位の満足度・要望を調査しました。なお、今回と同様のWebアンケートを過去2回(平成14年2月及び平成16年6月)に実施し、回答率(有効回答数/E-mail有効送信数)はそれぞれ27%、24%でしたが、今回は37%と高い率になりました。これは、昨今のSPring-8の運営状況に関し、利用者の皆様の関心が非常に高くなっていることの表れと思われます。
また、②においては、専用ビームラインの活用状況や施設側に対する要望・意見等について質問票の形で調査しました。このような専用ビームライン設置者への組織的な調査は過去行ったことはなく、今回初めての試みとなりました。
2.実施方法等
①SPring-8共用ビームライン利用者に対するWebアンケート
○対象者 2004B~2006A利用期の共用ビームライン利用研究課題申請者等4,021人
※申請課題採択者(実験責任者及び共同実験者)、不採択者(実験責任者のみ)のいずれも含む
※海外申請者及び国内外国人申請者を除く
○実施方法
・全対象者に対しE-mailで回答依頼
・回答は無記名
・Web上による回答方式
○質問数 全35問(うち、選択形式20問、記述形式15問)
○回答数等
・E-mail有効送信数 3,494人
・有効回答数 1,299件
・回答率 37.2%
②SPring-8専用ビームライン設置者に対する質問
○対象者 平成18年9月時点の専用ビームライン全設置者(全8機関又は団体/全14ビームライン)
○実施方法 設置者ごとに質問票に回答
○質問数 全7問(全て記述形式)
○回答数 全設置者より回答
3.アンケート等結果
①の「SPring-8共用ビームライン利用者に対するWebアンケートとりまとめ結果」につきましては、本稿140ページから162ページを、②の「SPring-8専用ビームライン設置者に対する質問票とりまとめ結果」につきましては、同163ページから167ページをご覧ください。
4.アンケート等を終えて
今回のアンケート等結果からは、主にJASRIがこれまでに行ってきた制度又は施策の満足度等について、概ね良好であることが確認できました。また、平成14年9月の中間評価の提言を受けた対応についても、その有用性について概ね高い評価をいただいているものと思われます。
一方で、年々増加・多様化しつつある利用ニーズへの対応に関し、今後施設側で検討すべき具体的な事項が多々あることも浮き彫りになったと思われます。特に、
○利用リソース(ビームライン又はビームタイム)に対する強い逼迫感
○支援等の一層の拡充(多様化)及び充実への強い要望
○評価又は定義付けが難しい「SPring-8を利用した成果の質」
については、昨今の大きな課題であることを施設側として認識しているところですが、SPring-8を取り巻く昨今の様々な事情等により、十分に対応できていない部分があることもまた事実であると認識しております。
今後、本アンケート等結果を踏まえ、より一層優れた多くの利用研究成果創出を最大限促進するための利用制度・支援体制等の在り方を検討するとともに、今後も定期的にアンケート等を行い、多様化・高度化する利用者の皆様のご要望をとりまとめて、適宜、施策等に反映したいと存じます。