Volume 12, No.2 Pages 129 - 130
1. SPring-8の現状/PRESENT STATUS OF SPring-8
2005A採択長期利用課題中間評価について
Interim Review of 2005A Long-term Proposals
2000B期(平成12年10月~平成13年1月)から開始した特定利用課題は、2003B期(平成15年9月~平成16年2月)から重点研究課題を導入するのに合わせて長期利用課題と改称し、実施しています。
今回は2005A期に採択となった課題の中間評価の実施結果を報告します。
〔課題名〕 Measurements of SuperRENS Optical Memory Material Properties
〔実験責任者名〕 Paul Fons((独)産業技術総合研究所)
〔採択時課題番号〕 2005A0004-LX-np (BL01B1 )、2006A0011(BL39XU)
〔ビームライン〕 BL01B1、BL39XU
〔評価結果〕 3年目を実施する
〔分科会での評価コメント〕
本研究の目的は、静的XAFS解析と動的XAFS解析を中心にして、光ディスク材料であるSuper-RENSの結晶構造変化および記録機構を解明することである。前者のマイクロビーム静的解析については、光強度・温度・圧力依存のXAFS実験がほぼ完了し、Super-RENSの記録機構が当初予想とは異なるアモルファス-結晶間の相変化によるものであることがわかってきた。後者の動的XAFS解析の最終目標は、その相変化を測定スポット径2ミクロン、時間分解ナノ秒オーダーで追うことにより、ディスクの記録作用メカニズムを明らかにすることである。現状は、時分割XAFS測定を1回試みた段階ではあるが、すでに以下の意義深い結果を得ている。すなわち、Ge2Sb2Te5合金に対し、Ge K吸収端で数ミクロン径のビームを使い500psでの最初のXAFSデータを得ており、アモルファス相から励起相に変化する時にGe-Te結合距離が励起により短くなることを観察している。このように、ダイナミクスが観察可能となってきており、2年度目の残りの実験では更なる成果も期待されている。また、ultra-fastpump-probe実験の改良をはじめとする装置面での工夫も順調に進んでいる。本研究は記憶ディスクの読み書きに伴う構造変化機構を検証する挑戦的なテーマであり、高度な時分割実験にまで到達する一定の方向性が見えてきた。以上のことから、本課題に対しては、3年目を実施することで貴重な成果が得られると大いに期待する。
〔成果リスト〕:論文名の前の数字はSPring-8研究成果番号
[1]未登録 A.V.Kolobov, P.Fons, J.Tominaga, A.Frenkel, A.L.Ankudinov and T.Uruga: “Understanding the phase-change mechanism of rewritable optical media”
Nature Materials, 3(2004)703-708.
[2]10008 A.V.Kolobov, J.Haines, A.Pradel, M.Ribes, P.Fons, J.Tominaga, Y.Katayama, T.Hammouda and T.Uruga: “Pressure-Induced Site-Selective disordering of Ge2Sb2Te5 ; A New Insight into Phase-Change Optical Recording”Physical Review Letters, 97(2006)035701.
[3]10009 P.Fons, A.V.Kolobov, D.Brewe, E.Stern and J.Tominaga: “Understanding Structural Changes in Phase Change Memory Alloys”Materials Research Society Symposia Proceedings, 0918-H04-01(2006)918.
[4]8904 P.Fons, A.V.Kolobov, J.Tominaga and Y.Katayama: “High-pressure Induced Structural Changes in Metastable Ge2Sb2Te5 Thin Films ; An X-ray Absorption Study” Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section B, 238 (1-4)(2005)160-162.
[5]未登録 W.Welnic, A.Pamungkas, R.Detemple, C.Steimer, S.Blugel and M.Wuttig: “Unravelling the interplay of local structure and physical properties in phasechange materials”Nature Materials, 5(1)(2005)56-62.