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Volume 11, No.2 Pages 53 - 71

1. SPring-8の現状/PRESENT STATUS OF SPring-8

第17回(2006A)利用研究課題の採択について
The Proposals Accepted for Beamtime in the 17th Public Use Term 2006A

放射光利用研究促進機構 (財)高輝度光科学研究センター 利用業務部 Organization for the Promotion of Synchrotron Radiation Research / User Administration Division, JASRI

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 財団法人高輝度光科学研究センター(JASRI)では、利用研究課題選定委員会による利用研究課題選定の結果を受け、以下のように第17回共同利用期間(2006A)における利用研究課題を採択した。


1.募集及び選定・採択日程

〔募集案内・募集締切〕

(長期利用課題)

 平成17年9月26日 長期利用課題の公募について

          SPring-8ホームページに掲示

     10月26日 長期利用課題募集締切り

(一般課題および重点領域課題)

 平成17年10月4日 一般課題、および重点ナノテクノロジー支援課題の公募についてSPring-8ホームページに掲示

          利用者情報(Vol.10,No.5,2005.9)に掲載

          前期よりWebサイトを利用した電子申請システムとなっている

 平成17年11月15日 一般課題、および重点ナノテクノロジー支援課題募集締切り

          (午前10時利用業務部必着)

〔一般課題、重点領域課題、および長期利用課題の課題選定および採択・通知〕

 平成17年10月29日~11月7日 長期利用分科会による長期利用課題の書類審査

     11月11日 長期利用分科会による長期利用課題の面接審査

 平成17年12月16日 ナノテク支援課題選定委員会による重点領域課題審査

     12月19日~20日  分科会による一般課題審査

     12月20日     第39回利用研究課題選定委員会による課題選定

 平成18年1月18日  機構として採択し、応募者に結果を通知


2.公募状況

 今回の公募では、一般利用研究課題の応募として600件、重点研究課題の応募として326件、これらを合わせた総応募件数として926件の課題応募があり、過去3番目の応募数であった。採択件数については、一般利用研究課題の採択として463件、重点研究課題の採択として246件、これらを合わせた総採択件数として709件となり過去最高の採択数となった。第1回から今回の公募までの応募課題数及び採択課題数を表1に示す。表1の応募・採択のデータをグラフ化して図1に示す。図1において、これまで採択件数は第12回(2003B)の621件をピークにして、第13回(2004A)の595件、第14回(2004B)の562件、および第15回(2005A)の547件と減少件数として33件から15件の範囲で毎年漸減してきていたが前回(第16回:2005B)にSPring-8戦略活用プログラムが新たに導入されたことにより過去最高の624件と盛り返し、今回(第17回:2006A)さらに709件と過去最高を更新した。

 また、今期で6回目となる重点研究課題の内、重点領域指定型については表2に示す通り3領域で課題を公募した。但し、重点タンパク500課題については今回採択された課題を重点タンパク500シフト枠(252シフト)内で個別に調整して実施1ヶ月前までにシフト配分を確定する従来通りの方式で実施する予定である。また、平成17年度後半より新たに文部科学省が「先端大型研究施設戦略活用プログラム」を立ち上げSPring-8においても2005B期と2006A期3月分を「SPring-8戦略活用プログラム」として初めて課題募集をしたので、これを重点領域指定型としている(但し、本SPring-8戦略活用プログラムは今回平成18年度前半分として2006A期の4月分以降を公募したので、この部分の説明は本号の別項で紹介する)。表2では、一般利用研究課題についても内訳を示している。



表1 利用研究課題公募履歴





図1 各公募時における応募課題数と採択課題数



表2 第17回公募(2006A)の一般利用研究課題と重点研究課題の内訳




 ここ数年、1年の前半の共同利用期間(A期)では応募が少なく、反対に後半(B期)では大幅に増加する傾向が続いているが、連続する2回の公募状況を足し合わせ1年単位でまとめてみるとこれまで増加を続けていたのが1年前で初めて頭打ち傾向となった。最近5年間分を以下のリストに示すが、第16回+第17回は再び応募課題数および採択課題数共に増加している。これは、SPring-8戦略活用プログラムが新たに導入されたことによる一時的なものと考えられ、産業利用関係の課題の平均シフト数が学術利用関係の課題の平均シフト数より少ないことで採択課題数が増加していると思われる。今後新しい共用ビームラインが増えて一般課題のシフト枠が増えることがなければ、再び頭打ち状態もしくは重点研究課題が増えればむしろ減少する可能性もあると思われる。


                   応募課題数  採択課題数

第16回+第17回(平成17年9月~18年7月) 1,899       1,333

第14回+第15回(平成16年9月~17年8月) 1,764       1,109

第12回+第13回(平成15年9月~16年7月) 1,710       1,216

第10回+第11回(平成14年9月~15年7月) 1,484       1,035

第8回+第9回 (平成13年9月~14年7月) 1,262       977


3.利用期間と利用対象ビームライン

 これまで、年間の前期と後期の共同利用の利用時間に長短のアンバランスが通常以上に大きくなることを緩和することに努めてきた。今回は特にスケジュール上問題がないので、2006A期は平成18年3月の第1サイクルから第4サイクルまで(平成18年3月から平成18年7月まで)とし、この間の放射光利用時間は約279シフト(1シフトは8時間)となっている。このうち共同利用に供されるビームタイムは共用ビームライン1本あたり225シフトとなる。

 今回の募集で対象としたビームラインは一般課題とこれまでの重点課題に対しては総計36本で、その内訳は、共用ビームライン25本(R&Dビームライン1本を含む)とその他のビームライン11本(理研ビームライン6本、日本原子力開発機構ビームライン4本、及び物質・材料研究機構ビームライン1本)であった。


4.採択結果

 今回の採択結果は、一般利用研究課題と重点研究課題を合わせた総件数では応募926件に対し採択709件であった。今回の共同利用の対象としたビームライン毎の応募・採択課題数、課題採択率、採択された課題の配分シフト数、平均シフト数を表3にまとめて示す。また、SPring-8戦略活用プログラムの2006A期分(2回に分けて募集・採択されているものをまとめた)は別枠にしてある。この内、採択された全課題から重点タンパク500課題(シフト枠は252シフト)を除く615件の配分シフト数は表3に示すように合計で4,951シフトであった。また、これらの課題の平均シフト数は8.1であり前回の8.8よりやや少なかった。

 重点研究課題の内「重点ナノテクノロジー支援」は、今回、応募課題数96件に対して採択課題数が59件で採択率61%となり、一般利用研究課題の成果非専有課題における平均採択率72%より厳しくなっている。また、「重点タンパク500」は、今回採択された課題を重点タンパク500シフト枠(252シフト)内で個別に調整して実施1ヶ月前までにシフト配分を確定する方式で実施する。



表3 2006A期におけるビームラインごとの採択状況




 今回の一般課題、および重点ナノテクノロジー課題の応募課題数と採択課題数を、研究分野と実験責任者の所属機関別にまとめたものを表4-1に示す。なお、重点タンパク500課題は全応募課題を実施シフト枠(今回は252シフト)の範囲内で調整して実施する方式を採用しているので、採択率等を示すときは基本的に除外して示す。SPring-8戦略活用プログラムにおける応募課題数と採択課題数を、分科会分野と実験責任者の所属機関別にまとめたものを表4-2に示す。SPring-8戦略活用プログラムは産業利用を中心に考えているので、前回最初の応募・採択では産業利用と学術利用との間では採択率に際だった違いが出ていたが、今回は採択率では大きな違いは出ていない。但し、応募数では産業利用が圧倒的に多かった。

 長期利用(通常課題の実施有効期限が6ヶ月(一部分科会では1年課題もある)であるのに対し、3年間にわたって計画的にSPring-8を利用することによって顕著な成果を期待できる利用)では、表2に示すように今回の公募で1件の応募があり1件が採択された。なお、審査は外部の専門家を含む長期利用分科会での書類審査、及び面接審査の2段階で行われた。

 成果専有利用としては、表2に示すように産業界から11件と国立研究機関等から7件の合計で18件の応募があった。前回は、SPring-8戦略活用プログラムが新たに導入されたために一般利用研究課題枠が窮屈になり、成果専有利用課題の応募が22件と大幅に増加したが、今回の成果専有利用課題の応募は従来のレベルに戻る方向で減少した。なお、これらの課題については公共性・倫理性の審査と技術的実施可能性及び実験の安全性の審査が行われ全件採択された。

 萌芽的研究支援は、将来の放射光研究を担う人材の育成を図ることを目的として、萌芽的・独創的な研究テーマ・アイデアを有する大学院学生を支援するものである。平成17年度の2005A期から放射光を利用する萌芽的研究支援による利用研究課題を一般利用研究課題の成果非専有課題に含めて募集・採択している。大学院学生が実験責任者として応募できる初めての試みであるが、課題の選定はあくまで他の一般利用研究課題と同じ扱いで選定されている。2006A期は応募28件に対して採択は18件で採択率が64%となり前回の採択率(47%)より高くなった。



表4-1 2006A期応募課題数と選定課題数:研究分野と機関分類


(一般課題と重点ナノテクノロジー課題)




表4-2 SPring-8戦略活用プログラムの2006A期応募課題数と採択課題数


(分科会別に機関別分類)




5.産業界の利用

 産業界の利用としては、今回も前回同様SPring-8戦略活用プログラムで産業利用が大幅に取り入れられているので表4-1の機関分類における産業界利用と表4-2の産業利用分科会の利用を加えて見てみると、応募175件、採択が121件となり採択率は75%と前回と同程度となっている(前回は、応募167件、採択が125件となり採択率は69%)。また、利用されるビームラインも表3から明らかなように合計23本と前回と同じとなっている。


6.課題選定審査における留意点

(1)これまでと同じく、平和目的の確保、一般利用研究課題の占める割合が全放射光利用時間の50%以上となること、選定した課題について高いシフト充足率を確保すること、および挑戦的な課題の確保を念頭においた審査を行った。

(2)生命科学分野の留保ビームタイムは、2本のビームラインを合わせて12シフト確保した。

(3)成果の審査へのフィードバックについては、2005A期からの試行に引き続き今回も同様の方法で試行した。今回も産業利用分科は見送りとしたが、他分科の実施結果はdV値がマイナスの課題は審査課題数の0.4%(前回は1%)で、dV値がプラスの課題は審査課題数の3.6%(前回は5%)であった。今回も、論文を発表していない申請者はさらに減少していると思われる。

(4)「実験技術、方法等分科」は今回も休止したが、他の分科でレフェリー審査を行い特に問題は生じなかった。

(5)BL43IR(赤外物性)の一般利用研究課題とBL22XU(JAEA量子構造物性)の重点ナノテクノロジー課題は採択課題の合計シフト数が配分可能シフト数より少なかったので、それぞれ追加募集をすることとなった。


7.採択課題

 表5-1~表5-5に今回採択された利用研究課題の一覧を示す。表5-1は一般利用研究課題の分であり、表5-2~表5-5は重点研究課題の分である。


 詳しくは、PDFファイルをご参照下さい。



Print ISSN 1341-9668
[ - Vol.15 No.4(2010)]
Online ISSN 2187-4794