Volume 10, No.5 Pages 327 - 328
1. SPring-8の現状/PRESENT STATUS OF SPring-8
SPring-8運転・利用状況
SPring-8 Operational Status
◎平成17年5~8月の運転・利用実績
SPring-8は5月11日から6月13日まで5週間連続運転モード(セベラルバンチ運転)で第4サイクルの運転、6月14日から8月5日まで8週間連続運転モード(セベラルバンチ運転)で第5サイクルの運転を実施した。第4~5サイクルでは落雷による停止、電磁石電源の故障、クライストロン電源の故障等による停止があったが順調な運転で、総放射光利用運転時間(ユーザータイム)内での故障等による停止時間(down time)は約1.67%であった。
放射光利用実績については、実験された共同利用研究の課題は合計684件、利用研究者は3295名で、専用施設利用研究の課題は合計252件、利用研究者は1046名であった。
1.装置運転関係
(1)運転期間
第4サイクル(5/11(水)~6/13(月))
第5サイクル(6/14(火)~8/5(金))
(2)運転時間の内訳
運転時間総計 約2038時間
①装置の調整及びマシンスタディ等 約362時間
②放射光利用運転時間 約1648時間
③故障等によるdown time 約28時間
総放射光利用運転時間(ユーザータイム=②+③)に対するdown timeの割合 約1.67%
(3)運転スペック等
①第4サイクル(セベラルバンチ運転)
・203 bunches
・10/84-filling+73 bunches
・入射は1分毎にTop-Upモードで実施
・蓄積電流 8GeV、~100mA
②第5サイクル(セベラルバンチ運転)
・11-bunch train×29
・2/21-filling+18 bunches
・203 bunches
・入射は1分毎にTop-Upモードで実施
・蓄積電流 8GeV、~100mA
(4)主なdown timeの原因
①クライストロン電源の故障に伴うアボート
②電磁石電源の故障に伴うアボート
③RF-BPMによるアボート
④落雷によるアボート
(5)トピックス
①7月7日の14時半頃に落雷による瞬時電圧低下により、蓄積リングの一部の電磁石電源がダウンしRF-BPMによりビームアボートが発生した。アボート中にも落雷による瞬時電圧低下が数回あり、天候の回復を待ってから運転の再開を行った。
②7月29日の0時頃にRF-Dステーションでクライストロン短絡異常によりビームアボートが発生した。直ちに現場で再立ち上げを行ったが、高圧電源盤内で異常が発生し、再度クライストロンが停止した。電源自体の故障と判断し、Dステーションを除くA、B、Cの3ステーションで運転を再開した。
2.利用関係
(1)放射光利用実験期間
第4サイクル(5/13(金)~5/28(土))(5/30(月)~6/10(金))
第5サイクル(6/14(火)~7/2(土))(7/4(月)~7/16(土))(7/18(月)~8/1(月))
(2)ビームライン利用状況
稼働ビームライン
共用ビームライン(R&D含む) 25本
理研ビームライン 6本
原研ビームライン 4本
専用ビームライン 9本
加速器診断ビームライン 2本
共同利用研究課題 684件
共同利用研究者数 3295名
専用施設利用研究課題 252件
専用施設利用研究者数 1046名
(3)トピックス
①6月26日の16時半頃にBL47XUにて非常停止ボタンによるアボート信号が発報したため調査をしたところ、ユーザーが実験ハッチ退出ボタンと非常停止ボタンを間違えて押したためと判明。操作ミスと判断して運転を再開した。
◎平成17年8月の実績
SPring-8は8月6日から9月14日まで夏期長期運転停止期間として以下の作業・点検等を実施している。
1.SPring-8の長期停止期間中の主な作業
(1)線型加速器関係
①モジュレーター点検作業
②電子銃及びバンチャー部真空作業
③ブースターモジュレーター撤去作業
④その他点検・整備作業
(2)シンクロトロン関係
①RF点検作業
②電磁石電源点検作業
③SSBT系6極電磁石、OTRモニタ等設置作業
④その他点検・整備作業
(3)蓄積リング関係
①新規挿入光源設置作業
②既設FE改造・保守点検作業
③既設挿入光源フローメーター交換作業
④電磁石電源点検及びファン交換作業
⑤チェンバー支持装置据付作業
⑥入射部チェンバ交換作業
⑦電磁石架台レベル測量
⑧RF定期点検
⑨その他点検・整備作業
(4)ユーティリティ関係
①電気設備保守点検作業
②冷却水設備保守点検作業
③空調設備保守点検作業
④消防設備保守点検作業
⑤その他定期点検・整備作業
(5)安全管理関係
①入退出管理システム定期点検
②放射線監視システム定期点検
③放射線監視盤移設
④安全系インターロックシステム点検・検査
⑤その他点検・整備作業
◎今後の予定
(1)夏期長期運転停止期間後の運転再開は9月15日からの予定で10月17日まで第6サイクルの運転を行う予定である。但し、9月15日から9月22日まではマシン及びBL立ち上げ調整期間としユーザーへの放射光の提供は行わない予定である。
(2)9月15日から12月23日までサイクル間の運転停止期間をはさみ、5週間連続運転モードで第6サイクル(マルチバンチ及びセベラルバンチ運転)と第7サイクル(セベラルバンチ運転)の運転及び6週間連続運転モードで第8サイクル(マルチバンチ及びセベラルバンチ運転)の運転を実施する予定である。詳細な運転条件については決定しだい、ユーザーに報告する。