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Volume 09, No.5 Pages 352 - 353

1. SPring-8の現状/PRESENT STATUS OF SPring-8

重点研究課題の指定・実施について
Designation and Operation of Priority Research at SPring-8

(財)高輝度光科学研究センター 利用業務部 User Administration Division, JASRI

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 重点研究課題は(財)高輝度光科学研究センター(JASRI)がSPring-8におけるより一層の成果輩出を目指して利用研究への戦略的な観点の導入を図るもので、平成15年度より実施されています。本制度の立ち上げ時における説明は利用者情報(Vol.8No.3 2003.5)に掲載しておりますので一部重複しますが、今回これまでの指定・実施状況についてまとめて報告します。


1.重点研究課題における領域指定
 領域指定型は、高輝度光科学研究センターの研究所長(平成16年度からは理事長)が卓越した成果の見込まれる分野や、産業応用等政策的に推進すべき分野を重点領域として指定し課題を公募するものです。

〔指定・実施状況〕

(1)重点領域推進委員会
・本委員会は研究所長が主催し、領域指定型について議論を行い、重点ナノテクノロジー支援領域、重点タンパク500領域、及び重点産業利用領域の3領域が推奨されました。(平成15年4月23日)
・本委員会での結果を踏まえて、研究所長が平成15年4月23日付で3領域を指定しました。

(2)重点ナノテクノロジー支援領域
・ナノテクノロジー総合支援プロジェクトSPring-8研究成果報告書(Vol.1 2002年、平成15年5月30日)
・2003B課題公募締切 (平成15年6月16日)
・ナノテクノロジー総合支援プロジェクト研究成果報告会(平成15年6月16日)
・ナノテク支援課題審査委員会(平成15年7月16日)
・ナノテク支援課題審査委員会(平成15年11月4日)
・ナノテクノロジー総合支援プロジェクトSPring-8研究成果報告書(Vol.2 2003年A、平成15年12月2日)
・ナノテク支援課題審査委員会(平成15年12月10日)
・ナノテク支援課題審査委員会(平成16年6月9日)
・ナノテクノロジー総合支援プロジェクトSPring-8研究成果報告書(Vol.3 2003年B、平成16年6月14日)
・ナノテクノロジー総合支援プロジェクト研究成果報告会(平成16年6月21日)
・ナノテク支援課題審査委員会(平成16年7月13日)

(3)重点タンパク500領域
・タンパク3000課題選定ワーキンググループ(平成15年7月15日)
・2003B重点タンパク500課題選定
・2004A重点タンパク500課題選定
・2004B重点タンパク500課題選定

(4)重点産業利用領域
・第1回トライアルユース課題選定委員会(平成15年4月16日)
・2003A課題を第4サイクルにて実施(平成15年4月8日公募締切)
・2003B課題公募締切  (平成15年6月16日)
・第2回トライアルユース課題選定委員会(平成15年7月17日)
・2004A課題公募締切  (平成15年11月4日)
・第3回トライアルユース課題選定委員会(平成15年12月10日)
・平成15年度トライアルユース成果報告会(平成16年3月25日)
・2004B課題公募締切  (平成16年6月9日)
・第4回トライアルユース課題選定委員会(平成16年7月13日)


2.重点研究課題におけるパワーユーザー指定
 利用者指定型は、高輝度光科学研究センターの研究所長(平成16年度からは理事長)が、SPring-8の特性を熟知し、今後も成果を上げる可能性が高く、一般利用者の支援も可能と評価されるパワーユーザーを指定し、課題は非公募とするものです。

〔指定・実施状況〕

(1)第1回パワーユーザー選定委員会(平成15年5月14日)
・本委員会は研究所副所長(平成16年度からは理事長)が主催し、利用者指定型について議論し、5グループのパワーユーザーを選定しました。選定したパワーユーザーグループの代表者は以下のとおりです。

 a. 鳥海 幸四郎(姫路工業大学)
 b. 黒岩 芳弘 (岡山大学)
 c. 小泉 昭久 (姫路工業大学)
 d. 瀬戸 誠  (京都大学)
 e. 巽  好幸 (海洋科学技術センター)

・研究所副所長は、本委員会での選定結果を研究所長に報告しました。

(2)研究所長(平成16年度からは理事長)によるパワーユーザー指定(平成15年5月26日付)
 パワーユーザー選定委員会の報告を受け、平成18年3月31日までを指定期間とし、パワーユーザーに指定しました。指定された実施内容は以下の通りです。
・先導的な放射光利用研究において優れた研究成果を目指すパワーユーザー課題の実施
・BL実験ステーション設備の開発及び高度化に協力
・利用研究の分野拡大・推進および利用者支援

(3)実施状況
・実施開始(平成15年6月2日)
・2003A期:利用者支援のみでパワーユーザー課題のシフト枠なし。
・2003B期:巽グループは利用者支援のみで、他の4グループはパワーユーザー課題を実施した。
・2004A期:全グループがパワーユーザー課題を実施した。


3.重点研究課題における戦略課題指定
 戦略型は、施設の技術的検討や新しい利用技術の開発等施設利用研究促進に資する課題で、機構が自らもしくは他機関と共同で実施するもので理事長が指定します。

〔指定・実施状況〕

(1)重点戦略課題の指定
平成16年5月25日付けで以下の2件を理事長が指定しました。
1)ナノコンポジット材料の解析
本重点戦略課題は、JST「兵庫県地域結集型共同研究事業」に参加する兵庫県や企業との連携により、地域経済の活性化や産業利用の促進の観点でSPring-8の利用研究の促進に資するものです。
2)医薬品など粉末試料回折実験の新利用技術の開発
 本重点戦略課題は、医薬品開発過程での製剤などに係わる有機化合物の構造情報及び結晶多形に関する情報を、X線粉末法によって入手するという新しい利用手法の開発を目指すもので、将来の測定受託をも視野に入れて、効率的な利用実験の促進に資するものです。

今回指定した重点戦略課題の有効期限は平成17年度までとしています。
 なお、原則として有効期限の延長は可能としています。

(2)実施状況
・実施開始は2004B期からです。



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[ - Vol.15 No.4(2010)]
Online ISSN 2187-4794