Volume 09, No.4 Pages 249 - 250
1. SPring-8の現状/PRESENT STATUS OF SPring-8
SPring-8運転・利用状況
SPring-8 Operational News
◎平成16年3~4月の運転・利用実績
SPring-8は3月31日から第3サイクルの運転を4週間連続運転モードで実施した。第3サイクルではRFの異常等による停止があったが順調な運転で、故障等による停止時間(down time)は約1.1%であった。
放射光利用実績については、実験された共同利用研究の課題は合計156件、利用研究者は670名で、専用施設利用研究の課題は合計60件、利用研究者は231名であった。
1.装置運転関係
(1)運転期間
第3サイクル(3/31(水)~4/22(木))
(2)運転時間の内訳
運転時間総計 約533時間
①装置の調整及びマシンスタディ等 約100時間
②放射光利用運転時間 約428時間
③故障等によるdown time 約5時間
総放射光利用運転時間(ユーザータイム=②+③)に対するdown timeの割合 約1.1%
(3)運転スペック等
①第3サイクル(マルチ及びセベラルバンチ運転)
・160 bunch train×(12-1)
・11 bunch train×29
・1日2回(10時、22時)もしくは1日1回(10時)の定時入射をTop-Upモードで実施。
・蓄積電流 8GeV、~100mA
(4)主なdown timeの原因
①RFキャビティ反射異常
2.利用関係
(1)放射光利用実験期間
第3サイクル(4/1(木)~4/7(水))(4/8(木)~4/12(月))(4/14(水)~4/22(木))
(2)ビームライン利用状況
稼働ビームライン
共用ビームライン(R&D含む) 25本
理研ビームライン 6本
原研ビームライン 4本
専用ビームライン 9本
加速器診断ビームライン 2本
共同利用研究課題 156件
共同利用研究者数 670名
専用施設利用研究課題 60件
専用施設利用研究者数 231名
(3)トピックス
①4月1日及び4月5日にBL28B2光学ハッチ開の信号が発報し安全系インターロックによりビームアボートがあった。調査の結果ドアロックセンサーの誤報又は電気錠駆動用電力の瞬間的電圧降下と考えられたが、再発の可能性と短時間での復旧は困難と判断し閉鎖処置を行った。
②4月7日にBL29XUフロントエンド部のスクリーンモニタオープンエラーによるアボート信号が発報したためマシン収納部内に入室して調査をしたところ、圧空配管の放射線損傷による圧空漏れと判明した。直ちにメカニカルロック等の対処を行い運転を再開した。
③4月20日にID37で真空悪化が急激に進んだため、ビーム廃棄を行いマシン収納部内に入室して調査をしたところ、イオンポンプからの真空リークが判明。直ちにバックシールにてリークを止める作業を行った。
◎平成16年5月の運転・利用実績
SPring-8は4月23日から5月16日まで中間点検作業による運転停止期間を行い以下の作業を行った。中間点検期間後は5月17日から6月18日まで5週間連続運転モード(マルチバンチ及びセベラルバンチ運転)で第4サイクルの運転を実施する。第4サイクルの運転・利用実績については次号にて掲載する。
1.SPring-8の中間点検期間中の主な作業
(1)線型加速器関係
①電子銃電源及びモジュレーター点検
②パターン電磁石一部改修作業
③ドライブライン保温工事
(2)シンクロトロン関係
①RFキャビティカプラー交換及びエージング
②SSBTビームシャッター設置工事
(3)蓄積リング関係
①FE既設交換・改造作業
②ステアリング電磁石通電試験
③四極及び六極電磁石傾き測定
④収納部床面ひび割れ測定及び冶具取付
⑤真空計ケーブル配線及び鉛遮蔽工事
⑥挿入光源イオンポンプ交換作業
⑦BL制御系アップデート作業
(4)ユーティリティ関係
①マシン冷却設備冷凍機点検
②空調設備保守点検作業
③その他定期点検・整備作業
(5)安全管理関係
①定期スミア作業
②インターロック改修及び単体試験
◎今後の予定
(1)6月23日から7月16日まで4週間連続運転モード(マルチバンチ及びセベラルバンチ運転)で第5サイクルの運転を行う。詳細な運転条件については決定しだいユーザーに報告する。
(2)7月17日から9月5日まで夏期長期運転停止期間とし、加速器やビームラインに係わる機器の改造・点検作業、また電気・冷却設備等の機器の点検作業等を行う予定である。
(3)夏期長期運転停止期間後の運転再開は9月6日から9月17日までマシン及びビームラインの調整期間としユーザーへの放射光の提供は行わない予定である。