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Volume 08, No.5 Pages 344 - 345

1. SPring-8の現状/PRESENT STATUS OF SPring-8

SPring-8運転・利用状況
SPring-8 Operational News

(財)高輝度光科学研究センター 所長室 計画調整グループ Planning and Coordination Section, Directorユs Office, JASRI

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◎平成15年5~7月の運転・利用実績

 SPring-8は5月14日から第4サイクルの運転を5週間連続運転モード、6月18日から第5サイクルの運転を4週間連続運転モードで実施した。第4~5サイクルでは機器の動作不良による停止、RFの反射異常等による停止があったが順調な運転で、総放射光利用運転時間(ユーザータイム)内での故障等による停止時間(down time)は約1.2%であった。放射光利用実績については、実験された共同利用研究の課題は合計413件、利用研究者は1861名で、専用施設利用研究の課題は合計134件、利用研究者は581名であった。


1.装置運転関係

(1)運転期間

 第4サイクル(5/14(水)~6/13(金))

 第5サイクル(6/18(水)~7/11(金))

(2)運転時間の内訳

 運転時間総計           約1272時間

 ①装置の調整及びマシンスタディ等 約217時間

 ②放射光利用運転時間       約1042時間

 ③故障等によるdown time       約13時間

 総放射光利用運転時間(ユーザータイム=②+③)に対するdown timeの割合 約1.2%

(3)運転スペック等

 ①第4サイクル(セベラルバンチ運転)

 ・203 bunch

 ・11 bunch train×29

 ・定時入射1日2回(10時、22時)

 ・蓄積電流 1~99mA

 ②第5サイクル(マルチバンチ及びセベラルバンチ運転)

 ・160 bunch train×(12-1)

 ・10/84 filling+73 bunches

 ・4bunch train×84

 ・定時入射1日2回(10時、22時)もしくは1日1回(10時)

 ・蓄積電流 1~99mA

(4)主なdown timeの原因

 ①RFキャビティの反射異常によるアボート

 ②FE機器の動作不良によるアボート

 ③RFコレクタ冷却水温度高によるInter Lock

 ④落雷によるアボート

(5)トピックス

 ①6月1日にRF-Cステーションのコレクタ冷却水温度高でクライストロンのHVがダウンした(原因は熱交換器系の目詰まり)ので、インターロックの設定温度を変更して運転を再開した。また、6月19日にはRF-Aステーションのコレクタ冷却水温度高でクライストロンのHVがダウンした(冷却棟市水ファンモーターセンサー又は温度調整系の異常)ので、中央設備監視室から手動制御で対応を行うことにした。

 ②6月7日の16時頃に研究交流施設への落雷があり、その落雷と同時刻に蓄積リングのRFがダウンしビームアボートが発生した。各機器及び安全系の健全性の確認をして運転の再開を行った。


2.利用関係

(1)放射光利用実験期間

 第4サイクル(5/15(木)~5/21(水))(5/22(木)~6/2(月))(6/4(水)~6/13(金))

 第5サイクル(6/19(木)~6/25(水))(6/26(木)~7/8(火))

(2)ビームライン利用状況

  稼働ビームライン

    共用ビームライン(R&D含む) 25本

    理研ビームライン       6本

    原研ビームライン       4本

    専用ビームライン       9本

    加速器診断ビームライン    1本

  共同利用研究課題  413件

  共同利用研究者数  1861名

  専用施設利用研究課題 134件

  専用施設利用研究者数 581名

(3)トピックス

 ①5月20日の22時にID16のギャップ制御用エンコーダーの動作不具合のためにビーム廃棄を行い調査を実施したところ、エンコーダーのカップリング部が破損していたため予備のエンコーダーと交換を行った。

 ②5月24日の10時の定時入射準備中にBL26B1のFE-ABSが規定の時間内に閉まらないために、タイムアウトエラーでアボート信号が発報した。収納部に入室して調査を行ったところ、アブソーバ駆動用電磁弁に圧空漏れを確認したので、コミッショニング中のBL26B2のFE-ABS用の電磁弁をBL26B1に流用しBL26B2は閉鎖とした(その後、5月27日の10時にビームを廃棄してBL26B2のFE-ABS用の電磁弁を復旧した)。

 ③6月9日に中央監視室で蓄積リング棟D3ゾーンL3系の冷却水水量低の警報を検知したため、確認を行ったところBL43IRに設置してある機器より水漏れを発見したので応急処置を行った。


◎平成15年7月の実績

 SPring-8は7月12日から8月31日まで夏期長期運転停止期間として以下の作業・点検等を実施している。


1.SPring-8の長期停止期間中の主な作業

(1)線型加速器関係

 ①モジュレーター点検作業

 ②電子銃点検作業

 ③BPM設置作業

 ④その他点検・整備作業

(2)シンクロトロン関係

 ①クライストロン本体及び電源点検作業

 ②電磁石電源点検作業

 ③電磁石フロースイッチ交換作業

 ④その他点検・整備作業

(3)蓄積リング関係

 ①挿入光源据付・既設保守点検作業

 ②FE既設改造及び保守点検作業

 ③RF-Dステーション空胴交換作業

 ④RF定期点検及びRFクライストロン電源冷却系改造作業

 ⑤NEG活性化作業

 ⑥冷却水(L1真空系)系統改造作業

 ⑦電磁石架台内及び水平面測量

 ⑧バンプ電磁石交換作業

 ⑨入射部OTRモニター設置作業

 ⑩VME点検作業

 ⑪その他点検・整備作業

(4)ユーティリティ関係

 ①電気設備保守点検作業

 ②冷却水設備保守点検作業

 ③空調設備保守点検作業

 ④防災設備保守点検作業

 ⑤その他定期点検・整備作業

(5)安全管理関係

 ①入退出管理システム定期点検

 ②放射線監視システム定期点検

 ③放射線監視設備定期点検

 ④放射線安全インターロックシステム改修

 ⑤その他点検・整備作業


◎今後の予定

(1)夏期長期運転停止期間後の運転再開は9月1日からの予定で9月12日までマシン及びビームラインの調整期間としユーザーへの放射光の提供は行わない予定である。

(2)9月17日から11月5日までサイクル間の運転停止期間をはさみ、4週間連続運転モード(マルチバンチ及びセベラルバンチ運転)、蓄積電流100mAで2サイクル(第6、7サイクル)の運転を実施する予定である。詳細な運転条件については決定しだい、ユーザーに報告する。



Print ISSN 1341-9668
[ - Vol.15 No.4(2010)]
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