Volume 08, No.3 Pages 135 - 146
1. SPring-8の現状/PRESENT STATUS OF SPring-8
第10回共同利用期間(2002B)において実施された利用研究課題
The Experiments in the 10th Research Period (2002B) at the Public Beamlines of SPring-8
第10回共同利用期間(2002B)は、平成14年9月から平成15年2月にかけて実施されました。今期より、「ナノテクノロジー総合支援プロジェクト課題」及び「タンパク3000プロジェクト個別的解析プログラム」が新たに開始されました。この期間に実施された共同利用研究課題は538件で、その内訳は次の通りです。
通常利用課題 367件
緊急課題 1件
成果専有利用課題 14件(うち時期指定利用:5件)
留保シフト課題 23件(内訳は、生命科学分科5件、及び産業利用分科18件)
特定利用継続課題 6件
(2000B期から開始3件、2001A期から開始1件、2001B期から開始1件、2002A期から開始1件)
特定利用新規課題 1件
ナノテクノロジー総合支援プロジェクト課題 57件
タンパク3000プロジェクト個別的解析プログラムの課題 69件
今期の共同利用では、R&Dビームライン3本を含む共用ビームライン25本、及び原研・理研ビームラインのうち7本と物材機構・物質研究所のビームライン1本を利用しました。この内、BL04B2ビームラインにおいて1月末に単結晶構造解析用ワイセンベルクカメラのイメージングプレート消去ランプが切れたため、以後の実験が不可能になり4件の課題がキャンセルされました。
特定利用制度は、2000B期から開始した制度で、3年以内の長期にわたってSPring-8を計画的に利用する制度です。今期においては、前期からの継続6件に加えて、新たに1件が開始されました。特定利用のうち1課題が、3本のビームラインを利用しました。今期において専用施設で実施された課題は143件でした。稼働しているビームラインは8本です。課題の内訳は、通常利用が119件で、成果専有利用が24件となっています。2002A期の成果占有利用が2件でしたので、今期の成果占有利用が大幅に伸びましたが、これは今期から本格的運用を開始した創薬産業ビームライン(BL32B2)における利用のうち実に77%が成果専有利用であったことによっています。
今期の利用者数は、共同利用では3,508人、専用施設利用では1,046人でした。この数はいずれも延べの人数です。この結果、これまでの10回の共同利用で実施された総課題数は3,631件、総利用者数は22,908人となりました。専用施設利用を合わせた利用状況を表1及び図1に示します。なお、表1における専用施設の利用課題数は、今回から研修会等の課題を省いたものとしています。これにより、専用施設の利用課題数は、利用報告書の出ている成果非専有課題と成果専有課題の和となっています。実施責任者の所属する機関別に研究分野の分布を表2に示します。本表では、実施シフト数も合わせて示しています。
最後に、2002B期で実施された共同利用課題の一覧を表3に示します。ナノテクノロジー総合支援プロジェクト課題は分類記号を付けて区別し、タンパク3000プロジェクト個別的解析プログラムの課題は課題名をタンパク3000課題としています。また、シフト数は今回から実施シフト数としています(これまでは、配分シフト数としていました)。
表1 共同利用及び専用施設利用の推移
図1 利用課題数(左)及び利用者数(右)の推移
表2 2002B実施課題数と実施シフト数:研究分野と機関別分類
詳しくは、PDFファイルをご参照下さい。