Volume 07, No.5 Pages 307 - 308
1. SPring-8の現状/PRESENT STATUS OF SPring-8
SPring-8運転・利用状況
SPring-8 Operational News
◎平成14年5~7月の運転・利用実績
SPring-8は5月15日から第5サイクルの運転を試行的に5週間連続運転モードで実施し、6月18日から第6サイクルの運転を4週間連続運転モードで実施した。第5~6サイクルでは機器の動作不良による停止、冷却水の流量低下・漏水による停止、IDの真空リークによる長時間にわたる停止等があり、総放射光利用運転時間(ユーザータイム)内での故障等による停止時間(down time)は約14.5%であった。
放射光利用実績については、実験された共同利用研究の課題は合計332件、利用研究者は1539名で、専用施設利用研究の課題は合計97件、利用研究者は484名であった。
1.装置運転関係
(1)運転期間
第5サイクル(5/15(水)~6/14(金))
第6サイクル(6/18(火)~7/12(金))
(2)運転時間の内訳
運転時間総計 約1302時間
①装置の調整及びマシンスタディ等 約246時間
②放射光利用運転時間 約903時間
③故障等によるdown time 約153時間
総放射光利用運転時間(ユーザータイム=②+③)に対するdown timeの割合 約14.5%
(3)運転スペック等
①第5サイクル(マルチバンチ及びセベラルバンチ運転)
・160 bunch train×(12-1)
・11 bunch train×29
・203 bunch
・定時入射1日2回(10時、22時)もしくは1日1回(10時)
・蓄積電流 1~99mA
②第6サイクル(マルチバンチ及びセベラルバンチ運転)
・160 bunch train×(12-1)
・203 bunch
・2/21 filling+18 bunches
・定時入射1日2回(10時、22時)もしくは1日1回(10時)
・蓄積電流 1~99mA
(4)主なdown timeの原因
①冷却水の流量低下によるInter lock
②機器の動作不良によるInter lock
③電磁石冷却水の漏水によるビーム廃棄
④IDの真空リークによるビーム廃棄
(5)トピックス
①7月7日に漏水警報が発生したために、ビームを廃棄してマシン収納部内に入室し調査を行ったところ、48セルの電磁石冷却水ホースより漏水を発見。直ちに冷却水ホースの交換作業を行った。
②4月8日付けで蓄積ビーム電流の許可値が蓄積リング内の運転に限り100mAから200mAに変更され、マシンスタディ及びパラメータ取得期間の7月12日に実験ホールの立入制限を行ってビーム増強テストを実施して、120mAまで問題なく蓄積を行った。
2.利用関係
(1)放射光利用実験期間
第5サイクル(5/16(木)~5/22(水))(5/23(木)~6/3(月))(6/5(水)~6/14(金))
第6サイクル(6/20(木)~6/26(水))(6/27(木)~7/9(火))
(2)ビームライン利用状況
稼働ビームライン
共用ビームライン 21本
R&Dビームライン 3本
理研ビームライン 3本
原研ビームライン 3本
専用ビームライン 8本
加速器診断ビームライン 1本
共同利用研究課題 332件
共同利用研究者数 1539名
専用施設利用研究課題 97件
専用施設利用研究者数 484名
(3)トピックス
①5月14日にBL22XU、BL28B2の試験運転前自主検査を行い、問題なく終了した。
②6月20日にID22から真空アラームが発生したために、ビームを廃棄してマシン収納部内に入室し調査・復旧作業を開始したが、マシン収納部内での修理・復旧は困難と判断。ID22撤去及びダミーチェンバーの置換・NEG活性化を行って、6月25日に運転を再開した。
◎平成14年7月の実績
SPring-8は7月13日から8月31日まで夏期長期運転停止期間として以下の作業・点検等を実施している。
1.SPring-8の長期停止期間中の主な作業
(1)線型加速器関係
①モジュレーター点検作業
②電子銃点検作業
③M7加速管の交換作業
④その他点検・整備作業
(2)シンクロトロン関係
①クライストロン本体及び電源点検作業
②電磁石電源点検作業
③その他点検・整備作業
(3)蓄積リング関係
①ビームラインの増設
②挿入光源据付・既設改造作業
③FE新規据付・既設改造調整作業
④RF定期点検及びアブソーバ交換作業
⑤NEG活性化作業
⑥超伝導ウィグラー設置作業
⑦振動測定及びレベル測量
⑧高分解能ステアリング電磁石設置作業
⑨冷却水(L1真空系)系統改造作業
⑩制御系メンテナンス・機器交換作業
⑪その他点検・整備作業
(4)ユーティリティ関係
①電気設備保守点検作業
②冷却水設備保守点検作業
③空調設備保守点検作業
④防災設備保守点検作業
⑤その他定期点検・整備作業
(5)安全管理関係
①入退出管理システム定期点検
②放射線監視システム定期点検
③放射線監視設備定期点検
④その他点検・整備作業
◎今後の予定
(1)夏期長期運転停止期間後の運転再開は9月1日からの予定で9月13日までマシン及びビームラインの調整期間としユーザーへの放射光の提供は行わない予定である。
(2)9月18日から11月8日までサイクル間の運転停止期間をはさみ、4週間連続運転モード(マルチバンチ及びセベラルバンチ運転)、蓄積電流100mAで2サイクル(第7、8サイクル)の運転を実施する予定である。詳細な運転条件については決定しだい、ユーザーに報告する。