Volume 06, No.5 Pages 358 - 359
1. SPring-8の現状/PRESENT STATUS OF SPring-8
SPring-8運転・利用状況
SPring-8 Operational News
◎平成13年6月の運転・利用実績
SPring-8は6月6日から第6サイクル(4週間連続運転モード)の運転を実施した。第6サイクルでは冷却水の流量低下による停止やRFの加速空洞の真空悪化による停止等があり、総放射光利用運転時間(ユーザータイム)内での故障等による停止時間(down time)は約9.5%であった。
放射光利用実績については、実験された共同利用研究の課題は合計139件、利用研究者は648名で、専用施設利用研究の課題は合計23件、利用研究者は101名にのぼった。
1.装置運転関係
(1)運転期間
第6サイクル(6/6(水)~6/27(水))
(2)運転時間の内訳
運転時間総計 約501時間
①装置の調整及びマシンスタディ等 約38時間
②放射光利用運転時間 約419時間
③故障等によるdown time 約44時間
総放射光利用運転時間(ユーザータイム=②+③)に対するdown timeの割合 約9.5%
(3)運転スペック等
①第6サイクル(セベラルバンチ運転)
・11 bunch train×29
・4 bunch train×84
・1 bunch+multi bunch
・定時入射 1日1回(15時)
・蓄積電流 1~99mA
(4)主なdown timeの原因
①冷却水の流量低下によるInter lock
②SR-RFサーキュレーターアーク
③SR-RF加速空洞の真空悪化
④落雷の瞬時停電による機器の停止
(5)トピックス
①マシンスタディ及びパラメータ取得中の6月27日に蓄積リングのRF-Dステーション加速空洞の真空悪化によるビームアボートがあった。原因の調査を行ったところ6月24日にRF-Cステーションで起こった現象と同様な事象が起きていた。交換する予備品がないため、運転を行えないと判断し予定していた蓄積リングのマシンスタディ及びパラメータ取得を中止。入射系のマシンスタディ及びパラメータ取得の終了を待って全系加速器の運転を停止して6月28日から夏期長期運転停止期間とした。
2.利用関係
(1)放射光利用実験期間
第6サイクル(6/7(木)~6/27(水))
(2)ビームライン利用状況
稼働ビームライン
共用ビームライン 17本
R&Dビームライン 3本
理研ビームライン 3本
原研ビームライン 3本
専用ビームライン 7本
加速器診断ビームライン 1本
共同利用研究課題 139件
共同利用研究者数 648名
専用施設利用研究課題 23件
専用施設利用研究者数 101名
(3)トピックス
①ユーザータイム中の6月24日に蓄積リングのRF-Cステーション加速空洞の真空悪化によるビームアボートがあった。原因の調査を行ったところRFキャビティの光アブソーバの本体部分からの冷却水のリークを発見した。光アブソーバを予備品と交換して運転を再開し、ユーザータイムの確保のためにマシンスタディ及びパラメータ取得との調整により、6月27日の0時までユーザータイムの延長を行った。
3.ニュースバル関係
ニュースバルの第6サイクルは、順調に利用運転(焼き出し運転含む)及びマシンスタディ等を行った。
(1)運転期間(土日は基本的に運転停止)
第6サイクル(6/7(木)~6/26(火))
◎平成13年6~7月の実績
SPring-8は6月28日から8月19日まで夏期長期運転停止期間として以下の作業・点検等を実施している。また、ニュースバルについても各作業・点検を実施している。
1.SPring-8の長期停止期間中の主な作業
(1)線型加速器関係
①モジュレーターメンテナンス
②H0モジュレーターのブースター化
③立体回路系ダミーロードの交換
④モジュレーター制御系改造
⑤その他点検・整備作業
(2)シンクロトロン関係
①タイミングシステム改造作業
②OTRモニタ設置作業
③クライストロン本体及び電源点検作業
④電磁石電源点検作業
⑤その他点検・整備作業
(3)蓄積リング関係
①ビームラインの増設
②挿入光源の既設改造作業
③FEの新規据付・既設改造調整作業
④RFの点検及びアブソーバ交換作業
⑤NEG活性化作業
⑥電磁石水平面測量及びレベル測量
⑦BPM信号処理回路改造作業
⑧収納部監視システム作業
⑨制御系交換・改造作業
⑩その他点検・整備作業
(4)ユーティリティ関係
①電気設備保守点検作業
②冷却水設備保守点検作業
③空調設備保守点検作業
④防災設備保守点検作業
⑤その他定期点検・整備作業
(5)安全管理関係
①入退出管理システム定期点検
②放射線監視システム定期点検
③放射線モニタ定期点検
④鍵管理盤移設作業
⑤その他点検・整備作業
2.ニュースバルの長期停止期間中の主な作業
(1)主な作業・点検
①ビームラインの増設・改造作業
②リング真空改造及び局所遮蔽工事
③その他点検・整備作業
◎今後の予定
(1)夏期長期運転停止期間後の運転再開は8月20日からの予定で9月7日までマシン及びビームラインの調整期間(第6サイクルで中止となった、パラメータ取得も行う予定)としユーザーへの放射光の提供は行わない予定である。
(2)9月12日から12月14日までサイクル間の運転停止期間をはさみ、4週間連続運転モードで2サイクル(第7、8サイクル)と3週間連続運転モードで2サイクル(第9、10サイクル)の運転を行う予定である。運転条件については決定しだい、ユーザーに報告する。(サイクルの詳細については前号の「SPring-8運転計画」を参照)