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Volume 04, No.1 Page 2

1. ハイライト/HIGHLIGHT

新年ご挨拶ーSPring-8の本格利用にあたりー
New Year’s Greeting

伊原 義徳 IHARA Yoshinori

(財)高輝度光科学研究センター 理事長 JASRI, President

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 あけましておめでとうございます。
 
 
 
 平素より当財団の運営につきましては、科学技術庁、日本原子力研究所、理化学研究所、兵庫県をはじめ地元市町、学界、産業界など関係各位には、格別のご支援、ご協力を賜り、ここに厚く御礼申し上げます。
 SPring-8は、平成9年10月に共同利用を開始し1年余り経ちましたが、お陰様でこの間順調に推移し、ご来訪頂き利用研究されたユーザーの数は既にのべ2400名、実施された研究課題数は520課題にものぼっております。これは皆様方の熱きご期待の現れであり、この重みを真摯に受け止め、改めて強い使命感を認識し、事業に全力を投入してまいりたいと思っております。

 さて、昨年を振り返りますと、当初はビームラインから出る光の調整や設備性能の見極めテストがスタッフ及びユーザーにより実施され、順次本格的な利用研究へと移行し、特に医学利用や物質科学、地球科学、生物科学などの分野では優れた研究成果が得られ始めております。
 一方、施設面ではビームの安定運転に努める傍ら、出力の向上に努め、立ち上げ当初の20mA運転から100mA運転にまで向上させてまいりました。また、新たなビームラインの建設を進め、共用ビームライン、兵庫県ビームライン、産業界ビームラインなど9本のビームラインを完成し、現在までに19本のビームラインが使えるようになりました。本年も更に専用ビームラインや、昨年から建設を開始した第2期共用ビームラインなどの建設と試運転を進め、年末には合計28本のビームラインを使えるように計画しております。

 本年は、放射光利用研究がますます本格化する年であります。当財団は、これまでの順調な状況に心をゆるめることなく安定運転の確保を第一に、新たな設備を増強し、能力と性能の向上を更に図ってまいります。さらには、SPring-8をより利用しやすくかつ世界に開かれた施設とするため、産・官・学の連携をより一層深めるとともに、組織・体制の充実や業務の拡充を図り、革新的な研究開発の推進などを積極的に進めてまいりたいと存じております。そして、SPring-8が世界における放射光科学の中核的研究拠点の一つとして、先端科学技術研究を先導し社会の発展に貢献できますよう心から願っているところでございます。

 皆様におかれましても、従来に増してご支援、ご協力を賜りますよう切にお願い申し上げます。

Print ISSN 1341-9668
[ - Vol.15 No.4(2010)]
Online ISSN 2187-4794