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Volume 03, No.4 Pages 13 - 14

2. SPring-8の現状/PRESENT STATUS OF SPring-8

SPring-8 運転・利用状況
SPring-8 Operational News

(財)高輝度光科学研究センター 計画管理グループ JASRI Planning Management Section

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平成10年4月~5月の運転・利用実績

 SPring-8は4月の第4サイクルから、第2回共同利用期間(4月~10月)を開始した。5月初旬の中間点検作業による運転停止期間を挟んで、3週間モードの第4サイクルと2週間モードの第5、第6サイクルの運転を順調に実施した。また第6サイクルは21バンチモードでの運転を行った。

 5月13日にはSPring-8の所期の目標である蓄積リングビーム電流100mA(計測値99.24mA)を安定的に蓄積させることにも成功した。

 第4~第6サイクルでの放射光利用実績は、実験された研究課題は延べで合計98件、利用研究者数は375名にのぼった。


1.装置運転関係


(1)運転期間

 第4サイクル (4/ 1(水)~4/17(金))

 第5サイクル (4/22(水)~4/30(木))

 第6サイクル (5/13(水)~5/22(金))

(2)運転時間の内訳

 運転時間総計                 約777時間

 装置の立ち上げ、調整、およびマシンスタディー 約137時間

 放射光利用運転(ビームタイム)時間      約605時間

 ビームタイム内での故障等によるdown time  35時間

 (総利用運転時間に対するdown timeの割合5.8%)

(3)運転スペック等

①マルチバンチ運転(第4、第5サイクル)

 蓄積電流   17~19mA

 ビーム寿命(挿入光源のギャップを閉じた状態で) 約100時間

②21バンチ運転(第6サイクル)

 蓄積電流   17~19mA

 ビーム寿命(挿入光源のギャップを閉じた状態で) 約20時間

(4)主なdown timeの原因

 ・蓄積リング電磁石電源故障・異常

 ・蓄積リング冷却水関係異常信号発生

 ・ユーザーの操作ミス等

(5)トピックス

 ・5月13日午後9時18分に、SPring-8の所期の目標である蓄積リングビーム電流100mAの安定的な蓄積に成功した。蓄積時の計測電流値は99.24mA、ビーム寿命は約20時間であった。

 ・マルチバンチ運転ではビーム寿命が100時間を超えて安定した運転が継続されており、第4サイクル後半から蓄積リングへの電子ビーム入射を1日2回から1回にして、利用時間の拡大を図った。

 ・蓄積リング電磁石電源や冷却水関係のトラブルが発生し、原因究明と補修などのために、若干ビームdown timeが増加した。


2.利用関係


(1)放射光利用実験期間

 第4サイクル (4/ 3(金)~4/15(金))

 第5サイクル (4/23(金)~4/30(木))

 第6サイクル (5/15(金)~5/22(金))

(2)ビームライン利用状況

 稼働ビームライン  共用ビームライン  9本(1本は試行中)

           R&Dビームライン  1本

           理研ビームライン  2本(1本は最終調整中)

           原研ビームライン  2本(1本は最終調整中)

 利用研究課題  98件

 利用研究者数  375名

(3)トピックス

 ・第4サイクルから第2回共同利用期間の利用運転を開始した。年度切り換えに伴う利用者の手続き、登録等の作業が錯綜した。

 ・蓄積リング電流100mA達成後も、しばらくはユーザーの利用計画に基づき当初予定通り20mAでの運転を継続する。その後ユーザーの利用計画との調整を行い、順次ビーム電流を増加させる予定である。


今後の予定

(1)7月初めから9月中旬までを夏期運転停止期間とし、ビームラインの増設や機器の点検作業等を実施する。

(2)夏期停止までの間、積極的に運転時間の拡大を図るため3週間連続運転モードで運転する。また、この間の運転は21バンチモードで行う。

(3)蓄積リングの電流増加に向けて、100mA程度の電流値での焼き出し運転を、マシンスタディー等の時間を利用して実施する。

(4)運転スケジュールは、今後の機器の運転状況や利用状況等に変更が生じた場合、見直しを行う場合がある。なお、詳細についてはスプリングエイトホームページ(http://www.spring8.or.jp/)に記載してあるので参考にされたい。



SPring-8蓄積リングが100mAを達成



 SPring-8は、4月21日に蓄積リングの設計ビーム電流値(注1)である100mAまでの電流増強の許可を受け、5月13日17時より100mAに向けてのビーム調整を開始しました。同日21時18分に100mAのビーム電流の蓄積に成功するとともに、ビーム寿命(注2)も設計値の約2倍に当たる20時間の長寿命を同時に達成しました。これにより世界で最も輝度の高い高性能放射光の発生とその利用の見通しがつきました。


(注1)ビーム電流:細い流れとなって進行する電子の集団で、電子の数を電流値で表示する。

(注2)ビーム寿命:ビーム電流値が初期蓄積電流値の1/e(e≒2.7)になる時間を示す。



Print ISSN 1341-9668
[ - Vol.15 No.4(2010)]
Online ISSN 2187-4794