Volume 02, No.6 Pages 5 - 6
1. ハイライト/HIGHLIGHT
SPring-8供用開始記念式典
The Dedication of SPring-8
10月6日、月曜日、素晴らしい秋晴れの下、SPring-8供用開始記念式典が挙行されました。当日は、谷垣科学技術庁長官、貝原兵庫県知事、ESRF、APSの所長はじめ、内外から700名に近い来賓を迎え、式典事務局おおわらわの内に、なんとか無事に終了しました。
午前11時8分、蓄積リング棟Bブロックに特設された式典会場で、開式が宣されました。最初に、主催者である日本原子力研究所、理化学研究所及び(財)高輝度光科学研究センターを代表して、日本原子力研究所の吉川理事長からあいさつがありました。引き続き、共同チームの上坪リーダーが、スライドを使いながら、建設の経緯を説明しました。そこでは、建物やマシーンの説明だけでなく、建設に参加した研究者のプロフィールなども紹介されました。
この式典は、SPring-8の完成を広く内外にお知らせする式典であると同時に、今後の運営業務を(財)高輝度光科学研究センターに引き継ぐ式典でもあります。このため、日本原子力研究所と理化学研究所は、SPring-8運営移管のシンボルとなるプレートを作成し、この式典で、(財)高輝度光科学研究センターにお渡しすることにしました。本誌の読者の方々は、いずれ中央管理棟あたりで目にされることと思いますが、プレートの中央には、金でコーティングされたトーチがレリーフされています。このトーチは、フィレンツェのピッティー美術館のプロメテウスの間の天井画の一部分をモデルにしています。ギリシャ神話によれば、プロメテウスは人間に言葉や知識を授けますが、さらに、ゼウスの命に逆らって人間に火を与えたために罰を受けます。原画である天井画には、プロメテウスが知恵の女神や光の神などに守られて、光り輝くトーチを人間界に運んでいるところが描かれています。プレートでは、そのトーチを 3本の腕、即ち3法人で、しっかり支えている図になっています。また、プレートの下部の銅版には、ギリシャの詩人ホメロスの叙事詩「イリアド」から、「お互いの信頼と協力によって、偉大な行為、偉大な発見がなされる」という趣旨の一節が刻まれています。
記念プレートの贈呈
御来賓の方々
式典では、理化学研究所の有馬理事長から財団の伊原理事長に、プレートが贈呈されました。
続いて、谷垣科学技術庁長官から、SPring-8から生まれる研究成果に対する強い期待を込めた激励のあいさつがあり、それを受けて、(財)高輝度光科学研究センターの小林会長からあいさつがありました。
その後、来賓代表のあいさつに移り、地元兵庫県の貝原知事、海外からの参会者(20人程)を代表してウィニック博士、さらに、利用者を代表して SPring-8利用者懇談会の菊田会長からお祝辞をいただきました。次いで、時間の関係でご祝辞はいただけませんでしたが、国会議員の方々12名、財界代表 2名、ESRFのペトロフ所長、APSのモンクトン所長、中国科学院の周前院長のご紹介がありました。
最後に祝電の披露がありましたが、各界から100通を越えるお祝いの電報を頂戴いたしました。
式典は、幾分予定時間をオーバーしたものの、12:20頃には滞りなく終了し、その後、谷垣大臣、貝原兵庫県知事、3法人それぞれの代表、計5人の方々の記念植樹(中央管理棟前広場)、さらに記念懇親会、谷垣大臣、加藤科学技術政務次官による施設のご視察と続き、一般の施設公開も含め、午後3時頃終了しました。
ご挨拶(谷垣技術庁長官)
貝原兵庫県知事らによる記念植樹
多数のご参会の方々、式典の運営に協力戴いた方々に心から御礼申し上げますとともに、SPring-8の建設に関係された数多くの皆様に感謝の思いを込めて、SPring-8供用開始記念式典のご報告を申し上げます。
天野 徹 AMANO Toru
昭和27年3月16日生
日本原子力研究所・理化学研究所
大型放射光施設播磨管理事務所長
〒679-51 兵庫県佐用郡三日月町三原SPring-8中央管理棟
TEL:07915-8-0310
FAX:07915-8-0311
e-mail:amano@spring8.or.jp
略歴:昭和49年東京大学工学部電気工学科卒業、同年科学技術庁入庁、同庁各課、農林水産省などを経て、昭和63年から平成2年まで研究開発基盤調整官、大型放射光施設整備推進室長として SPring-8の建設計画に参加、その後科学技術庁計画課長、通商産業省材料規格課長を経て、平成8年から現職。趣味:コントラクト・ブリッジ。