Volume 30, No.1 Pages 12 - 20

1. 最近の研究から/FROM LATEST RESEARCH

In-situ far-IR法によるカルシウムイオン交換A型ゼオライトに賦与されたCO2およびN2O特異吸着現象の解明
Clarification of the specific adsorption feature for CO2, as well as N2O, endowed by Ca2+ ions exchanged in A-type zeolite with the aid of the in-situ far-IR method

黒田 泰重 KURODA Yasushige[1]、平木 英 HIRAKI Suguru[1]、小林 生佳 KOBAYASHI Ikuka[1]、馬場 春香 BABA Haruka[1]、大久保 貴広 OHKUBO Takahiro[2]、織田 晃 ODA Akira[3]、池本 夕佳 IKEMOTO Yuka[4]、森脇 太郎 MORIWAKI Taro[4]

[1]岡山大学 学術研究院自然科学学域 理学研究科 Guraduate School of Natural Science and technology, Okayama University、[2]岡山大学 学術研究院環境生命自然科学学域 Graduate School of Environmental, Life, Natural Science and Technology, Okayama University、[3]名古屋大学大学院 工学研究科 Guraduate School of Engineering, Nagoya University、[4](公財)高輝度光科学研究センター 放射光利用研究基盤センター Center for Synchrotron Radiation Research, JASRI

Abstract
 産業革命以来今日までエネルギーや化学物質合成の供給源として主に化石燃料が使用されてきた。その結果増加した大気中のCO2、CH4、N2Oなどが地球規模での気候変動の一因であるとされ、大気中のこれらのガスの削減は人類にとって解決すべき喫緊の課題となっている。しかし、室温・低圧[大気中のCO2分圧400 ppm(約0.3 Torr)から人体に害があるとされる5000 ppm(3.9 Torr)程度の領域]でCO2を吸着し、しかも再生が容易であるという真逆の性質を有する物質開発は化学の領域における重要な課題の一つである。我々は高い交換率でNaA型ゼオライト中のナトリウムイオンをカルシウムイオンにイオン交換したゼオライト(NaCaA-85試料:NaA型ゼオライト試料をCa2+イオンで85%イオン交換した試料)が室温、且つ低圧力のCO2やN2Oガスを高効率、且つ選択的に吸着する現象を見出した。この試料が示す特異性は特筆すべきものであり、この過程で生じている吸着形態をSPring-8放射光を利用した遠赤外線領域の振動スペクトル(far-IR)測定法(BL-43)と計算化学的手法を組み合わせることによって検討した。この特徴的な吸着特性はA型ゼオライト中に存在するSi–O(or Al–O)から形成される8員環と6員環上にイオン交換された二種類のCa2+の間に橋架けされたCO2およびN2Oとして存在するモデルで説明できることを明らかにした[1, 2][1] A. Oda et al.: J. Mater. Chem. A 9 (2021) 7531-7545. This paper was adopted as a cover paper.
[2] S. Hiraki et al.: Chem. Commun. 60 (2024) 4597-4600.
。得られた結果は今後の吸着物質デザインに重要な情報を与えるものと期待する。
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SPring-8

 

1. はじめに
 ゼオライトは直径0.3~1.3 nm程度の規則的な細孔を有するアルミノケイ酸塩の一種であり、その構造の基本単位は電気的に中性であるSiO2からなる四面体構造である。形成される一つのSiO4四面体ユニットの頂点の酸素イオンを隣接するSiO4四面体と共有することによって、三次元構造を形成している。更に、SiO4四面体中の一部のSiはAlで置き換えられており、SiO4四面体と連結するAlO4四面体の形式電荷は−1であるため、その電荷を補償するために陽イオンが存在し、その陽イオンを種々の陽イオンで交換可能である。また、ゼオライト骨格に導入されているAlの量によって交換可能なイオンの量を調整できる。そして、この陽イオンの種類や交換量をコントロールすることによって種々の触媒特性や吸着特性を創出できる。さらに、200種類程の特異な構造をもつゼオライト(X–、Y–、A–、MFI–、MOR–型など)が合成されている。このようなゼオライトの空間構造の特性や交換イオンの量、種類や価数を変化させることによって、交換されたイオンに特異な電子状態を安定化させることができ(たとえばCu+やZn+など)、それらの交換イオンによって発現する特異反応場を提供可能となる(酵素中の銅イオンや亜鉛イオンと類似した反応性を示す)ことなどを見出してきた[3-10][3] Y. Kuroda, S. Konno, K. Morimoto and Y. Yoshikawa: J. Chem. Soc., Chem. Commun. 1 (1993) 18-20.
[4] Y. Kuroda, Y. Yoshikawa, S. Emura, R. Kumashiro and M. Nagao: J. Phys. Chem. B 103 (1999) 2155-2164.
[5] Y. Kuroda, T. Okamoto, T. Mori and Y. Yoshikawa: Chem. Lett. 33 (2004) 1580-1581.
[6] H. Torigoe et al.: J. Phys. Chem. Letters 1 (2010) 2642-2650.
[7] A. Oda et al.: Angew. Chem. Inter. Ed. 51 (2012) 7719-7723.
[8] A. Oda et al.: J. Phys. Chem. C 117 (2013) 19525-19534.
[9] A. Oda, T. Ohkubo, T. Yumura, H. Kobayashi and Y. Kuroda: Phys. Chem. Chem. Phys. 19 (2017) 25105-25114.
[10] A. Oda, T. Ohkubo, T. Yumura, H. Kobayashi and Y. Kuroda: Inorg. Chem. 58 (2019) 327-338.
。今回、我々は多くのAlが骨格に含まれるNaA型ゼオライト(Si/Al = 1)に交換イオンとしてCa2+を導入することによって、室温で400 ppm程度の低圧のCO2やN2Oに対する特異な吸着現象を見出した[1, 2][1] A. Oda et al.: J. Mater. Chem. A 9 (2021) 7531-7545. This paper was adopted as a cover paper.
[2] S. Hiraki et al.: Chem. Commun. 60 (2024) 4597-4600.
。ゼオライト系における交換イオン周りの構造不均一性を考えると見出した吸着活性を引き起こすサイト周りの構造情報を得ることは極めて困難であると考える。本研究では分光法(特に遠赤外線領域の振動情報)と計算化学的手法(DFT計算)を組み合わせることによって、CO2やCO2と等電子構造および類似した分子構造を有するN2O分子に対する吸着活性サイトに関する知見を得ることを目的とした。本研究では、近年注目されている“Direct Air Capture(DAC)”法という大気中からのCO2の除去などを考慮し、特に室温・低圧[大気中の圧力領域CO2分圧400 ppm(約0.3 Torr)から人体に害があるとされる5000 ppm(3.9 Torr)の領域[11][11] T. A. Jacobson et al.: Nat. Sustain. 2 (2019) 691-701.]でのCO2およびN2O吸着という現象に注目した。
 DAC法への展開をめざした、低分圧領域(~5000 ppmレベル)のCO2を室温で吸着でき、その後の分離・再生が可能となる物質開発は、今後必須となる課題であると考える。しかし、このような物質開発は、吸着と再生の絶妙なバランスを保つ必要があるという点が課題となっており、低圧のCO2を室温で吸着し、しかも再生が容易であるという真逆の性質を有する物質は現状ではほとんど見出されていない。それ故、室温・分圧0~5000 ppm領域の低圧のCO2やN2Oを分離・吸着し、しかも低エネルギーでの再生が可能である吸着物質の開発は化学の領域における重要で解決すべき喫緊の課題の一つである[12][12] D. S. Sholl and R. P. Lively: Nature 532 (2016) 435-437.
 参考までに、極最近、DAC過程への適用をめざしたCO2分離に関する報告がなされている。この系はCOF(Covalent Organic Framework)を用いることによって水分が存在する系でさえCO2 分離が可能であり、50%の相対水蒸気を含む大気条件下でさえCO2吸着量46 cm3/gの性能を有するとのことである[13][13] Z. Zhou et al.: Nature 635 (2024) 96-101.

 

 

2. A型ゼオライトによる画期的なCO2吸着現象:吸着特異性と吸着活性サイトの解明[1][1] A. Oda et al.: J. Mater. Chem. A 9 (2021) 7531-7545. This paper was adopted as a cover paper.
2-1 吸着特異性の発現の確認-吸着等温線
 CO2の吸着挙動の研究は、ゼオライトの細孔サイズがCO2の分子サイズ(約3.3 Å)に近く、且つ吸着活性点の数が多い(Si/Al = 1である)A型のゼオライトを用い、電場強度の大きいCa2+を含み、しかも高いイオン交換量を有する試料に着目して行った。三種類のA型ゼオライト試料[NaCaA-85、NaCaA-65、CaA-78(市販品):最後の数字はCa2+でのイオン交換量を意味する。CaA-78試料の場合残りのイオンはNa+を含む。ここでは、今回調製した試料と区別するためにCaA-78と表記する]について、純粋なCO2の0から100 Torr程度の圧力領域について、298 KにおけるCO2の吸着等温線を測定し、それらの結果を図1に示した。この際、総ての試料は、予め723 Kで真空排気して、ゼオライト中の水分等を除去した。その後、298 Kで平衡圧100 Torr程度までCO2の吸着等温線(一次)を測定し、続いて298 Kで再度真空排気することによって物理吸着したCO2を脱離させた。その後、298 Kで平衡圧100 Torr程度まで再度CO2の吸着等温線(二次)を測定した。ここで、一次と二次の吸着等温線の吸着量の差分が試料に不可逆吸着されたCO2量に対応する。NaCaA-85試料へのCO2吸着等温線は初期の立ち上がりが著しく大きく、0.004 Torr付近で吸着量が急激に増加する(ステップ出現)領域が存在し、0.01 Torr付近で吸着量が約16.8 cm3 g–1(0.75 mmol g–1)の値を示すことがわかる。この現象はゼオライト系としては極めて特異な現象である。NaCaA-85試料について、その後、圧力約0.3 Torr(約400 ppmに対応)で約40 cm3 g–1(1.8 mmol g–1: CO2/Ca2+ = 0.59)の吸着量となる。さらに、圧力約3.8 Torr(約5000 ppmに対応)で72 cm3 g–1程度(3.2 mmol g–1)の値を示す。これらの値はこれまでに多くの報告がなされているCaA型ゼオライトによる吸着量をはるかに凌駕する値である[14-17][14] L. M. Mulloth and J. E. Finn: report NASA/TM-1998-208752, Moffett Fields, CA, 1998.
[15] Y. Wang and D. LeVan: J. Chem Eng. Data 54 (2009) 2839-2844.
[16] Q. H. Dirar and K. F. Loughlin: Adsorption 19 (2013) 1149-1163.
[17] T.-H. Bae et al.: Energy Environ. Sci. 6 (2013) 128-138.
。また、5000 ppm程度の濃度(平衡圧)での吸着量は、これまでに5000 ppmの分圧下で世界一のCO2吸着能を有するZn錯体で得られた値よりも多い[18][18] C. E. Bien et al.: J. Am. Chem. Soc. 140 (2018) 12662-12666.。さらに、100 Torr程度の圧力下でもこれまでに報告されているCaA型の試料が与える吸着量と比べてNaCaA-85試料のそれは多い。次に、NaCaA-85試料の吸着特異性を確認するために、イオン交換量の少ないNaCaA-65試料および市販のCaA-78試料について吸着量測定実験を行った(図1)。図からわかるように、イオン交換量が少ないNaCaA-65試料では0.004 Torr付近の吸着量の急激に増加する領域がほとんど確認されず、0.01 Torr付近で吸着量が約6 cm3 g–1(0.27 mmol g–1)の値を示し、約0.3 Torrでも吸着量は28 cm3 g–1(1.3 mmol g–1)程度である。5000 ppm領域で63 cm3 g–1程度(2.8 mmol g–1)の値を示した。また、一次吸着と二次吸着の吸着量の差(不可逆吸着量)もNaCaA-85試料が与える不可逆吸着量よりもはるかに少ない(図1d)。さらに、市販のCaA-78試料は、0.004 Torr付近の吸着量の急激な増加は全く確認されず、低圧領域での吸着量は極めて少量であり、一次と二次の吸着等温線はほぼ同じ吸着量を示す(図1d)。即ち、この試料には不可逆吸着種は存在しない。さらに、100 Torr付近でNaCaA-85試料が示す吸着量はNaCaA-65およびCaA-78試料のそれらよりも多い(図1d)。以上述べたようにNaCaA-85試料の0.01 Torrから3.8 Torr(おおよそ0から5000 ppm)付近で観測された吸着現象はゼオライト系の吸着では極めて特異な吸着挙動であることがわかる。ここで、今まで報告されているCO2吸着の典型的な実験結果を比較しておく。データの比較は塩基性液体を用いた化学吸着系や高温での固体との反応系を除く、主として物理吸着に近い現象を取り扱ったものである。それらの違いを容易に理解できるように、実験データが比較的多く存在する298 K、400 ppm条件下で報告されている吸着値を棒グラフで示した(図2)。これらの中で吸着量が多い試料は、アミンで表面修飾したMOF(Metal-Organic-Framework)類[図ではen-Mg2(dobpdc)とmmen-Mg2(dobpdc)で表記してある]がほとんどであり[19-21][19] O. Shekhah et al.: Nature Commun. 5 (2014) 4228.
[20] M. Kang, D. W. Kang and C. S. Hong: Dalton Trans. 48 (2019) 2263-2270.
[21] K. Sumida et al.: Chem. Rev. 112 (2012) 724-781.
、その他の試料としては生体水素活性化現象を模倣した錯体系[Zn(ZnO2CCH­3)4(bibta)3と表記][18][18] C. E. Bien et al.: J. Am. Chem. Soc. 140 (2018) 12662-12666.、ゼオライトなどの無機化合物系である[22-26][22] S. Choi, J. H. Drese and C. W. Jones: ChemSusChem 2 (2009) 796-854.
[23] O. Cheung and N. N. Hedin: RSC Adv. 4 (2014) 14480-14494.
[24] J. G. Vitillo: RSC Adv. 5 (2015) 36192-36239.
[25] M. S. B. Reddy, D. Ponnamma, K. K. Sadasivuni and A. M. Abdullah: RSC Adv. 11 (2021) 12658-12681.
[26] S. J. Datta et al.: Science 350 (2015) 302-306.
。我々が行った研究はNaCaA-85試料を用いたA型ゼオライト系であり、これまで報告されたゼオライト系の中(文献値)で比較すれば吸着量が最も多いことも明らかであり、この試料は5000 ppm条件下では、我々が知る限り世界一の吸着特性を示す試料である。

 

図1 NaCaA-85試料(赤)について298 Kで測定されたCO2の一次吸着等温線(塗りつぶし)と二次吸着等温線(白抜き):NaCaA-85試料の(a) 0-0.1 Torr、(b) 0-0.4 Torr、(c) 0-4 Torr、(d) 0-100 Torrの圧力領域。比較のため、NaCaA-65とCaA-78試料の一次吸着等温線と二次吸着等温線も示す:NaCaA-65試料(紫)とCaA-78試料(緑)。

 

図2 平衡圧400 ppmレベル、298 Kの条件下で観測された各種試料へのCO2吸着量の比較。図中の番号は引用文献を示す。

 

 

2-2 mid-IR測定による吸着サイトの検討
 中赤外線(mid-IR)領域のCO2による非対称伸縮振動(ν3)の測定により、吸着状態の特徴に関して情報を得ようとした。NaCaA-85試料(self-supporting disk)を用いて、低平衡圧領域の12CO2吸着によるmid-IR領域のスペクトル測定を行い、吸着CO2の状態解析を行った。まず、723 Kで真空排気した試料について、室温で極低圧のCO2を吸着させ、測定を行った(図3a)。平衡圧0.001から0.089 TorrでCO2を吸着させた時に、まず、2367 cm–1にバンドが観測され、その吸着サイトはCO2初期吸着領域に機能する種に対応する。その後、平衡圧0.005 Torrにおいては、このバンドはわずかに低波数シフトすると共に、低波数側に大きく裾をひいていることがわかる。更に平衡圧を0.089 Torrにすると、2367 cm–1のバンドはほぼ消失し、2356 cm–1に新たなバンドが出現し、このバンドには2346 cm–1付近にショルダーバンドを有することがわかる。その後の300 K真空排気により2346 cm–1のバンドは消失し、その後さらに398 Kでの排気により2356 cm–1のバンドのみが明瞭に観測され、423 Kでの排気でこのバンドも消失することもわかった。気体のCO2のν3バンドは2349 cm–1に観測されることから[27][27] E. Garrone et al.: J. Chem. Phys. 117 (2002) 10274-10282.、平衡圧0.089 Torrで2346 cm–1に観測されるショルダーバンドは弱く物理吸着されたCO2種に帰属できる。吸着脱離過程でのIRデータのバンド帰属も考慮し、この2356 cm–112CO2)に吸収を示す種がNaCaA-85試料で観測される低圧領域で形成される特異な吸着種によるバンドであると結論した。今回議論した特異な吸着種の脱離温度は吸着CO2種の昇温脱離実験等でも確認され[1][1] A. Oda et al.: J. Mater. Chem. A 9 (2021) 7531-7545. This paper was adopted as a cover paper.、この種は423 Kの真空排気によって、試料から完全に脱離することがわかっており今回のIRの結果と良く対応している。これらの結果は423 K処理でNaCaA-85試料は再生可能であることも示している。

 

図3 (a) 初期吸着過程におけるNaCaA-85試料に吸着したCO2のIRスペクトル(実験結果)。
(b) DFT計算法を提案した三種類のモデルに適用して得られたIRバンド(計算結果)。

 

2-3 計算化学的アプローチによるmid-IR測定実験データの解釈
 気体の12CO2は非対称伸縮振動(ν3)が2349 cm–1に吸収バンドが観測される(上述)[27][27] E. Garrone et al.: J. Chem. Phys. 117 (2002) 10274-10282.。交換イオンによる電場が存在するイオン交換ゼオライト中にCO2が300 K付近で吸着されるとイオンの電場強度の影響で、CO2のν3バンドは2349 cm–1より高波数側に、且つイオン半径が小さく価数が高いイオンで交換された試料ほど吸着されたCO2種の非対称伸縮振動は高波数側にシフトして観測される。以前の研究で報告したように、(CO2–Ca2+ in MFI)および(CO2–Ba2+ in MFI)は、それぞれ2366 cm–1と2355 cm–1に観測されている[28][28] A. Itadani et al.: ACS Appl. Mater. Interfaces 8 (2016) 8821-8833.。一方、今回観測されたNaCaA-85試料中の特異な吸着CO2種はゼオライト中の交換Ca2+イオンと相互作用しているにもかかわらず2356 cm–112CO2)にバンドが出現し、この値はBa2+ MFIで観測された2355 cm–1に相当する波数である。即ち、Ca2+イオンと相互作用している種としては波数が著しく低い値である。実際、NaCaA-85試料でも、初期に形成される種は2367 cm–1に観測されている(図3a)。即ち、NaCaA-85試料で見出された特徴的な吸着種はMFI型ゼオライト中に交換されたCa2+と比べて相対的に弱い電場を感じていることになり、Ca2+MFI系の場合と比べて、NaCaA-85試料中のCO2は極めて特異な吸着状態をとっていることを示している。そこで、我々はNaCaA-85試料について、以下の三種類の吸着種の形成を仮定し、DFT計算を試みた(①O=C=O・・・Ca2+(8MR)種、②O=C=O・・・Ca2+(6MR)種、③(8MR)Ca2+・・・O=C=O・・・Ca2+(6MR)種)。この際、A型ゼオライトの骨格から8MR(Membered Ring: 8員環)と6MRを切り出したモデルを使用した。③に関するゼオライト中でのモデルを図示した(図4上図)。図4下図にはA型ゼオライト中の一部の構造を切り出したモデルを示した。①から③の各吸着状態について、この切り出したモデルを初期モデルとして用いることによってDFT計算を行った。その結果得られたスペクトルを図3bに示した。実験で得られた2356 cm–1に観測されたバンドは③のモデルを仮定してうまく説明できることがわかる。また、この計算に基づけば、2367 cm–1のバンドは8MRまたは6MR上にイオン交換されたCa2+イオンにon-top様式で吸着されたCO2種(モデル①と②)に対応する。なお、モデルの妥当性について、far-IR測定の結果も踏まえて後述する。

 

図4 上段:Ca2+にイオン交換したA型ゼオライトにCO2を吸着させた前後のモデル。
下段:上段で示したモデルから一部を切り出し、実際に計算に用いたCO2吸着前後のモデル。

 

2-4 本系へのfar-IR測定法の適用による吸着モデルの支持[27, 29-32][27] E. Garrone et al.: J. Chem. Phys. 117 (2002) 10274-10282.
[29] Y. Ikemoto, T. Moriwaki, T. Nakano and Y. Nozue: Infrared Phys. Technol. 49 (2006) 78-81.
[30] S. Dalla Bernardina et al.: Vib. Spectrosc. 75 (2014) 154-161.
[31] A. M. Mofrad et al.: J. Phys. Chem. C 122 (2018) 24765-24779.
[32] W. Baekelant et al.: J. Phys. Chem. Letters 9 (2018) 5344-5350.

 以上のような基盤に立脚し、前述したCO2吸着モデルについて更に確証を得るためにfar-IR領域の測定をSPring-8で試みた。この系の測定にあたって、ビームライン担当者と議論を行い、真空熱処理後、in-situで吸着・脱離の実験が可能とするセルをデザインした。
 NaCaA-85試料についてCO2吸着前後で600~150 cm–1領域の吸収スペクトルの測定を総てin-situ条件下で行った。まず、試料を723 Kで真空排気し、室温でfar-IR領域の測定を行った。その後室温でCO2を約10 Torrの平衡圧で吸着させ、続いて室温で真空排気し、その後、423 Kで再排気した試料について測定を行った。特に、350~150 cm–1の領域に観測されるバンドについて、吸着前後の変化に注目した。その領域のスペクトル変化を図5aに示す。まず、723 K処理後の試料で、この領域に観測されるバンド(266および240 cm–1)は交換イオンであるCa2+とゼオライト中の骨格酸素(OL)との相互作用、即ち、(Ca2+–OL)結合の振動モードに帰属できる。二種類のバンドの存在は少なくとも二種類の(Ca2+–OL)結合の存在を示す。In-situ条件でのCO2吸着によりそれぞれのバンド強度が減少し、それぞれ低波数側(225と203 cm–1)へのシフトが観測される。その後、室温排気してもスペクトルはほとんど変化しない。それ故、強く吸着したCO2によって(Ca2+–OL)の振動波数がそれぞれ225と203 cm–1へシフトしたと解釈できる。まず、我々は266および240 cm–1のバンドを前述したA型ゼオライトのイオン交換サイトとして機能するそれぞれ8MRおよび6MRにイオン交換されたCa2+イオンとOLとの振動モードに帰属した。CO2吸着によるバンドのシフトは、それぞれのサイトにイオン交換した二種類のCa2+イオンにCO2が同時にピン留めされた吸着種(前述したモデル③)に起因し、それぞれの(Ca2+–OL)結合振動が同時に低波数側にシフトした結果であると解釈した。423 Kで再度真空排気するとスペクトル(青線)は723 Kで処理した試料のスペクトル(黒線)とほぼ一致するので、強く吸着したCO2種は脱離され、元のイオン交換状態に戻ったことは明らかである。これらの解釈を確かめるために、③のモデルにより吸着前後の遠赤外線領域のバンドをDFT計算により求めた。CO2吸着前後の実験結果と計算結果の比較を図5bに示した。また、実験と計算結果から得られた変化の様子を比較しやすいように、吸着前後の差スペクトルとして示した(図6)。これらの図からわかるように、実験と計算結果の一致はよいと判断でき、本系における吸着特異現象のモデルは支持されると結論した。この吸着種は図3bに示したmid-IRの赤色で表したスペクトルを与える種に対応する。423 Kで真空排気処理することによって、スペクトルはほぼ元に戻ることなどから、CO2吸着後の試料は423 K真空排気で再生することがわかる。この試料のfar-IR領域のスペクトルの変化の特徴がよくわかるように、比較として、市販のCaA-78試料について、この領域のスペクトルと吸着前後の差スペクトルを示した(図7)。この市販のCaA-78試料では(Ca2+–OL)種によるバンドはCO2吸着後もほとんど変化しない。この試料ではCO2との特異な吸着は生じないことからも、図1に示した吸着等温線のデータとfar-IR実験結果との対応は良いといえる。これらのことから、NaCaA-85試料においてのみ、図4で示した吸着形態がCO2特異吸着現象において重要な役割をしていると結論できる。

 

図5 (a) 常温でのCO2吸着前(黒)と吸着後(赤)および300 K(緑)と423 K(青)での連続排気後の遠赤外線吸収スペクトルの変化。(b) (1)実験スペクトルと(2)計算スペクトルの比較。CO2吸着前(黒)と吸着後(赤)の遠赤外線吸収スペクトルの変化。

 

図6 CO2吸着前後の差スペクトル。
(a) 実験、(b) 計算で得られたスペクトル。

 

図7 CO2吸着前後のCaA-78サンプルの差スペクトル。

 

 

2-5 CO2特異吸着モデルを考慮したCH4などの気体との分離の可能性
 ところで、CO2とCH4とは分子サイズや分極率などの値がよく似ているために、それらの分子を選択的に分離することは極めて困難であることが知られている。上述したモデルで示したように、NaCaA-85試料はCO2分子に対して極めて特異で選択性の高い吸着形態をとることが予想される。それ故、NaCaA-85試料を用いれば、N2、O2、CH4やH2等の気体が共存する条件下でさえCO2を選択的に見分けることが可能であると期待できる。そこで、NaCaA-85試料に対するそれぞれの気体に対する吸着特性を調べるために298 Kで吸着等温線を測定した(図8)。このデータに基づいて、NaCaA-85試料を用いほぼ大気条件下でCO2の選択分離実験も行い、分離に成功した[1][1] A. Oda et al.: J. Mater. Chem. A 9 (2021) 7531-7545. This paper was adopted as a cover paper.。NaCaA-85試料によるCO2と他の気体との“見分け(分離)”の優位性は明らかである。最後に、CO2の特異な吸着状態とそれを利用した気体の分離過程をまとめた概略図を図9に示した。

 

図8 298 Kで測定したNaCaA-85への各種ガスの吸着等温線。

 

図9 CO2と他の共存ガスとの分離プロセスにおける動作メカニズムの概略図。

 

 

3. NaCaA-85試料によるN2Oに対する特異吸着現象[2][2] S. Hiraki et al.: Chem. Commun. 60 (2024) 4597-4600.
 地球温暖化ガスとして現在のところCO2とCH4に関して注目が集中している。一方、N2OはCO2と比べてその温暖化の効果は310倍であり、しかもオゾン層破壊物質であることも知られている[33, 34][33] H. Rodhe: Science 248 (1990) 1217-1219.
[34] A. R. Ravishankara, J.S. Daniel and R. W. S. Portmann: Science 326 (2009) 123-125.
。さらに、人口増加の中、N2Oは農業で使用される肥料の分解過程で発生することなどから近年注目される物質の一つになっている[35, 36][35] D. S. Reay et al.: Nat. Clim. Change 2 (2012) 410-416.
[36] M. H. Thiemens and W. C. Trogler: Science 251 (1991) 932-934.
。実際、2023年ドバイで開催されたCOP28(Conference of Parties)では、N2Oの気候変動への影響について議論されるようになってきた。我々は、前述したようにCO2とN2Oは電子構造や分子構造が類似していることを考慮し、NaCaA-85試料が示すN2O吸着特性に着目し、NaCaA-85試料の低圧領域の吸着特性を評価し、N2Oに対する吸着物質としての有用性を検討した。同時に、NaCaA-85試料で提案しているCO2吸着モデルの更なる検証となる実験結果を得ることをめざした。
 NaCaA-85試料について298 Kで、低圧力におけるN2Oの吸着特性を調べるために吸着量の測定を行った。図10に示すようにこの試料は低圧領域で極めて高いN2O吸着特性を示し、吸着量は、平衡圧0.1 Torrで22 cm3g−1(0.94 mmol g−1)、0.3 Torrで30 cm3g−1(1.33 mmol g−1)、3.8 Torrで54 cm3g−1(2.41 mmol g−1)、100 Torrで105.1 cm3g−1(4.69 mmol g−1)の値が得られた。これらの値は、出発原料であるNaAや市販の試料であるCaA-78試料から得られた吸着量よりはるかに大きい値である。特に、NaCaA-85試料が示す低圧領域(~0.1 Torr、~0.3 Torrと~4 Torr)における吸着量の相違は特徴的である。低圧領域でのN2O吸着量のデータはほとんど報告されていないが、報告されている種々の試料に対するそれぞれの平衡圧におけるN2O吸着量の比較を図11に棒グラフで示す[37-43][37] M. Bülow, D.Shen and S. R. Jale: Colloids and Surf. A: Physicochem. Eng. Asp. 241 (2004) 59-65.
[38] X. Zhang, W. Chen, W. Shi and P. Cheng: J. Mater. Chem. A 4 (2016) 16198-16204.
[39] A. A. Leonova and M. S. A. Mel’gunov: Catal. Sustain. Energy 4 (2017) 31-35.
[40] J. Yang et al.: Chem. Commun. 54 (2018) 14061-14064.
[41] T. Wu, Y. Shen, L. Feng, Z. Tang and D. Zhang: J. Chem. Eng. Data 64 (2019) 3473-3482.
[42] K. Yamashita et al.: Chem. Commun. 57 (2021) 1312-1315.
[43] B. Yue et al.: Chem. Eng. J. 462 (2023) 142300.
。これらの結果から、NaCaA-85試料のN2O吸着剤としての有用性は明らかである。

 

図10 NaCaA-85(赤)試料について298 Kで測定したN2Oの一次吸着等温線(塗りつぶし)と二次吸着等温線(白抜き):(a) 0-0.1 Torr、(b) 0-0.3 Torr、(c) 0-4 Torr、(d) 0-100 Torrの圧力領域。比較のために、CaA-78試料とNaA試料の一次吸着等温線および二次吸着等温線も図に示す:CaA-78試料(黒)とNaA試料(青)。

 

図11 様々な平衡圧条件下、298 Kにおいて、これまでに報告されている様々な試料のN2O吸着量の比較(引用文献2, 37-43)。なお、2)のデータは本研究で得られたものである。

 

 

 N2OとCO2の電子構造や分子構造の類似性に注目し、この系の吸着状態を確認するためにin-situ条件下で、NaCaA-85試料へのN2O吸着過程のfar-IR測定を行った。その結果を図12に示す。図中の350–100 cm–1領域に観測されるバンドは(Ca2+–OL)間の振動に対応する領域のバンドであり、それらのバンドのN2O吸着による変化を示している。N2O吸着後低波数へのスペクトル変化が観測された。吸着前には275 cm–1を中心とするバンドと258 cm–1付近にショルダーバンドが観測される。N2O吸着後275 cm–1を中心とするバンドと258 cm–1付近に観測されるバンドは、それぞれ234、203 cm–1にシフトすることがわかった。N2Oの吸着によって(Ca2+–OL)間の振動が低波数側にシフトすることが明らかである。この事実はCO2吸着した系と同様の変化が観測されたことになる。また、比較の試料としてCaA-78やNaA試料へのN2O吸着系ではこれらの変化はほとんど観測されない。NaCaA-85試料についてのデータをCO2吸着系のモデルと同様に二種類のイオン交換Ca2+によってピン留めされたN2O吸着構造を仮定してDFT計算を行うことによって実験結果をうまく説明できることも明らかになった。さらに、N2, CH4およびN2Oの吸着実験を行い、それらの気体の分離特性の結果(吸着量の比率)を図13に示した。選択分離過程の概略は図9で描かれたCO2をN2Oで置き換えたもので図式的に表すことができる。これらのデータはこの試料が示す低圧領域での高い分離特性を示している。以上の結果は、NaCaA-85試料中で二種類のCa2+間に橋架けしたCO2やN2Oの吸着モデルの妥当性を示すものでもある。

 

図12 723 Kで真空排気したNaCaA-85試料の遠赤外吸収スペクトル:黒線。この処理の後、試料を平衡蒸気圧5 TorrでN2Oを吸着させた際のスペクトル: 赤線。その後、423 Kで再排気した際のスペクトル:青い点線。測定はすべて室温、in-situ条件下で行った。

 

図13 NaCaA-85試料を用いて得られた各平衡圧条件下におけるN2O/N2およびN2O/CH4選択性のプロット。

 

 

4. おわりに
 室温、低圧下でCO2およびN2Oの高効率な分離・吸着剤としてNaCaA-85試料が機能することを見出し、その系に遠赤外線領域のin-situ測定とDFT計算法による解析の結果を結びつけることによって、吸着メカニズムの解明に成功した。本研究により、far-IR測定と計算化学的手法を融合したアプローチは、ゼオライトを利用した吸着系において機能する特異な吸着モデルを構築する際に極めて有用な方法であることが示された。また、そのようにして得られた情報を高機能な特異吸着性を示す物質開拓に展開できると考える。今後、遠赤外線領域のin-situ測定方法による研究が発展し、種々の系で有益な情報が得られることを期待する。

 

 

謝辞
 放射光を利用した遠赤外線領域の測定実験を大型放射光実験施設SPring-8のビームラインBL-43IRにおいて実施した(課題番号:2017B1363、2018A1299、2018B1386、2019B1372、2020A0597、2020A1995および2021A1161)。In-situ測定のためのセルのデザインと製作では広島大学ものづくりプラザのガラス加工室(佐藤 勇氏および藤原 雅志氏)による技術支援を受けた。また、CO2吸着分離実験ではマイクロトラック・ベル株式会社の支援も得た。
 本研究は日本学術振興会科研費「基盤研究B:16H04118、基盤研究C:19K05499(黒田)および学術変革領域B:JP22H05045(織田)」の助成を受けて行われた。また、織田博士は岡山大学で学術振興会特別研究員(PD)およびJST、さきがけ専任研究員としての援助を得て研究を行った。

 

 

 

参考文献
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