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Volume 29, No.3 Pages 277 - 278

4. 談話室・ユーザー便り/USER LOUNGE・LETTERS FROM USERS

SPring-8ユーザー協同体(SPRUC)四季報
SPRUC Communications

藤原 明比古 FUJIWARA Akihiko

SPring-8ユーザー協同体(SPRUC)会長 Chair of SPRUC

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SPring-8

 

 「統合イノベーション戦略2024」が2024年6月4日に閣議決定されました[1][1] https://www8.cao.go.jp/cstp/tougosenryaku/2024.html。その中で、SPring-8-IIの整備に着手することが明確に示されています。これまで、SPring-8ユーザー協同体(SPRUC)では、SPring-8シンポジウムやSPRUC BLsアップグレード検討ワークショップにおいて、施設のアップグレードの状況と今後の計画、成果の最大化に向けた計測基盤整備の検討と要望について、ユーザー内で議論し、施設側との意見交換を行ってきました。
 今年度に入ってからは、これまでの議論に加え、SPring-8-IIの利用成果の社会貢献への期待を発信すべく、SPring-8-II利用提案を募集しました。提案をしてくださった会員・研究会の皆様には心よりお礼申し上げます。貴重なご提案は、所掌省庁である文部科学省、施設者である国立研究開発法人理化学研究所、登録施設利用促進機関である公益財団法人高輝度光科学研究センターに具申するとともに、SPring-8シンポジウムやSPRUC BLsアップグレード検討ワークショップで論及していきたいと考えております。また、公開に賛同いただいた提案に関してはSPRUCのHP等で公開していきたいと考えております。SPring-8-II計画はこれからが本番です。引き続き、より良い施設の実現に向けて、会員の皆様と議論を深化させていきたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
 少し話は脱線しますが、現在実施されている「第12回科学技術予測調査(デルファイ調査)」[2]https://www.nistep.go.jp/archives/57495について触れたいと思います。本調査は、科学技術・イノベーション基本計画を始め、科学技術イノベーション関連政策・戦略検討・立案のためのエビデンスを提供するために文部科学省科学技術・学術政策研究所が実施している調査です。本調査の調査項目8分野の一つに「宇宙・海洋・地球・科学基盤」があり、その細目の一つとして「量子ビーム:放射光」があります。放射光利用研究が一つの項目として採用されていること自体が、我が国での放射光利用研究の重要性を示しています。本調査は、次期「科学技術・イノベーション基本計画」に、そして、その実行計画として位置付けられる「統合イノベーション戦略」へとつながります。上記の「統合イノベーション戦略2024」でSPring-8-II計画への着手が明示されたことは、SPring-8利用者の不断の研究開発への取り組みと、本調査への積極的な貢献が実を結んだものです。現在実施されている調査についても、これまで通り、SPRUCから会員の皆様に協力依頼をさせていただきました。今回の調査の第1回は7月31日に終了しました。8月上旬から9月に実施する第2回は、第1回の回答者が対象となります。第1回にご協力くださった会員の皆様は引き続きよろしくお願いいたします。「科学技術予測調査(デルファイ調査)」は、今後も5年間隔で継続的に実施される予定です。SPring-8の利用環境がより良くなるように、更にはそれを活用して、より良い社会への貢献・還元につながりますように今後とも会員の皆様のご協力をお願いいたします。
 関連施設の動向としては、3GeV高輝度放射光施設NanoTerasuが5月20日に試験的共用を開始しました[3]https://nanoterasu.jp/2024/05/NanoTerasu共用ビームラインの試験的共用を開始!!/。軟X線に強みをもつNanoTerasuは、硬X線に強みをもつSPring-8との相補的利用によって、相乗的な成果創出が期待されます。さらに、前述の「統合イノベーション戦略2024」では、SPring-8-IIの整備と関連付け、「整備に伴う停止期間も勘案し、2024年度より運用を開始した3GeV高輝度放射光施設NanoTerasuの共用ビームラインの増設について検討を進める。」と示されています。SPRUCでは、今後、NanoTerasuとの密接な連携についても検討していきたいと考えております。
 SPring-8-II計画に関する議論やNanoTerasuとの連携については、9月5日(木)と6日(金)にSPRUC代表機関である九州大学で開催されるSPring-8シンポジウムでもしっかりと議論していきたいと思います。皆様の積極的なご参加をお願いいたします。
 SPRUCが主催する「SPring-8秋の学校」は、今年は9月1日(日)から4日(水)の日程で開催を予定しています。放射線業務従事者登録を必要とせず、学部学生から社会人まで参加が可能であることから、毎年、幅広いバックグラウンドを持った多数の参加者が集う機会です。講義、グループ講習のみならず、参加者間の交流も貴重な機会です。各研究会からご提案いただいたグループ講習は、過去最高の19テーマとなりました。講習をご提供いただく研究会の皆様にお礼を申し上げます。今後、さらに充実した内容になるよう、会員の皆様の一層のご支援をどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

 

参考文献
[1] https://www8.cao.go.jp/cstp/tougosenryaku/2024.html
[2] https://www.nistep.go.jp/archives/57495
[3] https://nanoterasu.jp/2024/05/NanoTerasu共用ビームラインの試験的共用を開始!!/

 

 

 

藤原 明比古 FUJIWARA Akihiko
関西学院大学 工学部
〒669-1330 兵庫県三田市学園上ケ原1番
TEL : 079-565-9752
e-mail : akihiko.fujiwara@kwansei.ac.jp

 

 

Print ISSN 1341-9668
[ - Vol.15 No.4(2010)]
Online ISSN 2187-4794