Volume 28, No.4 Pages 387 - 393
2. 研究会等報告/WORKSHOP AND COMMITTEE REPORT
SPring-8シンポジウム2023報告
SPring-8 Symposium 2023 Report
[1]SPring-8ユーザー協同体(SPRUC)/近畿大学 理工学部 理学科 化学コース Department of Science, Faculty of Science and Engineering, Kindai University、[2]大阪大学 大学院基礎工学研究科 Graduate School of Engineering Science, Osaka University、[3](公財)高輝度光科学研究センター XFEL利用研究推進室 XFEL Utilization Division, JASRI、[4](国)物質・材料研究機構 マテリアル基盤研究センター Center for Basic Research on Materials, National Institute for Materials Science、[5]東京大学 大学院工学系研究科 Graduate School of Engineering, University of Tokyo、[6](国)理化学研究所 放射光科学研究センター SPring-8 Center, RIKEN
はじめに
去る9月26日(火)、27日(水)に、SPring-8シンポジウム2023が、SPring-8ユーザー協同体(以下、SPRUC)、理化学研究所 放射光科学研究センター(以下、理研)、高輝度光科学研究センター(以下、JASRI)、大阪大学の主催により開催されました。共用開始から四半世紀以上が経過したSPring-8ですが、世界最大の放射光リングから得られる光とそれを受け止める測定系、そしてそこから得られるサイエンス、それぞれが連携して常に進化を続け、世界のフロントランナーとして放射光科学を牽引してきました。第12回目となった本年度のシンポジウムでは、そのような中で、SPring-8の進歩とともに爆発的に増えてきているビッグデータをどのように扱い、どのような新しいサイエンスを生み出していくかについての議論を通して、次世代の放射光科学の将来ビジョンを描いて行くことを期待し、「SPring-8/SACLAとデータ科学の融合が生み出す可能性」をテーマとしました。基本的には対面により大阪大学会館 講堂、アセンブリー・ホールで2日間開催し、現地に参加されない会員には、講演をオンラインで配信する形をとりました。開催方式の検討と当日の運営については大阪大学の中川敦史氏にご尽力いただきました。
セッションI オープニング
オープニングセッションでは、西堀英治SPRUC会長(写真1)より開会の挨拶がありました。4年ぶりのSPring-8外での対面(ハイブリッド)開催ということで、ホスト機関として大阪大学の尾上孝雄理事・副学長(研究担当)(写真2)から挨拶がありました。続いて、理研の松尾浩道理事(写真3)、JASRIの雨宮慶幸理事長(写真4)より挨拶があり、最後に、文部科学省 科学技術・学術政策局 研究環境課 稲田剛毅課長(写真5)から来賓挨拶をいただきました。久々に、挨拶される皆様全員が現地に揃い、壇上から多くの出席者(とオンライン参加者)に向かって話す形となりました。挨拶された皆様からも本シンポジウムが本格的な対面開催を実施できたことへの歓迎感が強くあったように思います。
写真1 SPRUC 西堀英治会長 | 写真2 大阪大学 尾上孝雄理事・副学長 |
写真3 理研 松尾浩道理事 |
写真4 JASRI 雨宮慶幸理事長 | 写真5 文部科学省 稲田剛毅課長 |
セッションII 施設報告
セッションIIでは、施設報告として、JASRI放射光利用研究基盤センター 坂田修身センター長(写真6)、理研 放射光科学研究センター 制御情報・データ創出基盤グループ 初井宇記グループディレクター(GD)(写真7)、物理・化学系ビームライン基盤グループ 矢橋牧名GD(写真8)による講演が行われました。
坂田センター長からは、「SPring-8の現状」と題した講演が行われました。前回のSPring-8シンポジウム以降の1年間を振り返り、SPring-8の利用研究の公募回数が最大年6回となったことや成果公開優先課題が開始されたこと、施設の運転統計、最近の研究成果の統計が報告されました。また、SPring-8の高度化について、硬X線領域の重点化やオペランド構造解析に対するニーズへの対応を重点的に進めていることが説明され、ユーザーニーズに応えるためにSPring-8-IIを見据えた重複装置の集約や配置最適化、加速器やビームライン技術の開発整備が行われていることが報告されました。その中では、大規模改修の進むBL39XUなどビームライン再編の現状、高エネルギーX線CTの測定代行、測定試料の準備や交換の自動化システムの開発状況などが報告されました。
初井GDからは、「SPring-8データセンター構想」と題して、データセンターのインフラおよびサービスの構想の他、欧州、米国、および日本のデータ政策とその動向について報告されました。講演の冒頭では、欧州や米国におけるオープンデータに関する戦略やデータインフラの整備、計算科学との連携について紹介され、日本の振興方策と違いはあるものの、データの利活用と流通基盤の重要性は共通していることが報告されました。また、今後想定される非常に巨大なデータの取り扱いについては、ネットワーク転送前にデータ圧縮することが重要であることが述べられ、そのための取り組みが報告されました。整備の進んでいるデータセンター構想のインフラに関しては、その仕様概要や国内のデータ基盤との連携について解説されました。また、データセンターのサービスについては、試料あたりのデータ量や1日あたりの試料数をもとにデータ特性の類型化を行い、両類型に向けたサービスが準備されることが案内されました。
矢橋GDからは、「SPring-8-IIの概要」と題した講演が行われました。講演は、SPring-8共用開始から現在までのあゆみを振り返った上で、現在の課題として、ビームタイムの混雑、光熱費高騰や老朽化による安定運転への懸念、海外施設の分析能力の向上などが指摘されました。これに対し、SPring-8-II計画では、特に加速器を中心としたインフラのアップグレードを行い、現状より100倍輝度の高い高エネルギーX線の生成と消費電力の大幅な削減を両立し、日本の分析能力の持続的発展を将来に渡って支える計画であることが述べられました。そのために、5ベンドの磁石配置を用いた超低エミッタンス化、SACLAからの高効率入射システム、小型真空封止アンジュレータ、30 m長直線部の利用などといった革新的テクノロジーが活用される計画であり、SPring-8-IIでは最高輝度の大幅な向上に加え、空間コヒーレンスの向上、大強度の準単色光の実現などが期待されることが報告されました。SPring-8-IIは軟X線を得意とするNanoTerasuと相補的な関係にあり、世界的に見ても非常に高いレベルの分析能力が期待されることが説明されました。今後の想定スケジュールでは、2025年度から本格的な整備を開始し、2027年度から2028年度にかけて約1年間運転を停止して加速器の入れ替えを行った後に、早期の共用再開が計画されているということでした。講演の後半では、利用基盤としての質的な飛躍、量的な飛躍の2つの方向性から、現在検討されている利用事例や利用制度のあり方が紹介されました。SPring-8-II計画について、その概要をまとめた報告が行われたのは本講演が初めてということもあり、その後の質疑でもこの講演に関するものが多くありました。
写真6 JASRI 坂田修身センター長 |
写真7 理研 初井宇記GD | 写真8 理研 矢橋牧名GD |
セッションIII 大阪大学×SPring-8
セッションIIIでは、大阪大学×SPring-8として、大阪大学から、石川貴嗣氏(写真9)と中川敦史氏(写真10)による講演が行われ、大阪大学における特徴的なSPring-8活用の取り組みが紹介されました。
石川貴嗣氏からは「SPring-8/LEPS2(BL31LEP)で拓くクォーク核物理」と題した講演が行われました。物質の起源と進化の謎を追求するクォーク核物理学のコンセプトを始め、LEPS2実験棟(BL31LEP)における後方コンプトン散乱過程による高エネルギーレーザー光発生の仕組みや基幹検出器についての解説がありました。最近の取り組みとして、データ科学活用の観点から、トリガー信号レスでのシグナル取得を可能にするストリーミング型データ収集システム開発について報告されました。
引き続き中川敦史氏からは「生体超分子複合体構造解析ビームライン(蛋白研ビームライン):BL44XU」と題した講演が行われました。生体超分子複合体のX線結晶構造解析の難しさと、課題解決のために実施されたビームラインの整備・改良について、高精度多軸ゴニオメータの導入や長格子結晶解析用の可動式ダイレクトビームストッパーなど、具体的な仕組みを交えながら解説がありました。ウイルス様粒子のデータ収集効率化などの成果紹介に続き、SPring-8-IIでの次世代ターゲット(高次機能)研究に向けた期待、共同利用としての課題募集中である旨について報告がありました。
写真9 大阪大学 石川貴嗣氏 | 写真10 大阪大学 中川敦史氏 |
セッションIV 研究会報告
セッションIVでは、研究会報告として、核共鳴散乱研究会 三井隆也氏(写真11)、地球惑星科学研究会 太田健二氏(写真12)、高分解能X線イメージング研究会 水谷隆太氏(写真13)、固体分光研究会および原子分解能ホログラフィー研究会 菅滋正氏(写真14)、顕微ナノ材料科学研究会 吹留博一氏(写真15)、結晶化学研究会 橋爪大輔氏(写真16)による講演が行われました。
三井隆也氏からは、「結晶核モノクロメーターを用いた物質科学のための先端メスバウアー計測技術の開拓」と題した講演が行われました。放射光を用いてマイクロビーム利用が可能となった超高輝度メスバウアー分光の有用性や利用研究に関する報告をされました。また、薄膜作製を組み込んだin-situメスバウアー分光装置の紹介があり、鉄の清浄表面の磁性を原子層単位で評価した研究成果が報告されました。
太田健二氏からは、「放射光が切り拓く地球惑星・高圧物質科学研究」と題した講演が行われました。地球惑星科学・高圧物質科学における高温高圧環境におけるその場観測の重要性や、微小領域、複合測定、高速測定への展開について報告されました。また、放射光を用いた研究成果として、はやぶさ2の分析結果や惑星コアの熱進化について紹介されました。展望として、データ科学と高圧科学の協働の重要性に関する提案がなされました。
水谷隆太氏からは、「米国アルゴンヌ国立研究所の放射光施設Advanced Photon Sourceの利用申請から実験まで~SPring-8とその次期計画を考える」と題した講演が行われました。Advanced Photon Sourceでの生体試料におけるナノ・マイクロCT実験に関して、プロポーザル提出から実際の実験環境やユーザーの報告義務に関して報告されました。海外放射光施設での実験経験を基に、SPring-8-II計画に関して、制度の改正案やエンドステーションの性能向上、新イメージングビームラインの建設などの提案がなされました。
菅滋正氏からは、「スピン分解光電子運動量顕微鏡と摂動下共鳴X線非弾性散乱の新展開」と題した講演が行われました。スピン関連の放射光分光の中でも、特に光電子分光における三次元的なバンド構造と合わせてスピン状態を観測することの重要性について指摘されました。顕微分光と超高効率のスピン分解光電子分光を可能にするドイツで開発されたMomentum Microscope装置の紹介があり、この装置で得られた研究成果と日本への導入の重要性について報告されました。また、光電子分光実験が難しい非伝導体については、軟X線共鳴非弾性X線散乱測定による電子状態観測の重要性であることを提案されました。
吹留博一氏からは、「放射光分光を活用した社会実装・国際標準化への取り組み」と題した講演が行われました。次世代の半導体材料・デバイスの創発およびその社会実装・国際標準化を目指して行われた、放射光を用いたオペランド・ナノX線分光の研究成果、および、実際に企業との共同研究におけるデバイス開発に資する研究成果が得られたことを報告されました。更なる放射光分光の進化と機械学習によるデバイス・シミュレーションによる解析を組み合わせることで、最先端デバイス・モデリングの発展や低環境負荷デバイスの実現についての提案がなされました。
橋爪大輔氏からは、「SPring-8で得られる異種データのハイブリッド構造解析による構造化学研究」と題した講演が行われました。固体材料開発において構造解析がボトルネックとなっており、構造モデルを決定することの重要性についての問題提起がなされました。この問題を解決する1つの方法として、X線回折とX線吸収微細構造の間でパラメータを受け渡しながら交互に繰り返すことで構造モデルを求めるハイブリッド構造解析法とその研究成果について報告されました。それぞれの解析法の長所を活かした多変量解析には、データ科学との融合が重要であることを提案されました。
写真11 三井隆也氏 | 写真12 太田健二氏 | 写真13 水谷隆太氏 |
写真14 菅滋正氏 | 写真15 吹留博一氏 | 写真16 橋爪大輔氏 |
セッションV 最先端光源をリードする SPring-8/SACLA
セッションVは、光源性能を最大限に引き出す大阪ミラーについて特集し、3名のご講演者にご講演を依頼しました。最初に、大阪ミラーの開発を精力的に進められた大阪大学の山内和人氏(写真17)からは、形状可変ミラーを使って、X線集光サイズとして、7 nmという世界最高記録を達成したとのご講演をいただきました。また、X線結像光学系の開発のため、凹凸を組み合わせたWolter-I型、-III型の併用型を導入し、縦横等倍率を実現したとのご説明をいただきました。大阪ミラーをJTEC社に技術移転して、年間100枚程度販売できるようになったとのご講演に対し、ビジネス展開が成功した秘訣は何だったのかとの質疑があり、長続きする良いパートナーとの出会いを大切にしてきたのが秘訣だったとのご回答がありました。
大阪大学の尾崎典雅氏(写真18)から、科学技術の様々な分野において、高エネルギー密度物質に関する基礎研究が不可欠であるとのご説明後に、最新の成果として、レーザー核融合の燃料容器として用いられる多結晶ダイヤモンドの応力状態の変化が詳細に観察されたとのご報告がありました。また単結晶ダイヤモンドでは、横波音速を超えた欠陥の伸展が世界で初めて観察されたとのご報告がありました。
(株)リガク 表和彦氏(写真19)から、微細構造を有する3D flash memoryの非破壊での評価の需要が高まる中、Wolterミラーを用いたX線結像顕微鏡を開発し、実デバイスに近い試料の観察に大きな進展が見られたとのご報告がありました。使い勝手の良い視野を持つ顕微鏡を構築でき、X線発生装置を使った実験で50 nm程度、SPring-8を使った実験で20 nmを切る分解能が得られ、デバイスの微細構造を観察できたとのご報告がありました。
写真17 山内和人氏 | 写真18 尾崎典雅氏 | 写真19 表和彦氏 |
セッションVI パネルディスカッション
今回で7回目となる「パネルディスカッション」が行われました(写真20)。大阪大学の鷲尾隆氏(写真21)をモデレーターとし、パネリストとして、北海道大学の小松崎民樹氏(写真22)、熊本大学の赤井一郎氏(写真23)、東北大学の矢代航氏(写真24)、大阪大学の関山明氏(写真25)、理化学研究所の加藤健一氏(写真26)が参加しました。
当パネルディスカッションのテーマは、「SPring-8/SACLAとデータ科学の融合が生み出す可能性」であり、最初に、司会の鷲尾隆氏より計測インフォマティクスの実験科学に対するインパクトと実験科学はどのように対応する、どう変わるべきかとの問いかけが行われました。
次に、小松崎民樹氏より、既にオンザフライラマン分光イメージングなどに活用例のある人工知能により計測を迅速化するアルゴリズムについての紹介がありました。今後の情報科学と計測科学の関わり方としては、一方通行ではなく双方向的な協働の必要性について述べられました。
赤井一郎氏より、非線形回帰で解を求める場合において、従来法の最小二乗法に代わるレプリカ交換モンテカルロ法に基づくベイズ推定についての紹介が行われました。放射光計測における適切な事前確率の設計により、物性情報や計測特性を組み込んだベイズ推定による解析法についての提案がありました。
矢代航氏より、放射光CTにおける圧縮センシングと深層学習のデータ科学の活用例として、不完全投影データCT再構成、デノイジングなどの活用例について紹介がありました。データ科学の発展により、見えてきた放射光CTの新たな展開として、高速化、低線量化、放射光利用の高効率化、高スループット化による新たな4D領域のDX化が期待されることを示されました。
関山明氏より、専門とする内殻光電子線二色性スペクトルの計測などで行われているオールドファッションな放射光計測からの脱却への期待について紹介されました。データ科学を活用することにより、もっといい測定方法はないか、もっと情報を引き出せないかとの問いについても述べられました。
加藤健一氏より、SPring-8側から見たアプローチとして、粉末X線計測に用いる検出器の感度ムラ補正によるダイナミックレンジの復元について紹介されました。データ科学に期待する点として、未計測データの復元、未知の感度ムラの粉末X線回折パターン予測の可能性について述べられました。
各パネリストからの講演の後、パネリスト間での議論が行われ、最後に、鷲尾隆氏により総括が行われました。総括では、現時点では、計測インフォマティクスは世界的に確立された分野でなく、機械学習の研究の中で計測問題を目的とする基礎研究は皆無であって異分野融合に挑戦する人材が不足しており、放っておいても計測インフォマティクス研究が進まない状況について懸念を示されました。実験科学が発展、かつ持続的に日本の実験科学が世界をリードするには、実験科学研究の研究者自らが波及効果の大きい新しい計測インフォマティス原理を含む情報科学基礎研究を継続的に行い、それを前提とした計測科学(設備、装置、センサー開発、設計)研究を行う必要性が高いことを述べられました。
写真20 パネルディスカッション | ||
写真21 鷲尾隆氏 | 写真22 小松崎民樹氏 | 写真23 赤井一郎氏 |
写真24 矢代航氏 | 写真25 関山明氏 | 写真26 加藤健一氏 |
セッションIX ポスターセッション
ポスターセッションは、1階アセンブリー・ホールにおいて行われました(写真27)。今年度の発表件数は、SPRUC研究会35件、共用ビームライン16件、専用ビームライン10件、理研ビームライン6件、施設2件、長期利用課題2件、大学院生提案型課題(長期型)3件の合計74件でした。対面での開催は4年ぶりであり、セッションの最初から最後まで非常に活発な議論が行われました。
写真27 ポスターセッション |
セッションVII SPRUC総会・YSA授賞式、受賞講演
SPRUC総会、Young Scientist Award(YSA)授賞式、受賞講演が行われました。総会では、まず、西堀会長による挨拶があり、続けて、行事、予算、研究会での活動状況についての報告がありました。最後に、今後のSPRUCの活動予定が示されました。
続いて、12th SPRUC YSA授賞式が行われました。冒頭、尾嶋正治選考委員長(写真28)より、6名の応募があり、計2名を受賞者としたことと、それぞれの授賞理由の紹介がありました。授賞式の後、受賞者である鬼頭俊介氏と大竹研一氏による受賞講演が行われました(写真29)。
鬼頭俊介氏は、「高エネルギーX線回折を用いた価電子軌道の直接観測」について発表しました。鬼頭俊介氏は、コア差フーリエ合成法による電子密度解析手法を独自に開発し、SPring-8から発生する40 keV付近の短波長高輝度X線放射光を用いた回折実験データ解析に適用することで、サブオングストロームの空間分解能で価電子密度分布の可視化に成功した研究内容について講演を行いました。
大竹研一氏は、「柔軟な多孔性配位高分子の動的挙動のその場観察による解明」について発表しました。大竹研一氏は、SPring-8の単結晶、多結晶X線回折ビームラインを利用し、in-situダイナミック構造解析を行うことで、この細孔窓の開閉メカニズムが骨格と官能基間との相互作用に基づく安定化構造の変化にあることを明らかにした研究内容について講演を行いました。
写真28 尾嶋正治選考委員長 | 写真29 12th SPRUC YSA授賞 |
セッションVIII クロージング
クロージングセッションでは、最初に理研の石川哲也センター長(写真30)より総括がありました。まず、施設報告では、SPring-8-IIの計画概要について、これまでより具体的な内容の報告があり、今後は、各研究会においてSPring-8-IIに向けた議論が進むことへの期待が寄せられました。また、30年後の後輩たちのために、SPring-8-IIが「強い日本」をつくる道具として活躍できるように、若手に尽力してもらいたいと期待を寄せられました。
次に、主催機関を代表してSPRUC西堀会長より閉会の挨拶がありました。会長自身の全体の感想が述べられ、実行委員を始めとした関係者、参加者へのお礼の言葉がありました。
会議のプログラムの詳細とアブストラクトは下記Webページにて公開されています。
http://www.spring8.or.jp/ja/science/meetings/2023/sp8sympo2023/
写真30 理研 石川哲也センター長 |
近畿大学 理工学部 理学科 化学コース
〒577-8502 大阪府東大阪市小若江3−4−1
TEL : 06-4307-5099
e-mail : sugimoto@chem.kindai.ac.jp
大阪大学 大学院基礎工学研究科
〒560-8531 大阪府豊中市待兼山町1-3
TEL : 06-6850-6420
e-mail : sekiyama@mp.es.osaka-u.ac.jp
(公財)高輝度光科学研究センター XFEL利用研究推進室
〒679-5198 兵庫県佐用郡佐用町光都1-1-1
TEL : 0791-58-0802 ext. 7885
e-mail : tyabuuchi@spring8.or.jp
(国)物質・材料研究機構 マテリアル基盤研究センター
〒305-0003 茨城県つくば市桜3-13
TEL : 029-859-2627
e-mail : NAGAMURA.Naoka@nims.go.jp
東京大学 大学院工学系研究科
〒113-8656 東京都文京区本郷7-3-1
TEL : 03-5841-6692(内線26692, 86768)
e-mail : masaki.kobayashi@ee.t.u-tokyo.ac.jp
(国)理化学研究所 放射光科学研究センター
〒679-5198 兵庫県佐用郡佐用町光都1-1-1
TEL : 0791-58-0802 ext. 3823
e-mail : yoshiki.kohmura@riken.jp