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Volume 27, No.4 Pages 294 - 299

1. 最近の研究から/FROM LATEST RESEARCH

高圧下におけるSiO2ガラスの四面体構造変化のその場測定
In situ Investigation of Tetrahedral Symmetry Breaking in SiO2 Glass at High Pressures

河野 義生 KONO Yoshio

愛媛大学 地球深部ダイナミクス研究センター Geodynamics Research Center, Ehime University

Abstract
 SiO2は地球に最もありふれた物質の一つであり、その液体・ガラスの構造と特性の理解は、地球内部におけるマグマの理解から、我々の日常で利用するガラス材料の理解など、様々な科学・技術分野において重要視されている。特に、SiO2液体・ガラスは圧力下において異常な密度変化や圧縮率変化をすることが知られており、そのようなSiO2の特異な物性のメカニズムを理解することは、物理学、地球科学、材料科学などの幅広い学術分野における重要課題である。本研究では、SPring-8のBL05XU、BL37XUビームラインにおける高強度の高エネルギーX線を活用することにより、高圧その場環境下において精確にSiO2ガラスの構造を測定する手法を開発した。そして、得られた実験結果と逆モンテカルロ解析、分子動力学シミュレーションを組み合わせることにより、SiO2ガラスにおける四面体構造の存在とその高圧下における崩壊を実験的に捉えることに成功した。
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SPring-8

 

1. はじめに
 四面体構造を持つ液体・非晶質物質は、高温もしくは高圧環境下において異常な特性を持つことが知られており、その構造的起源の理解は、物理学、化学、地球科学、材料科学などの多くの科学分野において重要な課題である。その最も有名な例が水の特異な性質であり、4°Cにおける密度の最大化や加圧時の粘性低下などの特異な性質が広く知られている。水と同様に、SiO2液体においても、高温下での密度の最大化などの特異な性質の存在が知られており、さらに、SiO2ガラスにおいても、高圧下における異常な圧縮率極大(体積弾性率極小)が圧力2-3 GPaに存在することが知られている。このようなSiO2における異常特性のメカニズムの理解は、物理学のみならず、地球・惑星内部におけるケイ酸塩マグマの理解や、材料科学における酸化物ガラス材料の特性の理解など、幅広い科学分野に関連する重要な未解明問題である。
 SiO2液体の理論研究において、Si原子の第二層構造がSiO2液体の異常特性を理解する上で重要であることが提案されている[1,2][1] I.Saika-Voivod, F. Sciortino and P. H. Poole: Phys. Rev. E 63 (2000) 011202.
[2] R. Shi and H. Tanaka: Proc. Natl. Acad. Sci. 115 (2018) 1980-1985.
。SiO2液体中の第二層構造における並進秩序を調べるためのパラメーターとして、構造パラメーターz(あるSi原子から5つ目に近いSi原子までの距離と4つ目に近いO原子までの距離の差を表すパラメーター)が提案されている[2][2] R. Shi and H. Tanaka: Proc. Natl. Acad. Sci. 115 (2018) 1980-1985.。理論研究により、高温もしくは高圧下において、この構造パラメーターzが二峰性分布を示すことが明らかになり、SiO2液体は二状態的構造変化をすることが提案されている。構造パラメーターzの二峰性分布は、それぞれS状態、ρ状態と名付けられ、低密度のS状態は、近接の4つのSi原子が四面体構造を成す構造を示しており、5つ目に近いSi原子は第一層の4つのSi原子とは大きく離れた第二層に位置している。一方、高密度のρ状態では、Si原子の第一層構造と第二層構造の分離が崩れ、第一層に4つ以上のSi原子が存在することにより、四面体性が乱れた構造となっている。理論研究により、この高い四面体性を持つS状態の割合の変化が、SiO2液体における高温高圧下での異常特性の要因であることが提案されている[2][2] R. Shi and H. Tanaka: Proc. Natl. Acad. Sci. 115 (2018) 1980-1985.。しかしながら、このようなSi原子の第二層構造の変化は、SiO2液体、SiO2ガラスともに高温高圧下では実験的に捉えられていない問題があった。
 近年、1気圧下における非晶質物質の構造研究では、実験により得られた動径分布関数測定データを基に、分子動力学(MD)シミュレーションと組み合わせた逆モンテカルロ(RMC)解析による非晶質構造のモデリングにより、非晶質物質の構造の詳細な理解が進んできている。SiO2ガラスにおいても、高圧高温処理後回収試料について、1気圧下における動径分布関数測定による詳細な構造解析が報告されている[3][3] Y. Onodera, S. Kohara, P. S. Salmon, A. Hirata, N. Nishiyama, et al.: NPG Asia Materials 12 (2020) 85.。しかしながら、高圧高温処理後に回収したSiO2ガラス試料についての1気圧下での構造解析では、Siの第二層構造の並進秩序には顕著な変化は見られておらず[3][3] Y. Onodera, S. Kohara, P. S. Salmon, A. Hirata, N. Nishiyama, et al.: NPG Asia Materials 12 (2020) 85.、理論研究で示されたような構造パラメーターzの二峰性分布は得られていない。
 我々は、高圧その場環境下におけるSiO2ガラスの構造変化の詳細を理解することを目的とし、SPring-8のBL37XUビームライン、並びに高エネルギーX線利用のテストベンチとして整備されたBL05XUビームラインにおいて、高強度の高エネルギーX線を活用することにより、高圧下において精確にSiO2ガラスの構造を測定する手法を開発した。そして、得られた実験結果について、MDシミュレーションと組み合わせたRMC解析(MD-RMC解析)を行うことにより、高圧下におけるSiO2ガラスの構造情報を得ることに成功した[4][4] Y. Kono, K. Ohara, N. M. Kondo, H. Yamada, S. Hiroi, et al.: Nature Comm. 13 (2022) 2292.

 

 

2. 実験
 高圧下その場におけるSiO2ガラスの動径分布関数測定は、SPring-8のBL05XU、BL37XUビームラインにおいて、ポイント型検出器を用いたスキャン式のX線回折測定により行った(図1(a))。高圧実験装置には、パリ-エジンバラ型(PE)プレスを用いた。高圧下におけるガラスの構造測定のためにPEプレスを用いる理由として、(1)高圧実験で良く用いられているダイヤモンドアンビルセルよりも遥かに大きい試料を用いた高圧実験が可能である点、(2)高圧下での大容量試料合成や物性測定などに良く用いられる大型のプレス装置(マルチアンビル装置、キュービックアンビル装置、など)と比べて、PEプレスは水平方向に幅広い開口角度を持つ点、が挙げられる。図1(b)に示すように、PEプレスは両側に水平方向120°の開口角度があるため、幅広い2θ角度でのX線回折測定が可能であり、高Q領域までの構造因子[S(Q)]の測定に適している。

 

図1 (a)BL05XUビームラインにおける高圧下でのガラスの動径分布関数測定セットアップ。(b)高圧実験用のパリ-エジンバラ型(PE)プレス装置の水平方向からの写真。(c)SiO2ガラスの高圧下動径分布関数測定に使用したPEセル。

 

 

 PEプレスは、円盤型のPEセルを上下方向に1軸圧縮することにより圧力を発生させる装置である。図1(c)に本研究で使用した直径12 mmのカップ型超硬アンビル用のPEセルの図を示す。超硬アンビル内部に位置するカップ部分はZrO2からなる。一方、ガスケット部分については、水平方向からX線を入射してX線回折測定を行うために、X線の高い透過度が必要である。本研究では、X線吸収の少ない非晶質ボロンをエポキシ樹脂で固めたボロンエポキシ材と、MgOのリングをガスケットとして使用した。本研究で使用したSiO2ガラス試料のサイズは直径2.5 mm、高さ1.5 mmであり、室温下において圧力6.0 GPaまでの高圧実験を行った。
 高圧下その場における非晶質物質の動径分布関数測定では、1気圧下の測定と異なり、試料周りの高圧実験セルや周辺環境からのバックグラウンドが大きな問題となる。そのため、そのようなバックグラウンドを遮蔽し、非晶質物質からの弱い散乱のみに焦点を当てた測定を行うことが重要である。本実験において、PEプレス装置内部に設置した試料は直径2.5 mmの小さいサイズである一方、試料周りのPEセル構成物質は高圧下では約20 mmもの直径になり、試料と比べて一桁近く大きいサイズになる。さらに、SiO2ガラス試料からのX線散乱強度は、MgOなどの試料周りのPEセル構成物質からの散乱強度よりも弱いため、試料周りのPEセル構成物質からの散乱の影響を避けるためのコリメーションスリットが必要不可欠となる。我々は、スリット幅40 μmのコリメーションスリットを、可能な限り試料直近位置となるように高圧プレスの開口部まで挿入することにより、2θ角度 = 2°の低角においても、入射X線サイズ50 μm条件下でコリメーション長1.4 mmの非常に限定された領域からの散乱のみを測定する高精度のコリメーションスリットシステムを開発した。そして、このコリメーションスリットシステムを用いることにより、PEセルや周囲からのバックグラウンドの影響を避け、SiO2ガラス試料のみからの散乱を精確に測定することに成功した。
 実験はSPring-8のBL37XU、BL05XUビームラインで行った。BL37XUビームラインでは、Si511-Si333モノクロメーターによるエネルギー40.0 keVの単色X線(ΔE/E = 1.8 × 10-5)を用いた。試料に照射されるフォトン数を増加させるために、水平方向についてはミラーを用いて1 mmのビームを0.2 mmに集光した。さらに、2θ = 17°以下の低角領域においては、コリメーション長を試料直径以下にするために、プレス直前に設置したスリットにより入射X線幅を0.1 mmに制限した。一方、BL05XUビームラインでは、エネルギー40.3 keVのピンクビーム(ΔE/E = 1.7 × 10-2)を使用した。BL05XUビームラインの多層膜ミラーによる1.7%の幅広いエネルギーバンド幅のピンクビームは、Si511-Si333モノクロメーターによる単色X線よりも約3桁近く高いX線フラックスである。BL05XUビームラインの実験においても、プレス直前に設置したスリットでビームを制限することにより、BL37XUビームラインでの実験と同じ0.1-0.2 mm幅の入射X線を使用した。
 SiO2ガラスの動径分布関数測定は、ポイント型検出器を用いたスキャン式のX線回折測定により行った。BL37XUビームラインでは、2θ角度1°-60°範囲、BL05XUビームラインでは2θ角度1°-70°範囲での測定を行うことにより、それぞれQ範囲19 Å-1、20 Å-1までの高Q範囲にわたるS(Q)を高圧下その場で測定することに成功した。
 本稿で紹介するSiO2ガラスの実験は、高圧下におけるガラスの動径分布関数測定システムの開発初期段階で行ったため、測定条件の最適化には至っておらず、BL37XUビームラインにおける単色X線と、BL05XUビームラインにおけるピンクビームの違いによるガラスの動径分布関数測定への影響を考察することはできていない。一方、少なくともピンクビームを用いたBL05XUビームラインの実験では、約1/3の短い測定時間(BL05XUビームラインでの測定時間:55分、BL37XUビームラインでの測定時間:168分)で、より高QまでのS(Q)データを測定することが可能であった。

 

 

3. 高圧下におけるSiO2ガラスの構造変化
 SiO2ガラスのS(Q)測定は、1気圧から圧力6.0 GPaまでの高圧下において行った[4][4] Y. Kono, K. Ohara, N. M. Kondo, H. Yamada, S. Hiroi, et al.: Nature Comm. 13 (2022) 2292.。図2(a)に、代表例として、圧力0 GPa、5.2 GPaで測定したSiO2ガラスのS(Q)結果を示す。SiO2ガラスのS(Q)の高圧下における最も顕著な変化として、約2.9 Å-1に新しいピークが出現する(図2(a))。さらに、約5 Å-1の第三ピークは、0 GPaでは低Q側に肩を持つような形状をしているが、高圧下では一つの幅広いピークに変化する。

 

図2 (a)圧力0 GPa(オレンジ線)、5.2 GPa(赤線)において測定したSiO2ガラスの構造因子[S(Q)]と、実験結果を基にMD-RMC解析により構築した構造モデルのS(Q)(黒線)。(b, c, d)MD-RMC解析により構築した構造モデルにおけるSi-O[gSiO(r)]、O-O[gOO(r)]、Si-Si[gSiSi(r)]の部分動径分布関数。

 

 

 高圧下その場における実験により得られたS(Q)結果を基に、MD-RMC解析により高圧下におけるSiO2ガラスの構造モデルを構築した。図2(a)の黒線は、それぞれの圧力条件下において、MD-RMC解析により得られた構造モデルから計算したS(Q)を示しており、実験により得られたS(Q)結果をよく再現する構造モデルを構築することに成功した。図2(b)-2(d)には、圧力0 GPa、5.2 GPaの構造モデルにおけるSi-O[gSiO(r), 図2(b)]、O-O[gOO(r), 図2(c)]、Si-Si[gSiSi(r), 図2(d)]の部分動径分布関数を示している。gSiO(r)、gOO(r)については、圧力0 GPa、5.2 GPaの間で大きな変化はなく、近接のSi-O、O-O構造は変化していないことを示している。一方、gSiSi(r)では圧力0 GPa、5.2 GPaの間で明らかな違いが見られた。第一近接のSi-Si距離は高圧下において短くなっており、これは高圧下におけるSi-O-Si角度の減少を示していると考えられる。さらに、gSiSi(r)において、約3.5-6 Åの第二層構造に明らかな変化が見られた。理論研究[1,2][1] I.Saika-Voivod, F. Sciortino and P. H. Poole: Phys. Rev. E 63 (2000) 011202.
[2] R. Shi and H. Tanaka: Proc. Natl. Acad. Sci. 115 (2018) 1980-1985.
において、SiO2液体の高温高圧下における構造変化の理解に、Siの第二層構造が重要であることが提案されており、SiO2ガラスの高圧下における構造変化においてもこの第二層構造の理解が重要であることが考えられる。
 Shi and Tanaka (2018)[2][2] R. Shi and H. Tanaka: Proc. Natl. Acad. Sci. 115 (2018) 1980-1985.において、Siの第二層構造における並進秩序を表すパラメーターとして、構造パラメータzが提案されている。構造パラメーターzは、あるSi原子から5つ目に近いSi原子までの距離と4つ目に近いO原子までの距離の差を表すパラメーターである。本研究では、この構造パラメーターzを用いた解析により、高圧下におけるSiO2ガラス中のSiの第二層構造の並進秩序を調べた。図3(c)に、圧力0 GPa、5.2 GPaの実験結果を基に構築した構造モデルから得られたSiO2ガラス中の構造パラメーターzの分布を示す(実験+MD-RMC解析)。さらに比較のため、圧力0 GPa、5.2 GPa条件下において、BKSポテンシャルモデル[5][5] B. W. H. van Beest, G. J. Kramer and R. A. van Santen: Phys. Rev. Lett. 64 (1990) 1955.を用いたMDシミュレーションから得られた構造についての解析結果も図3(c)に示している。実験+MD-RMC解析結果、BKSモデルによるMDシミュレーション結果ともに、圧力0 GPaではz = 2.4 Åに単独のピークを持つ分布を示している。これはSiO2液体の理論研究により報告されているS状態と同じ構造であり、近接の4つのSi原子が四面体構造を成し、5つ目に近いSi原子は第一層の4つのSi原子とは大きく離れた位置に存在していることを表している(図3(b))。

 

図3 構造パラメーターzによるSiO2ガラスの圧力0 GPa、5.2 GPaにおける並進秩序の変化(c)と、z = 1.7 Å (a)、z = 2.4 Å(b)での構造的特徴。(a), (b)では、水色で示したSi原子から近接の5つのSi原子を青色で示している。

 

 

 一方、圧力5.2 GPaの高圧下においては、z = 1.6-1.7 Åの分布が増加し、二峰性分布を示すことが明らかになった(図3(c))。実験+MD-RMC解析により得られた圧力5.2 GPaの結果は、圧力0 GPaの結果と比べて、z = 1.6-1.7 Åの分布が大きく増加し、それに伴いz = 2.4 Åの分布は低下する。同様の特徴は、MDシミュレーション結果でも得られており、z = 1.7 Åに大きな分布を持つとともに、z = 2.4 Åの分布は大きく低下し、二峰性分布を示している。この高圧下において出現するz = 1.6-1.7 Åの構造は、Si原子の第一層構造と第二層構造の分離が崩れ、5つ目のSi原子が第一層の4つのSi原子と同じ位置まで接近することにより、四面体性が失われた乱れた構造となっている(図3(a))。
 本研究において、実験+MD-RMC解析により得られたSiO2ガラスの高圧下における構造パラメーターzの二峰性分布は、SiO2液体の理論研究による結果と調和的であり、SiO2ガラスで得られたz = 2.4 Å、z = 1.7 Åの構造は、SiO2液体の理論研究[2][2] R. Shi and H. Tanaka: Proc. Natl. Acad. Sci. 115 (2018) 1980-1985.で提案されているS状態、ρ状態の構造と一致する。SiO2ガラスは、1気圧から低圧下では主に四面体性の高いS状態構造からなる一方、高圧下では四面体性が崩れ、S状態構造の割合が大きく低下することが高圧下におけるSiO2ガラスの異常特性の構造的起源となっていると考えられる。

 

 

4. おわりに
 本研究では、SPring-8のBL05XU、BL37XUビームラインにおいて、高強度の高エネルギーX線を活用することにより、高圧その場環境下において精確にSiO2ガラスの構造を測定する手法を開発した。そして、高圧下で測定したS(Q)結果を、逆モンテカルロ解析、分子動力学シミュレーションと組み合わせることで、高圧その場環境下におけるSiO2ガラスの構造情報を得ることに成功し、SiO2ガラスに潜む四面体構造の存在とその高圧下における崩壊を実験的に捉えることに成功した。
 SiO2ガラスの高圧下における異常特性のメカニズムの理解は、ガラス材料としての圧力下における構造と物性変化の理解のみならず、地球・惑星科学におけるケイ酸塩マグマのアナログ物質としての理解においても重要な問題である。本研究において、高圧その場環境下でのSiO2ガラス中の四面体構造の変化を実験的に捉えることに成功したことは、これら問題の解明に向けた大きな一歩であると考えている。さらに今後、室温高圧下のみでなく、高圧かつ高温下におけるSiO2液体やケイ酸塩液体においても同様の構造測定を行うことにより、SiO2液体、ケイ酸塩液体の高圧高温下における異常特性(例えば、高圧下における圧縮の最大化、加圧時の異常粘性率低下[6,7][6] T. Sakamaki, A. Suzuki, E. Ohtani, H. Terasaki, S. Urakawa, et al.: Nature Geo. 6 (2013) 1041-1044.
[7] Y. Wang, T. Sakamaki, L. B. Skinner, Z. Jing, T. Yu, et al.: Nature Comm. 5 (2014) 3241.
、など)のメカニズムを理解し、地球・惑星内部のマグマの状態・挙動の理解に向けた研究への発展を考えている。
 また、本研究で開発した実験手法は、幅広い科学・技術分野における液体・非晶質物質の構造研究に活用できると考えている。本研究では室温下での高圧実験を目的としているため、PEセル内部にヒーターなどは設置しなかったが、グラファイトヒーターをPEセル内部に設置することにより、高圧かつ高温下での実験を行うことも可能である。我々のこれまでの研究において、直径12 mmのカップ型超硬アンビルを用いたPEセル実験では、圧力最大約7 GPa条件下において、温度約2000°Cの範囲での高圧高温実験を確立しており[8][8] Y. Kono, C. Park, C. Kenney-Benson, G. Shen and Y. Wang: Phys. Earth Planet. Inter. 228 (2014) 269-280.、高圧高温下での液体の実験も数多く行っている。このような高圧高温実験技術と液体・非晶質物質の構造測定を組み合わせることにより、高圧高温下その場におけるガラスや液体の構造研究が大きく発展すると期待している。

 

 

謝辞
 本研究は、尾原幸治博士、近藤望博士、山田大貴博士、廣井慧博士、則竹史哉博士、新田清文博士、関澤央輝博士、肥後祐司博士、丹下慶範博士、湯本博勝博士、小山貴久博士、山崎裕史博士、仙波泰徳博士、大橋治彦博士、後藤俊治博士、井上伊知郎博士、林雄二郎博士、玉作賢治博士、大坂泰斗博士、山田純平博士、矢橋牧名博士との共同研究です。本実験は、SPring-8のBL05XU、BL37XUビームラインにおいて行われました(課題番号:2019B1111、2020A0600)。本研究は、科研費(19KK0093、20H00201)と、SACLA/SPring-8基盤開発の支援を受けて行われました。

 

 

 

参考文献
[1] I.Saika-Voivod, F. Sciortino and P. H. Poole: Phys. Rev. E 63 (2000) 011202.
[2] R. Shi and H. Tanaka: Proc. Natl. Acad. Sci. 115 (2018) 1980-1985.
[3] Y. Onodera, S. Kohara, P. S. Salmon, A. Hirata, N. Nishiyama, et al.: NPG Asia Materials 12 (2020) 85.
[4] Y. Kono, K. Ohara, N. M. Kondo, H. Yamada, S. Hiroi, et al.: Nature Comm. 13 (2022) 2292.
[5] B. W. H. van Beest, G. J. Kramer and R. A. van Santen: Phys. Rev. Lett. 64 (1990) 1955.
[6] T. Sakamaki, A. Suzuki, E. Ohtani, H. Terasaki, S. Urakawa, et al.: Nature Geo. 6 (2013) 1041-1044.
[7] Y. Wang, T. Sakamaki, L. B. Skinner, Z. Jing, T. Yu, et al.: Nature Comm. 5 (2014) 3241.
[8] Y. Kono, C. Park, C. Kenney-Benson, G. Shen and Y. Wang: Phys. Earth Planet. Inter. 228 (2014) 269-280.

 

 

 

河野 義生 Yoshio Kono
愛媛大学 地球深部ダイナミクス研究センター
〒790-8577 愛媛県松山市文京町2-5
TEL : 089-927-9658
e-mail : kono.yoshio.rj@ehime-u.ac.jp

 

 

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[ - Vol.15 No.4(2010)]
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