Volume 26, No.2 Page 246
5. 談話室・ユーザー便り/USER LOUNGE・LETTERS FROM USERS
SPring-8ユーザー協同体(SPRUC)四季報
SPRUC Communications
SPring-8ユーザー協同体(SPRUC)会長/広島大学 大学院先進理工系科学研究科 Graduate School of Advanced Science and Engineering, Hiroshima University
1. はじめに
早いもので新年度を迎え、本SPRUC体制も2年目に突入です。昨年の今頃は、1年後にはコロナ騒ぎもすっかり収まっていると思っておりましたが、期待は裏切られ、3月後半から一部の都市で感染者が激増し、この記事を書いている最中には、まん延防止等重点措置が大阪など3府県の6都市で適用されました。しばらくこの状況は続きそうです。
そのような中、3月5~6日に第3回BLsアップグレード検討ワークショップを開催しました。改めて、このワークショップの意義は何かを考えますと、ユーザーと施設の対話の場を設け、それをベースに意見交換をし、最終的にはユーザーの成果が最大限得られるようにするということだと思っています。前回のワークショップまでは主に、BL09XUとBL47XUの硬X線光電子分光(HAXPES)装置の移設・集約、BL09XUの核共鳴散乱(NRS)装置のBL35XUへの移設、非弾性X線散乱(IXS)装置との共存について議論され、すでにこの2020A期後半から作業が開始されております。今回のワークショップは、前回までのレビューとフォローアップ、新たに「回折・散乱」、「分光」のビームライン(BL)再編について主に議論することとなりました。
2. 第3回BLsアップグレード検討ワークショップ
複数の研究会が全国で平行して行われる中、300名もの事前登録があり、大いに盛り上がった2日間になりました。2日間のうち初日前半は、BL再編の近況、新たな再編の狙い、利用制度などについて、施設の方々からお話をいただきました。初日後半は、再編真っ只中のHAXPES、NRS/IXSについて進捗状況をお話いただきました。それを受けてSPRUCからコメントをするという形で進められました。ここで、気付いたこととしまして、現在作業が進んでいる再編についても、決して議論は終わりではないということです。詳しくは、報告に書かれておりますが、NRSとIXSが同居したことで、ビームタイムの配分についての議論が必要になってきたのです。今回はそれに関連する利用に関して事前に要望書が研究会から施設に提出されていましたが、その内容を研究会の代表からお話していただきました。
2日目は、「回折・散乱」について、施設から再編計画が紹介されました。ご存知のように、「回折・散乱」を主な実験手法として研究をされている会員が大多数おられます。「回折・散乱」といいましても多岐にわたっておりますので、今回はその一部の再編について施設の方々に再編の狙いや具体的計画案のお話をいただきました。コンセプトとしては、製品開発にもつながるオペランド構造解析の増強、産学の壁の除去、High productionを狙った自動化リモート化、産業利用の機会の拡充、トータルのBL開発の共有化を挙げられました。「回折・散乱」は、産業界の方々にとっても大変重要なツールとなっていますので、その観点で産業界の方々にも議論に積極的に入っていただきました。施設側からの再編アップグレードに関する案は、ユーザーの考えを想定して練られたもので、これを元に、ユーザーからアイデア、提案をして欲しいとのことでした。
詳細については、西堀行事幹事による報告をご覧ください。2022年度再編に向けて各研究会において十分検討して、フィードバックをかけていただくようぜひお願いいたします。次回のSPring-8シンポジウムでは、それらのご意見を元に引き続き議論していきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
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