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Volume 26, No.2 Page 177

4. SPring-8/SACLA通信/SPring-8/SACLA COMMUNICATIONS

SPring-8利用研究課題審査委員会を終えて 分科会主査報告6 −人文・社会科学分科会−
Proposal Review Committee (PRC) Report by Subcommittee Chair – Humanities and Social Sciences –

谷一 尚 TANIICHI Takashi

SPring-8利用研究課題審査委員会 人文・社会科学分科会主査/山陽学園大学/林原美術館 Sanyo Gakuen University / Hayashibara Museum of Art

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SPring-8

 

1. 申請課題数と申請動向
・2020A期募集 6件
・2020A期追加募集 5件
 (うち法科学2件、押収薬物分析1件を含む)
・2021A期募集 2件
 今回より領域指定型重点課題の優遇枠を外れ、一般課題として独り立ちする必要性が求められたが、申請件数は、コロナ禍の異常事態があったにせよ、他分科に比べあまりにも少ない。研究手段としてSPring-8利用の必要性の明確な研究申請を、さらに増やす手立てを早急に講じ、積極的に奨励すべきと考える。
 特に、文化財分析技術のワークショップや関連研究会の開催が求められる。本分科会の性格上、申請者がSPring-8に精通していない、もしくは、精通しにくいケースも多々存在するように感じる。その意味でも、最適なビームラインの選択や、ビームライン担当者との事前相談・打合せを積極的に行う機会を課題申請前に設ける必要性があるように思われる。

 

 

2. 分野、測定手法、ビームライン
 歴史的人工物としての文化財は、油彩絵画、仏像・木質文化財、日本刀、遺跡出土草鞋・稲藁・古代米、繊維製品、黒曜石など考古遺物。
 希望の測定手法は、X線CT、蛍光X線、X線吸収差分法、X線小角散乱。
 希望ビームラインは、BL08W、BL20B2、BL20XU、BL28B2、BL37XU、BL40XU、BL47XU。

 

 

3. 審査の問題点
 今回より、重点領域指定の優遇措置はなくなり、自立が求められることとなったが、人文・社会科学分科への申請課題が、他の一般分科への課題と同程度までレベルアップしているかどうかについては、さらに多方面からの検証が必要である。
 また、測定試料としてSPring-8に文化財を持ち込む場合、この世に1つしかない貴重な試料である場合も想定され、こういった貴重な試料が、盗難や破損に遭遇した場合の対処の仕方や、実験中の安全な保管、保険対応などについても予め検討しておく必要性を痛感する。

 

 

4. コメント
 従来から指摘されていた申請書の記述不十分、利用者の固定化、成果の国際発信不足などの問題点は解消されておらず、有効で速やかな改善策を講ずる必要性を痛感する。
 海外の放射光施設では、文化財や考古遺物の長期間に亘る系統的で組織的な測定が展開されている。人類の貴重な歴史文化遺産を引き継ぎ、研究を深め、次世代に継承する為に、SPring-8こそがこの役割を担い先導する意義は、極めて大きいと言える。そういった意味で、本分科会における研究活動を、さらに件数を増やし活性化させることが極めて重要であると考える。

 

 

 

谷一 尚 TANIICHI Takashi
山陽学園大学 副学長・教授
〒703-8501 岡山県岡山市中区平井1-14-1
TEL : 086-272-6254
e-mail : takashi_taniichi@sguc.ac.jp
林原美術館 館長
〒700-0823 岡山県岡山市北区丸の内2-7-15
TEL : 086-223-1733
e-mail : taniichi@hayashibara-museumofart.jp

 

 

Print ISSN 1341-9668
[ - Vol.15 No.4(2010)]
Online ISSN 2187-4794