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Volume 26, No.1 Page 88

5. 談話室・ユーザー便り/USER LOUNGE・LETTERS FROM USERS

SPring-8ユーザー協同体(SPRUC)四季報
SPRUC Communications

木村 昭夫 KIMURA Akio

SPring-8ユーザー協同体(SPRUC)会長/広島大学 大学院先進理工系科学研究科 Graduate School of Advanced Science and Engineering, Hiroshima University

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SPring-8

 

1. はじめに
 2021年を迎え最初の四季報となります。本年もどうぞよろしくお願いいたします。昨年と同様、相変わらず目に見えない微粒子という「敵」との戦いに関するニュースが続いております。このような状況の中、1つの明るいニュースが飛び込みました。我々研究者だけでなく、一般の方々にも目を引くものです。2014年12月に打ち上げられた小惑星探査機「はやぶさ2」が5年の月日を経て無事帰還し、小惑星リュウグウの微粒子サンプルを持ち帰ったのです。前回のはやぶさでは、SPring-8の放射光CTなどを用いた成果がたくさん出されたと記憶しております。今回もどのような興味深い研究成果が出てくるのか楽しみでなりません。ところで私自身は物性物理学の分野で研究をしており、小惑星の微粒子解析の研究とは異なりますが、物質科学研究という同じ枠組みとして捉えることができるかと思います。そう考えますと、物質科学は広い研究分野をカバーしていることを実感いたします。最近、放射光を中心とした物質科学研究の調査をする機会がありました。特に目を引いたのが、高圧にして地球内部の環境を再現した上で、様々な物質の構造などを明らかにするという研究でした。これには、高圧・高温発生装置とSPring-8から発生する高輝度放射光を組み合わせる必要があり、とても高度な実験だと認識できます。また、物性物理学分野の超伝導・磁性研究でも高圧+高輝度放射光という組み合わせでたくさんの研究成果が出ていることを知りました。今後ますます、このような分野でSPring-8がなくてはならない施設として活躍していくという確信を持ちました。そのためには、次世代の人材発掘を視野に入れ、我々は努力していかなければなりません。

 

 

2. 秋の学校(本誌44ページを参照)
 このような目的で、SPRUCではJASRIと共同で、秋の学校をこれまで4回開催してきました。第3回までは大学等が夏季休暇である9月に行ってきました。4回目となる今回は、COVID-19の感染拡大にともない、12月開催を余儀なくされましたが、47名もの受講生の参加を得て、対面授業・講習を実施することができました。ちょうどこの記事の執筆中に、参加者アンケートの結果を教えていただきましたが、ほとんどの参加者から「参加して良かった」との回答をいただきました。また、放射線業務従事者資格をもたない大学の学部生も参加できるように放射光ビームの停止期間に設定されていたものの、実習がとても充実していたとの回答もありました。このように概ね好評だった背景には、実行委員の方々、講師の方々のご尽力によるものであることを改めて認識しており、ここに感謝の意を表します。

 

 

3. 第3回BLsアップグレード検討ワークショップ
 SPring-8では、2018年度の国の中間評価を受けて、ビームラインの再編・高度化が行われています。これはユーザーのサイエンスの強化・成果の最大化にもつながり、重要視すべきものであります。そこで、SPRUCの関連研究会で議論を重ね、それらをまとめた形で、これまで2回のBLsアップグレード検討ワークショップを開催してきました。次の対象として、SPring-8利用の中核である「回折散乱」のビームライン群の再編が検討されていることが、昨年のSPring-8シンポジウムや三者会合で報告がありました。これを受けて、3月5、6日に第3回BLsアップグレード検討ワークショップを開催することになりました。詳細は、本誌告知欄をご参照ください。皆様にはBLのさらなる高度化、サイエンスの強化に向けて積極的なご参加をお願いしたいと存じます。

 

 

 

木村 昭夫 KIMURA Akio
広島大学 大学院先進理工系科学研究科
〒739-8526 広島県東広島市鏡山1-3-1
TEL : 082-424-7400
e-mail : akiok@hiroshima-u.ac.jp

 

 

Print ISSN 1341-9668
[ - Vol.15 No.4(2010)]
Online ISSN 2187-4794