Volume 25, No.4 Page 362
4. 談話室・ユーザー便り/USER LOUNGE・LETTERS FROM USERS
SPring-8ユーザー協同体(SPRUC)四季報
SPRUC Communications
SPring-8ユーザー協同体(SPRUC)会長/広島大学 大学院先進理工系科学研究科 Graduate School of Advanced Science and Engineering, Hiroshima University
2020年9月18日(金)に、「ポスト・コロナ時代のSPring-8利用」と題したSPring-8シンポジウムが無事開催されました。会員の皆様にも多数ご参加いただき本当にありがとうございました。初のオンライン開催となりましたが、実のところ、このコロナ禍の中、シンポジウムの開催そのものが危ぶまれましたが、やはりこの場を途絶えさせてはいけないという執行部の思いと、高輝度光科学研究センター(JASRI)や理化学研究所(理研)の皆様からの力強い後押しにより無事開催が実現したことは、感慨深いものがございます。SPring-8放射光普及棟にスタジオを設置し、ウイルス感染拡大防止策をとった上で、実行委員や講演者が集まり、会員の皆様に発信してシンポジウムを共有するというスタイルをとりました。SPRUCの使命は、施設側と対話を継続し、常に第一線の研究成果を生み出し、社会貢献をしていくということと思います。その意味では、直接ユーザーと施設側が集い、意見交換ができる場であるSPring-8シンポジウムは、SPRUCの最大の行事と言っても過言ではありません。オープニングでは、理研の石川哲也センター長、JASRIの雨宮慶幸理事長より、「ユーザーにとって敷居が下がることに期待」、「これを逆手にとって新しいことにチャレンジする好機と捉える」、「変化に追随できることが真の強さである」といった力強いお言葉が大変印象的でした。また最大のイベントとしてパネルディスカッションが開催されました。詳細は、この利用者情報に掲載されている西堀・横谷行事幹事によるシンポジウムの報告にも記載されておりますが、パネラーは以下の方々にお願いいたしました(敬称略)。
関山 明(大阪大学 大学院基礎工学研究科)
西原 克浩(日本製鉄株式会社)
中川 敦史(大阪大学 蛋白質研究所)
西堀 英治(筑波大学 数理物質系)
熊坂 崇(JASRI)
初井 宇記(理研 放射光科学研究センター)
雨宮 慶幸(JASRI理事長)
石川 哲也(理研 放射光科学研究センター長)
私がファシリテーターとして進めさせていただきましたが、テーマは主に「自動化・遠隔化」についてに絞られました。その内容は、利用者情報に掲載されている通りですが、「自動化・遠隔化」をすでに取り入れている実験分野からは、「ユーザーとの事前の綿密な対話が重要」、「リモートによる成果排出の高効率化」、「そのための大量データの転送に関するインフラやセキュリティー強化」について指摘がありました。また「自動化・遠隔化」にこれまで馴染みが薄かった実験分野でも、現場・リモートのハイブリッドで対応させるなど歩み寄っていく必要がある。また特に企業ユーザーにとっては、コロナ禍以前から懸案であったマシンタイムのフレキシビリティーについては、それが向上するような議論をこれから始めていただけるとのご意見も施設側からいただきました。
アンケートではオンライン開催に対して特に問題がなかったとのご意見が多く、ほっと胸を撫で下ろしております。このような形式をとるにあたって、JASRIや理研の方々の多大なるご協力がなければ実現できませんでした。ここに感謝の意を表したいと思います。もちろん、シンポジウムを開催したということがゴールではなく、きちんとフィードバックをかけて、我々SPring-8ユーザーの成果発信、社会貢献、若手育成がより良い方向にいくように継続して進めなければいけません。2月にはすでに恒例となりつつある、BLsアップグレード検討ワークショップを開催する予定でおります。引き続き、ユーザー-施設間の対話を活性化するように努めていきたいと思います。
広島大学 大学院先進理工系科学研究科
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