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Volume 24, No.4 Pages 480 - 482

5. 談話室・ユーザー便り/USER LOUNGE・LETTERS FROM USERS

SPring-8ユーザー協同体(SPRUC)四季報
SPRUC Communications

水木 純一郎 MIZUKI Jun'ichiro

SPring-8ユーザー協同体(SPRUC)会長/関西学院大学 研究創発センター Center of Research Initiative, Kwansei Gakuin University

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SPring-8

 

 前回のSPRUC四季報では、第12回理研・JASRI・SPRUC三者会合懇談(2019年6月18日に開催)を中心に記述し、その中でSPring-8シンポジウム2019のプログラムの進捗状況について報告いたしました。そのシンポジウムの詳細は、本号で横谷行事幹事から報告されています。シンポジウムの報告では、施設の状況、SPring-8を活用した先端研究成果の動向はもちろん、SPring-8-IIに向けたパネルディスカッションの様子も紹介されていますのでご参照ください。そのため、ここではシンポジウムの期間中に開催されました評議員会、代表機関会議で議論された内容を報告いたします。さらにSPRUCが主催するSPring-8秋の学校について大和田行事幹事から本号で報告がありますので詳細な様子はそれを参照していただくことにして、ここでは校長として感想を述べたいと思います。

 

 

1. 評議員会
 評議員会は、初日の2019年8月30日、シンポジウムが始まる前の11時30分から12時30分まで行われました。各種報告の後、以下に示す4つの議題を審議、1つの懇談事項について議論いたしました。

 

I. 審議事項
(1)会員資格にかかわる会則変更(会則第2章第4条第2項第3項改定)の件
 これまでは、会員の有効期限は3年となっていましたが、SPRUCの会計年度は4月1日から翌3月31日までであることを考慮し、以下のように改定することが承認されました。

・会員の有効期限は、SPring-8またはSACLAを利用した日から3年とし、最後に利用した日から3年後の年度末をもって退会したものとみなされ、会員資格を失う。ただし、学生として登録している会員については当該有効期限を1年とする。

・前1項のうち、ユーザー登録を必要としない理化学研究所のビームラインを利用する利用者は、理化学研究所在職期間から3年後の年度末まで会員資格を有する。

 これによって、会員資格は年度毎の見直しとなり、会員の有資格期限日に関する混乱が減るとともに、事務局業務の簡素化を実現しました。

 

(2)評議員候補者推薦の件
 これまで評議員選挙の候補者は代表機関からの推薦のみとしており、代表機関から推薦の得られにくい有識者が評議員選挙の候補者となることを可能とする方法を議論しました。その結果以下の方法が承認され、SPRUC細則第2章第1条第2項が次のように改定されることが承認されました。

・評議員候補者は、機関代表者からの推薦者、評議員改選時に任期切れで退任となる評議員、および会長が推薦する者(5名以内)から辞退者を除き、15名以上とする。

 これによって、評議員選挙に評議員にふさわしい有識者が候補から漏れるリスクの削減を実現しました。

 

(3)所属変更に伴うSPRUC役職者の扱い
 ご存知のようにSPRUC評議員兼監事であった雨宮慶幸氏がJASRIの理事長に就任されました。このため雨宮氏からSPRUCの役職辞退の申し出があり後任の評議員を選出する必要が出てきました。しかし、SPRUCの会則では欠員発生時の後任評議員の選出方法が規定されていなかったため、会長案として評議員に欠員が発生した場合は、当該欠員となった評議員が選出された評議員選挙の次点者以降得票順に就任を打診して、後任者を選出することを提案し承認されました。また、雨宮慶幸氏には、これまでのSPRUCとの深い関係に照らし、SPRUCの各種会議へのオブザーバー出席を歓迎したいことを会長として提案し了承されました。
 今後ともSPRUCのユーザー組織としての自立性と施設との連携の適切なバランスを維持しながら活動を進めていきたいと思いますので、会員の皆様のご協力をお願いします。

 

(4)次期会長
(本案件は懇談事項でしたが、評議員の同意を得て審議事項となりました)
 前回の会長は、新年度(4月)が始まる年の1月の日本放射光学会年会時に開催される評議員会で決定されました。しかし、SPRUCを取り巻く環境に照らし早期の次期会長決定が好ましいと考え、早期の次期会長決定に関し懇談しました。いくつかの学会等の実例では、次期会長という役職を作り、早い段階より会長の補佐をしていただく制度があり、SPRUCでも半年前と言わず1年前に次期会長を選出することも考えてはいかがか、との案も出されました。また、これまで会長候補者は評議員の中から選出されていましたが、以下の資質を備えた方なら評議員である必要はないことを共通認識としました。会長候補者の資質としては、(ア)放射光科学の分野の第一線で活躍する研究者であること、(イ)SPRUCを始め、放射光関係の学会、研究会組織で活躍する研究者であること、(ウ)SPRUCの執行部業務や主要イベントであるシンポジウムの開催等で経験豊富な研究者であること、を確認しました。特にこれ以上の議論がなかったため懇談事項を審議事項に切り替えました。上記会長の資質を満足する候補者として広島大学の木村昭夫教授(現SPRUC広報・渉外幹事)が推薦され審議の結果、木村昭夫氏を次期会長と決定いたしました。
 2020年3月までの現体制中も木村昭夫氏には次期会長としてコミットしていただき、スムーズな移行に努めたいと考えております。

 

II. 懇談事項
(1)Science Promotion Board(SPB)の設置
 2019年3月に開催いたしましたBLsアップグレード検討ワークショップ(WS)で顧問との懇談を持ち、研究の活性化のため分野や産官学の壁を超えたサイエンスを議論するSPBの設置が提案されました。SPRUCでは分野融合型研究テーマを募集しており、この具体的なテーマ提案や、またトップダウンではなく、サイエンスの面白さで研究者を巻き込むような委員会としてSPB設置を議論しました。SPBメンバーとしては、放射光の専門外の分野の方や国の科学技術動向にも詳しい方にも加わっていただくことが重要であるという意見を参考に、SPB設置に向け有馬利用委員会委員長を中心として委員の選任を進めることにいたしました。
 私は、SPBの役割はSPring-8の成果最大化の実現を目指して必要なものを議論し、サイエンスのテーマだけでなく仕組みに関してもアドバイスすること、として活動していただきたいと考えています。

 

 

2. 代表機関会議
 SPRUCには、日本にある放射光施設、SPring-8のユーザーが多く在籍している大学、国研、等の代表者(あるいはそれに準ずる者)からなる代表機関会議が組織されています。SPring-8シンポジウムの2日目にあたる8月31日の午前中1時間、当該会議を開催しました。ここではSPring-8の近況の報告と、今回特に文科省のSPring-8/SACLAの中間報告を受けてSPring-8の産学官連携の更なる活性化についてご意見を伺いました。会議では、各組織の産学連携についての取り組みを紹介していただき、産業界が時代を問わず期待する共通の要望は、迅速性、困った時にすぐに使えること(timely性)が備わっている施設であることがあらためて認識させられました。また、産業界が抱えている課題解決に対して適切な放射光利用技術を紹介できるコーディネーターの重要性と、しかし、実際はその人材が不足していることが議論されました。
 現在、SPRUCではHP上でこのコーディネーター機能を果たしていただける協力者を募集しています。(http://www.spring8.or.jp/ext/ja/spruc/academia-industry_cooperation.html
 協力者として手を挙げていただくと、課題を抱えている企業との共同研究に発展することも考えられ、企業にとっても協力者にとってもwin-winの関係が築かれることが期待されます。学術界から多くの方が応募していただけることを期待、希望しています。

 

 

3. SPring-8秋の学校
 今年で3回目を迎えたSPring-8秋の学校が2019年9月8日から11日まで開校されました。SPRUC会長が校長です。秋の学校の目的、参加者、プログラム等に関する詳細は、大和田行事幹事の「第3回SPring-8秋の学校を終えて」を読んでいただくこととして、ここでは参加者からのアンケート結果から考えたことを記述したいと思います。アンケート結果から、多くの参加者がプログラム内容に大変満足していることが覗えましたが、その中で基礎講義が充実していたのでグループ講習が身になったという意見とともに、グループ講習時間を基礎講義時間に比べて多くしてもらいたい、という意見が見受けられました。これは参加者が学部学生から大学院博士課程の学生、企業の研究者・技術者という幅広いバックグラウンドを持っているからだと理解しました。このアンケート結果で垣間見えるのは、大学でSPring-8を利用した実験研究に必要な基礎知識を教える講義があまりなされていないのではないかということです。そこで大学に対しての提案ですが、施設と大学が協定を結び、秋の学校を大学学部one semesterの授業科目の一部と位置付け、秋の学校開催前にある期間にわたって講義を施設の研究者が大学で実施し、秋の学校でまとめとなる基礎講義とそれに関するグループ講習を実行するというのはいかがでしょうか(実行するためには、単位認定時期等の考慮をしなければいけない点がいくつかあると思いますが、実際に兵庫県立大学の大学院新設コースでは類似のことを実施しているようです)。そうすれば秋の学校の実施期間を変えずにグループ講習のウエイトを大きくしたプログラムが可能となり、企業から大学学部までの幅広い参加者がより満足のいく学校になるのではないでしょうか。
 SPring-8秋の学校参加者のアンケートを読ませていただくと、開催してよかったと勇気付けられます。この秋の学校が、学生にとってもSPring-8にとってもさらに魅力あるものにしていきたいと思います。

 

 

 

水木 純一郎 MIZUKI Jun'ichiro
関西学院大学 研究創発センター
〒669-1337 兵庫県三田市学園2丁目1番
TEL : 079-565-7433
e-mail : mastery@kwansei.ac.jp

 

 

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[ - Vol.15 No.4(2010)]
Online ISSN 2187-4794