ページトップへ戻る

Volume 24, No.3 Pages 305 - 306

4. SPring-8/SACLA通信/SPring-8/SACLA COMMUNICATIONS

2016B期 採択「新分野創成利用」研究グループの事後評価について
Post-Project Review of Epoch-Making Initiatives Projects Starting in 2016B

(公財)高輝度光科学研究センター 利用推進部 User Administration Division, JASRI

pdfDownload PDF (304 KB)
SPring-8

 

 「新分野創成利用」は、SPring-8の利用研究成果創出を質的・量的に飛躍させるために、既存の研究分野の枠を超えた複合・融合領域等における未踏分野の開拓・創成およびそれに伴う利用の裾野を拡大することを目的として、2015B期より運用しています。採択された研究グループは、代表責任者の裁量により有効期間(2年間)内に各分担責任者が複数ビームラインで「新分野創成利用課題」を実施することも可能となり、また、ビームタイムも認められた範囲内で期ごとに任意に配分(但し審査あり)することができます。
 「新分野創成利用」における研究グループの事後評価は、新分野創成利用審査委員会における研究グループ終了報告書に基づいた代表責任者による発表と質疑応答により行われます。事後評価の着目点は、研究グループとしての1)目標達成度、2)研究成果(①科学技術的価値、新しい研究領域・手法の開拓、産業基盤技術の向上、②科学技術的波及効果、③情報発信)、3)「新分野創成利用」の趣旨との合致性(①新分野が創生され今後もその分野の発展が期待できるか、②実施にあたってマネージメントは妥当であったか)です。
 今回は、2016B期に採択された研究グループ(有効期間:2016B~2018A期)について、事後評価(2018年11月30日開催)を行いました。
 以下に新分野創成利用審査委員会がとりまとめた評価結果等を示します。研究内容については本誌の「最近の研究から」に「新分野創成利用」研究グループによる紹介記事を掲載しています。

 

プロジェクト名 固液界面構造解明と可視化および構成物質間のダイナミクス
代表責任者(所属) 高尾 正敏(大阪大学)
分担責任者(所属) 若林 裕助(大阪大学)
土井 教史(新日鐵住金(株))
長澤 裕 (立命館大学)
中島 淳一(日産化学工業(株))
山添 誠司(東京大学)
原田 慈久(東京大学)
課題番号 2016B0908ほか
ビームライン BL01B1、BL04B2、BL08W、BL13XU、BL27SU、BL28B2、BL37XU、BL39XU、BL47XU
利用期間/配分総シフト 2016B~2018A/278シフト(BL27SU:74シフト、BL01B1:72シフト、BL13XU:36シフト、BL47XU:27シフト、BL37XU:24シフト、BL04B2:18シフト、BL28B2:12シフト、BL39XU:9シフト、BL08W:6シフト)
※所属は申請時

[評価結果]

1)目標達成度

固液界面化学の分野が拓かれつつあり、次期プロジェクトに繋げることが出来た点は評価できる。目標達成の途上にあるが、固液界面における構造と輸送現象の分野では十分な進展が見られ、期待以上の成果がでている。

2)研究成果

①科学技術的価値、新しい研究領域・手法の開拓、産業基盤技術の向上
新規性の高い技術は見当たらないが、固液界面を研究している多方面の研究者の垣根を取り払った点は評価できる。次期プロジェクトで新しい計測技術の発展を期待する。

②波及効果
成果を発信していくことにより波及効果が見えてくると思われる。メゾスコピック系の観察技術や時分割反射計測の利用展開などにおいて効果が期待される。

③情報発信
計測結果が出つつある段階なので、成果発表はサブ分野ごとに偏りがある。今後に期待する。

3)「新分野創成利用」の趣旨との合致性

①新分野創成と発展
メゾスコピック階層としての界面層の概念を提起して、界面層における構造と輸送現象の科学を創成するとしているが、まだ判断できるタイミングにはない。しかし、固液界面化学の新展開が期待でき、時分割反射率計測を中心に新分野の発展が期待できる。

②マネージメント
知財と資金に対する明確な考えを持ってプロジェクトを遂行していることは評価できる。代表責任者の強力なリーダーシップもあり、分野の異なる人々をまとめて推進しており、若手を前面に出したマネージメントは評価できる。

総合評価
 研究の性格上、確立された測定技術と観察手法を固液界面の分野に広く適用する方法をとっているため、新しい測定技術の創成があったとはいえないが、それらを未知の領域に展開して成果を上げている。新しいサイエンスを発展させるきっかけが得られ、新分野創成に向け着実な進展があったといえる。固液界面の液体側からの反応についての研究が広がり、個別分野で大きな成果がでつつある。新分野創成に向け、今後の展開を期待する。

 

[成果リスト]
(査読付き論文)

[1] SPring-8 publication ID = 33687
R.Ishida et al.: "Hydrogen-Mediated Electron Doping of Gold Clusters As Revealed by In Situ X-ray and UV-vis Absorption Spectroscopy" The Journal of Physical Chemistry Letters 8 (2017) 2368-2372.

[2] SPring-8 publication ID = 36262
R.Tanaka et al.: "Gold Ultrathin Nanorods with Controlled Aspect Ratios and Surface Modifications: Formation Mechanism and Localized Surface Plasmon Resonance" Journal of the American Chemical Society 140 (2018) 6640-6647.

[3] SPring-8 publication ID = 36885
S.Hayashi et al.: "Doping a Single Palladium Atom into Gold Superatoms Stabilized by PVP: Emergence of Hydrogenation Catalysis" Topics in Catalysis 61 (2018) 136-141.

[4] SPring-8 publication ID = 36887
W.Kurashige et al.: "Au25-Loaded BaLa4Ti4O15 Water-Splitting Photocatalyst with Enhanced Activity and Durability Produced Using New Chromium Oxide Shell Formation Method" The Journal of Physical Chemistry C 122 (2018) 13669-13681.

[5] SPring-8 publication ID = 36888
S.Hasegawa et al.: "Prominent Hydrogenation Catalysis of a PVP-Stabilized Au34 Superatom Provided by Doping a Single Rh Atom" Chemical Communications 54 (2018) 5915-5918.

[6] SPring-8 publication ID = 36889
T.Omoda et al.: "An Au25(SR)18 Cluster with a Face-Centered Cubic Core" The Journal of Physical Chemistry C 122 (2018) 13199-13204.

[7] SPring-8 publication ID = 37840
H.Fujii et al.: "Kinetics of Iron Passivation Studied by Sub-Second Resolution Realtime X-ray Reflectivity Technique" Journal of the Electrochemical Society 166 (2019) E212-E216.

 

 

Print ISSN 1341-9668
[ - Vol.15 No.4(2010)]
Online ISSN 2187-4794