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Volume 24, No.2 Pages 244 - 245

4. 談話室・ユーザー便り/USER LOUNGE・LETTERS FROM USERS

SPring-8ユーザー協同体(SPRUC)四季報
SPRUC Communications

水木 純一郎 MIZUKI Jun'ichiro

SPring-8ユーザー協同体(SPRUC)会長/関西学院大学 理工学部 School of Science and Technology, Kwansei Gakuin University

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SPring-8

 

 前回のSPRUC四季報以降、施設や今後のSPRUCの活動にも大きくかかわるイベントとして、SPRUC第1回BLsアップグレード検討ワークショップ(WS)を開催しました。今号では、本WSを中心に記述いたします。

 

 

1. WSの趣旨
 SPring-8はこれまでに世界のフロントランナーとして放射光科学を牽引する役割を果たしてきただけでなく、近年は産業界が抱える課題解決に繋がる成果も増加し、社会貢献においても重要な役割を担っています。また、昨年から今年2月にかけて、SPring-8の中間評価が行われました。一方、国内に目を向けたら、次世代放射光施設として軟X線向け高輝度3 GeV級放射光源の建設がいよいよ動き出しました。このような状況を背景に、SPring-8シンポジウム2017、2018、及び、BL高性能化検討作業部会でSPring-8でBLの在り方について議論され、既存の分類にとらわれず、(1)既存計測の自動化・汎用化、(2)既存計測の技術の高性能化による科学・技術の連続的発展、(3)既存技術では実現できない新しい計測技術による革新的な理工学の開拓、の3つの視点での検討が始まったことは、すでに第1回目のSPRUC四季報で書きました。SPring-8でカバーすべき研究対象についても具体的に検討する段階となり、施設側ではSPring-8-IIも見据えながら、共用・理研・専用施設を含むBL全体の再編の議論が始まっています。SPRUCとしては、技術開発動向を十分理解したうえで、ユーザーの要望を施設側に伝える必要があります。一方、施設側としても利用者の総意をまとめられるSPRUCからのニーズのインプットを必要としています。このため、SPRUC会員全体で施設側の情報を共有し、議論の場を設けることを目的としてWSを開催いたしました。今回は、SPring-8の施設側から検討状況や関連施設の動向の情報提供を受け、深い議論に必要な情報交換を行うことを主目的といたしましたが、SPRUCとしてもユーザーが今後の研究のために必要としている技術や要望をまとめるために事前アンケートを実施し各研究会にまとめていただきました。アンケートの内容は、(ア)今後、新たに導入すべき計測技術、計測手法等とそれを必要とする理由、(イ)新しい光源を用いて実施できる新しいサイエンスの展望とそれに必要なBLについての提案です。各研究会がまとめられたアンケート内容は、WSホームページ(http://www.spring8.or.jp/ja/science/meetings/2019/190325/)で公開しています。

 

 

2. プログラム内容
 プログラムの詳細や当日の具体的な討論内容は、田中義人行事幹事(兵庫県立大)からの報告がありますのでそれをご覧いただきたいと思います。ここでは、分野融合研究に関連してプログラムの一部をご紹介いたします。現在、分野融合研究は2つ進行していますが、もう少し増やせないものかと思案しています。将来のSPring-8での研究を考えるこのWSにおいても分野融合研究を考える足掛かりとするためにプログラムの中に、「放射光科学とインフォマティックス」をテーマとするブロックを設け、石井信教授(京都大)から、「計測と情報科学の融合による新しいサイエンスの展望」と題する招待講演をしていただきました。さらに、SPring-8で本テーマに関して研究を実施されている水牧仁一朗氏(JASRI)からもご講演をいただきました。これらの講演とその後の質疑応答を通して、私個人としましては、SPring-8、SACLAの先端計測技術と情報科学・統計数理が連携・融合することによって新しいサイエンスが展開されていくものと確信いたしました。
 WS期間中には顧問会議も開催しましたので報告いたします。WSには、松井純爾氏(放射光ナノテクセンター)、月原冨武氏(兵庫県立大)、福山秀敏氏(東京理科大)の3名の顧問の先生方がご参加くださいました。すでに総会等でご報告していますが、2018年度から利用委員会の顧問の先生方の学識をSPRUC全体のために生かしていただくために会長の諮問機関として新しく顧問会議を設置いたしました。会議の中で、学術界、産業界の区別なく研究テーマベースの研究会や意見交換の場をつくることが世界に誇る成果創出には必要で、そのような機会をつくるのがSPRUCの役割であるとのアドバイスを受けました。J-PARCではそのようなことを目的として、手法とサイエンスの縦糸と横糸を整理して意見交換の場をつくるサイエンス・プロモーション・ボードが設置されたことが紹介されました。SPRUCとしても考えてみたいと思います。またこれと関連して、現在別々に開催されているSPring-8シンポジウムとSPring-8産業利用報告会の合同開催の可能性が議論されました。これは、最近、文科省ホームページで公開された「大型放射光施設(SPring-8)及びX線自由電子レーザー施設(SACLA)中間評価報告書」(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/089/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2019/02/18/1413644_001.pdf)において、「4. 今後の重点的な課題及び推進方策」の中で、「SPRUCとSPring-8利用推進協議会の統合を含むユーザーコミュニティを有効活用する仕組みを導入する。」と記述されている課題とも関係していると考えています。

 

 

 

水木 純一郎 MIZUKI Jun'ichiro
関西学院大学 理工学部
〒669-1337 兵庫県三田市学園2丁目1番
TEL : 079-565-7433
e-mail : mastery@kwansei.ac.jp

 

 

Print ISSN 1341-9668
[ - Vol.15 No.4(2010)]
Online ISSN 2187-4794