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Volume 24, No.2 Pages 147 - 148

3. SPring-8/SACLA通信/SPring-8/SACLA COMMUNICATIONS

SPring-8利用研究課題審査委員会を終えて 分科会主査報告5 −産業利用分科会−
Proposal Review Committee (PRC) Report by Subcommittee Chair – Industrial Application –

渡辺 義夫 WATANABE Yoshio

SPring-8利用研究課題審査委員会 産業利用分科会主査/(公益)科学技術交流財団 あいちシンクロトロン光センター Aichi Synchrotron Radiation Center, Aichi Science and Technology Foundation

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SPring-8

 

 SPring-8利用研究課題審査委員会産業利用分科会は、2017A第2期から2019A第1期までの2年間、主査:渡辺義夫、委員:木村正雄、妹尾与志木、鈴木淳市、佐野則道の5名により産業利用分野の研究課題審査を行いました。以下に、当分科会の活動経過とその活動の中で気付いた事項を報告します。
 当分科会では、成果非専有を前提とする産業利用分野の「一般課題」、「大学院生提案型課題」、さらに領域指定型の重点研究課題の審査を行いました。まず始めに、この期間中に2つの大きな動きがあったことを報告します。1つは、2018A期からは産業利用に特化した3本のビームラインBL14B2、BL19B2及びBL46XUについては、A期、B期共に、それぞれの期毎に2回の課題募集から3回の課題募集になりました。産業界の利用者の主な利用形態が、成果非専有課題から、申請から実施までの期間が短い測定代行課題や成果専有時期指定課題へと移行していること、また、放射光の適時の利用への要望が強まっていることから、3回/期に踏み切ったと聞いています。その一方で、2017A期、2017B期それぞれ第2期の課題募集後に、2017A期ではBL14B2とBL19B2、2017B期では3本のビームラインBL14B2、BL19B2及びBL46XUでそれぞれ追加募集をしています。即ち、ほぼ実質的に2017A期から3回/期の課題募集をしていたことになります。この1つの要因として、民間企業に所属する実験責任者の課題の応募件数が年々減少していることが考えられます(最後に再度指摘)。このような現実から、課題申請から実験実施までの期間短縮と多くの利用機会を提供する3回/期の課題募集形態は開始されたばかりですが、産業界の利用者にマッチした利用制度を常に模索する努力は今後も必要であると思います。もう1つは、領域指定型の重点研究課題についてですが、「産業新分野支援課題」が2017B第2期で終了となり、2018A第1期からは、「放射光施設横断産業利用課題」の募集になりました。既に、当分科会の前任主査が分科会主査報告において、「産業新分野支援課題」については、新分野が形成され、「一般課題」の募集分野への移行が進んでいることを指摘しています。また、「放射光施設横断産業利用課題」については、産業界の利用を目指した放射光施設が国内に複数設置され、産業界による放射光利用機会も大きく拡大・普及したことから、それぞれの施設の性能や利用制度の特徴を活かした放射光利用実験によって得られる利用成果の深化・拡大を目的として、その課題募集が始まりました。新設の本課題募集への応募件数が振るわないことから、現状では利用者への理解度・認知度共にそれほど高くないと思われます。産業界の利用成果を最大化する上で極めて有効な施策であると期待されるため、放射光施設連携を推進する光ビームプラットフォームを始めとしたチャンネルを利用するなど、まずは幅広く広報活動を行う必要があると思います。
 その他の動きとして、2017A第1期からの変更として、領域指定型の重点研究課題である「産業新分野支援課題」の申請要件に、産業利用分野の「一般課題」と同様、「実験責任者または共同実験者に、民間企業または産業界に準ずる機関等に所属する者を含む」という要件が加わりました。勿論、2018A第1期から開始の領域指定型の重点研究課題である「放射光施設横断産業利用課題」の募集についても上記の要件は当てはまります。また、BL19B2の配分ビームタイムの変更について、ビームタイムの5%を測定代行枠として運用(試行)することになりました。即ち、BL19B2では、公募するビームタイムは80%から75%に縮小されることになりました。この2つの変更については、先に報告した3回/期の課題募集との絡みで課題応募への影響がどの程度あるかなど、その推移を注視する必要があると思います。
 最後に、上述したことでもありますが、民間企業に所属する実験責任者の課題の応募件数に関して、少し述べたいと思います。現状、3回/年の課題募集をしている産業利用に特化した3本のビームラインでは、民間企業に所属する実験責任者の課題数の割合が低迷し、3割前後で推移しています。産業界からの応募数を増やす施策を模索する必要があるかどうかは、当分科会の範疇外である測定代行を含めた成果専有課題の実験責任者も調査して、初めて議論できる事項であると思います。是非、そのような調査・分析をJASRIで進めていただき、産業利用に特化した3本のビームラインの今後の利用制度や高度化について、JASRI内外を問わず議論されることを期待したいと思います。
 この2年間、課題審査にご尽力いただきました審査委員並びにご支援をいただきました産業利用推進室及び利用推進部のスタッフの皆様に心より感謝申し上げます。

 

 

 

渡辺 義夫 WATANABE Yoshio
(公財)科学技術交流財団 あいちシンクロトロン光センター
〒489-0965 愛知県瀬戸市南山口町250-3
TEL : 0561-76-8344
e-mail : watanabe@astf.or.jp

 

 

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[ - Vol.15 No.4(2010)]
Online ISSN 2187-4794