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Volume 23, No.4 Pages 432 - 433

4. 談話室・ユーザー便り/USER LOUNGE・LETTERS FROM USERS

SPring-8ユーザー協同体(SPRUC)四季報
SPRUC Communications

水木 純一郎 MIZUKI Jun'ichiro

SPring-8ユーザー協同体(SPRUC)会長/関西学院大学 理工学部 School of Science and Technology, Kwansei Gakuin University

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SPring-8

 

 今月号から毎号「SPRUC四季報」をお送りすることにいたします。SPRUCは、2018年4月から新しい執行部で活動を開始いたしました。会長を拝命し、SPRUCからの情報発信があまりなされていないことに気が付きました。SPring-8にユーザー登録すると自動的にSPRUCの会員になりますので、ご自分が会員であることを意識していない方もおられるかも知れません。SPring-8が利用者のための施設であり、より利便性の高い施設にしていくために、SPRUCを通して多くの会員が声を上げていくことが大切です。そのためにもSPRUCの活動をアップデートしていくことが重要と考えました。まず、SPRUCが現在取り組んでいる改革の概要をご紹介いたします。

 

 

1. 活発なSPRUC組織を維持するための会長選出方法の変更

 これまでのSPRUC会長は、評議員の互選、すなわち評議員の中から会長が選ばれていました。しかし、これではやがて人選に限りが予想されますので、会長適任者を会員の中から広く選出できるよう、次回からは評議員以外からも会長に就任可能とするようにいたしました。

 

 

2. SPRUCのシステマティックなPDCAサイクル形成のための組織改革

 SPRUCの活動において、Plan-Do-Check-ActionのいわゆるPDCAサイクルが形成されていることが大切です。活動が目的に即して行われているか、常に評価、チェックし、改める所があれば時機を逸することなく修正し新しい行動計画を立てていく必要があります。このために、会長の諮問に応じてSPRUC全体に対して助言していただく顧問会議を組織いたしました。顧問会議メンバーは、学術、産業界において広く深い見識を持つ方々の中から会長が指名し、SPRUC会員である必要はありません。すなわち顧問会議には、ActionやPlanに関わるところにご意見をいただきたいと考えています。また、代表機関会議は、世界的研究を牽引する研究教育機関で組織運営に関わる機関代表がメンバーですので、利用者の視点と研究・組織発展などの多面的視点から、運営を評価し、改善に向けた助言をいただき、SPRUC活動に対してCheck機能としての立場で評価・助言をお願いしたいと考えています。評議員会は、機関代表による推薦、会員による選挙で選出された議決機関ですので、従来同様Action、Planを決定する機能を持っていただきます。このような新しい組織体制で、SPRUCのPDCAサイクルを形成したいと考えています。

 

 

3. 新しいサイエンスを切り開くため(蛸壺化防止のため)の分野融合型研究の推進とSACLA-UCとの連携強化

 イノベーションは、異分野融合からと言われています。現在、分野融合型研究は、ナノデバイス科学グループと実用グループの2つが活動をしていますが、この数を増やしていきたいと思っています。新規(新奇)グループ提案をお願いいたします。また、SACLAの利用が本格化してきています。SACLAユーザー協同体(SACLA-UC)とサイエンスを基盤にして議論する機会を持つことによって新しい研究領域が開拓されることを期待しています。このため、SACLA-UCとの連携強化を進めていきたいと考え、SPring-8の全ユーザーに加え、SACLA全ユーザーをSPRUC会員とするようにしたいと思います。これまでの利用委員会をSPring-8利用委員会とし、SACLAに対してはSACLA利用委員会を設置いたしました。これらの委員会の下に各種研究会を組織し、これらでサイエンスを議論するようにしました。

 

 

4. 施設との懇談・連携の状況

 3 GeV放射光計画が動き出したことを受け、SPring-8のup-grade計画がいよいよ本格化することが期待されます。SPring-8がユーザーのための施設であることを考えるとup-grade計画にSPRUCが果たす役割が大きいでしょう。世界の研究動向を正確に把握し、国際的な研究競争を有利に進めるために必要なX線の仕様や新規な実験手法を提案していくことが必要です。このためには、up-grade計画に向けた研究会の開催や研究組織を形成し、SPRUCの意見をまとめ、施設側と密な議論をしなければいけません。SPRUCと施設側とが継続的に議論できる仕組みが必要であるとの考えの基、中川前会長の時から理研−JASRI−SPRUC 3者のそれぞれのマネージメントレベルの研究者が集まって年5回程度の定期的な会合を持つようにしており、これを継続発展させていきたいと考えています。

 

 

5. SPring-8シンポジウムで見えてきた課題

 8月に開催されたSPring-8シンポジウムでのパネルディスカッションでは、SPring-8が共用開始されて以来20年の間に放射光科学研究のフロンティアが急速に拡大し、20年前に共用ビームライン、専用ビームライン、施設者ビームラインと定義されたSPring-8のビームライン(BL)を再定義する必要性が議論されました。また、BL高性能化検討作業部会から放射光利用の今後の方向性として、(1)既存計測の自動化・汎用化、(2)既存計測の技術の高性能化による科学・技術の連続的発展、(3)既存技術では実現できない新しい計測技術による革新的な理工学の開拓、の3つのカテゴリーに分けられることが報告されています。これらに答えるためには、(1)では裾野ユーザー、ポテンシャルユーザー等も利用可能なBLの整備、(2)ではトレンド・ニーズに合わせたBLのスクラップ&ビルド、(3)では革新的実験探究のためのBLの整備が必要でしょう。これらを進めるためには、長期的に狙うべきサイエンスを議論しそれを評価する仕組み、挑戦的な新規手法の開拓を促進する仕組み、既存BLを評価する仕組みと組織が必要で、BLの再定義とも関係して、これらの課題にSPRUCが積極的、かつ実効的にかかわっていくにはどのような形が考えられるのか、施設者側、登録機関と議論をしなければいけません。
 さらに、産業利用の裾野拡大、人材育成もSPRUCの活動アイテムと考えられ、去年から始めたSPRUC主催のSPring-8秋の学校を継続的に発展させていくことも課題として挙げられます。

 

 

6. まとめ
 今回は、第一回目ということでSPRUCの今年度からの新しい取り組みについてご報告しました。次回からは、これら新しい取り組みがどのように具体的な形として現れてきているかご報告できればと考えています。

 

 

 

水木 純一郎 MIZUKI Jun'ichiro
関西学院大学 理工学部
〒669-1337 兵庫県三田市学園2丁目1番
TEL : 079-565-7433
e-mail : mastery@kwansei.ac.jp

 

 

Print ISSN 1341-9668
[ - Vol.15 No.4(2010)]
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