Volume 23, No.1 Pages 82 - 83
4. 談話室・ユーザー便り/USER LOUNGE・LETTERS FROM USERS
SPring-8ユーザー協同体(SPRUC)活動報告
SPRUC Activity Reports
SPring-8ユーザー協同体(SPRUC)は中川敦史会長(大阪大学)の執行部体制のもと、様々な活動を行ってきました。2017年9月に広島で開催した「SPring-8シンポジウム2017」や今年からスタートした「SPring-8秋の学校」については2017年11月発行の利用者情報(22巻4号)に報告していますので、本稿ではその他の最近のSPRUCの活動状況と今後の体制についてご紹介します。
1. 次期会長が決定
2018年1月9日につくばで開催された評議員会において、評議員の互選により次期会長として水木純一郎教授(関西学院大学)が選出されました。任期は2018−2019年度の2年間です。同日の午後に開催された特別総会でも本結果が報告されました。
2. ビームライン高性能化検討作業部会の活動:中間報告を提出
SPRUCでは、藤原明比古教授(関西学院大学)を代表として2016年12月から「ビームライン高性能化検討作業部会」を設置しています。この作業部会は、各共用ビームラインの現状の整備状況を把握した上で、SPring-8のアップグレード計画として提案されている加速器光源の利用を想定した検出器や測定システムの開発に関して本格的な議論をすすめ、ユーザーの立場から今後の課題について提言をまとめることを目指しています。2017年に行った2回の研究会代表などへのアンケート調査により各研究会での今後の高性能化に対する見解・提案の意見を聴取するとともに、SPring-8シンポジウムにおいて報告と情報共有を行ってきました。これまでの本作業部会の活動と今後の方針を中間報告としてまとめ、2018年1月からホームページにてSPRUC会員に閲覧可能としています。会員の皆様の今後のSPring-8のビームラインの高性能化や次期計画へ向けた取り組みのためにご活用いただくことを切に願います。
(http://www.spring8.or.jp/ext/ja/spruc/WG_SPRUC_info/WG_advanced_reserch.html)
3. 三者会合
昨年より、SPRUC・理研・JASRIの各組織からそれぞれ約4名ずつの代表で構成する会議を始めました。SPring-8の将来を見据えて現状の問題点を整理し、解決策を探るための議論の場と位置付けています。6月からスタートしてこの半年で4回の会合を重ねました。形式にとらわれないで、ざっくばらんに協議を行っています。これまでの主な議題としては、SPring-8シンポジウムをより有意義な構成にするための企画、パネルディスカッションの総括、将来計画やビームライン整備計画の情報共有、SPRUCの活動内容についての意見交換などです。2018年はSPring-8のアップグレード計画に向けての取り組みを加速していくために大事な時期となることから、この会議は前項で紹介したビームライン高性能化検討作業部会とも繋がりを持たせながら、一層重要な議論の場としていきます。
4. 分野融合型研究グループの活動について
将来重要となる未踏分野におけるSPring-8の利用を掘り起こすために、2015年度より分野融合型研究グループが発足しました。
「ナノデバイス科学」の研究グループでは、実用スピントロニクスの創成を目指して、種々の放射光ツールを駆使した包括的なアプローチでナノスケールの解析を行っています。2017年度からはプログラムオフィサー(PO)が大野英男教授(東北大学)から小野輝男教授(京都大学)へとバトンタッチされました。定期的にワークショップを開催し、SPring-8利用実験や新しいナノデバイス創成に向けたアイデアを議論しています。これまでの構成メンバーは専門家からなるメンバーに限られていましたが、来年度からは全ての会員にも本研究グループの活動に参画できるような形態に展開する方針です。今後フラッグシップ的な研究会へと発展していくものと期待しています。
(http://www.spring8.or.jp/ext/ja/spruc/SG_SPRUC_info/nano_device.html)
「実用」の研究グループは、高尾正敏氏(元パナソニック)がPOを務めています。固液界面に関する課題を共有し、新たな学理を究明して開発現場にフィードバックすることを目指しています。2016年にスタートし、SPring-8での実験も開始しています。今年も色々な学術分野や企業の研究者・技術者が集まることで多様な視点が集まるような形で会合を開催していきます。
(http://www.spring8.or.jp/ext/ja/spruc/SG_SPRUC_info/practical_app.html)
「原子分子生命科学」および「分子機能性材料」の研究グループについては、残念ながら当初の計画どおりに立ち上げることができていない状態です。今後のロードマップや体制の在り方を詰めていく必要があります。
5. 第7回SPring-8ユーザー協同体 評議員選挙
SPRUCの活動・運営について掌握するSPRUC評議員は2年任期、1年毎の半数改選となっています。候補者はSPRUCの各代表機関から推薦されています。2018年3月末で任期満了を迎える評議員の改選選挙が2017年12月4~20日の日程で行われた結果、学術機関所属の10名と産業機関所属の5名が選出されました。
(http://www.spring8.or.jp/ext/ja/spruc/elected_person_7th.html)
6. 研究会の設置申請
現在の2016−2017年度(第3期)は合計30の「研究会」があります。SPRUC会員の約46%が何らかの研究会に登録しています。研究会は研究分野毎の情報交換の場の提供という役割のみならず、各分野の世界的動向におけるSPring-8の位置付けを把握した上で、戦略的な提言を施設に対して行えるような組織となることが期待されています。SPRUCでは2年毎に見直しを行っていることから、継続する場合でも設置申請をする必要があります。2018年3月19日(月)が応募締め切りとなっています。
7. SPring-8シンポジウム2018の開催
これまでのSPring-8シンポジウムは、多くのユーザーを有する各地の大学において毎年開催してきました。第7回目となる次回のシンポジウムは、SPring-8の地元に戻り兵庫県立大学の協力のもと、姫路市民会館での開催を予定しています。日程は2018年8月25日(土)~26日(日)です。皆様ぜひとも御参加ください。
SPring-8ユーザー協同体(SPRUC)庶務幹事/
(国)理化学研究所 放射光科学総合研究センター
〒679-5198 兵庫県佐用郡佐用町光都1-1-1
TEL : 0791-58-2839
e-mail : sugimoto@spring8.or.jp