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Volume 22, No.4 Pages 334 - 335

2. 研究会等報告/WORKSHOP AND COMMITTEE REPORT

大阪大学蛋白質研究所セミナー/第17回SPring-8先端利用技術ワークショップ
「SPring-8における蛋白質構造生物学研究の現状と将来」開催報告
Report on the Joint IPR-SPring-8 Seminar on Present Status and Prospects of Proten Structural Biology in SPring-8

中川 敦史 NAKAGAWA Atsushi[1]、熊坂 崇 KUMASAKA Takashi[2]

[1]大阪大学 蛋白質研究所 Institute for Protein Research, Osaka University、[2](公財)高輝度光科学研究センター タンパク質結晶解析推進室 Protein Crystal Analysis Division, JASRI

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SPring-8

 

1. はじめに
 2017年8月3日~4日の2日間にわたって、大阪大学蛋白質研究所において、大阪大学・蛋白質研究所と高輝度光科学研究センターの共同主催で、大阪大学蛋白質研究所セミナー/第17回SPring-8先端利用技術ワークショップ ~SPring-8における蛋白質構造生物学研究の現状と将来~が開催されました。現在SPring-8には、共用ビームライン(BL41XU、BL38B1)、蛋白研ビームライン(BL44XU)、理研ビームライン(BL32XU、BL26B1、BL26B2)、台湾ビームライン(BL12B2)合わせて7本のビームラインが蛋白質結晶構造解析に利用されています。一口に蛋白質結晶構造解析用ビームラインといっても、アンジュレータや偏向電磁石といった光源の違い、モノクロメータやミラーなど光学系の違い、結晶周りから検出器の違いなど、それぞれ特長を持っており、結晶の大きさや分解能、結晶格子の大きさ、結晶性など多様な結晶に対応できるようになっています。
 本ワークショップは、蛋白質の構造情報が生命理解や創薬研究の基盤としてますます重要性が高まる中、各ビームラインの垣根を越えて、SPring-8を利用した蛋白質構造解析の現状と研究成果の紹介を行い、今後のさらなる利用研究の展開の可能性を議論する場として企画されました。SPring-8の蛋白質結晶構造解析ビームラインは、ビームライン担当者レベルでは従来から緊密な情報交換が行われていますが、その中でユーザーを交えての情報交換の場が必要であるということで、今回の企画が催されました。
 各ビームラインの現状報告と最先端の代表的な成果の報告を行い、議論することを目指して、次のようなプログラムが組まれました(ビームラインの現状報告4題、成果報告12題)。

 

 

 

2. プログラム

8月3日(木)  
・開会挨拶 中村 春木(阪大・蛋白研)
・挨拶 土肥 義治(JASRI)
・趣旨説明 中川 敦史(阪大・蛋白研)
・蛋白研ビームラインの現状 山下 栄樹(阪大・蛋白研)
・細胞分裂タンパク質の構造研究 松村 浩由(立命館大・生命科学)
・チトクロムc−チトクロム酸化酵素複合体で見つかった新しいタンパク質相互作用様式
  伊藤(新澤)恭子(兵庫県立大・生命理学)
・改変型ストレプトアビジンの開発 井上 豪(阪大・院工)
・共用ビームラインの現状 熊坂 崇(JASRI)
・非凍結状態結晶のX線回折測定による酵素触媒反応中間体の解析
  岡島 俊英(阪大・産研)
・ゲノムDNA機能制御のクロマチン構造基盤 胡桃坂 仁志(早稲田大・理工)
・味覚受容体細胞外領域による味物質認識の構造基盤 山下 敦子(岡大・院医歯薬総合)
・CRISPR-Cas9の結晶構造と機能改変 西増 弘志(東大・院理)
・台湾ユーザーおよびビームラインの現状と成果 吉村 政人(NSRRC)
   
8月4日(金)  
・理研ビームラインの現状 山本 雅貴(理研・RSC)
・マイクロフォーカスビームラインによる膜輸送体の構造研究
  西澤 知宏(東大・院理)
・自動データ収集システムZOOを用いたヒトGPCRのX線結晶構造解析
  寿野 良二(京大・院医)
・IP3受容体のゲート機構 濱田 耕造(理研・脳科学)
・時間分解X線小角散乱で見たフェリチンのアセンブリ機構
  佐藤 大輔(創価大・理工)
・プロテアソーム分子集合の構造生物学 加藤 晃一(岡崎統合バイオ)
・総合討論  
オーガナイザー:熊坂崇(JASRI)、山本雅貴(理研・播磨)、栗栖源嗣、東浦彰史、山下栄樹、中川敦史(阪大・蛋白研)

 

 

3. ワークショップのまとめ
 2日間にわたるワークショップでは、延べ155名(所属機関:大学110名、企業13名、公的機関等32名)の参加があり、講演に対して活発な討論が行われました。また、総合討論では、SPRUC研究会活動についての紹介と参加の呼びかけも行われました。本ワークショップにより、ユーザー間での情報共有やユーザーのニーズやセミナー開催の参考となる情報が収集でき、今後のビームラインの高性能化・運営改善についての重要な情報を得ることができました。
 さらに参加者に対してアンケートが行われ、回答者全員から、「予想以上によかった」、「ほぼ期待通りだった」というコメントを頂きました。
 今回のワークショップを通して、JASRI、理研、阪大、NSRRC(台湾National Synchrotron Radiation Research Center)という設置機関を超えた情報共有の機会の重要性を改めて認識し、来年度以降もこのような企画を継続して開催することが確認されました。

 

 

 

中川 敦史 NAKAGAWA Atsushi
大阪大学 蛋白質研究所
〒565-0871 大阪府吹田市山田丘3-2
TEL : 06-6879-4313
e-mail : atsushi@protein.osaka-u.ac.jp

 

熊坂 崇 KUMASAKA Takashi
(公財)高輝度光科学研究センター タンパク質結晶解析推進室
〒679-5198 兵庫県佐用郡佐用町光都1-1-1
TEL : 0791-58-0833
e-mail : kumasaka@spring8.or.jp

 

 

Print ISSN 1341-9668
[ - Vol.15 No.4(2010)]
Online ISSN 2187-4794