Volume 22, No.1 Pages 86 - 87
5. 談話室・ユーザー便り/USER LOUNGE・LETTERS FROM USERS
SPring-8ユーザー協同体(SPRUC)活動報告
SPRUC Activity Reports
SPring-8ユーザー協同体(SPRUC)は2016年4月から中川敦史会長(大阪大学)の体制がスタートしました。会員の皆さまのSPRUC研究会への登録促進のキャンペーンや分野融合型の研究グループの活動が進んでおり、関西学院大学でのSPring-8シンポジウム2016も盛況のうちに終わりました。本稿では最近のSPRUCの活動状況についてご紹介します。
1. 分野融合型研究グループの活動について
研究会組織検討作業部会の提案を受けて、将来重要となる未踏分野におけるSPring-8の利用の掘り起こしを目的とした「分野融合型研究グループ」が2015年度より発足しました。新しい研究グループによってイノベーションのシーズとなる融合分野の創成から放射光利活用を活性化する役割を担います。
大野英男教授(東北大学)がプログラムオフィサー(PO)を務める「ナノデバイス科学」研究グループでは、実用スピントロニクスの創成を目指して、種々の放射光ツールを駆使した包括的なアプローチでナノスケールの解析を行っています。2015年から定期的に研究会を開催し、SPring-8利用実験の報告や、新しい高性能機能性材料のデザイン・ナノデバイス創成に向けたアイデアを議論しています。
(http://www.spring8.or.jp/ext/ja/spruc/SG_SPRUC_info/nano_device.html)
高尾正敏教授(大阪大学)がPOを務める「実用」研究グループでは、様々な学術分野や企業の研究者・技術者が集まって、固液界面に関する課題を共有し、新たな学理を究明して開発現場にフィードバックすることを目指しています。2016年にスタートしたばかりですが、いくつかの共同研究を開始しています。2017年の初頭には、固液界面の物理に関連した理論研究、および応用研究について、外部から講演者を招待した会合を開催予定です。
(http://www.spring8.or.jp/ext/ja/spruc/SG_SPRUC_info/practical_app.html)
後藤俊男先生(理化学研究所)がPOを務める「原子分子生命科学」研究グループでは、精密構造・電子状態・ゆらぎ解析を視野に入れた分野横断的なテーマを掲げており、将来の創薬プロセスに活用できるシーズを生み出すことを目指します。今年から本格的に活動を進めていく予定です。「分子機能性材料」研究グループは計画段階ですので、組織体制を含めて検討していきます。
2. ビームライン高性能化検討作業部会の発足
SPring-8次期計画として提案されている加速器光源の利用を想定した検出器や測定システムの開発が進んでいる中で、今後の利用研究展望について、ユーザーの立場からの検討・協議が急務です。これらに関して、具体的な提言をまとめることを目的として、2016年12月に新しい作業部会「ビームライン高性能化検討作業部会」(責任者:関西学院大学 藤原明比古教授)が発足しました。2016年12月23日に第一回会合を開催し、作業部会メンバーで方針や議論のポイントを確認し、JASRIから共用ビームラインの整備状況の情報提供を受けました。今後、中・長期的な方向性を見いだすために、国際的な競争力を持った利用成果創出のために期待される利用研究のあり方について、各研究会からの意見および情報収集を行うこととしました。
(http://www.spring8.or.jp/ext/ja/spruc/WG_SPRUC_info/WG_advanced_reserch.html)
3. 第6回SPring-8ユーザー協同体 評議員選挙
SPRUCの活動・運営について掌握するSPRUC評議員は2年任期、1年毎の半数改選となっています。SPRUCの各代表機関から推薦された候補者を対象として、全会員に投票権があります。2017年3月末で任期満了を迎える評議員の改選選挙が2016年12月5日~12月26日の日程で行われました。その結果、学術機関所属の10名と産業機関所属の5名が選出されました。
(http://www.spring8.or.jp/ext/ja/spruc/elected_person_6th.html)
(国)理化学研究所 放射光科学総合研究センター
〒679-5198 兵庫県佐用郡佐用町光都1-1-1
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