Volume 21, No.1 Page 42
4. SPring-8/SACLA通信/SPring-8/SACLA COMMUNICATIONS
2014A期 採択長期利用課題の中間評価について
Interim Review Results of 2014A Long-term Proposals
第54回SPring-8利用研究課題審査委員会長期利用分科会(平成27年10月)において、2014A期に採択された1件の長期利用課題の中間評価が行われました。
長期利用課題の中間評価は、実験開始から1年半が経過した課題の実験責任者が成果報告を行い、長期利用分科会が、対象課題の3年目の実験を実施するかどうかの判断を行うものです。以下に対象課題の評価結果および評価コメントを示します。
課題名 | グリーンナノエレクトロニクスのための材料・プロセスインテグレーション ~超低消費電力次世代トランジスタ開発~ |
実験責任者(所属) | 宮崎 誠一(名古屋大学) |
採択時の課題番号 | 2014A0109 |
利用ビームライン | BL47XU |
評価結果 | 3年目を実施する |
[評価コメント]
本課題は、Ge、GeSn系光電融合デバイスの実現に向けて構造制御と界面制御に注目して材料技術とプロセスインテグレーション技術の開発指針確立を目指している。この目的を達成するためには、半導体/ゲート絶縁膜界面制御、半導体/電極金属界面制御、半導体内のドーパントの化学状態制御、格子歪による半導体のバンド構造制御、等々多面的な技術開発と評価方法の確立が必要である。本課題の実施においては、それぞれの対象分野を担当する研究グループが連携しつつ、BL47XUに構築された微小領域の硬X線光電子分光をもちいて、微細な構造を有する界面の化学状態評価を非破壊で行う手法を確立して着実に成果を挙げている。更に、当初の計画になかった高移動度二次元層状結晶の創成とその電子状態評価に着手するなど、成果創出に向けた取り組みを行っている。以上のように、当初の計画どおり、もしくはそれ以上の成果創出が期待されるため、3年目の実施を推奨する。
新規テーマに着手するなどの意欲的な姿勢は評価に値するが、2014年度は当初計画を大幅に超えたビームタイムを使用している。実験を通じて得られた成果の中には、微小領域観察ではあるものの、埋もれた界面の評価という硬X線光電子分光の最大の特徴が十分に活用されていない例もあるため、最終年度は微小領域の硬X線光電子分光の特徴が活かされる対象に絞って実施していただきたい。
[成果リスト]
(査読付き論文)
[1]SPring-8 publication ID = 28074
S. Yamahori et al.: "Detection of Effect of Strain on the Valence Band Structure of SiGe by HXPES with High Spatial Resolution" ECS Transactions 64 (2014) 431-439.
[2]SPring-8 publication ID = 29444
A. Ohta et al.: "Characterization of Chemical Bonding Features and Interfacial Reactions in Ge-MIS Structure with HfO2/TaGexOy Dielectric Stack" ECS Transactions 64 (2014) 241-248.