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Volume 20, No.2 Pages 153 - 154

3. SPring-8/SACLA通信/SPring-8/SACLA COMMUNICATIONS

SPring-8利用研究課題審査委員会を終えて
Report on the PRC (Proposal Review Committee) of SPring-8

村上 洋一 MURAKAMI Youichi

SPring-8利用研究課題審査委員会 委員長/高エネルギー加速器研究機構 物質構造科学研究所 Institute of Materials Structure Science, High Energy Accelerator Research Organization

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SPring-8

 

1. はじめに
 平成25年4月~27年3月の2年間、SPring-8利用研究課題審査委員会(2013B期~2015A期の審査委員会)の委員長を務めさせていただきました。SPring-8での利用研究がスタートして間もない頃、課題審査委員を何年か務めたことはありましたが、その後、暫く審査委員会とはご縁がなかったため、最近の事情が分からず、JASRI利用推進部の方々には、色々とお手数をお掛けしました。また本委員会委員の皆様や関係者の方々のご協力に感謝申し上げたいと思います。以下に、この2年間の審査を振り返っての簡単な感想を述べさせていただきます。


2. 共用ビームラインでの新しい利用制度
 2014A期から「J-PARC/MLFおよび「京」との連携利用制度」、重点領域として「スマート放射光活用イノベーション戦略推進課題」、「産業新分野支援課題」がスタートしました。また、利用者指定型重点研究課題である「パワーユーザー制度」は、「パートナーユーザー制度」に変更されました。2015A期からは、「社会・文化利用課題」が新たに重点領域として設定され運用されることになりました。一方、生命科学/蛋白質結晶構造解析分野に関しては、実際に即した運用への変更が行われています。さらに、2015B期からは「新分野創成」というグループ結成型の新しい利用制度の提案が行われています。
 このように、利用制度の改善が継続的に行われています。新たに始まったこれらの課題・制度は、ほぼその目論見どおりの成果を挙げてきていると判断しています。特に、放射光を利用した産業分野の開拓は非常に重要な課題で、今後の日本にとって重要となる産業分野での放射光利用の機会が、新たに生み出されることを期待します。


3. 本委員会での審査に関して
 利用研究課題審査委員会においては、課題選定作業の他に、各分科会より審査プロセスや結果、各分科における研究動向や問題になっている事項等について議論を行いました。その結果は、SPring-8選定委員会において報告させていただきました。全体として審査に際して大きな問題はないという認識ですが、利用研究課題審査委員会で議論になったことの中から、幾つかのポイントを箇条書きで示します。

3-1. 審査方法に関して
・分科にまたがる課題が増えており、複数分科会での審査について議論した。
・公益的な課題の評価について議論した。
・不選定課題に対する配慮について議論した。
・審査に際してのレフェリーコメントの重要性について議論した。
・文化財等研究の評価について議論した。
・海外からの申請における外国人評価者の評価の取り扱いについて議論した。

3-2. 研究動向について
・ある分科では基礎研究から応用研究へのシフトがみられた。
・産業利用として生活用品関係の申請が増えている。
・実用材料のその場観測を行う課題が増加している。
・極端条件下測定や時分割測定が増加している。

3-3. 利用制度について
・A期とB期のビームタイムのバランスについて議論した。
・課題採択率と課題あたりのビームタイム配分率について議論した。
・新規分野の開拓について議論した。
・タイムリーな実験が行えるような利用制度が必要である。
・長期利用課題等の一般課題への影響について議論した。

3-4. 審査に際しての課題
・科学技術的評価と社会的要請への評価に関する審査について議論した。
・ユーザー固定化の問題について議論した。
・極端に採択率の低いビームラインについて議論した。


4. おわりに
 利用研究課題の選定は、SPring-8の利用成果に直結する非常に重要な仕事です。2年間(4回の課題選定)という短い間でしたが、私自身多くのことを勉強させていただきました。この仕事を無事終えるに際して、関係者の方々の多大なご尽力・ご協力に感謝申し上げます。

 

 

 

村上 洋一 MURAKAMI Youichi
高エネルギー加速器研究機構 物質構造科学研究所
〒305-0801 茨城県つくば市大穂1-1
TEL : 029-864-5589
e-mail : youichi.murakami@kek.jp

 

 

Print ISSN 1341-9668
[ - Vol.15 No.4(2010)]
Online ISSN 2187-4794