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Volume 19, No.3 Pages 298 - 299

4. SPring-8通信/SPring-8 COMMUNICATIONS

「専用ビームラインの再契約」について
Renewal of Contract Beamline Agreement

(公財)高輝度光科学研究センター 利用推進部 User Administration Division, JASRI

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 SPring-8の専用ビームラインとして、国立大学法人大阪大学核物理研究センターが設置しているレーザー電子光ビームライン(BL33LEP)については、平成26年11月で設置期限が満了することから、「放射光専用施設の設置計画の選定に関する基本的考え方」に基づき、再契約の申し出があった。
 これについて、専用施設審査委員会にレーザー電子光ビームライン(BL33LEP)審査専用施設専門部会を設置し、3月に利用状況の評価および次期計画の審査を実施した。またその結果を7月に開催したSPring-8選定委員会で審議した結果、次期計画期間を6年として再契約が認められました。
 詳細は以下、「レーザー電子光ビームラインBL33LEP」契約期間満了に伴う利用状況評価報告、および「レーザー電子光ビームラインBL33LEP」次期計画審査結果の通り報告する。

 

 

「レーザー電子光ビームラインBL33LEP」契約期間満了に伴う利用状況評価報告

1. 「BLとステーションの構成と性能」に対する評価
 BL33LEPは、世界最高エネルギーの逆コンプトン光ビーム施設であり、単色性、高い偏極度の点からも世界的にユニークな施設としての存在価値が高い。この期間、深紫外レーザー導入および2台のレーザーの同時平行入射システムの開発によるγ線ビームの強度増大および安定化を実現したことは高く評価できる。前方スペクトロメータの活用に加え、液体標的が利用可能なTPCアップグレードがなされ、実験の進展を大いに期待させる。偏極HD標的は外的要因を含む種々の理由で完成が遅れているが、着実に開発が進められており、早急な実用化が強く期待される。

2. 「施設運用及び利用体制」に対する評価
 年間3000時間以上の運転実績を実現し、主要な物理実験に加え、2011年秋以降、震災のため東北大学ELPHで遂行できなくなった実験課題3件を含む7件の共同利用実験がなされ、世界をリードする電子光施設としての地位を確立した。東北大学ELPH、京都大学等の研究者との共同研究に基づく運営は、長期の測定日数が必要なLEPS実験の性質に対応したものと評価される。大阪大学核物理研究センター研究計画委員会の下に実験課題審査の目的で設置されているQ-PACを、Standingな助言委員会として再定義したことは、こうした運営の実情に応じたものと言えるが、研究の方向性や課題の採択に対する透明性を確保する努力を持続することが望ましい。

3. 「利用成果」に対する評価
 Θについては、統計量が増すなど、評価に値する進展が見られたが、重要なテーマなので、他のグループを含めた実験の整理を進めるとともに、質的に新しい実験情報を付け加える努力が必要である。そのために、BL31LEPにおけるLEPS2実験プログラムを含めた明確な研究方針を策定することが望まれる。他の多くのハドロンスペクトロスコピーに対する有用なデータは出ているが、継続的な論文発表を期待する。HD標的開発は遅れているが、主要な要素技術開発に着実な成果が見られ、ハドロンスペクトロスコピーの精密化に不可欠な装置としてその実用化を強く期待する。

以 上

 

 

「レーザー電子光ビームラインBL33LEP」次期計画審査結果報告

 国立大学法人大阪大学核物理研究センターおよび国立大学法人東北大学電子光理学研究センターより提出のあった「レーザー電子光BL33LEP次期計画書」について、専門部会において計画の可否を審査した結果、次期計画期間は6年として認めるのが妥当であるという結論に達したので報告します。各項目別の詳細は以下のとおり。

1. 「次期計画」の研究概要に対する評価
 LEPSを用いた次期計画は、標識化光ビームのエネルギー領域の拡張によるストレンジネス自由度以外の自由度をもったハドロンの研究、偏極HD標的の実用化による精密データ解析、ガンマ線検出器BGO Eggの導入によるη’中間子生成の研究などを中心に、クォーク核物理を推進する世界的にユニークな研究計画である。これまでの研究の更なる精密化を図ると共に、新しいハドロン粒子に関する研究において着実な成果が期待できる。
 また、偏極HD標的の実用化に成功すれば基盤的技術開発分野への重要な貢献となる。
 なお、本施設は、GeV領域の高エネルギー光子ビームを逆コンプトン散乱法により生成するというSPring-8でなければ実現できないビームラインであり、専用施設とする必要がある。

2. 施設及び設備に関する計画に対する評価
 既存のビームラインとLEPS検出器を有効活用するとともに、偏極標的やBGO Eggなどの新しい装置を導入することにより施設の能力を拡げようとするものである。これらの装置の充実と光子エネルギー領域の拡張によって、LEPS2と相補的で存在意義の高いビームラインになると期待できる。

3. 運用体制及び利用体制に関する計画に対する評価
 大阪大学核物理研究センターと東北大学電子光理学研究センターとの連携により、LEPS2に加えてLEPSも運用しようという計画である。核物理研究センターの責任のもと、運用に必要なマンパワーを十分に確保し、利用を推進することが必要である。利用が新たな広がりを見せるなか、運用の透明性を保つため、核物理研究センター研究計画委員会のもとに実験課題審査の目的で設置されているQ-PACの位置づけや評価体制の見直し・整備などに留意する必要があろう。

4. スケジュール及び予算計画に対する評価
 予算面からは計画の実施に対する問題は見られないものの、偏極HD標的の開発状況やLEPS2におけるBGO Eggの利用計画などのスケジュールには不定性が残っていることやSPring-8 II計画との整合性を考慮し、次期計画期間としては6年とすることが適当と考える。
 現有測定装置を用いたペンタクォーク探索実験のデータ解析の進捗状況と偏極HD標的の実用化の進み具合を見極める意味で、3年後に中間評価を行うことが望ましい。

5. 次期計画の実施について
 提出された「次期計画書」と専門部会における口頭報告に基づき、上記4項目について専門部会として評価を行った結果、それぞれの項目について十分な水準にあると認められ、また次期計画の方向性も具体的に示されているので、6年を研究期間として実施することが妥当であると勧告する。

以 上

 

 

Print ISSN 1341-9668
[ - Vol.15 No.4(2010)]
Online ISSN 2187-4794