ページトップへ戻る

Volume 19, No.2 Page 90

理事長室から -SPring-8の中間評価を受けて-
Message from President – 5-Year Review Leading SPring-8 to Global Pre-eminence –

土肥 義治 DOI Yoshiharu

(公財)高輝度光科学研究センター 理事長 President of JASRI

pdfDownload PDF (536 KB)

 

 大型放射光施設SPring-8の事業活動と研究成果について、平成25年4月から計6回の委員会審議による中間評価が実施され、その評価結果は文部科学省から報告書として公表された。「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針」に示されているように、大規模研究施設は概ね5年毎に評価が行われており、今回の評価は平成14年の第1回と平成19年の第2回に続く第3回目の中間評価である。SPring-8評価作業部会は科学技術・学術審議会先端研究基盤部会の下に設置され、産学官から13名の有識者が委員として参加され、福山秀敏先生が主査となり審議が進められた。作業部会における主な検討事項は、前回の中間評価における指摘事項への対応状況、施設やビームラインの整備・高度化、効率的・効果的な施設運営、共用の促進、利用者の支援や拡大、研究課題の選定、研究成果の創出と社会還元、人材育成などに関するものであった。
 平成19年に実施された前回中間評価では、(1)5500時間以上の運転時間の確保、利用者ニーズに基づく継続的な高度化、(2)登録機関の効率的な運営と体制の強化、利用促進業務と施設運営の一体性のある対応、(3)支援員の適切な人員配置、重点戦略分野の質の維持、利用促進方策の強化、などが重点的に取り組むべき課題として指摘された。いずれの指摘事項についても、理研と登録機関JASRIの5年間の活動実績に対して一定の評価をいただいた。しかしながら、SPring-8が世界最先端研究施設として更なる飛躍をするためには、次のような取り組みが重要であるとの指摘を今回も受けた。(1)施設、設備の高度化については、SPring-8ユーザー協同体(SPRUC)と連携して利用者ニーズを的確に把握して実行すること。(2)設置可能なビームライン(BL)が残り5本である状況から、既存のBLの改廃を戦略的に進めること。(3)年間5500時間以上の運転を実現するよう努力すること。(4)専用BLにおいて共用ユーザー時間を2割程度確保すること。(5)利用者支援員の不足を補うために、人員配置の見直しとともにアウトソーシングを検討すること、さらにポテンシャルユーザーの更なる活用とともに利用者と支援員の連携を強化すること。(6)利用者の裾野を拡大するとともに、優れた研究課題が採択される環境を構築すること。(7)産学官の連携を強化して課題解決型研究を推進すること、さらに共用BL、専用BL、理研BLの区別なくSPring-8一体となり成果発表会や評価を定期的に行うこと。(8)国内の放射光施設と連携・協力して利用者拡大や研究者育成を行うとともに、国外の大型放射光施設と連携して引き続き世界の放射光科学を牽引すること。特に、今後5年間に推進すべき重点的方策として下記の5項目が挙げられている。

1. SPRUCとの連携を更に深化させ、施設及び設備の高度化や利用者支援を促進し、世界トップレベルの研究開発を強力に推進するとともに、この分野の研究者・技術者の拡充及び育成を強化する。

2. 我が国が誇る先端研究拠点として、大学、研究機関、産業界の「知」と「課題」を有機的に連携させ、革新的な成果創出を促進するための課題解決型の技術交流の場の構築を目指す。

3. 国際的な連携を推進すると同時に、「光ビームプラットフォーム」やほかの特定先端大型研究施設との連携を促進し、新たな利用者の開拓や利用者支援の強化等を図る。

4. 設置者及び登録機関が一体となり、自己評価や利用者への情報発信・広報活動を強化する。

5. 安定的な施設の運用・運転を実現するため、より計画的な施設の維持管理を行うとともに、業務効率化等を図りつつ、利用者へ提供するマシンタイムの拡充を目指す。

 登録機関JASRIは、設置者の理研と協力して、今回の中間評価で指摘された各事項を詳細かつ多面的に検討し、今後5年間の行動目標と具体的な計画を定めて各課題に適切に対応したい。そして、学術の進歩と、社会と産業の発展のために掛け替えのない大型放射光施設SPring-8の構築を目指して努力を続けていきたい。

 

 

Print ISSN 1341-9668
[ - Vol.15 No.4(2010)]
Online ISSN 2187-4794