Volume 13, No.3 Pages 274 - 275
5. 研究会等報告/WORKSHOP AND COMMITTEE REPORT
APS-ESRF-SPring-8 Three-way Meeting User Administration and Support Satellite Workshop報告
APS-ESRF-SPring-8 Three-way Meeting User Administration and Support Satellite Workshop
1. はじめに
本ワークショップはAPS-ESRF-SPring-8 Three- Way Meetingの前日の平成20年3月17日に開催された。3年半前、SPring-8でThree - Way MeetingにAPSとESRFのUser OfficeのHeadであるそれぞれSusan StrasserさんとRoselyn Masonさんに来てもらい、初めてThree - Way User Office Meetingを試みた。会議はお互い得るところが多かったことから、今回はUser Officeのスタッフ以外にも公開して意見交換ができるワークショップとして企画された。
2. 主な参加者
SPring-8からはUser officeの牧田と平野、鈴木研究調整部長と大野専務理事が全セッション参加した。APSはUser OfficeからSusan Strasserさん他6人と、Experiment safety、TrainingおよびPublicationを担当するそれぞれの部署から数名参加した。ESRFからは、この春リタイヤするMasonさんの後任のHeadになったJoanne McCarthyさん他2名と、午後のセッションにはStirling所長も出席された。その他には、Argonne研究所内にある、APS以外の共同利用施設の中性子やナノマテリアルセンターなどからも参加があった。
3. 会議内容
APSの Gibson所長の挨拶で開会した。
午前のセッションで、今回のテーマである、課題選定の制度、電子申請システム、ビームタイムの配分、スケジューリング、ユーザー支援、利用報告書、成果の収集などのオーバービュープレゼンテーションを行い、午後のセッションでAPSの電子申請や安全関係のデータベースや教育訓練のデモンストレーションのあとテーマにあげた事項の議論を行った。User Society/OrganizationについてはSPring-8が発表した。課題の種類のトピックスとしてESRFからMacromolecular crystallography(MX)領域で1998年以来行っているBAGシステムについての現状の発表があった。これはESRFの実験数や来所者数の40%を占めるMXではBlock Allocation Groups(BAGs)を作り、シフトをグループに配分してグループ内で、短時間で交代し測定するシステムである。
文末に参考としてプログラムを掲載する。
会議風景 牧田(SPring-8)が発表を始めるところ。写真左側はESRFのメンバーとアルゴンヌ研究所のメンバー、右側はAPSのメンバー、手前の机はAPSと、写真に写っていない左側にSPring-8のメンバーが着席している。
4. APSとESRFについて
今回の発表から、APSとESRFの課題申請等に関する現状は以下のようである。
APSは、当初ビームラインはすべて各CAT(Collaborative Access Team)により専用ビームラインとして建設されたものであるが、2003年からCATに関係しない一般ユーザーを受け入れるGeneral User Programを始め、今では全体の半数の30ビームラインがAPSのX-Ray Science DivisionにあるX-Ray Operation and Research(XOR)によりOperateされており、それらのBLはビームタイムの80%を一般ユーザー(General User)が利用する共用ビームライン化している。またCATのビームラインでも25%まで一般ユーザーにビームタイムが供出されている。従ってGeneral User Proposalの課題運用の仕組みが構築されてきている。APSは年3期であり、各期に締め切った申請に対しピアレビューグループ(PRP)が評価と推奨シフトを決める。その後Beamtime Allocation Committee(BACs)が、PRPの評価をもとに上限推奨シフトを2年の間に配分する。
ESRFの課題選定はSPring-8と似た方式で行われている。ただし現在ESRFの加盟国および出資国は合計18になっているが、国別採択課題数は出資金の割合に近いものになっているようである。なお、出資国以外(日本や米国など)からの申請も受け付けてはいるがReview Committeeがかなり高い評価をしたもののみ受入ることとなっているため統計的には受入られた課題数は全体の0.6%程度である。産業利用と成果専有利用はUser Officeとは別の部署が担当し課題選定とは別枠で行われている。
最後にUser Society/OrganizationについてはAPSとESRFは施設の全ユーザーがメンバーとなっており、SPring-8など日本の多くの施設でみられる会員制の利用者懇談会とは異なっていた。
APS User Officeにて。後列左からB. Knott(APS)、J. McCarthy(ESRF)、S. Strasser(APS)。
5. おわりに
WS後、StrasserさんとMcCarthyさんとは、残った問題を話し合うべく翌日のランチタイムに集まった。結局目的の議論は全部は終わらず、いくつかは持ち帰ることになった。
さて、SPring-8は供用開始から10年が経過し、この間いろいろな方面からの要望に応えた結果、今や課題の種類も多く、運用も複雑になってきている。User Officeはこの10年を振り返ると、これらを作り上げるために、1年として前年と同じ年はなかったように思う。SPring-8より先に10周年を迎えたAPSやESRFのUser officeもSPring-8ほどではないが、状況は同じだったようだ。
(参考)プログラム
10:00 | Welcome and Introductions |
M. Gibson - APS | |
S. Strasser - APS | |
10:15 | Overview Presentations : User Administration and Support |
S. Strasser - APS | |
J. McCarthy - ESRF | |
T. Makita - SPring-8 | |
12:30 | Lunch at Argonne Guest House |
13:30 | Proposal Submission, Review, Allocation, and Scheduling : |
Description/demo of APS electronic system - M.Vigliocco - Hagen | |
ESRF BAG system - J. McCarthy | |
15:30 | Experiment Safety Review, APS process |
N. Moonier - APSs | |
16:00 | Publications : |
APS publications database | |
R. Fenner - APS | |
16:20 | User Organizations and Meetings : |
S. Hirano - SPring-8 | |
17:00 | Adjourn |
牧田 知子 MAKITA Tomoko
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